語彙と思考

サイモン『システムの科学』をすこし読む(第2版を読んでいたが、第3版も出ている→asin:489362167X)。
ちゃんと読んでいないのだが、企業の最適化において古典的な理論は通用せず、最大化過程を用いるか否かは問題にしなくてよいので、進化論的主張が最適化を意味するものか慎重に検討すべきだと論じている。結論しか意味が理解できないが、おもしろい主張に感じる。その注釈として自然淘汰と最適化とが一致するという考えに対するS.G.Winterによる批判が挙げられている。とりあえず注意すべきなのは、最適化と自然淘汰の理論的な違いを理解すべきということだろう。(第2版、p.72)
この点が気になったのは、この前の落書き(戦略における意図と結果の倒錯 - 反言子)で妄想していたことに近い背景を感じたからだ。僕の妄想に、この議論はより適切な語彙を与えてくれるのでは、と思った。
本書の原題は"The Sciences of the Artificial"であり、システムよりもむしろ人工物という概念に着目している。素朴に理解した限りだと、自然科学との対比(あるいはポスト自然科学)なのだろう。人工物という対象に自然科学の方法論が通用するとは限らない。しかし本当にそうなのか、もしそうなら、どのような方法論を確立できるか、という野望を感じる。