はれあたまダイアリー

とにかく続けるよ

常しえに受け継ぐ

月に一度
小中学校から各家庭にお便りが届きます。
南砺市城端中学校は「緑萌」というタイトルですが
今月号の1ページにあった教頭先生のお話が
心に残ったので皆さんにご紹介したいと思います。

校章の「柏」の木に寄せて      
                        教頭 山本真理子

 1947年(昭和22年)の4月1日に、城端町外5か村学校組合立城端中学校が創立され、翌1948年(昭和23年)の4月24日に校章が制定されました。校章のモチーフとなったのは「柏」の葉です。3枚の柏葉の葉柄を中心に寄せ、三方に並べた中央に古い文字で「中学」と配した安定感のあるデザインとなっています。
 校章に象徴される柏の木は、ランチルーム外の駐車場東側に、冬空を背景にすっくと一本立っています。他の落葉広葉樹は冬に入る前に葉をすべて落とし、幹と枝のみで冬枯れの姿になっているのに対し、柏の木は枯れ葉がそれぞれの枝にしっかりとついたままです。今年度赴任してきた4月にもまだ枯れ枝がついたままでしたが、「5月の節句には柏餅を供える風習があるわけだから、きっとその頃には青々とした葉が広がっているに違いない。」と思っていました。しかし、その予想は外れ、5月下旬になっても大きな枯れ葉がついたままで、「校章の木なのに枯れてしまったのだろうか」と心配しました。しかし、6月上旬になって、ある日突然、そして一斉に枯れ葉が散ったのです。外掃除の担当生徒は多量の枯れ葉を集めるのにやりがいのある日が続きました。葉が散った後の枝を見るととがった小さな目を確認することができました。このとき初めて、柏の木というのは、秋に枯れた葉が春までついたままで、新芽が出るまでは落葉しないということを知りました。しかも、茶色い小さな芽はあっという間にふくらみ、縁に沿って丸く大きな鋸葉が並び、芳香をもつ葉がみるみる展開し始めたのです。調べて見ると、次の代の芽を風から守るため春遅くまで枯れ葉が落ちないこと、その特性から「代が途切れない」と言われるということです。
 生徒が制服に付ける校章のバッジの柏葉の部分は深みのある緑色で、男子は黒の詰襟に、女子は紺のフェルト台に止めてあり、どちらも凛とした存在感を感じます。また、城端中学校のシンボルである校章はバッジだけでなく、調理実習で使用する陶器製の皿にも鮮やかに印刷されています。この皿も代々受け継がれています。
 3年生にとってはこの校章を付けるのはあと2月どどとなりました。卒業証書授与式は第68回です。不撓不屈の精神や絆の強さを象徴するこの校章に愛着を持ち、城端中学校68年の歴史を刻んで来られた先輩方の思いを引き継ぎ、これからも地域で生きていく城端中学校の生徒としての誇りを持ち続けてほしいと思います。