「幻の漂泊民・サンカ」沖浦和光

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

幻の漂泊民・サンカ (文春文庫)

本の前半では、柳田国男といった民俗学の先人たちの研究結果の紹介と、三角寛のサンカ小説がどれだけフィクションで真実ではないかを紹介していたが、中盤から急に過去の研究を否定、著者本人の持論を展開していって、後半は想像力もたくましくなっていき、読んでいてとても面白かった。
この著者は「サンカが生まれたのは近代(江戸)」と論じている。私は土蜘蛛とかそういった朝廷に追い立てられて山に入らざるをえなかった人たちというイメージが強かったのだけれども、この機会に少し他も読んでみたところ、サンカの発生が古代というのを否定している人も多いようで。なんだか勘違いしていたようだ。民俗学って興味深い。