2010-07-24
■[雑記]今年35歳になるので、エンジニアの35歳定年説というやつについて書くぞ
エンジニア35歳定年説。IT業界で働く人なら一度は聞いたことがある言葉なのではないかとおもいます。誰が言い出したのか知りませんが、この言葉は非常にタチが悪く、言葉だけが一人歩きしていて多くの人が「35歳くらいになると能力・体力の低下により新しい技術についていけなくなり、引退を余儀なくされる」という解釈をしているようです。しまいには妙な拡大解釈でこのようなエントリまで書かれる状況です。僕の認識をどんぴしゃで書いてくれているエントリがないので、自分の経験を少し書いてみたいとおもいます。
僕が「エンジニアは35歳が定年」という言葉を初めて聞いたのは、新卒で就職したソフトウェア開発会社で、10年以上前のことです*1。僕が就職したのは、法人顧客のための業務システムを開発している、いわゆるSIをやっている会社でした。ある日、会社の先輩に「この業界、エンジニアで飯を食っていけるのは35歳までだから、よく将来のこと考えておいたほうがいいぞ」と言われたのです。まぁ希望をもって入社した新人にこういうことを言う人もどうかとも思いますが、おそらく先輩なりに会社や事業の未来に不安を感じていて、あえて忠告してくれたんだろうと思います。先輩から聞かされた話をまとめるとこうでした。
- 35歳以上になるとエンジニアとして受け入れてくれる顧客が少なくなる
- 優秀であっても顧客は一定金額以上出さなくなる。契約単価は上がらなくなる(給料が上がらなくなる)
これが僕が聞いた「エンジニア35歳定年説」でした。能力の限界の話や、最新技術についていけなくなるという話ではありません。SIのビジネスモデルの中で働く人の限界の話でした。
ちなみに、その先輩は続けて僕に下流工程じゃなくて上流工程を目指せ、そのために、技術的な知識や能力よりコミュニケーション能力を磨け、それがエンジニアの生きる道だというようなことを言いました。まぁそれはそれでその時代、その場所での真実だったのでしょう。。。その後、僕は7年くらいSIの会社でいろいろなプロジェクトをこなす日々を過ごしました。人に恵まれていたこともあって、仕事そのものは楽しかったけど、個々の能力が評価されない一山いくらの世界でできることに限界を感じて、SIの会社を辞めました。たぶんSIの会社を辞める理由はそういう理由が多いのではないかと思うんだけど。
なので、僕が知る限りは「エンジニア35歳定年説」はSI業界の話であって、IT業界全体の話ではありません。さらに言えば、これは人貸しビジネスの限界の話です。そうでない会社には関係ない。それに能力の限界なんて35歳という若い年齢では訪れないですよ。これは実感としていえます。他業種でも35歳といえば第一線で働いている世代です。僕がいま働いているウェブサービス開発の現場では年齢は関係なく、自分の思いついたアイディア、書いたコードが生み出す価値は自分次第でいくらでも高めていくことができます*2。昔先輩が言っていた35歳限界説とは全く無縁で、歳に関係なくすごい人はすごいし、ダメな人はダメです。「35歳定年説」がまるでIT業界全体の話のように語られるたびに、大きな違和感を感じてしまうのです。*3
追記
エンジニアじゃなくて、プログラマだろ、という指摘をいくつかいただきました。個人的に、エンジニア、プログラマ、デベロッパー、これらの単語をあまり区別して使ってなかったので、本エントリでは同義で使っています。読み替えていただければ、とおもいます。
*1:10年前からあった言葉なので、それだけでもそれ以降に登場した企業に対して同じことが言えるわけではないと思います。そういう意味では古いままのビジネスを続けている企業だけに言えることなのかもしれない。
*2:SIの場合、開発したシステムが生み出す利益は顧客のもので、個々のエンジニアが自社の売上に貢献している金額は時間単価を超えることはありません。つまり原理的には単価を超える収入を得ることは不可能ということになります。給料が上がらない=若い時しかできない仕事、ということになってしまう、というのが私の仮説。パッケージ開発やウェブサービスなどの場合、開発したシステムが生み出す利益は自社のものなので、エンジニアの売上への貢献度は大きくなる場合があります。って言いつつ、僕はそれほどもらってないんだけどねっ!
*3:このエントリでは、SIがダメと言いたいわけではありません。ただITというと様々なビジネスを含むので、いっしょくたに語られることにいつも違和感があるのです。
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