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アイデアの良し悪しは何で決まるか

イデアのすごさ度合いというのは、差分で表現される。差分は、「?」と「!」で表現される。最初に「?」と思った量と、そのあと「!」と思った量の合計が、アイデアのすごさ。

なんらかのアイデアを求めている人というのは、アイデアの中身が具体的に浮かんでいるわけではない。ただ、どのくらい「?」と「!」を感じたいか、ということだけが決まっている。
もっと簡単にいうと、どのくらい驚いて、どのくらい納得したいかということだけが決まっている。

わたしたちがアイデアを目の前にしたときに、これはいまいちだとか、これはいいだとか判断できるのはなぜだろう。それは、求める「驚きと納得の量」だけが事前に自分の中で決まっているからである。決して、アイデア自体がすでに思いついているわけではない(だったら、それを表現すればいいだけだ)。

無自覚な人は、アイデアを目の前に見せられると、自分もそう思っていたんだよ、というような顔つきをする。実際にその人が思っていたのは、「どのくらい驚いて納得したいか量」であって、その「驚き納得量」の幅が、アイデアでもたらされた驚き納得量と一致したことを誤解して、まるで自分が思っていたことなのだと錯覚してしまっている。アイデア自体が一致しているのではない、幅が一致しているだけだ。

イデアを求めているように見えるお客さんを目の当たりにしたときには、気をつけなければいけない。彼らの中にアイデアがあって、それを忠実に実現したいのか。それともアイデアはなくて、驚き納得量だけが決まっているのか。「やりたいことはあるんだけど」という顔つき自体は同じに見えるので、ついつい間違えてしまう。驚き納得量だけ持っている人にいくら聞き込みをしたところで、アイデアにつながることは出てこない。