「闘う」はネガティヴな言葉

 「免疫力を高めるためには「笑い」が重要であるといわれてきたが、実際に笑う心境になかなかなれなくても不思議ではない。しかし、どうやら、無理にでも笑い顔を作れば脳を「だます」ことができるようである。
 「闘病」という言葉は少なくとも見舞客など他者は使わないほうがよいような気がする。「闘う」という構えは免疫力を低下させるかもしれない。交感神経系の活動を高める。副腎皮質ホルモンが顕微鏡下でリンパ球をこわすのをみた。病を手なずける(馴致する)という感じがよいかもしれない」(中井久夫「院内感染に対する患者自衛策試案」『臨床瑣談』みすず書房、2008年、p53)


*ポジティヴ・シンキングにはこういう効能もあるのでしょう。女性のほうが男性よりもずっと平均寿命が長い理由のひとつは、この点にあるのではないでしょうか。