今年のイグ・ノーベル医学賞に思う

 今年のイグ・ノーベル医学賞は、たしかに「考えさせる」研究に授与されました。心臓移植したマウスにオペラ「椿姫」を聴かせておくと、音楽がない状態よりもずっと長生きする、モーツァルトの音楽では効果は下回る、というものです。音楽を聴いているマウスは免疫細胞を多く出すが、まだなぜだか分からないけれども、その免疫細胞が移植された心臓を攻撃しない、ということらしいです。人間という生物が、意識の下で周囲との間に交わしている(非・言語的な)コミュニケーションの領域は、私たち現代人が思っているよりも、はるかに広大なのでしょう。「言語論的転回」以降の人文社会科学が忘れがちな論点だと思います。それから、ネット依存の若者たちも。