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熊おやじの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2015-10-23

池内了×島薗進

 池内了×島薗進『科学・技術の危機/再生のための対話』(合同出版、2015年)を読了。こういう好著がマイナーな出版社からしか出ないところに、現代日本におけるジャーナリズムの貧困を感じます。

2012-01-02

宮台真司さんの宗教音痴

 高岡健・宮台真司(編)『こころ「真」論』(ウェイツ、2006年)を読了しました。宮台真司さんが、「日本の宗教文化」についてはろくに考えたことがないことがよくわかる本です。

2010-08-25

読書の日

 今日は、秋山さと子『ユングとオカルト』(講談社現代新書、1987年)と、ハワード・フィリップス・ラブクラフト(原作)宮崎陽介(漫画)森瀬繚(解説)『邪神伝説ークトゥルフの呼び声』(PHP研究所、2009年)の2冊を読了しました。後者に収録されている森瀬さんによる解説は、とても有意義でした。森瀬さんにはmxiでもマイミクになっていただき、いろいろご教示いただいています。

2010-07-17

渡辺みえこさんの村上春樹論

 渡辺みえこさんの『語り得ぬもの:村上春樹の女性(レズビアン)表象』(お茶の水書房、2009年)を読了しました。面白い本ですが、期待が大きかっただけに、個人的には「いまいち」という感想です。この人、以前の『女のいない死の楽園 供犠の身体 三島由紀夫』(現代書館、1997年)もそうでしたが、センスがよくて着眼はとても鋭いのだけれども、学問的な論証がいかにも粗い。学者よりも評論家に向いている才能だと思います。

2010-04-13

鷲田清一さんの本

 昨日は、哲学者の鷲田清一さんが書いた『聴くことの力-臨床哲学試論-』(阪急コミュニケーションズ、1999年)を読了しました。面白く読めました。

2009-11-01

吉本隆明『共同幻想論』

*吉本隆明『共同幻想論』(角川文庫ソフィア、1982年)

 確かに、「共同幻想」=個人に外在し、個人を拘束する一種独特の実在である「社会的事実」または「集合表象」(デュルケーム)は、G・H・ミードの言う「重要な他者」との出会いを経て成立するものだと思います。しかし、その「重要な他者」は基本的に「性的パートナー」であるという「対幻想」論は、戦後民主主義下の「近代家族」にしか当てはまらないでしょう。この本は、「皇国少年」として、天皇を家長とする「家族国家観」を内面化して育った吉本隆明氏が、戦後民主主義社会と近代家族に再適応するために書いた本であり、そうした歴史資料として読めば、面白いと思います。

2008-07-31

かもめ食堂―「男らしい国家」からの逃走

 荻上直子監督の映画「かもめ食堂」(2006年)が佳作だったので、群ようこの原作「かもめ食堂」(幻冬舎、2006年)も読みました。本の帯には、以下のようにあります。

 毎日ふつうで、おいしくて、小さいけれど堂々としていました。

 ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれども、お客といえば、日本おたくの青年トンミただひとり。そんな「かもめ食堂」に、ミドリとマサコという訳あり気な日本人女性がやってきて・・・。

 サチエは、「人生これ修行」をモットーとする武道家(合気道の師範)の父に育てられた娘でした。ミドリは、天下り役人が集まった小さな会社のお茶くみ OLでした。マサコは、長年にわたる両親の介護から解放された女性。3人とも、現代日本の平均的な普通の女性です。ただの和食がこれほどおいしそうに見える映画を私は見たことがありませんでした。

 「日本人の味覚」を軸にして、「天皇制なきナショナリズム」を構想し、すでに総計一億冊以上売り上げた国民的マンガに、東大全共闘出身の雁屋哲が原作を書いている「美味しんぼ」があります。「グローバル化の中のアイデンティティ戦略」という観点から見れば、共通の味覚を軸にして団結しようという点では、「かもめ食堂」は「美味しんぼ」と同じです。しかし、「かもめ食堂」は、「美味しんぼ」に強く見られる、雁屋哲の男性中心主義的ナショナリズムからの逃走に成功しています。

 「美味しんぼ」は、山岡雄山(三島由紀夫の主張した「美しい天皇」の全共闘版だと私は思います)とその息子・山岡士郎の「父と息子の葛藤と和解」の物語でもあり、「鍛える父ー挑戦する息子」という日本の近代的な「父ー息子」関係を描いています。それに対して、「かもめ食堂」には、「美味しんぼ」に見られる、「アメリカを見返してやる」というヘンな気負いがなく、外国において普通の日本人女性ばかりが現地の人を客として運営する食堂の日常を淡々と描いて、「『男らしい国家』(Manly State)からの逃走」に成功しています。群ようこは、現代日本のエリートではない「フツーの働く女性」にたいへん人気のある作家です。「かもめ食堂」は、日々「オヤジ」たちに苦労させられている現代日本の「フツーの働く女性」の夢を描いた作品だと思います。