歩いて地球を1周したら何日かかる?

 「新しい高校物理の教科書―現代人のための高校理科 (ブルーバックス)」(ブルーバックス)から引用。

 地球を1周する距離はどれほどだろう。地球の周囲はほぼ4万㎞である。なぜそんなにきりがいいのかというと、1mという長さは、あとで述べるように、もともと地球の子午線の長さをもとに決めたからだ。
 歩く速さは5㎞/hなら、地球を歩いて1周するのにかかる時間は、
    40000㎞÷5㎞/h=8000h
ということになる。これは330日あまりだから、昼夜休みなく歩き続けても1年近くかかるわけだ。地球は大きいが、一生かかっても1周できないほど大きいわけでもない。
 体積が1L=1000mL=1000cm3の水の質量はちょうど1㎏である。なぜそんなにきりがいいのかというと、1㎏という質量の単位はもともとそのように決めたものだからだ。
 現在私たちが使っている長さの単位1mは、最初は地球の大きさをもとに決められた。18世紀末、フランス革命の革新的、理性的精神から、客観的な量の尺度が追求された。そこで、当時最新の科学知識を基礎に「地球の北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の1を1mとする」と法律で定めたのがもとになっている。質量の単位1㎏も「1気圧のもとで密度最大の1㎝3の水の質量(1g)の1000倍」という定義により、キログラム原器をつくり、今でもこれを規準としている。つまり、質量の単位ももともとは地球のサイズと水の密度をよりどころとしていたのである。
 また、時間の単位は「地球上の1地点で太陽が南中してから再び南中するまでの時間の平均値(平均太陽日)」を24等分したものを1時間、それを60等分して1分、さらに60等分して1秒と定めたのがもとだ。
 つまり時間は、地球の自転運動が規準なのである。
 このように、日ごろ私たちが使っているメートル(m)、キログラム(㎏)、秒(s)という基本単位(頭文字をとってMKS単位という)は、世界の人類に共通で唯一無二の母なる地球をもとに決められたものである。
 ただし、現在では、これらの単位の定義にはより精密な規準が採用され、1秒はセシウム133の原子が放つ特別な光の振動の91億9263万1770回分の時間、1mは光が真空中を2億9979万2458分の1秒間進む距離、1㎏は国際キログラム原器の質量と定められている。

 前から気になっていた新しい物理の教科書を購入、読み始めた。なかなかわかりやすく書かれている。MKS単位が決まった経緯など、前に習ったのだろうが、完全に忘れていた。また、地球の直径がほぼ4万㎞だということも忘れていた。
 いい機会だと思うので、一通り高校物理を復習してみたい。