klarer-himmel13's diary

(旧)図書館の中では走らないでください!から

読書日記その2−主にディスカバリーについて(極一部)

2年くらい前に読書日記その1というものを書いていた。当時はシリーズ化させるつもりだったのだろう。
えらく間の延びたその2です。しかも全体の極一部という。

[rakuten:book:15945260:detail]

ディスカバリーに関する700ページ以上ある論文集?のうち、ch. 28をざっと読んでみた*1のでその記録。
追記:本書を紹介した記事をすっかり見落としていました。(教えていただきありがとうございます)
E1338 - 大学図書館でのディスカバリツールの計画と実装<文献紹介> | カレントアウェアネス・ポータル

Anita K. Foster, & Sarah C. Williams (2012). Early adoption: EBSCO Discovery Service at Illinois State University. In Mary Pagliero Popp, & Diane Dallis (Eds.), Planning and implementing resource discovery tools in academic libraries (pp. 488-498). Hershey, PA: Information Science Reference. DOI: 10.4018/978-1-4666-1821-3.ch028

アブストはこちら
http://www.igi-global.com/chapter/early-adoption-ebsco-discovery-service/67838

著者のFosterさんはこの論文の舞台になったイリノイ州立大学のMiler Libraryの「Head, Content Acquisitions and Electronic Resources Unit」、Williamsさんはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の「Life Sciences Data Services Librarian, Associate Professor of Library Administration」のようです。

イリノイ州立大学のMiler Library*2では2010年よりEBSCO社のDiscovery Serviceを導入しています。

Milner Library: Illinois State University


トップページにアクセスしてまず目に入るのは「Search anytihg」です。残念ながら外部からはアクセスできないのですが*3、こちらがディスカバリーサービスになります。

内容は導入までの経緯、導入にあたっての選択、目録データの流し込み、カスタマイズ、EBSCOhost Integrated Search、使い勝手のフィードバック、導入がもたらした変化という構成になっています。

個人的にこれを読んでみればいいのではと思った理由の一つに、最後に「KEY TERM AND DEFINITIONS」として用語解説がある点です。ディスカバリーを追っていく中でそれに関するor海外事情のキーワードが飛び交っているので、それらを整理してあるのはとてもありがたいです。(他の章についてはまだ未確認です)

以下、読んでの簡単なまとめと気になった点

  • 横断検索が抱える問題点の解決の他に、CARLI(Consortium of Academic and Research Libraries in Illinois)によって助成されたいた検索システムを使っていたが、それが他に吸収されることになったため「新しいものはないか」というのが導入のきっかけになったらしい
  • Dean's Technology Advisory Committee(DTAC)がテクノロジー部門のアドバイザー的な役割を果たしていたそうだ
  • 学生の情報検索行動
  • ディスカバリーの特徴とは「ローカルデータをシステムに一体化されたインデックスに流しこむ」ところ
  • EBSCOhost Integrated Search
    • EBSCOhost の画面上で動かせる統合検索
    • ディスカバリーサービスでカバーできない(インデックスをハーベストできない?)データを補う役割
  • 目録データに対して、配架場所によるフィルターをかける(!)
  • 学生に5つの課題に取り組んでもらい、使い勝手をテスト
    • 何をよく使って、何があまり使われなかったのか
    • 査読、出版日、図書館目録、フルテキストはよく使用される
    • ウィジェット(画面サイドに表示するものチャットやお知らせなどを表示)はそれほど使用されない
  • ディスカバリーサービスの導入によって図書館ウェブサイトが変わった
    • Serch Itという名称からトップページに表示されるSerch Anythingという表示へ
  • EDSへのフィードバック
  • 電子リソースの利用率が劇的に向上

この他にディスカバリーサービスのPrimoやSummon、WorldCatなどの論文も収録されています。
また、そもそも検索とはから始まり、ディスカバリーとはなんだという点(ウェブスケール)や、ディスカバリーの将来などと幅広いようです。
個人的にはWorldCatも気になります。一人で読むのは辛いので、誰か一緒に読み進めませんか、という弱気な提案をしたいという下心で

*1:注意:ざっとと申しましても通勤時間中、1週間かかるくらいの英語力の人間が記録するものですので、ぜひ本文を読んでいただければと思います。もし、間違った理解をしていましたらご教示いただければとても嬉しいです…

*2:Miler Libraryは大学で唯一の図書館であり、メインライブラリーです。この"Milner"という名前はthe first university librarianのお名前からとったようです。

*3:ディスカバリーの場合、外部向けを構築したり、完全に学内向けのみにしたり、OPACの運用とは違い、大学図書館で異なるような気がします。