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人事労務コンサルタントmayamaの視点 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012-03-23

解雇・会社都合退職と助成金の不支給


昨年の震災も影響してか、最近は助成金を申請する機会が少なくありません。震災関連だと雇用調整助成金中小企業緊急雇用安定助成金)、被災者雇用開発助成金などが主なところです。

助成金は経営の苦しい企業にとって一時的とはいえ救いになりますし、助成金の申請を独占業務としている社会保険労務士にとっても大きな収入源になります。


しかし、そこにはやっかいなハードルが立ちはだかっています。

厚生労働省の扱う助成金の多くは、解雇や会社都合による退職者をだすと助成金がもらえなくなるということです。ご存じの方も多いと思われます。

これは主に労働者を雇い入れる際に申請できる助成金が対象になります。代表的なものとしては

トライアル雇用奨励金
特定求職者雇用開発助成金
中小企業基盤人材確保助成金

などです。

解雇日・退職日以降の6ヵ月間は助成金を受けることができません(通常は対象労働者の雇入れ日の前後6ヵ月に事業主都合による離職がないことが条件になっています)。申請中の場合は、離職日以降が受給対象期間になるものについて支給が停止されます。既に支給されたものについて返還を求められるものもあります。

厚労省の取り扱う助成金雇用の増加(失業者の減少)が目的ですから、会社の都合で失業者を増やすこととなる解雇・退職勧奨などを行えば助成金が受給できなくなるのも当然かもしれません。



ここで問題となるのは助成金を受給したいがために解雇・会社都合退職を強引に自己都合退職にもっていく行為です。助成金のために会社都合として処理することをためらい、何とか自己都合退職にする方法を模索する経営者は実際少なくないと思います。

助成金を受けたい気持ちは分かりますが、これをやれば明らかに不正受給です。

そして後々労働者とのトラブルの火種になるかもしれません。

労働者が会社都合(解雇・退職勧奨・希望退職)によって退職する場合は、失業給付を受給するうえで特定受給資格者の扱いとなり、自己都合退職の場合に比べ

・所定給付日数がたくさん付与される
・3ヵ月の支給制限期間なしですぐ受給できる

という面で有利になります。

労働者にこれらを諦めさせて自己都合で退職させる為には、方法は2つしかありません。

労働者意向を無視して離職票に自己都合と記載する」 か 「お金を積む」 かです。

会社が一方的に自己都合の離職票を作れば、労働者が後でハローワークに持って行ったときに、「私は自己都合で辞めたのではなく会社に辞めさせられた」と言い出してトラブルになるでしょう。そこでハローワークが離職理由について調査をしますが、当然会社の言い分がそのまま通るわけではありません。泥沼化すれば、不当解雇や退職強要などのトラブルに波及する可能性も考えられます。

ではお金を積んで労働者に退職願を提出するよう頼んで納得させた場合はどうか。

これは解雇案件の場合は特に問題があります。こういう裏取引の情報が他に漏れたら会社の信用に関わりますし、また、解雇を自己都合にさせておいて、今後同じような解雇事由に該当する労働者がでた場合に、その労働者をどう取り扱うのでしょうか。悪しき前例が他の従業員の士気に影響し、職場の秩序を維持することが困難になっていくかもしれません。

目先の助成金欲しさに離職理由を無理やり変えるなどという行為は決してお勧めできるものではありません。


なお、懲戒解雇雇用保険上の重責解雇)で離職させる場合には、助成金の支給に影響することはありませんのでご心配なく。