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人事労務コンサルタントmayamaの視点 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012-11-05

突然言い出すから問題になる契約社員の更新拒否(雇止め)


一般的に契約社員雇用の調整弁と考えられており、必要な時に必要な人員だけ更新をして、業務が減り必要がなくなったら契約を即打ち切るという使い方をされているパターンが大多数だと思われます。

しかしこの運用は、そもそも有期契約が臨時的・一時的な業務を前提とするという法の趣旨に反するものであり、今年の8月から既に施行されている改正労働契約法における「雇止め法理の法定化」を考慮すると、今後企業の都合によって好き勝手に更新したり打ち切ったりすることはますますリスクが高くなっていく(つまり雇止めが無効と判断されるケースが増加する)ことでしょう。



ここで1つ、基本的なことを忘れてはいけないのですが、雇止めは

「更新するかもしれない」

と言って期待させておきながら、契約期間の満了時になって急に

「ごめん、やっぱり無理」

と期待を裏切るから不当な雇止めとして問題になる訳であって、あらかじめ直近の更新の時点で「次は更新しない」という意思表示を行い、雇用契約書に不更新条項を入れたうえで更新手続きを行えば、不当な雇止めにはなり得ないのです。

ここで重要なのは、次回更新をしないという点に関して労使双方が合意をしているということであり、通常これによって労働者更新の期待を抱かない、あるいは期待を抱いたとしても合理性があるものとはいえない、となるのです。

この流れを経ていれば、雇止め後、労働者より「雇止め理由証明書」を求められたとしても(※これは厚労省指針によって交付が義務付けられています)、

「前回更新時に、本契約を更新しないことに関して合意されていたため」

という理由の記載によって対応が可能となります。


契約社員を常時多数雇用している比較的大規模な企業などはもちろん上記の運用をしていることかと思われますが、労務管理の甘い中小企業ではまだまだこのような雇止めリスクを回避する為の運用は不十分であると感じます。



ただし、前回の更新時にきちんと次回不更新を伝えるケースであっても、必ずしも労働者がそれに合意をするとは限りません。

もちろん現実には会社と労働者の関係は対等ではありませんから、労働者合意したくなくても、「とにかく今回だけでも更新してもらいたい」という気持ちから、不更新条項入りの契約書に渋々サインしてしまうこともあるでしょう。

しかし、会社は決して高圧的に合意を強要してはいけませんし、「合意しないなら更新しない」ことを仄めかしてもいけません。

いうまでもありませんが、「次回の不更新について合意しないなら、今回の契約は更新しない」という会社の行為は法的に認められません。そんな理由で更新拒否しても、雇止めの正当な理由が見つかりません。

会社は労働者に対し「契約社員の位置付け」について説明し、納得を得られるよう努力しなければなりません。その為には、日頃から有期雇用について適正な労務管理(雇入れ時の説明、業務内容、更新手続き等)を行う必要があります。


労働者があくまで合意を拒否する場合、次の2通りの行動が考えられます。

まず、何が何でも契約書に署名・押印をしないという姿勢です。このままでは契約は成立しませんから(少なくとも形式上は)、更新手続きがされないまま満了日を迎えることになります。

その場合には、満了日以降も労働者が実態として勤務し続ければ黙示の更新として無期契約に転換する恐れも否定できませんから、会社としては契約満了を主張し、次の契約の合意ができるまでは勤務を拒否すべきです。


2つ目は、労働者は場合によっては雇用契約書に「次回不更新に関しては合意しない」という文言を追加記入した上で署名・捺印をしてくるかもしれません。

その場合、会社は労働者の「合意しない」旨を容認した上で契約を更新しワンクッション入れて次回雇止めを行うか、あるいは合意がとれない以上は仕方ないのでワンクッション入れずにこの時点で雇止めを行うか選択することになります。(※雇止め自体を止めるという選択肢はないものとして。)

いずれにしても有期雇用を臨時的・一時的業務を前提として適切に運用してさえいれば、不当な雇止めという労働者からの訴えを恐れることはありません。


このたびの労働契約法の改正を機会に有期雇用の運用を見直し、さらに雇止めの際には契約期間をワンクッション入れることによって、ほとんどのトラブルは防止できるのですから、企業は迅速に行動に移すべきです。




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