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人事労務コンサルタントmayamaの視点 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012-11-27

腰痛は労災として認められるか


現実問題、腰痛の労災請求がかなり厳しいのは確かです。

なぜなら、一般的に労災認定を受ける為には、業務とケガ・病気との間に因果関係が認められる必要があるわけですが、腰痛の場合、本当に業務が原因なのかどうか特定するのがかなり難しいからです。

(※腰痛の発症は業務上の原因以外にも、加齢による骨の変化や運動不足からくるもの、日常的な動作によって発症するもの、持病の腰痛が業務と関係なく悪化したものなど様々考えられます。)



最もよく質問を受けるのが、ぎっくり腰」、「椎間板ヘルニアの2つです。

率直にいうと、どちらも労災として認められるのは難しいケースです。


まず、ぎっくり腰(※正式には「急性腰痛症」など)ですが、これは発症原因が日常生活の動作から生じるものとされている為(床に落ちたものを拾うなど)、仕事中に発症したとしてもなかなか労災として認められるものではありません。

業務が原因でぎっくり腰が発症したと認められるためには、業務上の突発的な事由(非日常的な動作や姿勢)によって急激な強い力が腰に異常に働いたという状況が認められなくてはなりません。

常日頃から既往の腰痛(持病)がない労働者が重量物の取り扱い中などにぎっくり腰を発症したというような場合であれば、労災認定される可能性も考えられるので、過渡な期待はせずに念のため申請してみるというくらいのスタンスがよいと思われます。


次にヘルニアについてですが、ヘルニアなどの既往症はぎっくり腰よりもさらに厳しいといえるかもしれません。

腰痛の労災基準には、


1.災害性の原因による腰痛(仕事中の突発的な出来事)

2.災害性の原因によらない腰痛(日々の業務による負荷が徐々に作用)



の2種類があります。分かりやすく大雑把にいえば、前者がケガで、後者は病気といったイメージです。そして実際に労災認定される腰痛のほとんどは前者の「災害性の原因による腰痛」です。

一般的に労災はケガの場合には業務との関連性が認められやすく、病気の場合にはそう簡単には認められません。これは腰痛の場合も同じですし、ヘルニアも同様です。

仕事中に転んだとか落ちたとか、あるいは重いものを持ったとか、腰に衝撃を受ける出来事があったとか、明確に突発的事故等が発生し、それがきっかけで発症したと思われる急性のヘルニアであれば認定の可能性は上がると思われます。

しかし、ヘルニアの多くはそのようなはっきりとした事故等ではなく、毎日のつらい姿勢・つらい動作の繰り返しによって発症したと認識されているケースが多いのではないかと思われます。

腰痛の労災認定基準によれば、「椎間板ヘルニアについては労働の積み重ねによって発症する可能性は極めて少ない」ともされており、急性のヘルニアでなければ業務起因性が認められるのは相当に難しいものと思われます。

さらに、もともと入社前にヘルニアの既往歴やその他基礎疾患などが全くなかったのであればまだしも、入社前から既往症を抱え、業務が原因で再発あるいは重症化したというような場合には、労災認定は相当難しくなります。仮に労災適用されたとしても、その前の状態に回復するための治療に限るものとされており、その後たとえ慢性的に痛みが残ったとしても、元々抱えていた腰痛については労災適用されません。



以上で、腰痛が労災認定される確率は現実的にかなり低いことがお分かり頂けたと思いますが、だからといって最初から労災請求しないという選択肢はお勧めしません。

腰痛の労災は最初に申請しておかなければ、将来業務によって腰痛が再発した際に私傷病扱いにされてしまう可能性が否定できません。

また、会社が労災申請書類において事実証明をしなかったとしても、労災認定を判断するのは会社ではなく労働基準監督署なのであり、労働者事業主印なしでも直接書類を提出し請求を行うことが可能です。

労災請求はダメもとでもやってみるべきなのです。

最終的に腰痛労災が認定され、療養の為に休業が必要になった場合、休業中は解雇が行えなくなる点も会社は頭に入れておかなければなりません。




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