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人事労務コンサルタントmayamaの視点 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2013-11-28

誓約書は退職時ではなく入社時に提出させる


労働者が会社を辞めた後も、守秘義務や競業避止義務を課したい」

そう考えて労働者が退職する際に誓約書を書かせる企業は少なくありません。



しかしです。
労働者が誓約書の署名を「嫌だ」と拒否したら、その会社はどうすればよいのでしょうか。

結論からいうと、「何もできません」ということになります。



業務上の秘密を守るという守秘義務は、労働者の企業に対する誠実義務の1つであり、就業規則雇用契約書などに規定されているかどうかにかかわらず、労働契約に付随して当然に発生する労働者の義務です。さらに労働契約が終了した後も一定期間、労働者守秘義務を当然に負うとされています。

ですから退職時に秘密保持誓約書をとらなくとも、労働者は退職後も引き続き守秘義務を負うわけですが、秘密情報の定義や取扱い等について細かく合意することは確かに重要といえます。


さらに労働者は、会社に在職中は競業避止義務を負いますが、退職後については、就業規則あるいは契約書等によって別途合意を得ない限り、競業避止義務を負わないとされています。



つまり、企業は、守秘義務をより厳格に労働者に課すために、そして退職後の競業避止義務を別途課すために、労働者合意をしておく必要があります。できれば就業規則による一律の包括的同意というかたちだけではなく、各労働者の職務内容・権限に応じた個別の合意をとっておくのが望ましいといえます。



ですが、前述の通り退職時点では労働者に拒否された場合には何も手だてがありません。退職時点で求める義務は、事前に合意している労働条件とは異なるからです。

従って企業は、守秘義務や競業避止など「退職後も引き続き労働者を拘束する義務」を課したいという時には、入社時に、または重要な秘密を扱う職位・職務への昇格時・配転時に合意をとることが有効といえます。



注意すべきは、労働者が誓約書にサインしないからといって、本来支払うことになっている退職金を減額するなどの措置は許されないということです。あらかじめ労働契約における労働条件として合意している退職金等については、減額・不支給事由に触れない限り会社は支給する義務があります。

ただし、例えば退職金とは別途、契約にはなかった恩恵的な慰労金を支給する等であればそれは労働条件とはいえませんから、支払うかどうかは企業の任意です。秘密保持や競業禁止の代償措置として金銭を支払い、引き替えに誓約書に署名をもらう、署名をしないのであれば支給しない、というかたちであればスムーズに退職時の個別合意を得ることは可能と考えられます。




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