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2016-02-18

「定年制の廃止」できる会社とできない会社


ジョイフルが定年制を廃止するというニュースがありました。

ジョイフル:正社員60歳定年制廃止 パートも雇用継続 - 毎日新聞


以前から定年制を廃止する企業のニュースはたまに見かけますが、定年廃止は企業にとって非常に勇気のいる決断です。

定年廃止は、何のトラブルもなく自動的に従業員を退職させるための唯一のシステムがなくなることを意味します。正社員は基本的にみな無期雇用なので、自分から辞めたいと言わない限り何歳まででも企業は雇い続けなければならないということになります。高齢でパフォーマンスが落ちてきたというくらいでは、解雇なんかまずできません。


そんなリスクを負ってまでなぜ定年廃止に踏み切るのか。このままではもう立ち行かないくらい人材が不足しているからです。定年廃止をアピールすることでより優秀な、より多くの人材を獲得したいのです。


とはいえ企業が定年を廃止する為には、どうしても越えなければならない壁があります。「年功序列」の壁です。定年廃止には実力主義が不可欠なのです。

日本の企業の多くは年齢によって給与や昇進が決まります。「最近は成果主義が増えているじゃないか」というかもしれませんが、そんなことはありません。能力主義とか成果主義とうたっているような企業でも、中身を見てみると「年功的な成果主義」だったりします。人事評価によって差はついても、全体的にみると結局年齢や入社年次が大きく影響しているという感じです。

したがって、日本企業給与は上がることはあっても下がることはあまりないのが現実です。下手に給与を下げられないのに加え、上には管理職がいっぱい詰まっているので、最近は特に大企業は30代くらいで早くも頭打ちだったりします。

このような制度のまま定年を廃止したらどうなるでしょうか。あっという間に人件費が肥大化して経営危機に陥ります。会社で最も高給かつパフォーマンスの落ちている層がそのまま退職せずに残るわけですから当然です。

これまでだったら60歳あたりで一回仕切り直して、まず給与を思いっきり下げて、最終的には動きのいい人だけ再雇用で残すというやり方でやって来れたわけです。定年を廃止すればそうした人件費圧縮も選別も一切できなくなります。

ですから定年廃止する企業は給与も昇進も全て実力主義で決定する必要があります。決して60歳間際の社員の給与が高いとは決まっていません。年齢で給与が決まらないのだから、年齢で退職も決まらないということです。年齢による差別を一切やめることこそ定年廃止です。一方、年功序列は年齢による差別の代表格といえます。

また、労働者が何歳まででも会社に残る代わりに、パフォーマンスに応じて給与が柔軟に決定され、場合によっては給与を引き下げることのできる人事・賃金制度が必要になります。透明かつ客観的な基準による制度を適切に運用しなければ、給与の引き下げは法律的なトラブルを引き起こしかねません。年功序列の企業ではまず無理だということです。

今後、労働人口の減少にともなって定年制を廃止する企業は次々と出てくるでしょうが、はたしてこの年功序列の壁を乗り越えることができるのか、そこが大きなポイントだと思います。

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