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人事労務コンサルタントmayamaの視点 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-11-13

多くの会社でずさんな月額変更


社会保険労務士という職業柄、様々な会社の社会保険手続きの実態をみることになるわけですが。

実感としては、従業員の入社・退社時の得喪手続きや、お金の支給や免除を受ける為の手続き(傷病手当金労災育児休業関係)などは割と問題なくできているように思いますが(多分手続きを行う上でのモチベーションが違うのでしょうか)、逆に「全然ダメ」な状態にあるのが標準報酬月額の随時改定、つまり月変(月額変更)です。

はっきり言って、多くの企業は月変を相当に軽視しているのが現状だと思われます。

それなりの規模の企業になれば労務管理がしっかりしているから大丈夫だろうと思いきや、勝手に独自ルールを決めて「この社員たちは月変は適用しない」とか、「この場合には昔から月変は行わないことになっている」とか、ひどいケースになると「うちでは毎年算定は行うが月変は煩雑なので行わない。」というような企業も実際にあります。

月額変更は企業が納付する膨大な社会保険料を正しく計算する為に必要な手続きですから、本来かなり重要なはずなんですが(税金確定申告と同様に)、これだけズサンな会社が多いのは恐らく社会保険行政の指導がユルユルだからなんでしょうか。

確かに厚労省は今後、社会保険調査を4年に1度実施するとともに未加入に関して厳罰化を掲げ(※詳しくはコチラ)、厳しく取り締まっていく姿勢をみせていますが、年金事務所の調査の際に調べられるのはたいてい加入漏れがないかという点がほとんどであり、後はせいぜい賞与支払届がきちんと提出されているか確認される程度で、月額変更までチェックされるのはむしろレアケースだと思われます。

ただし、会計検査院の血も涙もない調査を受けたら多分そんなことも言ってられなくなると思いますが。


細かい話ですが、月額変更の中でも特に企業が出来ていないと思われるのが、パートタイマーの月変です。

時給が改定されたときは、その都度固定的賃金の変動と捉え月変を行っているのだと思いますが、シフトの変更時(※所定労働時間・所定労働日の変更時)は全く手つかずの会社が見うけられます。

例えば週4日勤務が隔週で週4日・5日勤務になったり、1日6時間が7時間に変更になればこれは労働条件の変更であり、雇用契約の内容が変わったことになります。時給がそのままであっても当然ながら月あたりの固定的賃金は変動したことになるわけです。

特に中小企業では、パートタイマーの月々の所定労働時間・所定休日があいまいではっきり決まっていない会社が少なくないですが、この辺をはっきりさせていかないと月変自体が行えない、つまり正しい社会保険料が計算できないという事になります。


月変は正確に行おうとすればかなり面倒な作業です。給与計算ソフトでボタン一発と考える方もいるでしょうが、そんな感覚でやっていれば高い確率でミスを招きます。人的なチェックははずせません。

月変に問題があれば、それは国に納付する社会保険料が間違っているということであり、会社だけでなく従業員一人ひとりにまで影響するものです。さらに発覚する可能性が低いとはいえ保険料は2年間遡って支払いを命じられるものです。月変を日頃から適正に行うことはリスク管理上重要なことであり、決して軽視すべきではありません。




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2012-10-08

健康保険組合の編入の実際


健康保険と言えば、一般的に中小企業全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」に加入しますが、グループ企業や同業種の企業が集まって運営する健康保険組合協会けんぽよりも保険料が安いなどのメリットがあり、編入したいというお問い合わせをいただくことがあります。

健保組合のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。


メリット
1.保険料が安い(会社と従業員双方にとってプラス)
2.法定給付以外に独自の付加給付がある(療養、出産、死亡時などの上乗せ)
3.検診施設、保養所などの福利厚生が充実
4.人材獲得面で優位性をもち、従業員の満足度も向上


デメリット
1.編入する為の条件が厳しい
2.協会けんぽに比べ添付書類が多いなど、日常の手続きが煩雑
3.財政悪化している健保組合が多く、財務状態や将来性にも留意しなければならない
4.倒産や業種変更等がなければ脱退できない




健康保険組合に編入するにあたっては審査を受ける必要があります。審査ではそれぞれの健保組合の加入要件をチェックされます。

一般的に加入の際の判断基準となるのは以下のような項目です。

・業種、地域
給与、賞与の水準(高い方がよい)
・被保険者の平均年齢(若い方がよい) 
・被保険者数(多い方がよい)
・被扶養者数(少ない方がよい)
設立からの年数、または協会けんぽの加入年数
・過去に税金社会保険料の滞納があるかどうか
・経営状況


これらのチェックを受ける為に、大量の添付書類を提出することになるわけです。

審査期間は短くて数ヵ月、長いと一年程度かかります。編入を考えている企業担当者は早めに動いた方がよいと思います。審査に通った後は説明会等に出席し、資格取得手続きを行っていくことになります。



さて、メリットが大きいと考えられる健康保険組合といえば、「東京電子健保組合」「人材派遣健保組合(はけんぽ)」などが言われますが、近年特に人気が高いのが

「関東ITソフトウェア健康保険組合(通称:ITS健保)」

です。この健保組合保険料が安い点などは他と同様ですが、福利厚生の充実度に圧倒されます。

最近の健保組合では人間ドックメンタルヘルスカウンセリング補助なども普通にありますが、ITS健保ではさらに、高級レストラン、リゾート施設、スポーツジム、旅行パック、ゴルフ場など様々な施設が安く利用できるのです。

IT業界であれば知らない人はあまりいないと思われるほど有名なITS健保ですが、それだけに審査の厳しさでも有名です。

加入基準として、被保険者の人数や平均年齢、扶養率、標準報酬月額などの細かい項目設定がありますが、全部クリアする方がよいですし、できれば基準を大きく上回る状態だと安心して申請を行うことができます。

内容の充実した健保であれば加入のメリットはデメリットを凌駕しますので、条件に合いそうならば審査は厳しいですが編入を考えてみる価値はあると思います。




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2012-07-11

算定基礎届の呼び出し調査


社会保険の算定基礎届提出の季節ですが、昨年くらいから調査形式による提出が増えてきていると聞きます。今年度は私の関与先にも年金事務所からの呼び出し通知がきました。

5年前の「宙に浮いた年金記録」「消えた年金記録」の年金記録問題の処理がある程度片付いてきたので、厚労省は以前行っていた算定基礎届の調査を復活させたと聞きます。

毎月の月額変更等が正しく行われているか、報酬月額が正しく届け出されているかということはもちろん大事ですが、この調査の一番の目的は加入漏れのチェック、つまり加入義務のある労働者を未加入にしていないかというところです。

届け出の際は賃金台帳や出勤簿の他に、源泉所得税納付書の領収証書を持参します。領収証書には人数が載っていますから、賃金台帳から未加入のフルタイム労働者を外してごまかそうとしても数字を突き合わせればバレる可能性大です。もちろん未加入が発覚すれば本来の取得日まで遡って加入手続きをさせられるのが原則です。


以前の記事でも触れましたが、

厚生年金の未加入が今後厳しくなる件 <厚労省が告発・企業名公表を検討> - 人事労務コンサルタントmayamaの視点

社会保険の未加入問題については今後厳しくなる一方と考えられます。通常の社保調査についても4年に1度は実施していくことを政府は目標に掲げています。


算定基礎届の呼び出し調査に関しては、今後4年間で全事業所を行う予定との話も聞いていますが、大企業についてはなかなか現実的には難しいのではないかと思います。中小零細は近い将来間違いなくくるものと思って普段から加入判断や届出について注意すべきであると思います。



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2012-05-10

厚生年金の未加入が今後厳しくなる件 <厚労省が告発・企業名公表を検討>


GW中のニュースですが。

表示できません - Yahoo!ニュース


記事によれば、ここ数年は厚生年金に未加入の事業所数が10万前後で推移しており、厚労省は3年以内に半減を目指すとのこと。加入はしているが保険料を滞納しているという企業は、警察への告発の対象としないそうです。


これまで社会保険の未加入問題に関しては無法地帯といってもいいくらいの状態でした。会社を含む法人組織は人数に関わりなく社会保険の加入が義務付けられていますが(※個人事業主の場合は常時従業員5人以上)、経営の苦しい企業や法人成りしたばかりで余裕のない企業、あるいは業績は悪くないにも関わらず高い保険料を払いたくないという悪質な企業など、違法と知りながら加入を逃れているケースは現実には珍しくありません。


ちなみに今までは罰則がなかったのかというとそういう訳ではなく、「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則が法令上定められているのですが、実際に適用される例はほぼなかったため、実質的に罰則はないに等しかったわけです。

行政(日本年金機構)の立ち入り調査などによって未加入が発覚し遡って加入手続きをとって保険料を支払うよう指導されることもありますが、調査そのものの頻度が少ないため(※最近増えてきたとは言われていますが)、事業主はいまいち未加入のリスクについて危機感を持たない状況だったといえます。

現場の年金事務所においても、加入率ではなく徴収率が重視されてきたことから、企業自体が適用手続きをとっていない場合は無理して加入させてなくてもよいと考える傾向があったものと思われます。

我々としては、法令上の摘発のリスクよりも、損害賠償などの実質的な金銭リスクを会社に説明して加入を促すより他にありませんでした。


社会保険未加入の実質的な金銭リスクについては以前の記事を参照
社会保険に加入しないリスク - 人事労務コンサルタントmayamaの視点



今これだけ未加入企業が増加したのは、加入しなくてもお咎めなしという環境をつくり、実質的に加入逃れを見過ごしてきた国の責任であることは間違いありません。

悪化する年金財政の補てんの為なのか、厚生年金加入要件の拡大などの話が現在進んでいますが、制度の公平さが担保されない限りどんな施策を講じても所詮効果は薄いと思います。そういう意味では今回報じられた厚生年金未加入を厳罰化するという厚労省の方針は、色々な思惑はあるとはいえ、方向性としては評価できる動きだと個人的には思います。


問題は今後はたして企業名の公表や警察への告発といった対応が、どのような事業主の悪質性を基準として実際にどの程度実行されていくのかというところです。

また、加入事業所についても今後は「4年に1度は調査を実施し、従業員の報酬など加入状況が適正かどうかを確認」していくと言っていますから、加入させている企業も安心という訳ではなく、算定・月変などの普段の事務手続きをミスのないように注意しなければ、思わぬところを指摘され、遡って修正・届出、保険料追加徴収、さらには再年末調整なんてことになり、企業の負担は膨大なものとなりかねません。

数字の目標を明確にうちだしているあたりに厚労省の本気度も伺えます。今後おそらく年金事務所による調査の頻度は増え、内容もますます厳しくなっていくことが予想されます。社会保険の取扱いをおざなりにしている会社は体制の整備が急務といえそうです。



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2012-04-09

社会保険に加入しなくてもよい非常勤役員の判断基準


労災や雇用保険と異なり、社会保険健康保険・介護保険・厚生年金)は役員(取締役・監査役)でも加入することができます。逆に言えば、社会保険は強制加入の公的保険であり、役員といえども加入するかしないかを自身では選択はできず、必ず加入することが義務付けられています。

ここでよく言われるのは、非常勤役員であれば加入の必要がないということですが、単に名称が「非常勤」というだけで加入が免除されるわけではなく一般の労働者と同様に勤務の実態で判断されることになります(※逆に非常勤役員と判断されれば加入したくてもできないのが原則です)。ではどんな要件を満たせば社会保険上の非常勤役員として認められるのでしょうか。


社会保険では、適用事業所に常用的に使用される者が被保険者となりますから、一般の従業員の場合は労働時間が週30時間以上(正確には1日または1週間の労働時間および1ヵ月の労働日数が通常の労働者の概ね4分の3以上)という基準を使って加入の可否を判断します。

ところが役員は労働者ではないため労働時間という概念がそもそもありません(労働契約ではなく委任契約を交わしています)。そのため一般的には以下の基準を使って判断されることになります。

・経営に携わっているか
役員としての業務執行権を有しているか
役員会議への出席の有無
・報酬額は妥当か


「なんて抽象的な基準だ」と思う方が多いでしょう。そもそも非常勤役員という言葉自体、非常にあいまいな言葉なんですが。

ここで注意したいことは、これらはあくまでもおおまかな目安に過ぎないということです。

実はこの非常勤役員の定義については、法令や行政通達などのはっきりした統一的な基準がないのです。ですから、管轄の年金事務所によって判断基準が微妙に違ったり、文言は同じだがニュアンスが違うなんていうことは珍しくありません。担当者レベルで判断が分かれることもよくあります。

ではどうすればよいのか。

一応考え方のポイントとしては、来ても来なくてもよい人かどうか、で判断するとよいでしょう。

会社に来ても来なくてもいい役員が会社の経営に携わっているとは到底言い難いし、そのような役員に対して支払われる役員報酬は実質的に「業務執行への対価」とはいえず、一般常識で考えて報酬の額も低めでなければ不自然です。来ても来なくても許される役員が、気が向いて会社に出勤したときにたまたま役員会が開催されていて出席することはあるのかもしれませんが、毎回出席してる状況だとちょっと不自然だと思われます。

ちなみに「代表取締役社長」に関しては明らかに業務執行権を有していると考えられますので、非常勤として取り扱うことは原則できません。

なお、非常勤役員として社会保険に加入させていなかった役員が社保調査(年金事務所や会計検査院による社会保険調査)などの際に、「実態として常用的使用関係が認められるため非常勤といえない」と判断されれば、そこから2年間さかのぼって加入させられ保険料を徴収されることになるので、勤務実態を考慮せず名前だけ非常勤役員にして安易に社会保険からはずすべきではありません。




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2011-06-28

社会保険に加入しないリスク


厚生労働省が非正規労働者の厚生年金の加入要件緩和を検討している件を1ヵ月前に書きました。

※以前の記事
厚生年金の加入要件緩和の是非 - 人事労務コンサルタントmayamaの視点

社会保険の加入義務があるにもかかわらず、その負担の大きさを理由に、従業員を加入させない中小零細企業も少なくないのが実情です。

法律では社会保険未加入の会社について一応罰則が定められているのですが(6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金)、現実に適用される例は稀なようです。



では、実際のところ、企業が社会保険に加入しないことによる現実的なリスクとは何でしょうか。


私は以下の3つだと考えます。

  1. 従業員が病気などにより休業した際の傷病手当金が支給されない。
  2. 従業員が死亡した際の遺族厚生年金が支給されない。
  3. 行政の調査が入った際に、過去2年間遡って保険料を支払わされる。


1. 傷病手当金は、私的な病気やケガで仕事に就けなくなった時に、1年半にわたって概ね給料の3分の2が支給される制度です。実際に休業した労働者にとっては非常にありがたい制度です。

ところがこの傷病手当金、国民健康保険の加入者は受給できません。要するに、社会保険未加入の会社の従業員は受給できないのです。

この場合、社会保険に加入させなかったのは当然会社の責任ですから、会社は従業員が受け取れるはずであった傷病手当金に相当する金額を自腹で補償する必要があるものと考えられます。でなければ従業員に損害賠償を請求されてもおかしくありません。


次に 2. 遺族厚生年金も考え方は同じであり、従業員が死亡した際にその奥さんなどの一定の遺族に対し年金が支給されるのですが、厚生年金なので当然、社会保険に加入していない会社の従業員の遺族は受給できません。

こちらも会社の賠償責任の話がでてきそうですが、年金である分だけ、傷病手当金よりも場合によっては重い金額になりそうです。



そして最も現実的に起こりうるリスク 3. 行政の調査です。

年金事務所は社会保険に関する事務が適正に行われているか確認する為、定期的に企業に調査を行います。ここで未加入が判明すれば、該当者全員分、2年間遡って保険料の支払いを命じられます。

本来、保険料の半額は従業員が負担すべきものですが、この場合、「今回2年分の保険料の支払い命令を受けたから半額を徴収するよ。」 と従業員に言うのはなかなか無理があるのではないでしょうか。

結果的には全額会社負担になるのかと思われます。




社会保険は公的保険であり、要件を満たしている会社は加入する義務があります。とはいえ、法律通りに社会保険に加入すれば経営が立ち行かないと考え、加入を見送る会社があるのが現実です。

保険は将来起こるかもしれないリスクに対し、一定の資金を出しあって危険を回避する制度ですから、資金を出さない選択肢をとるのであれば、それなりのリスクがあるということを忘れてはいけません。そして、そのリスクは決して小さくないと思います。




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2011-05-27

厚生年金の加入要件緩和の是非


厚生労働省が非正規労働者の厚生年金の加入要件緩和を検討しているようです。


以下参照
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現在のところ、1日または1週間の労働時間と1ヵ月の労働日数が正社員の概ね4分の3以上である場合、パートタイマー等であっても社会保険健康保険厚生年金)に加入させることは会社の義務です。



しかしながら、現実はそうはなっていません。
加入義務があるにもかかわらず社会保険に加入していない事業所の割合は3割にのぼるとも言われています。

社会保険料は会社にとってかなり重い経費です。
「法律通りに社会保険に加入すれば経営が立ち行かない」
そう考え、違法と知りながら社会保険に加入しない経営者もいます。



社会保険未加入の会社には、会社自体が社会保険に加入しないパターンと、会社は加入しているが一部の労働者を加入させないパターンがあると思われます。
前者の場合は行政が実態を把握するのがなかなか困難ですが、後者の場合は調査が入って未加入を指摘される可能性も高いでしょう。



それにしても、なぜ社会保険に加入しない会社がそんなにも多いのか。
健康保険法および厚生年金保険法には、加入手続きを怠った場合の罰則が一応定められています(6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金)。

ところがこの罰則、適用されることはあまりありません。

会社自体が社会保険に加入しなければ、保険料の負担はない、罰則も適用されない、
であれば経営の厳しい零細企業が加入しないのもうなずける話ではあります。




今回の厚生年金の加入要件緩和の検討内容は具体的には

  • 労働時間が週20時間以上
  • 雇用期間が31日以上

となっており、
実現すれば100万人以上の非正規労働者が新たに社会保険の対象となるわけですが、それらは一体何をもたらすのか。

今まできちんと加入していた会社が社会保険を維持できなくなるかもしれません。
未加入の会社にとってはますます加入のハードルが高くなりそうな気もします。
加入要件が拡大されようがお構いなしに加入させない会社もあるでしょう。
一方で苦しい経営のなか苦労して従業員を社会保険に加入させる会社もあるのかと。

労働者側においても、少ない給料からさらに多額の社会保険料をとられたくないという理由で加入を希望しないパートタイマーもいると聞きます。


いずれにしても制度の公平な運用を担保できない状況下で、加入要件の緩和だけを検討することに一体何の意味があるのか、私にはわかりません。




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2011-05-01

休業中・休職中の社会保険料の取扱い


東日本大震災による影響で当面事業所を休止し、従業員を休業させている会社が多数あると思われます。

休業中の補償については、ハローワークによる「失業給付の特例」、あるいは「雇用調整助成金」を利用することで、ある程度対応することが可能ですが、意外と抜けてしまうのが次の点です。



従業員を休業させても社会保険料健康保険厚生年金、介護保険)は当然発生します。
通常、社会保険料の従業員負担分は給料から天引きされますが、失業給付の特例を使った場合は、ハローワークから従業員本人へ給付金が直接振り込まれるため、会社が従業員負担分を徴収することができません。

1〜2ヵ月程度の休業であれば、休業明けの給料で未徴収分を控除することもできなくはありませんが、長期にわたる休業の後、従業員に対して溜まった多額の保険料をまとめて払ってくれという訳にもなかなかいきません。

年金事務所からの保険料の請求は毎月会社に普通にいきますから、従業員からきちんと徴収しておかないと、結局従業員の分まで会社が負担することになりかねません。
(※被災地の企業について社会保険料の納期限の延長措置はありますが、減免措置はありません。)
 ⇒記事執筆後、厚生労働省より減免措置が発表されました。


対策としては、休業・休職に入る前に従業員との間であらかじめ本人負担分を毎月会社に振り込む等の取り決めをしておくことです。

従業員にとっても、退職して国民健康保険と国民年金に加入するより、会社に籍を残して社会保険料の半額を会社に負担してもらう方が当然メリットがあります。このことを説明してきちんと理解してもらい、従業員が自身の保険料を負担すべきことを納得した状態で振り込んでもらうのがよいでしょう。



この社会保険料の取扱いについては、震災に限らず、平常時の私傷病休職の際に傷病手当金を受給する場合についても同様のことが言えます。あらかじめ休職中の社会保険料の取扱いについて就業規則および休業・休職願の条文に規定しておくのがベストです。


ちなみに育児休業期間中は申出により社会保険料が免除になるため、この問題は生じません。

なお、労働保険料(雇用保険料)については、賃金に応じて発生する保険料であるため、休業・休職中の賃金がゼロであれば従業員負担分の取扱いの問題は生じません。




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2011-04-21

4月から6月の残業と社会保険料


企業を悩ます多額の社会保険料


現在、人件費の約15%が企業の負担する法定福利費として発生すると言われています。
早い話、正社員1人を年収400万円で雇用すると、
その人に支払う給料・賞与以外に年間約60万円の経費がかかってくるということです。
年収500万の正社員20人の会社の場合、月あたりに換算すると、毎月約125万の出費です。
(業種や年齢等によって多少異なりますが)



社会保険料の中でも特に高いと言われる健康保険厚生年金ですが、
これらの保険料は毎年4月から6月の給与額の平均に基づいて決まります。

つまり、4月に昇給した場合や、
4月から6月の間で通常時よりも残業がたくさん発生してしまった場合は、
1年間の保険料が高止まりするという、いまいち納得のいかない結果につながります。



「だから4月から6月の残業は抑えましょう」
と言うのは簡単ですが、
企業にもそれぞれ業務の都合というものがあります。





そんな中、厚生労働省より新しい通達がでているのでご紹介します。


http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110411S0030.pdf



4月〜6月給与の平均により算定した標準報酬月額が著しく不当である場合、
「保険者算定」という措置がとられますが、
今回の通達で、新たに以下の要件が追加されました。



4月〜6月の平均額から算出した標準報酬月額と、
前年7月〜当年6月の平均額から算出した標準報酬月額との間に
2等級以上の差が生じた場合であって、
その差が業務の性質上、毎年発生することが見込まれる場合





保険者算定は、会社が日本年金機構に対し、申立書を提出することで行われます。



この制度の利用により、4月から6月にかけて業務が繁忙だった会社は、
結果的に社会保険料が引き下がることになるものと考えられるでしょう。



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