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kom’s log


- きみ、そこはきみの家ではないのだよ - ミラン・クンデラ


30-08-2005

[] 夏休み  夏休みを含むブックマーク  夏休みのブックマークコメント

二週間後に秋のセメスターが始まる、といいながらハーバードの学部生の中国系アメリカ人の女の子が去っていった。課題におわれて平日の睡眠時間が4時間だというのだから厳しい学生生活がまた始まるのだろう。明日の朝早くの飛行機なのに夜半過ぎまで私のオフィスでうろうろと最後のデータ整理をしたりしていて、去り際になって私にプレゼントだといいながら赤ワインのボトルを手渡しつつ泣きそうになっていた。研究の指導をするだけではなくて、あちらこちらにつれていったり、夕飯を作ってあげたりしているうちに(さすがに激しい飲み会には誘わなかった)私も娘でもできたかのように情が移ってしまったのだが、眼を潤ませて泣きそうな彼女の顔を眺めながら、ああ、ついこのあいだ20歳になったとはいってもやっぱりまだ子供なんだなあ、なんて思っている自分が年寄りくさくてなんとも悲しくなる。

二ヶ月の間ほとんど、いわれるままに実験と解析に明け暮れていた彼女なわけだが、なにか得るものはあったのだろうか、と不思議な気分になる。私の学部の二年の夏といえば猿の行動の調査で猿なみの生活をしたり山を縦走したり、登山ガイドをしたり、と一ヶ月半にわたって浮浪者のごとくほっつきあるいていたわけだが、この人生二度とそんなことはおそらくできない、と思う。一方で彼女の学部二年の夏は猛烈に忙しい研究所のへんてこりんな日本人研究者に巻き込まれた二ヶ月だったわけで、研究者になりたいという彼女にとってキャリアにはなるだろうけれど良かったのかなあ、と漠然と思う。

私もこれから料理をしようと思うので、レシピを送ってください、と彼女がいうので、そのうちレシピの本をパブリッシュするから待っててくれ、と冗談のつもりで私はいった。その本、できしだい私に送ってください、とまじめな顔でいうので、頭をかきながら、はいそうします、と私は少々罪悪感を感じつつ答えた。彼女がとてもよろこんでなんどもおいしいと連発したのは蒸し茄子にえのきのお吸い物だった。いつか彼女が蒸し茄子を作って得意げに恋人に供するところを想像するとなにやらとても愉快な気分になる。

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29-08-2005

[] ワイン祭り  ワイン祭りを含むブックマーク  ワイン祭りのブックマークコメント

ワークショップのお遊び時間ということで貸切バスに乗ってワインフェストに行った。この時期、秋のとば口になるとドイツでもフランスでも昨年や一昨年に仕込んだワインを飲みまくるワイン祭りがあちらこちらの村で開催される。住んで9年になるがやはり秋に開催されるビール祭りにばかりいっていてワイン祭りには足を向けたことがなかった。そんなわけで初めての経験である。

バスは教会と狭いメーンストリートが一本しかない小さな村に乗り入れ、一同およそ30人の我々はぞろぞろと狭い村の中に4ヶ所ほどある会場を物色し、一番込んでいる会場に場所を定めた。メニューをみるとスペアリブだの煮豚だのビール祭りとほぼ変わらない内容。ただ、ワインのメニューのほうは全て半リットルのグラス。スペアリブとリースリングを頼んでみると日本のビール大ジョッキサイズのグラスにリースリングが水のごとくなみなみと注がれて供され、いやー、このままのみ続けたらすごいことになるなあ、と思いつつも結局のみ続けることになった。食べ物も飲み物もやたらと安い。半リットルのワインがおよそ300円である。

食べ物を最初に頼んだ私はすぐにスペアリブが運ばれてきたのだが、少々遅れて注文を入れた私の周りの人間は待てど暮らせど同じスペアリブを頼んだにも関わらず運ばれてこない。うまそうに骨をしゃぶりグラスを煽る私を目にして周りの人間の焦燥は深まるばかりとなり、ウェイターは何をやっているのだ、と口々に憤り始めた。久しぶりに登場したウェイターに注文がまだこないんだけどどうなっているのだ、と私の向かいに座っていたチュービンゲン出身のPIが文句をいうと、ウェイターはこりゃしまったと手を額に当てて、いやー、すまん、いますぐ、と戻っていったのだが、すぐにはやはり運ばれてこない。私の方はすっかり骨ばかりになったスペアリブを前に、いやー、このクラウトサラタ、うまかったー、などとコメント。チュービンゲン出身のPIは遂に意を決したのか立ち上がり、厨房に直接文句を言いに行った。これでなんとかなる、という顔で彼は帰ってきたが、やはりスペアリブは現れない。赤ら顔に酔っ払った様子が明らかな足どりのウェイターがフラフラ現れるがこれまた役に立たず、どうなっているんだ、と周りの人間は焦燥を超えて情けない顔つきになっている。半リットルワインも二杯目にさしかかろうというときにようやくスペアリブの皿が次々と運ばれてきた。ウェイターは何人かいるのだが、機能しているのはおそらく一人だけであとの全員はみな酔っ払ってしまっているのである。

やっと食べ物にありついたという体の周囲の人間はむさぼるように肉を食べており、私はひとりリーズリングを啜りつづけた。すると機能している唯一のウェイターが私の横に座り、どこから来たのだ、という。私が住んでいる街の名前を言うと、いやそうじゃなくて国はどこかときいているのだ、というので日本だ、と答えた。そこからいろいろな雑談が始まったのだが、上記のようないいかげんな給仕状況の理由が彼の説明をきいてなるほど、と得心した。彼らは村のフットボールクラブのメンバーであり、週末ということでメンバーの一人の家の庭を開放してワインフェストに貢献しているのだった。平日はそれぞれ別の仕事があり、私が話していた機能中のウェイターのオヤジはBASFの化学工場でとあるセクションの責任者として働き、機能していないすっかり酔っ払っているウェイターの一人は村に一軒の理容店の髪結いなのだそうである。一種のボランティアなのだ、と私は了解し、それからは私が自分で厨房まで赴いてワインを注ぐことになった。厨房で隣をみれば情けない大人と違って酔っ払うことのないフットボールクラブの小学生や初々しい高校生の女の子がぐてんぐてんの大人たちのために一生懸命ワインを注いでいた。国が国だったらこりゃ児童虐待扱いだよな、なんて思う。

半リットルのグラスにワインをそそぐと、瓶は2/3が空である。果実酒水の如し、そういやジョーゼン水の如しなんて酒もあった、などとぶつぶつつぶやきながら私は瓶を次々開栓して他の人間の分までも用意する。フットボールクラブの彼らはいっこうにそうした様子を気にせずありがたがる有り様で、手酌で飲み放題ということになった私は足繁く厨房に通うことなり、すっかり酔っ払い、自己申告制の会計をすませ、約束の時間の夜半過ぎ、千鳥足でバスへと戻っていったのだった。

wachthaiwachthai 2005/08/29 12:46 酒ネタの時だけ異様に喰付きの良いwachthaiです、こんにちは。
kmiura御大の御陰で彼の地では吃度「ヤーパンの酒呑みは酔払つて居ても勤勉、ハタラキモノ!」の評判が鰻上りでありませう。邦人酒呑みの一人として感謝申し上げまする。
にしてもWeinfest好いですねえ、水の如きRieslingを浴びる程呑めて、マー羨しいッ。(←其れが云ひたかつた)

kmiurakmiura 2005/08/30 08:00 どうもどうも。

日本人は酒のめないんじゃないのか、お前はなんで飲むのだ、とよく聞かれるので、ワタクシはアルコールの酸化を10倍促進する中国の漢方薬を飲んでいる、と答えると、本気にして「俺にもよこせ」とよくいわれます。

suesue 2005/09/08 01:49 すごい。うらやましい。それにしてもkmiuraさん強いですねえ。
実はこちらに住んでる日本人仲間も不思議と呑める人揃いで、先日仲間に「日本人にはそもそも酒を呑めない人が多いのだ」と言ったら全然信じてもらえませんでした。
こうしてヨーロッパに置ける日本人像がゆがんでいく(笑)。

kmiurakmiura 2005/09/09 00:31 どうもどうも。強くないですがそれでも飲みます(笑)
さっき書いた話もまたまた呑み話。

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27-08-2005

しばしば一緒に飲むスリランカ系イギリス人の大工が実はその昔精神分析医だったと告白。近親相姦のケースにあたってそれがあまりにつらすぎて辞めてしまったのだそうだ。

[] 日本のグラントシステム  日本のグラントシステムを含むブックマーク  日本のグラントシステムのブックマークコメント

…について、学術振興会のシステム係の方が今週号のサイエンスに書かれています。

Policy Forum SCIENCE AND GOVERNMENT:

In Search of the Best Grant System

日本の役所の文章をそのまま英語にした感じでたいへんなことになっているのだが(いや努力の後は少々うかがわれる。でもタイトルそのまま。方法論に終始していてーこれは日本人と会議をするとよくあることなのだがー夢というか、方向性がみえない。)大意はますます「戦略的」投資の傾向がつよまるという内容。でもなんでなのかよくわからない。大学の運営が大学教官のグラントゲットに頼るようになると、教育はますます研究志向に翻弄されるようになるだろう。かわいそうなのは悠然たる学問の世界が見えなくなるこれからの学生ですな。

通り通り 2005/08/29 07:34 最近は目先が利く賢い学生からやめて行ってくれるので、あまり心配する必要はありません。

kmiurakmiura 2005/08/30 08:04 わはは

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25-08-2005

[] 理系動員  理系動員を含むブックマーク  理系動員のブックマークコメント

太平洋戦争中の理系学生がどんな風に動員されたのかが書かれている。オウム真理教と比較するとよいかもしれない。

以下は、「文藝春秋」9月号の特集「運命の8月15日」におさめられた「東京帝国大学が敗れた日」の中で告知しておいた、「8月15日の東大」を体験した人々の取材記録である。

東大生が体験した8月15日 立花隆

ちなみにこの記事は「海外メディアが伝えた小泉・郵政解散劇の評判」経由でみつけたのだが、こちらの記事の結び

新しく小泉首相支持に回った人々にいっておきたいことは、国民の多くは熟考の上で小泉首相の支持にまわったのかもしれないが、その支持率アップの数字を見て、高笑いしているに違いない竹中大臣とその盟友のPR会社幹部がいるということをお忘れなくということだ。

の、PR会社とはもちろん電通。電通をバックにしたコイズミ首相PRがそもそも小泉今日子の「なんてったってアイドル」を流用するところから始まったのはあまりしられていないかもしれないが、ポピュリズムのありかたとして頭の片隅においておいても損はないだろう。

svnseedssvnseeds 2005/08/26 07:18 小泉のPR会社といえばこんなのもあるよ。
http://tetsu-chan.com/tegami/221_gou.htm

このリンク先のPDFファイルは大変興味深い。

kmiurakmiura 2005/08/27 07:28 あわわ。
マーケティング国家ですな。

apoapo 2005/08/28 18:29 電通プロデュースで用いられたのは、当時すでに“トウが立った”アイドルだったkyon2じゃなくて、X-JAPANかと。

kmiurakmiura 2005/08/30 08:07 Xジャパンは実物が使われたんですけど、小泉今日子の方は、「なんてったってコイズミ」という形で転用されていました。キョンキョン本人は登場していません。たしかに。

で、自分のことを「コイズミ」と呼ぶこと自体が小泉今日子の受け売り戦略だったのです。

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22-08-2005

忙殺の二週間ハジマリハジマリ。

[] 420 FunkMob & Drugs   420 FunkMob & Drugsを含むブックマーク   420 FunkMob & Drugsのブックマークコメント

P-Funkのジョージ・クリントンやJBバンドで有名なフレッド・ウェズリーをそもそも見に行ったのだが、P-Funk関係者勢ぞろいで超豪華。いやはやすごかった。ドイツでP-Funkは超マイナー音楽なので会場は満員にはならないのだが、逆にそれだけハードなライブになる。開演前からオムツ姿で有名なギタリスト、スターチャイルドと喋ったり。特によかったのがケンドラ・フォスター嬢。ディーバである。終わった後でバックステージにいってみたら、ふらふらしていたので、ここぞとばかりにハグしてしばしおしゃべり。しばらく風呂に入れんぞー。

[] 借り物の天幕  借り物の天幕を含むブックマーク  借り物の天幕のブックマークコメント

  Rented a tent a tent, a tent;

  Rented a tent, a tent, a tent.

  Rented a tent!

  Rented a tent!

  Rented a, rented a tent.

「タイタンの妖女」より*1。「ミネラールむ、ぎ、ちゃ」というコマーシャルを覚えている世代はたぶん30代以上なんだろうけれど、歩いているときに口に出してしまうと歩調に合ってしまって頭音になってしまい、引っぺがすことができなくなる。上の「Rented a tent」も同じく引っぺがすことができない。ジョギングしながらずっとぐるぐる。

*1こちらより借用しました。

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20-08-2005 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

来週からまたまたワークショップがあって実習担当、4回も同じことを教えろとの命令。ひどいスケジュールである。おかげで私のスケジュールもいろいろ変更。〆切がいろいろ前倒しになってしまう。

とはいえこのところきっちり遊んでいなかったので木曜の夜から金曜の朝9時まで飲み続け。途中で知り合いになったモスル出身のイラク人の青年が私とノルマンディフランス人をえらく気に入って、「兄貴と呼ばせてくれ」な勢いで家まで付いてきた。そうめんや、蒸し茄子をこりゃうめー、といいながらとても不器用な箸使いで食っていた。彼はそのままつぶれて泊まっていった。私が午後遅くに目を覚ましたときにはすでにいなくなっていた。朝方になってからだったと思うのだが、俺はサダム・フセインの元で働いていた、と嘘だか本当だか分からない告白を延々としていた。なにやらそのことが深刻な彼の悩みらしく、また、しきりにイラクの家族のことなどなど喋っていたのだが元々分かりにくいドイツ語に酔いの呂律も手伝って何を言っているのかほとんどわからなかった。ちょっと残念。

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18-08-2005

[]  を含むブックマーク  のブックマークコメント

ほぼ毎日空手の稽古をしているのだが、週三日は二時間ずつ教えてもらっている。うち二日、私を教えているのは本職がパン屋の同じ年齢のドイツ人である。私は彼を老師すなわち「ラオシー」と呼び、彼は私を「デシ」と呼んでいる。ラオシーの目下の悩みは彼女がいないことである。「女に関しては白帯じゃないけど緑帯ぐらいで困った困った」とよく言っている。親族の結婚式で、母親が「あの女の子なんかどうかしら」とかなり心配しているらしい。

それはともかく、先日空手の合宿の時、老師の雑談はほとんどがパン屋の話だった。昔気質のパン屋らしく、癇癪もちの親方がいて簡単な理由でどなりちらし、嵐が去るまでの間そのパン屋の職人4人はパン焼オーブンの前で首を縮めてやりすごすのだそうである。

おとといなんかさ、とある特別な種類のパンを焼くための金型に紙をしかなかったら30分近く怒鳴られてもういやになっちゃうよ、でも紙を敷かなかったのは時間がなくて、後で金型をちゃんと洗うつもりだったのに、親方はわかっちゃいねえ、といった調子である。

ドイツの職人の世界というと、上下関係が厳しい、といわれる。とはいえ、上のような理不尽な徒弟関係は今時めずらしく(おそらく日本でもそうだろう)、知る限り知り合いの靴職人のところがそんな感じだった。親方(ゲゼル、という)になるには厳しい職業訓練校と実務経験を10年近くつまないとなることができない。ゲゼルの称号の獲得は、研究者で言えば博士号をとるような世界である。いや、博士号よりも大変かもしれない。理不尽な怒りをやりすごすところは、大学院生と同じかもしれないけれど。親方の愚痴はいうものの、そのパン屋に対する愛情もなみなみならぬものであることも伺えた。職場っていうより家族みたいなものなんだ、と彼は言っていた。親方は我々をかならず守ってくれる、のだそうである。

ちなみに我がラオシーは、元高校教師である。いかなる理由で高校教師という誰もがうらやむ(なにしろ夏休みがとても長い、加えてポジションが安定している)職業を辞めてわざわざパン職人という朝2時に起きなければいけない、苦労を買うような仕事をはじめたのかその経緯はまだ聞いていない。

いろいろな親方の癇癪と理不尽さ、一方的な怒り、その対処法などについてひとしきりきいた合宿の間、ラオシーの寝袋の枕もとに転がっていた分厚い本のタイトルをたまたまちらっと見かけた。タイトルが「世界の独裁者・ヒットラー、スターリン、ポル・ポト」なる本だった。笑っちゃいけないよな、と思いながらもしばらくクスクスと笑いがこみ上げてくるのを抑えることができなかった。

[][] 物理学徒  物理学徒を含むブックマーク  物理学徒のブックマークコメント

 http://www.kungfuscience.org

今週号のサイエンスに掲載されたウェブサイト。手刀で板を割る演武に物理専攻の女子大学院生がチャレンジする、という内容。フラッシュで編集してある。おもしろいのは、「本当に割ることができるのかどうか」体重のかけかた、手刀の速度、体の各部分の重さなどをあらかじめしらべて力学で計算するところ。割れるという結論なのだったらやります、という科学者の鏡(笑)

カンフーマスターによる演武の高速度撮影ビデオがとてもきれいに撮れている。2000フレーム/秒のカメラで撮ったのだそうだ。

ちなみにうちの道場、メンバーが30人強なのだが、物理学者が5人ほど。他にも情報系が5人ぐらい。統計学者もいる。物理系、やたらと多い。物理系の人は空手にひかれるのかな。彼らに共通しているのは、すぐにベクトルを持ち出すところ。

o-tsukao-tsuka 2005/08/18 15:49 さいきん、うちの道場にも物理系の人が入りました。しかし理論物理畑だそうで、スピンがどうとか超ひもが十次元とか言っていて、ベクトルのようなわかりやすい話しが出てきません!

kmiurakmiura 2005/08/18 19:22 彼の中ではきっと繋がっているんだろうなあ。やさしく見守ってあげましょう!

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15-08-2005

またまたNumerical Recipes in Cのお世話に。この教科書はホントにすごい。金曜の夜に路上で飲んでいて、大阪に9年いたというドイツ人の大工と知り合いになった。大阪弁をたくみに操るので笑い転げずにいられなかった。

[] 操縦室だけ独立した気圧・酸素圧制御になっているのか。  操縦室だけ独立した気圧・酸素圧制御になっているのか。を含むブックマーク  操縦室だけ独立した気圧・酸素圧制御になっているのか。のブックマークコメント

このところ定着した格安航空会社いろいろあるが、そのひとつ、ヘリオス航空機が墜落。お気の毒な話。問題の多い航空会社ながら、実に謎な墜落直前の様子。

 同機は、キプロスのラルナカを出発し、アテネ経由でプラハに向かう途中だった。AP通信などによると、緊急発進したギリシャ空軍機からの情報として、飛行中の操縦席に機長が見えず、副操縦士は席にうずくまって動かず、操縦役が不在の状態だった。2人が折り重なるように倒れていたとの情報もある。

朝日 05年8月14日付

AFP通信などによると、ギリシャ国防省は航空機内の酸素供給が途絶えたか気圧が低下し、機長と副機長が意識を失ったとみている。

毎日 05年8月14日付

ガーディアンにもう少し詳しい。

Two Greek air force F-16 fighter jets were scrambled when the Cypriot plane lost contact with air traffic controllers in Athens. Their pilots reported that the plane's captain was absent from the cockpit, and the co-pilot was slumped over the controls.

A government spokesman, Theodoros Roussopoulos, said the F-16 pilots reported that oxygen masks could be seen hanging from the cabin ceiling. When the pilots flew by the plane a second time, he said, they saw two people apparently trying to take control of the Boeing-737, but it was unclear if they were members of the crew or passengers.

Greek television reported that early in the flight the airliner's crew had told air traffic control that there were problems with the air conditioning.

ガーディアン 05年8月15日付

しかしながら、

"The pilot has turned blue in the face," one passenger said in an SMS message to a cousin before the crash, Greek television reported.

"Cousin, farewell, we are freezing," the text message said.

ということは、操縦室だけで気圧ないし酸素がひどく途絶えた、ということになる。ありえるのだろうか。

・・・

さらにもう少し詳しい解説発見。

Chris Yates, an aviation analyst with the journal Jane's Transport, said there seemed to have been "some form of depressurisation" of the aircraft cabin before yesterday's crash.

He said: "It would have to have happened in a split second, otherwise the pilot and co-pilot would have got themselves oxygen straight away and brought the aircraft down to a safe altitude where they could breathe." The pilot of one of two fighter jets scrambled after air traffic controllers in Athens lost contact with the flight said he could not see the captain in the cockpit, while the co-pilot appeared to be slumped at the controls.

"That suggests things happened so rapidly that neither the pilot nor co-pilot had time to get oxygen," said Mr Yates.

He expressed surprise that passengers had been able to send text messages at a time when the crew appeared to have been incapacitated. "If it was immediate depressurisation, then everyone would have been affected."

Kieran Daly, editor of Air Transport Intelligence, said the cause was a puzzle. "There are very good procedures in place for dealing with a lack of oxygen. There are so many warning systems: the crew should have been aware there was a problem," he said. Under normal circumstances, a sudden loss of cabin pressure would trigger the automatic release of oxygen masks over passengers' heads. The pilots would then aim to take the plane down to an altitude of 10,000 feet as quickly as possible.

On-board canisters carry oxygen for use during emergency loss of cabin pressure, but if masks failed to deploy, the crew and passengers would eventually suffocate. At 30,000 feet, most would lapse into unconsciousness after five minutes and be likely to die from asphyxiation within 20.

ガーディアン 同日付

結局

Daniel Holtgen, of the European Aviation Safety Agency, based in Cologne, said: "It is highly unlikely the loss of pressure alone would cause such an incident. There would have to be other contributing factors."

[] 恋は盲目、ではないか。  恋は盲目、ではないか。を含むブックマーク  恋は盲目、ではないか。のブックマークコメント

The new study by US psychologists found that people shown erotic or gory images frequently fail to process images they see immediately afterwards. And the researchers say some personality types appear to be affected more than others by the phenomenon, known as “emotion-induced blindness”.

Erotic images can turn you blind

18:09 12 August 2005 NewScientist.com

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12-08-2005

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10-08-2005

[] 蒸しナス   蒸しナス を含むブックマーク  蒸しナス のブックマークコメント

「海外在住者でも簡単に作れる和食レシピ集」、なんてのがあったら入りそうな一品。

以下のレシピを斜め読みしたのは日付からいえば先週か。

■主な材料

 ナス3本、ネギ6センチ分、ショウガ1片

■作り方

 ナスはへたをとって縦半分にし水につけてアクを抜きます。ラップをして電子レンジで5分加熱します。ネギ、ショウガはみじん切りにし、酢大さじ2、しょうゆ大さじ2杯半、砂糖、ラー油各少々を加えてタレを作ります。ナスを縦に3〜4等分にさき、器に盛りタレをかけます。

http://www.asahi.com/life/food/memo/TKY200507310072.html

で、電子レンジでラップしたナスってところだけ覚えていて、ソースはなんだったけな、と思いながら作ってみた。アク抜きなしで縦半分。今思えばこっちのナスはでかいので、ナスひとつで電子レンジ3分ぐらいが適当だった。で、ソースは、ショウガ(上と同じ)醤油(これも上に同じ)、すりおろしニンニク(アラブ食品屋にいくと売っている)、ごま油、酒とワインビネガー少々。食べる前に皮を剥いで、ソースをかけた。簡単でたいへんおいしいんで、かなり感動。次回は葱入れて、醤油じゃなくて濃縮めんつゆにする予定。

[] 不登校の小中学生、3年連続で減少 文科省調査  不登校の小中学生、3年連続で減少 文科省調査を含むブックマーク  不登校の小中学生、3年連続で減少 文科省調査のブックマークコメント

本文を読むと

小中学生の総数そのものも少子化で過去最低となっており、全体に占める割合としては1.14%でほぼ横ばいだった。

http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY200508100271.html

ということはヘッドライン、まちがってはいないが不登校の問題が解決しつつあるという誤った印象を与える。

suesue 2005/08/13 00:04 ひどい見出しですねえ…

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08-08-2005

モンゴルに二週間いっていたフランス人がウォッカを買って帰ってきた。冷凍庫でギンギンに冷やしたモンゴルウォッカ。ベルギー人とイギリス人と私のコップにトロトロとウォッカが注がれる。いいかしら、これはモンゴルのウォッカなのよ、はるばるモンゴルから持ってきたの、と彼女は真剣な目つきで我々にいってきかせる。でも能天気な我々は、わはは、モンゴルか、飲むぞー、モンゴル語で乾杯ってなんていうんだ、いやはや、などなどととりあえずコップを開けてしまう。うまい。凍るほどに冷やしたウォッカがまずいはずがない。いやー、うまい、と我々三人は口々に感想を述べる。でもどこがモンゴルなわけ?ただのウォッカだよこれ。私は不躾にも反問する。そのウォッカの瓶さえも、どことなくキッチュで、タカラ焼酎の瓶のようなデザインなのだ。ちがうのよ、買った場所がすごいところなの。なにもなくて地平線がみえるだだっぴろい草原のど真ん中にぽつんと一軒だけあった店に売っていたウォッカ。モンゴル人はこれを草原に座って飲んでいるのよ、私も草原で毎日飲んでいた。だから違うの。

[] 外国人排斥ネタにまたなるんだろうなあ。  外国人排斥ネタにまたなるんだろうなあ。を含むブックマーク  外国人排斥ネタにまたなるんだろうなあ。のブックマークコメント

あわわ。大学院の研究室に通うのに毎日使っていたバス停で、職にあぶれたイタリア人が「ドイツ人の糞野郎」と叫びながら無差別にナイフで客を刺した、とか。終夜開いている総合病院がすぐ近くにある*1。不幸中の幸い、とでもいうか。

Amok-Opfer außer Lebensgefahr

Amokläufer ist psychisch krank

*1:かつて私もアルコール血中濃度の検査で警察に連れていかれた

apoapo 2005/08/09 05:39 モンゴルにもウォッカがあるとは。馬乳酒しかないと思ってました。で、それ、何でできてるウォッカなのですか? そういえば前、吹雪でモスクワの近くの地方空港に降ろされたとき、並ばされてるガイジンへの同情と好奇心から近寄ってきたウクライナからの出稼ぎの人たちに、ペットボトル入りのプラムのウォッカ(?)を飲ましてもらったことがあるけど、香りだけプラムで火を噴くような強さでした。

wachthaiwachthai 2005/08/09 06:38 ウォッカなら小麦、か高粱ですね。呑んだことあるのは小麦の奴でした。確かに味だけだと何処いら辺が「モンゴル」的なのかサツパリ判らない。(尤も余り安価な奴は少し匂う、さうですが。)草原の直中といふもの凄い処でウォッカ買つて来られたフランセーズ(一体何日掛けて其処迄…)にはお気の毒様、でしたねえ。

kmiurakmiura 2005/08/09 18:47 apoさん
どうもどうも。それじゃー、「ジャパニーズはサケしか飲まないと思っていた」みたいじゃないですかー。>馬乳酒。まあ、そうか。フランセーゼは、馬乳酒飲んで二日病気で寝込んだといっていました。それはともかく私が飲んだウォッカの原料がなんだったのか知りません。すでに酔っ払っていて、空き瓶を発火させるのに夢中になっていてラベルをみていなかった。プラムで作ってもウォッカはウォッカと呼ぶのでしょうか。

wachthaiさん
どうもおひさしぶりです。お元気ですか。全く違和感も珍味感もなかったのでたぶん小麦だったんだろうなあ。フランセーゼはご苦労でしたが、一瞬で開いたボトルにたいへん満足していたんでよろしいんではないでしょうか。

o-tsukao-tsuka 2005/08/12 23:58 わたしは3種類ほどモンゴルウォトカを飲んだことがありますが、どれもチンギス・ハンの名を冠した高級品で、味はロシアのストリチナヤに近いオーソドックスなものでした。まぁ、ロシアの植民地だったわけですし

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05-08-2005 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

またなんか書き物をしている。書くために生物の研究しているんじゃないんだけど書かなければいけないのである。うーむ。新しい実験やモデル考えたり解析して講義しているだけの人生が一番いいんだけどなあ。で、論文は気楽なウェブログ形式だったら一番ウレシイ。データすべて公開で解析経過も全部公開。で、頭のいい人やおもしろがりの人にどんどん手伝ってもらうのだ。

夏休みの研究所はとてもいい。人がなんとなくまばらで、話し込めばながくなり、普段しないような話もいろいろ。

synonymoussynonymous 2005/08/05 09:24 最先端の物取りとかバイオメディカル研究とかでは、ブログ論文なんてとんでもない、ってことになるんだろうなー。

kmiurakmiura 2005/08/05 17:59 ボスの指示でブラフかましたりね。

synonymoussynonymous 2005/08/05 20:52 うわーん、容易に想像が付いてしまうよー!

そして、結局ブログのレフェリーが必要になるのです。

kmiurakmiura 2005/08/05 20:57 WIF(web impact factor)なる指標が導入され、高いサイトにはトラックバックとコメント殺到。

kmiurakmiura 2005/08/05 21:01 グーグルでトップに来るように工作する情宣特別部隊も機関の中にできて、連日しのぎをけずる日々となる。データ書き換え監視ソフトもスタンダードになるだろーなー。

synonymoussynonymous 2005/08/05 23:13 科学界がブログ界と化す訳ですな。ネット越しの論争が直接的になってコメントスクラムが出現するだろう。言葉遣いも vipper みたいになったりして、「おまいら、まだ原因遺伝子クローニングできてないのかよwwwwwwwwww」

あー、おいらも原稿仕上げなきゃ。

kmiurakmiura 2005/08/05 23:45 蛋白が共沈しない日が3日続くとすかさずコメント欄に「必 死 だ な」。

うーむ。すげーいらつきそう。
まー、だけど匿名じゃなければそんなことにはならんのでは。

hizzzhizzz 2005/08/06 18:51 あ〜、、、実名でそゆ怒号が飛び交ってるトコの調整しなきゃなんないハメに到ってたので、しゅげーストレス。でさ、地位も名誉も山盛な大ハカセ様方が長年の犬猿の仲に到った起因は、かけだし時代の「遠心機の取りあい」とか、チョー大人気ねーこと。_| ̄|○それでエンジンふかしてる藻前ら、ええかげんせいって感じ。

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03-08-2005

オフィスのデスクトップPCがクラッシュ。SYSTEMcedが壊れている、というエラーメッセージ。オーバーロードかなあ。忙しくてこの数ヶ月バックアップとっていなかった分のファイルが心配。目下コンピューターユニットのイギリス人が直してくれているんだけど、ハードディスクがつぶれていたら、RAIDなので復帰しようがない。ご臨終である。テキストとかプログラムはラップトップと同期させているので問題ないし、データは外付けHDなのでこれまた問題ない。でもデータ整理のファイルが膨大にあって、これがないとどうにもならんのだった。南無阿弥陀仏。

仕方がないので直しを待っている間ラップトップでこちょこちょプログラミング。

追記:

2時間後に直って帰ってきた。「MP3入れすぎだよー」って怒られた。単にハードディスクがフルになってにっちもさっちも行かなくなっていただけとのこと。AからIまでの頭文字で始まるミュージシャンのファイルは問答無用で消されてしまいました。ジミヘンはサバイブ、ボブ・マーリーとケミカル・ブラザーズは消えた。早速データのバックアップ。

[] 類型化  類型化を含むブックマーク  類型化のブックマークコメント

見出しの大きさは新聞社では整理部が決めることになっている(らしい)。ニュースの重要度にしたがって見出しが「トップ」「四段見出し」等々決まるわけである。新聞の読者はなんとなくそれに誘導されてニュースの重要度を判断する。

一方でウェブのニュースの見出しの大きさは時系列に登場し、紙面ほどの誘導効果がない*1。今ちらっとアサヒ・コムをみたら、「羽田ダウン、電源監視に落ち度」が大文字トップになっている。その下のニュースは、フォントが小さくなり「北朝鮮次官、平和目的の核利用を主張 6者協議」で、そのままのフォントで箇条書きで見出しが続いている。ニュースの重要性はフォントの大きさだけからではうかがい知ることができない。情報という面からみれば、ニュースの重要性の判断がより読者の自由になった、ともいえるのだが、「女性の美めぐり国民投票 メーカーがキャンペーン広告」という見出しと「ゴミ捨て場から22遺体見つかる バグダッド」てな見出しが同じフォントサイズで並置されているのは、どうも気持ちが悪い。ずっとなにか妙な気分だなあ、と思っていたのだが、やっとそのことに気が付いた。ましてや大フォントの「電源監視に落ち度」なんて重箱の隅である。それで飛行機が落ちたわけではないのだから。

情報はフラットに供給され、そこにいかなる意味を見出すかは読者の自由である、というのはもっともなのである。でもこれは、商品の情報が氾濫している今の世の中の状況とよく似ている。情報を閲覧して価値を私が判断しなくてはいけない。なんて面倒なんだ。ましてや価値を判断する能力がなければ、情報は非現実的な記号でしかなくなってしまう・・・ ということが実際に起きているのではないだろうか。

追記

新聞見出しの作用は以下の‘類型化‘作用の一部である。

新聞はその記事の威力によって世界の現象自身を類型化すると同時に、

その類型の幻像を天下に撒き広げ、

あたかも世界中がその類型で満ち満ちているかのごとき錯覚を起こさせ、

そうすることによって、さらにその類型の伝搬をますます助長する

寺田寅彦

http://www.moriyama.com/diary/2005/diary.htm#diary.05.08.01

via id:hotsumaさんブックマーク

逆に類型化されていない世界に対峙する、というのが科学である。自らの中のフィルタリング装置を鍛錬しないと科学にならない。自然は豊かだからその豊かさに目を奪われているわけにはいかず、だからこそ限定された問いを立てる必要がある。情報の取捨選択、価値判断が自由であるということと、情報の絶対量の掛け算に、ものの見方の現実性が関わるのではないか。分かりにくい言い方で申し訳ない。まだはっきりしない。

[] おぜんだて  おぜんだてを含むブックマーク  おぜんだてのブックマークコメント

ポスドク活用へ対策

多くのポスドクが自らの将来に不安を抱いている。明確なキャリアパスが示されていないためだ。そこで文部科学省は、平成18年度予算でポスドクのキャリアサポートをする機関向け競争的資金を創設する。ポスドク問題を研究室レベルから、機関の問題へと転換させるためだ。科学技術・学術審議会の人材委員会(主査=小林陽太郎・富士ゼロックス会長)が20日まとめた「多様化する若手研究人材のキャリアパスについて(検討の整理)」を受けて概算要求に盛り込むことになった。

(中略)

 そこで、ポスドクに関する問題を研究プロジェクト内の課題から研究機関の組織としての課題へと転換していくことが必要だとしている。研究機関、産業界や学協会、学校、科学館、NPO、人材関係事業者等の様々な主体が集いネットワークを作り、情報交換やキャリア形成に関する相談などを行う場の構築。学協会やNPO等が行う、流動化やキャリアパスの多様化に資するような講習、研修会の開催。

(中略)

500人以上のポスドクのキャリアサポートができる組織が対象で、5年を上限に年間数千万円を支援する。支援終了後、自立してやっていけることが条件。対象となるのは、大学、研究機関、NPO、学協会などの組織。文科省の調査によると、大学単独で500人を超えるポスドクがいるのは、旧帝大と東工大、筑波大くらいしかない。そのため、地域の大学が連携して組織を作ったり、特定分野のポスドクを支援する学協会やNPOなど、様々な方法が考えられる。場合によっては企業でもいいという。

(科学新聞より。)

旧帝大学+αの事務が潤うだけで、ポスドク自身には役にたたないだろーなー。受け皿がないのだから。そんなことよりも小額でいいから戦略どうのこうのいっていないで自由なグラントを増やすことのほうが重要。加えて大学だけ流動化してもその他が流動化しなければ「多様化」には程遠い。

あるいはより広く受け皿を広げる、というのは例えば年々科学に対する関心が薄れ、科学雑誌が軒並み廃刊になっていくような国では難しい。幅を広げるには時間が必要なのであり、科学技術リテラシーの普及活動ごときものも始まっているが、これにポスドクの拡充が先行してしまったのは不幸としか思えない。科学は単純素直におもしろいものだと思うのだが、余計な尾ひれが付きすぎて厚化粧というか子供だましというかそんなのばかりが跋扈している。それをリテラシーといえるのかどうか。そもそも科学者自身が”楽しい!”と思ってやっているのか。おもしろくない人間がやっているおもしろくない話に人を振り向かせようとするのは一種の詐欺である。と私は自分でいつも思っている。おもしろくなかったら私は即やめる。

*1:見出しの大きさもウェブ上に復元できる有料サービスもあるらしいけど、金払ってまではしないよなあ。

suesue 2005/08/04 02:37 確かに、猛烈に役に立たなさそうですね…。「情報交換やキャリア形成に関する相談などを行う場の構築」というところまで読んで力が抜けました。仰るとおり具体的な受け皿をどう作るか、という部分を工夫しないとどうにもならないでしょう。▼ところで、元記事の「ポスドクの問題は今のところ『研究室レベルの問題』とか『研究プロジェクト内の問題』である」という書き方がちょっと分かりにくいんですが、よもや広く科学界全体の問題であることは認識されていない、というニュアンスではないですよね?誰も対策は考えてないけど、サイエンスのコミュニティ内では、問題としては認識されていると思っていたのですが。

kmiurakmiura 2005/08/04 07:57 悪文なのは方向がまるでさだまっていないからなんでしょうねー。で、その部分私の読み方では、目下研究室レベルでの対応しかなされていず、ポスドクが次のポジションを得る上で平等な機会が与えられていないので、それを機関レベルで執り行いましょう、といっているように思えます。私の知る限りでは日本の大学ではポスドクの行く末の問題は、少なくとも雑談のレベルで共有されているのではないでしょうか。日本の昔の大学院生仲間も「ポスドクのあともサバイバル」とか言っていますし。

ポスドクの機会平等、うまくいけば恩の字なんでしょうけれど、実際には受け皿自体がないので形だけでなにもできなくなるんだろう、という点で、sueさんにも上記うなずいていただいたとおり。

欧州の周りの人間をみていると、ポスドクから企業やメディア関連、とか、医者になるため大学に入りなおす、とか弁理士、などなどいろいろいます。でもこれは機関が斡旋するわけではなくて、個人で決めるのです。こりゃもう大変でおもしろいけど割に合わんから研究者辞めよう、みたいな感じで。この軽さの背景には職業に対する意識のもち方、いってみれば文化の違いもあるんじゃないかな、と思います。芭蕉じゃないですけど「これより他に生くる道なし」みたいな。あと、職業上の社会生活以外の社会生活が充実しているから、なにをして働いているかということが実に人生のなかのほんの一部でしかない。戦前の様子をうかがうに日本でも職業の乗り換え方はもっと軽かったと思うので、できないことはないでしょう。大学・研究機関の人間は会社じゃないけど’社畜’と同じことになっているのだと思います。これを失ったらお先真っ暗、という恐怖心ですがりついている。

ところでジョブハンティング、よい場所に決まることを願っています。がんばってください。

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01-08-2005

仕事が終わらなかったので、ボーデン湖畔での空手合宿を切り上げて帰還。キャンプ生活で朝昼晩の稽古の合間にボーデン湖で泳いだり、やはりというか朝まで飲み会。日本の空手協会の合宿では’千本突き’なんてやるんだ、と説明する教官にそりゃ体育学的におかしいとか弟子が意見を挟んで大議論になっているのがドイツっぽくておかしかった。型の練習にしても意味から入る。日の丸をあしらったそろいのジャージ、「鉄騎初段」と大書された車、鏡像でプリントされた「唐手」という文字、妙な日本趣味に囲まれておもしろい日々だった。空手ドイツ代表チームの監督とトレーナーに稽古をつけてもらったわけだが、自分の稽古よりも彼らの動きの速度に圧倒された。人ってこんなに速く動けるんだー、という単純な感動。今回空手仲間といろいろ話していてしったが、我が道場に弟子入りした日本人は私が初なのだそうである。「日本語強化部」作るからそこの部長になれ、との命をうけた。でも教えるのってたかだか「回し蹴り」や「先生に礼」の正しい発音ぐらい。

[] 理念的  理念的を含むブックマーク  理念的のブックマークコメント

理念的に生きるというのは死ぬことを前提にしてしまう部分がある。’思想’が煙たがれるのは結局この点においてではないか。理念的でなければ生きているこの瞬間において死が浮上するのは巡り合わせのわるさ、あるいは’縁起’でしかないからである。しかし理念的に生きる上で死は不可避な一状態として生と並置されることになる。私の頭の中にはフェーズダイアグラムが描かれ、生の状態、死の状態という相が平面状に分たれることになる。生にしても死にしても物質の関係性の別な現れ方にすぎないからだ。あるいはミランクンデラはそれを「不滅」への意志と呼ぶだろうけれど、平たく言えばそれはあたまでっかち、ということになる。まじめすぎるのだ。ある朝実は私は寝ぼけて半分死んでいるのかもしれない。シャワーを浴びて生き返る。生と死のグレーゾーンをゆらゆらと揺れている。

死をもその意味に含めてしまう’思想’を代価するのが生のテクノロジーである。うまく生きること。でも残念ながら目下のテクノロジー、すなわち工学、医学、経済学、法学、いずれもまさに技巧としてしか存在しないのであり、意味を与えない。意味がなくても生きる、というのが本来だろう。でも意味を探してしまうのも人間なのである。作動そのものは意味ある意味としては存在できない。過剰なテクノロジーを前にその意味のなさに絶望する人間に対して「生きることの意味はない」と説いても釈迦に説法、である。その前に’フマジメに生きる’をまず導入しなくてはいけないのだ。

以上足し算引き算した結果残るのは、理念に生きる、ではなく、生きる姿勢、ぐらいかもしれない。

[] 事実誤認 	事実誤認を含むブックマーク 	事実誤認のブックマークコメント

歌舞伎俳優の中村獅童(32)が“最後の軍人”から男の責任を学び取った。フジテレビが13日に放送する終戦60年記念スペシャルドラマ「実録・小野田少尉 遅すぎた帰還」(午後9時)の鹿児島・喜界島ロケがこのほど、公開された。

(中略)

日30度を超える喜界島の高温と湿気、10時間前後のロング撮影も、何のそのだ。獅童は真っ黒に日焼けした顔でエネルギッシュに撮影をこなしていた。「戦争を知らない世代の僕が、実際にあったことを演じられるのは、俳優として、人間としてありがたいことです」。

獅童“最後の軍人”から家族の大切さ学ぶ

日本はイラクで侵略戦争に参加しているところです。すなわちあなたは「戦争を知っている世代」。

kmiurakmiura 2005/08/01 21:40 日本において’戦争’という言葉が固有名詞になっているのはいかがなものか。

mRirikamRirika 2005/08/02 10:58 生の意味の無さに耐えかねて、一足飛びに、死に意味を導入しようと図るのではなく、ということ…?

kmiurakmiura 2005/08/02 21:05 その短い言い方だと’自殺’みたいだね。理念は’自殺’を志向しているのだろうか?というのは私の疑問でもある。

一方ただ生きていること、に意味を与えてきたのは宗教で、正統でなくても新興宗教なり宗教もどきだと思うんだけど、そうでないやりかたがあってもいいんじゃないかと思うわけ。

sujakusujaku 2005/08/03 02:54 マジメっていうことは、それはあなた、破滅的ということですよ、と田中小実昌は言った。他方、フマジメに徹底的なフマジメというものはなく、ただただだらだらとフマジメなだけだ、とも。

ただしねぇ、こういう倫理(?)だけは、努力して獲得するような質のものでもないからなぁ。ただし、これ、ほんとに大事なことだとおもう。だって、マジメな人は、死んじゃいますもんね。

だらだらフマジメに生きればいいのに。ただし、それって、それはそれで強さ(と言うか、どうしようもなさ、みたいなもん)が要ることなんだろうなぁ。フマジメのススメってのも、ねぇ、なかなか・・・。

kmiurakmiura 2005/08/03 04:57 フマジメを熱心に勧めるというのがそもそも語義矛盾というか、「うそつきになりましょう」と主張するのににています。ああー

そうすると‘姿勢‘ぐらいにしか落ち着かないんじゃないか、ということなのですが。田中小実昌だから言えるということでもありますね。

mRirikamRirika 2005/08/04 08:42 あれー、コメントがついてたのに気づいてなかったです…(時すでに遅し?)

「死に意味を導入」は、自殺というか自死といってもいいのだけど、たとえば戦争で「お国のために」とか、殉死みたいなのとか…

フマジメに生きる、というイメージは、考えを突き詰めることを途中で宙ぶらりんにしてそれ自体を忘れていられる常態、みたいな感じ。

mRirikamRirika 2005/08/04 08:43 あ、sujakuさんのmail addressって変わってないですよね…(ひとりごと)

kmiurakmiura 2005/08/04 19:02 つきつめて考えるけど、その詰めている自分ってアホー、と眺めるエクストラな幅があるというイメージだけど。このは別腹にしておけばいいんじゃないでしょうか。なにやら’分割統治’みたいになってきたな。

全学連が赤軍派を経て自滅したり、オウム真理教が偏った方向に突っ走っていったり、とか、そうしたことを考えながら書いたのがうえの文章でした。身近にも昔属していたとある集団があって、私は初期のメンバーでした。立ち上げのころは、メンバーのそれぞれが自由な裁量で行動してその集まりでしかなかった。後にできたMLに私も入れてくれたのでずっとその集団の変遷を眺めているのですが、どうしようもなく理念的・教条的になっていく。きまりや規則をどんどん自分たちできつくしていって、自分で自分の首を締めているようにしか思えない。今のその集団に属したいとは決して思えない。理念的であることは悪いことではないのですが、どうしてそこに生身の人間がいることを忘れたようになってしまうのかな、と思っていたのです。

こうしたことは個人がなにか思考を突き詰めていったときにも起こることではないでしょうか。

こうした事情から理念的なものは否定し、自らの生と理念を突き詰めない、生きることはテクノロジーである、と生きることそのものを考えるのをやめるというのもひとつの方法なのですね。でもこれは逆に理念的なものの陥穽を意識していないので同じぐらいダメだと思う。フマジメでも考えていたほうがましだ、と思うのです。

svnseedssvnseeds 2005/08/04 19:52 先日「生きることの意味はない」と書いた者です。釈迦に説法ですかそうですか(笑)。

生きることに意味を見出すことを放棄してもマジメに生きられると僕は思うんだけどな。だからマジメかフマジメかと生きることの意味は関係ないと思う。もっとも僕はフマジメなので説得力に欠けるだろうけど。

なんか「人生の意味」と「人生の目標・目的」を取り違えている人が多いような気がするんだなあ。目的や目標を設定するのに意味なんかいらないと僕は思うのですよ。自分がやりたいことをやればいいわけで。

そこに意味はあっても良いけど、意味が見出せないことにネガティブな感情を持つのはどうかなと。意味を見出すより先にやりたいことを見つける方が重要だし(「なにもやりたくない」も立派な「やりたいこと」だ罠)、そのやりたいことに意味が見出されなければやってはいけないという思い込み(すっぱいブドウみたいな感じで)も馬鹿らしいことだと思う。

意味を重視する観念的な方々はやりたいことをやれない自縄自縛状態の中で暴走していくんじゃないかなあ。もうひとつは(同じことかもしれないけど)以前下した決定に縛られるあまり、ゼロベースへ戻れなくてどんどん方向性がずれていく、というのもそうした人たちに共通した特徴だよね。

mRirikamRirika 2005/08/04 23:29 わ、わ、ちゃんと考えなくちゃ。また後日。
今ちょっと私のところ応急処置で閉じちゃってますけど、どぞご心配なく!
flapjackさんもどうもありがとう〜!(ここ気づいてくれるかな)

kmiurakmiura 2005/08/05 00:22 生きることから意味を放棄できない人間がいるから宗教なりなんなり他力本願、全面委託に行くわけで(オレ・コンテクスト=やりたいこと=村上龍の常なる主張、を作ることができない)、あるいは意味がないことにネガティブな感情をどうしようもなく持ってしまうという人間がいること、これは現象である。意味なくても生きられますよ、とそれにたいして上から語っても処方箋にならず、ニヒリズムとしか思われないでしょう。

意味は瞬間に、目標は理念にあり、でどうだろー。で、理念に実は意味はない。したがって目標に向かう私はフマジメである。また理念と意味を接続すると死の香りがただよいはじめる。

mRirikamRirika 2005/08/05 10:39 別薔薇かぁ、いいですね! 女子はデザート腹、得意だゾ。

ある人がマジメであること自体は、それでいいし、尊重してあげたいとおもうのだけれど。そのマジメさが他人にも同じマジメさを要求する倫理観になっちゃうと…。それとも、マジメであることと、他人にマジメを求めることとは、セットなのかな。

それで、自分のとこに「寛容はたぶんフマジメの側にある」って書いたのだけれど…

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