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- きみ、そこはきみの家ではないのだよ - ミラン・クンデラ


22-05-2008

[]椋平虹 椋平虹を含むブックマーク 椋平虹のブックマークコメント

mangamegamondoさんのブックマークから。四川の地震の30分前に震源から450キロ離れた甘肅省の天水で撮影されたという虹。

30 mins before the 2008 Sichuan earthquake in China

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震源から500キロ北西の陝西省では10分前に撮影されている。

10 mins before the 2008 Sichuan earthquake in China

D

新田次郎の小説に虹の出現と地震を関連付けて予知の研究をしていた民間の学者の話があったなあ、と思って調べてみたら『虹の人』という小説。高校の頃読んで、なんかきれいな話だなあ、と思った記憶がある。この虹は今や椋平虹と呼ばれているらしい。文庫『氷原,非情のブリザード』に所収。

ISBN:4101122202

[] 椋平廣吉という人  椋平廣吉という人を含むブックマーク  椋平廣吉という人のブックマークコメント

椋平廣吉がいった「虹のきれはし」とはこのことか、と動画で見ることができて少々感動しているのでもうすこし追記。新田次郎が『虹の人』を書いたのは、伯父である藤原咲平氏が椋平虹に関心を持っていたことと関係があるらしい。藤原咲平は1924年に寺田寅彦の後任として東大教授になった地球物理学者(リンク)。椋平廣吉氏が自費出版で「虹のきれはし」に言及した年に、論文が二つある。

椋平廣吉,1935,地震の前兆と椋平虹現象,自費出版,19pp.(松代地震センター所蔵)

藤原咲平,1935,雑報「所請椋平虹に就いて」,測候時報,Vol.6,No.19,300-302.

藤原咲平,1937,所謂椋平虹に就て(英文),東京大学地震研究所彙報,15,706-710.

http://www.ab.cyberhome.ne.jp/~catfish/mat/yougo.html#mukuhira

ちなみに「国家の品格」の藤原正彦は新田次郎(本職は気象庁の職員で、富士山レーダーの設置責任者だった)の息子。「品格」を参照するに劣化しているが(失礼)学者の家系なんだな。

椋平廣吉の『地震の前兆と椋平虹現象』については以下の記事が詳しい。また、アインシュタインやエジソンに絶賛されて以後、焦ったのか椋平廣吉は詐欺まがいの「予知」を行い、評判を地に落としている。

田辺によみがえれ 椋平虹(むくひらにじ)

1995年1月17日午前5時46分,阪神・淡路大震災が発生し,6000人を越える尊い命が奪われた.この地震をきっかけに,地震の予知は不可能だとする論調が,文部省・測地審議会を筆頭にして,強まった.不可能というのは言い訳で本当は,予知する目的からそれて,なぜ地震が起こるのかといった「地震学」の基礎研究に重点が置かれ,地震を予知しうる前兆の検出のための努カは十分行わなかったのである.地電流,電磁現象,電磁波伝搬,動物の異常行動などの分野の研究を総合した「地震予知学」の発展こそが防災の要となるのである.

17歳のとき,椋平廣吉は天の橋立の対岸の岬の上空に,不思議な「虹のきれはし」を見つけた.この虹の出現が翌日以降に発生する地震の前兆であることを突き止めた.観測を続けて自信を深めた彼は,昭和5年(1930年)11月25日の午前10時50分,「椋平虹」を観測し,午後0時25分,天の橋立局から京都帝国大学理学部宛に「アスアサ4ジイズヂシンアル」と打電する.果せるかな,翌26日午前4時3分,マグニチュード7.3の「北伊豆地震」が発生し,死者272名の大惨事となったのである.

予知の的中率25パーセント(一説では昭和51年まで,2000回を越える観測で86パーセント)を誇り,当時,来日していたアインシュタイン博士も激賞したが,学会からは一部を除き,椋平は心霊術者であるなどと冷遇された.昭和10年9月,「ふとした知人のお招きでミカンの産地,田辺に来て3年間,地震研究を続けております.」 椋平はハマユウの里(湊494番地?)に寄寓して,19ぺ一ジの非売品のパンフレット「地震の前兆と椋平虹現象」(寄贈図書として田辺市立図書館に所蔵)を著している.その中で大正8年5月から昭和10年7月までの間に椋平虹を観測した回数として,丹後国340回,紀伊田辺106回,広島2回,富山1回と述べている.

晩年に椋平が行った惜しまれることは,鉛筆で書いた葉書を自分宛に出し,消印付きの葉書を用意しておくこと,そして地震が発生するとその葉書を知り合いの家に自分で投函し,消印の日付を予知的中の証拠にしようとするトリックであった.「当て」がはずれ,彼の長年の研究成果は水泡に帰したばかりでなく,学者らが市井の地震予知に深い疑念を抱く結末となった.

地震の前に地中から静電気を帯びた微粒子が空中に放出されるとされる.この微粒子がさまざまな電磁現象,あらゆる周波数の電磁波伝搬に影響し,前兆予知への手掛かりを与えると考えられて,近年,多方面で予知研究が著しく進んでいる.電磁現象には,地震発光,地震雲,地震霧,そして地震虹(椋平虹)などが含まれる.誰にも観測されるこれらの現象が科学的に疑念の起こらない裏付けを与えられて,予知に有用となる日も近いのではなかろうか.

参考図書: 椋平廣吉著 「地震の前兆と椋平虹現象」 (田辺町上屋敷町 谷内文生堂印刷 非売品,1935年)

下図は椋平廣吉氏と「椋平虹の説明」(同書より)

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イ: 大正12年(1923年)9月1日関東大地震

ニ: 昭和5年11月26日北伊豆地震

ホ: 昭和2年3月7日北丹後地震

チ: 昭和8年3月3日三陸地震津波 など

参考図書(続き):

早川正士著 「最新・地震予知学」 (祥伝社ノンブック,1996年)

池谷元伺著 「地震の前,なぜ動物は騒ぐのか」 (NHKbooks,1998年)

上田誠也著 「地震予知はできる」 (岩波書店,2001年)

長尾 年著 「地震予知研究の新展開」(近未来社,2001年)

o-tsukao-tsuka 2008/05/23 10:10 文庫『氷原,非情のブリザード』は読んだはずなんですが、覚えてないなぁ。
そうそう、道場仲間、id:Muhoさんが山岳ミステリーを出しました。『聖域』というタイトルです。良かったです。

kmiurakmiura 2008/05/23 20:16 人によって印象にのこるところって違うんですね。他の短編はよく覚えていないのですが。

山岳ミステリーですか。高村薫を思い出すなあ。この人山登りしていたんだろうかと不思議に思うぐらい北岳縦走の詳細がリアルだった。次回帰国の際に手に入れてみます。

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