Hatena::ブログ(Diary)

kom’s log


- きみ、そこはきみの家ではないのだよ - ミラン・クンデラ


08-10-2012 フランクフルトの税関 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

このところフランクフルトの税関で立て続けに演奏家のバイオリンが課税対象になってその場で払えない高額であるため没収された、という件が話題になっている。

http://matome.naver.jp/odai/2134941753199027401

http://nofrills.seesaa.net/article/296070497.html

あららー、と思っていたら10日前私が日本からドイツに戻ってきたとき、見事にフランクフルト空港ターミナル1の税関で引っかかった。私は近年税関で捕まることは滅多にないのだが、今回はいかにも移民風な安い布製のでかいスーツケースにボロい小さなボストンバックだったんで、怪しい、と思われたんだろうな、と捕まった瞬間に思った。以前はかなりヨレヨレの格好していたからよく捕まっていたものである。

とはいえ今回なにが問題になったかというと、スーツケースに一杯入っていた両親から無珍先生へのおみやげ(なんとそれだけでいっぱい)でもボストンバックに入っていた私の洗濯物でもなく、バックパックのMacBookPro。2年半前のモデルだった。

その金髪の女性税関職員が「これどこで買った?」というので、研究所の予算で買ったものであると答えた。

「領収書は?」

「そんなもの持っているはずがない。二年半前のものだ」

「税金払ってもらいます」

「え。」(厳しくなったってほんとだったんだー)

「こっちにきなさい」

というわけで、オフィスに連れて行かれた。

オフィスにて。

「これいくらでしたか」

「7000ユーロぐらいだったかな」

「でも二年半前だから安くなっているはずですね」

「まあそうだろうけど、そんなこと私には関係ない」

ごちゃごちゃごちゃごちゃ。10分ほど議論。

で、ラップトップを持って行ってしまった。眺めてたらオフィスのコンピュータでebayにアクセスして中古の値段を調べている。もどってきて

「今ただちに消費税払ってもらいます」

「研究所のものだから、私は絶対払わない」

「証明書がないじゃないですか」

「ある。これは研究所の予算で買ったことは後で証明できる。ラップトップ没収していいですよ。あとで書類持ってきます」

「それだと書類作成が面倒なんですよ」

「面倒でもいい。明日は時間がない。あさってにでも書類持ってくるから、これ置いていきます。さあ、没収してください。今週ワークショップで教えるんでこまりますが、研究所に事情は話します。受講者たちにも説明します。だから没収の書類を早速つくるように」

「困りましたね。払ってください。」

「冗談じゃない、困るのはこっちだ。没収してください。絶対払わない。」

「… じゃあ、まあ今回はよしということで。次回からはかならず領収書を持参するように」

とまあ、こんな感じである。この税務職員は実に意地の悪い感じの人であった。こちらが怒ってようやく、という展開である。まあ、事実私に落ち度はないわけで、その強みもあった。

とはいえ以上のような状況は、私がドイツに在住しているから起きる話である。この場合、ドイツに在住している人間が、国外(ドイツ国外)でなにか買ったらドイツで消費税を払え、というのがドイツの税務署の言い分になる。関税というより消費税の話なんだよな、これ。

というわけで日本に在住している人がドイツへの往復でラップトップを所持している場合にはどうすればよいか(いちばん一般的に問題になりそうなのはバイオリンではなくラップトップだ)、EU非在住であること、機器が職務上必要であることを書類で示せることに注意すればよいだろう。なにしろ書類が重要な国である。なかったら書類はつくってでも持っていく。会社の備品ならば会社の財務にその旨英語で書いてもらってサインをもらう、とか。

  • EUに住んでいないこと、短期滞在であることをフライトチケットで証明する。
  • 日本で購入した証明をするため、日本語でもいいから領収書を所持する。値段だけでなく型式がプリントされているとなおよい。日本語キーボードのラップトップだったらまず問題ないだろう。
  • ラップトップが職務上必要であることをなんらかの形で示せるようにする。学会参加の登録書類、訪問先とのやりとりのメールなど。
  • 遊びでラップトップ持っている場合は、うまくいくかどうかわからんが「旅行中にネット情報にアクセスすることが必須である」とか、理屈を用意しておく。

− 落ち度がないのならば譲らない。

あとは、バゲッジクレームの税関のゲート通るときに、目を皿のようにしている意地悪そうな係員がいたら、「申告なし」の緑ゲートではなく「申告あり」の赤ゲートで自分から係員に話しかけ「ラップトップありますが」と申告すること。で、仕事で使う、日本に持って帰る、日本に住んでいる、といえば良い。ドイツの役人は現場の裁量が大きいので、係員の性格で処分が大きく左右される。この点ご注意を。まあ、なんかバイオリンはやはり狙い撃ちだろうな。

[追記]

研究所の財務にきいたら予算で購入したときの書類をPDFを用意してくれた。ラップトップ自体に保存しておけば今後忘れることもないだろー。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20121008