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- きみ、そこはきみの家ではないのだよ - ミラン・クンデラ


04-11-2012 マッチ擦るつかのま庭は黴むせて このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

イギリスの東海岸の

あれはどこだか忘れてしまった


  ジットリとした

  ヒンヤリとした

  ムシムシとした


台所のドアをそっとあけて

音をたてずに外にたってみる


暗い雲に空気はいよいよ淀んでいる

寒いはずの空気

じめっとしたワイシャツがなにやらまとわりつき

蒸した空気を胸に感じる

いっそのこと脱いだほうが


空気はどことなく冷たく

わたしはそこにしゃがんで

澱のような潮の匂い

湿ったレンガや

カビやら

隣家の生ゴミやら

やりきれない

あの匂いをかぎながら

あの歌をつぶやく


マッチスル

ツカノマウミニキリフカシ

ミスツルホドノソコクハアリヤ


  爆発的事象

  計画的避難

  冷温停止

  放射線管理区域

  風評被害

  県民健康管理調査

  原子力規制庁

  民主主義

  ケンカのイロハ

  復興予算


空虚な言葉が貨物列車に満載だ

しょぼしょぼと雨の降るドイツの冷たい秋に

あのイギリスの黴の匂いが一瞬鼻先をかすめる

身捨つるほどのコトバはありや


死に際し心拍モニタは止めましょう


そういわずに医者はのびあがり

手を伸ばしてモニタを止めようとした


とめないでください


医者はおどろいたように手をおろしむきなおり


こんな機械はもうみたくないでしょう


医者は小さな声でいった


わたしは首をふり


数字にはなれっこなのです

わたしは数字で生命を扱います

職業なのです


とめないでください


生命さえリアルにあらず

身捨つるほどのコトバはありや