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- きみ、そこはきみの家ではないのだよ - ミラン・クンデラ


22-04-2016 たまにだけど4月に雪がふる (Sometimes it snows in April) このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

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長い戦いのあと トレイシーが死んだ

あいつの最後の涙を わたしが拭ったすぐあとで


たぶんあいつは まえよりうまくやってる

とり残されたまぬけより ずっとずっとうまく


あいつはたったひとりのともだちだった わたしはトレイシーのせいで泣いた

あんなやつは めったにみかけるもんじゃない

トレイシーのせいで泣いたのは もう一度会いたかったから

でもときどき ほんのときどき 生きるってことだけでないこともある


たまにだけど 4月に雪がふる

たまにだけど すごくやになる ほんとにいやになる

たまにだけど 人生におわりがなければいいのに そう思う

そして人は よいものにはすべて 終りがくるという


春はいつも いちばん好きな季節だった

恋人たちが 雨の中で手をつなぐ季節


春はいまでは トレイシーの涙だけを思い出させる

いつも愛に泣いて 痛みには決して泣かない


あいつはまえに 死ぬのなんか怖くない 力強く言った

死ぬのが怖くない わたしはそれに酔った

ちがう、写真をみつめながら 気がついた

わたしのトレイシーが泣くようには だれも泣けない


たまにだけど 4月に雪がふる

たまにだけど すごくやになる

たまにだけど ほんとにたまにだけど 人生におわりがなければいいのに そう思う

そして人は よいものにはすべて 終りがくるという


よく天国の夢をみる トレイシーがそこにいるって 知っている

だれか別の友達を あいつがみつけたって 知っている

たぶんあいつは四月の雪の すべての答えを みつけただろう

たぶんいつか わたしのトレイシーに また会うことがあるだろう


たまにだけど 4月に雪がふる

たまにだけど すごくやになる ほんとにいやになる

たまにだけど 人生におわりがなければいいのに そう思う

でも人は よいものにはすべて 終りがくるという


よいものにはすべて 終りがくると 人はいう

そして愛は それが過ぎ去らなければ 愛ではない

プリンスが亡くなった。狂ったように好きだった10代後半のころにわたしはすっかりもどってしまい、いろいろな用事をほっぽりだして上の歌詞を訳してしんみりしていた。18歳のころの4月だと思うが、この曲が入っているアルバムをヘビーローテーション(当時はレンタルレコードで借りてきて、カセットテープにダビングだった)していた時に、本当に4月の雪がふって、この曲をリピートしながらぼう然とうっとりと雪景色をながめていた。なにを考えていたのか、もはや思い出せないけど。

この曲はパープルレインで一気にスターになったプリンスが勢いにのって作った次作の映画の曲である。映画自体はみられたものではないという酷評をうけながら赤字興行となったが、サウンドトラックとして作られたそのアルバムは大ヒットした。特にそのうちの一曲、”Kiss”という小気味良い曲は誰でも聴いたことがある一曲だろう。映画はひどくナルシスティックな、なおかつどうしようもないメロドラマで、そこに出てくる主人公がトレイシー(プリンスが演ずるジゴロ)である。「たまにだけど4月に雪がふる」はこのアルバムの最後の曲。演歌のようなベタ加減ギリギリのところで空に上昇していくようなそんな名曲である。今聞いても音に古臭さが感じられないのがすごいなあ、と思う。

2016年の4月にプリンスは亡くなった。4月の雪の答えをたぶん、みつけたのだろう。

angelicaangelica 2016/07/10 15:51 http://www.zeit.de/politik/ausland/2016-07/japan-oberhaus-wahl-demokratie-shinzo-abe/komplettansicht