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2012年02月22日

大連旅行記

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大連三日目。早朝に大連駅から電車で旅順に行った。旅順は数年前に外国人に開放されたという。以前は禁止区域にあった旅順駅にも行けるようになったのだ。旅順駅はロシア風の緑の屋根を持つ瀟洒な駅舎だった。駅を出ると、タクシーの運転手がしきりに中国語で誘ってくる。はじめは断っていたが、個人旅行なので足は必要だ。身振り手振りと筆談で行きたいところを何箇所かまわってもらうことにした。203高地を手はじめに、東鶏冠山北堡塁、水師営会見所、日露監獄旧址博物館を見学した。203高地と監獄ではわたしのほかは誰もいなかった。午前中いっぱい走ってもらって200元。中国語が話せれば、もっと安くすんだのかもしれないけれど、身振り手振りじゃこれが限界だった。

午後は監獄から旅順口を海岸線に沿って駅にもどっていった。いちおう軍港なので写真を撮るのは控えた。駅を越えて旅順博物館や旧旅順ヤマトホテルを見た。どっしりとした構えの旅順博物館はいかにもむかしの博物館らしい、懐かしい空気に満ちていた。川島芳子が結婚式をあげたというヤマトホテルは見る影もなかった。いまは中国人専用の簡易宿泊所になっているらしい。ホテルの横には食料品の市が立っていた。わたしは遙かなる旅順をあとに列車で大連に帰った。そしてわたしはこの日、誕生日を迎えたのだった。

2012年02月21日

大連旅行記

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大連二日目。どうも身体が重い。夜勤明けで大連に飛んできたので、思いのほか疲労しているのだろう。午後に満鉄本社を見学した。当時の総裁室があった。わたしのほかは誰もいなかった。ここの土産物屋で満鉄ゆかりのガラクタをいくつか購入した。結構なお値段だ。真贋のほどはわからない。ものとしての価値は二束三文だろう。けれども満鉄ノスタルジーを満たすにはこれ以上の品はない。照明器具の部品だったという満鉄のロゴが入ったレンズ状の丸ガラスを買った。たぶんわたしは帰国後にこの丸ガラスをにやにや眺めては過去に思いを馳せるのだろう。

2012年02月20日

大連旅行記

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大連にやってきた。空港を出ると、赤い夕陽が霞む空にもやもやと輝いていた。はじめて見る満洲の夕陽は印象的だった。宿泊先は大連賓館。戦前は満鉄が経営していた大連ヤマトホテルだ。大連賓館はコロニアル様式の洋風建築が周囲を囲む中山広場の一角にある。外観やロビーは威厳があってとても豪華だけれども、いかんせん設備は旧式でシャワーの湯量なんかはいまいちだ。まあこれは想定の範囲内。改装前の上海和平飯店もこんな感じだった。夜はホテルの中華料理店ですませた。メニューは英語も日本語もなく、中国語だけだった。ここは中国なのだ、とあたりまえのことを思いながら、海老餃子を肴にチンタオビールを飲んだ。

2012年02月18日

佐野眞一 『甘粕正彦 乱心の曠野』 新潮文庫、2010年

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主義者殺しとして表舞台から姿を消した憲兵大尉は、欧州を経由して大陸に現れ、満洲の夜を支配する影の王となった。不本意に軍属を離れ、後年、満洲映画協会の理事として、その職域をはるかに超えた権能で辣腕を振るった甘粕正彦の生涯を詳述している。事実の積み重ねによる検証には説得力がある。真実の光の欠片を満洲の闇に垣間見た気がする。

甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫)

甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫)

紀田順一郎 『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』 春風社、2011年

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なぜ乱歩は読み継がれるのか。初期の完成度の高い本格ものの評価もあるが、大衆を引きつけてやまないエログロナンセンス的な要素がふんだんに盛り込まれ、また自律的に動き出すほどの印象深いキャラクターを造形できたことが大きい。そして乱歩自身も奇妙な味のする大御所として記号化し、しかも作品の価値を評論活動を通じて探偵小説史に正確に位置づけ、その評価をある程度自分でコントロールすることに成功した。もちろん自画自賛ではなく、きわめて厳格に自己の作品を批評できたからこそ、広く一般に受け入れられたのだ。実作と評論の両輪を持って、乱歩は探偵小説の親分として長い命脈を保つ記号となり得たのだろう。

乱歩彷徨―なぜ読み継がれるのか

乱歩彷徨―なぜ読み継がれるのか

2012年02月15日

広井王子・池上遼一 『王立院雲丸の生涯1・2』 メディアファクトリー、2003年

| 広井王子・池上遼一 『王立院雲丸の生涯1・2』 メディアファクトリー、2003年を含むブックマーク

ひさしぶりに読み返してみたけど、やっぱりすごい。あんな家紋があるのかね。ロンドン駅の前ってどこやねん。でもこれだけ荒唐無稽で疾風怒濤の展開を目の当たりにすると、そんな細かいことはもはやどうでもよくなってくる。そしてこれこそが物語の醍醐味なんだよな。あとがきで広井王子がホテルで缶詰になって担当編集に徹底的にしごかれたときのことを書いている。めちゃくちゃに書き直しをさせられたみたいだが、これがあとでずいぶんと役に立ったらしい。缶詰っていうのはなかなかいい方法かもしれん。でもこれはたぶん自主的にやるものじゃなくて、強制的にさせられるものだろうから、自主缶詰というのは成り立たなさそうだ。

2012年02月13日

佐々木譲 『警官の条件』 新潮社、2011年

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警官の血の番外編。加賀谷さんが大活躍。警察の制度批判と警官の黒白をめぐる判定が渾然一体となって読書の神経中枢を満腹にしてくれる。おもしろかった。

警官の条件

警官の条件

塚瀬進 『満洲の日本人』 吉川弘文館、2004年

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満洲の日本人たちは、ほぼ日本社会で完結していたということなのだろう。この気質はいまもむかしもあまり変わらないとわたしは思う。

満洲の日本人

満洲の日本人

加藤淑子 『ハルビンの詩がきこえる』 藤原書店、2006年

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加藤登紀子の母、加藤淑子のハルビン回想記。登紀子の父、幸四郎は日露協会学校(のちのハルビン学院)の卒業生で特務経由で満鉄に勤務していたらしい。加藤淑子の文章はきどったところがなく、現地生活者の目線でとらえたハルビンの風景が生き生き描写されている。新宿には加藤家が経営するスンガリーというロシヤ料理屋がある。今度、ぜひ一度行ってみよう。

ハルビンの詩がきこえる

ハルビンの詩がきこえる

2012年02月12日

唐権 『海を越えた艶ごと 日中文化交流秘史』 新曜社、2004年

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近代中国人男性の日本人女性像は長崎の遊女や上海のらしゃめんたちによって形成されたということらしい。おもしろい意見だ。

海を越えた艶ごと―日中文化交流秘史

海を越えた艶ごと―日中文化交流秘史

須賀しのぶ 『北の舞姫 芙蓉千里II』 角川書店、2011年

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ハルビンからシベリアへ、芙蓉からフミへ、少女は場所を変え、身を変えて、運命を変える。どちらの男を選ぶのか。さてさてこれからどうなっちゃうんだろう。