No.80・『ノルウェイの森』1000万部突破!@村上春樹 (4)

kneedrop2009-08-15

《BOOK REVIEW》−NO.7
「普遍の祈り」 DJ / KNEEDROP つづいてます。
主人公のワタナベトオルさん、直子さん 永沢さん ハツミさん 小林緑さん レイコさんと登場人物が魅力的です。さていよいよ下巻の最終章に向かいます。
10年前に読んだのでLastがどんなかたちで幕が下りたのかあんまりはっきりおぼえていないので読むのが楽しみです。!そしてやっぱり、本っていいものですね〜。
先日、この番組でも6月にNo.50で、『ノルウェイの森』の作品が映画化になるということを、すこし取り上げました。
もう、映画はキャスティングも決まり、撮影が進んでいます。あの魅力的な登場人物がYOU TUBEに写真ですけれど、動画がアップされていましたので、下に埋め込んでおきましたのでご覧下さい。
先ほどこの本、読み終わりました。とても、感動しました。映画化も楽しみです。
下巻はセックスの描写も多く、すこしとまどいもありましたが、緑さんや永沢さんもハツミさんが生き生きと描かれていましたし、直子さんもレイコさんも最後はショツキングな展開ではありましたが、また、何十年か後、また読み直してみたいなと想います。奥の深い自分に合う小説だったら、読み手の人生における知識や経験が増せば、読解力における共鳴度はおのずと深くなると思えるからです。
そして、ほんとうに小説の中の情景のディテールの描写には圧倒されました。まだ、この森を訪れていない方は1週間もあれば、読めると思いますので、お薦めします。 私はこれから、まだ読みかけの、村上作品「1Q84」と「グレート・ギャツビー」に戻ります・・・。
いつも村上作品を読んでいて思うのですが、これほどまでに魅力的な登場人物の内面(こころ)の機微や襞、そして風景の描写、空虚感やジョークなど、イマジネーションを使って、小説のさまざまな場面でのディテール表現は素晴らしく生き生きと描かれていて共感します。
こんなことまで書かなくてもいいのにと思えるようなモーチフを、小説の中の全体にプロットとして散りばめ、エピソードとして、読者の記憶に留めさせ、登場人物に結果的に拡がりを与え、読後そのエピソードがすこしずつ必然性をもって浮かび上がってくるのです。
そんな部分もあらかじめ計算され意図的に、あえて書き込んでいるところもミステリアスで、それがまた彼の小説の魅力です。 そして詩情的に叙情的に描かれる情景描写・・・。
そして細かい時代背景の描写と現実に存在するメディア、音楽(レコード)の楽曲、本や映画などのモチーフもまた、各小説の中にさりげなく散りばめられていて、スパイスを効かせています。
今まで述べてきたことが、テーマに対し勉強し学び、研究しながら粘り強く時間をかけ考え続けることができるからなのか!?作家として獲得しえた深さなのか?それとも彼だけが初めから持ち合わせていたライターとしての資質なのか?アメリカ文学の影響を受け、本訳をすることで学んだセンスがセンテンスに生きてなせる業なのか? 
世界の文学を原文のまま読めない私は、推測するしかないのですが、これこそが、世界の小説家としての実力(普遍的メッセージ性とディテール描写)を表現者として体現できえた作品群が、村上春樹という人物を不動の地位まで 登り詰めさせ、押し上げてきた要因だと私は分析します。
最後に本人、村上春樹さんからのメッセージをご紹介して、番組をフェードアウトしますね。
それでは、どうぞ! この 『ノルウェイの森』の小説の中にも登場しますが、もし、「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を3冊あげろ」と言われたら、考えるまでもなく答えは決まっている。「グレート・ギャツビー」とドストエフスキーカラマーゾフの兄弟」とレイモンド・チャンドラーロング・グッドバイ」である。
どれも、僕の人生「読書家としての人生、作家としての人生)にとっては不可欠な小説だが、どうしても1冊だけにしろと言われたら、僕はやはり迷うことなくスコット・フィッツジェラルドこの「グレート・ギャツビー」を選ぶ。
この「グレート・ギャツビー」は僕にとって、多くのことを学び、多くの励ましを受け小説家としての目標となり、定点となり、小説世界の座標軸となった。僕は隅から隅まで丁寧に何度も何度もこの作品を読み返し、多くの部分をほとんど暗記してしまった。
 
       (中央公論新社刊「グレート・ギャツビー」翻訳者として、小説家としてー訳者あとがき)より一部抜粋。 
私も最近、やっと「グレート・ギャツビー」購入し読み始めました。
今度この番組でもこの本、紹介させてくださいね!
あと最近では「モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号 (単行本) 」郡山出身の小説家、古川日出男さんがもっとも尊敬する彼、村上春樹さんへインタビューした記事が75ページ一挙掲載されています。
この本はまだ私は入手していなかったので アマゾンのレビューからある方の文を一部紹介します。
「村上さんが久し振りに自分の作家人生を振り返り、一人称から三人称までの移行に10年をかけたこと、インタビュー集(「アンダーグラウンド」など)や紀行取材本(「シドニー!」ほか)等の仕事でも、文体や語り手の視点の処理を一冊一冊アスリートのように学びながら書き手として進化しようとしていることが語られます。語り手としての彼の文学観や問題意識がうまく読者に明らかにされていると思います。」  こちらのインタビューも非常に興味深いです。
4回にわたり、『ノルウェイの森』にまつわるエピソードをご紹介しました。いかがだったでしょうか!
            気軽にコメントくださいね。 おしまい。 またネ☆(*^-^)o゛ DJ/KNEEDROPでした。




グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号