「新・方法」メールマガジンに寄稿しました。以下転載。

「新・方法」第54号

寄稿と作品からなるEメール機関誌「新・方法」第54号をお届けします。今号の寄稿者は、キャラ・画像・インターネットの研究を行っているgnckさんです。


[寄稿]

となりのトートロジー、遍在を再演する場
gnck(キャラ・画像・インターネット研究)

神様はいないかもしれないが、神様がいる「ことにして」執り行われる諸々の所作や手続きは存在する。トートロジカルな行為は、内容が無いような行為なので、形式だけが前面化する。
芸術には目の芸術と、概念の芸術があり、目の芸術における「革新」そのものを抽象化し、それ自体を目的として概念の芸術が立ち上がってきた。しかしその概念の芸術における批評性は、視点を変えれば「頓智」とか「ナンセンス」として呼び習わされてきたものだ。それを「(概念の)芸術である」と思わせるためには、(目の、あるいは先行する)芸術の形式を再演しつつ、それとのズレを見せつける必要がある。
新・方法の2011年「災害支援ボランティアへの応募」が批評的に機能したのは、芸術による震災後社会への貢献という、焦燥感を歪んだ自己顕示に変換せんとする浅ましさへの痛烈な一撃になったからだ。しかし2017年現在、メールマガジンとは、なんとなく届いて適当にスルーされるようなメディアである。トートロジーそのものは意味の体系の中に遍在するが、それを上演する場所がどこなのかによって、振る舞いの持つ意味合いは変化する。この抽象度の複数性に新・方法はどれほど敏感だろう。つまり、新・方法が何と異なるのかを見せつけることこそが、その芸術性を明らかにするのだ。
え?「新・方法は○○ではない」じゃあなくて、「新・方法は新・方法である」がたまたま状況によって明らかになるのだって?そう言い切るのならそれはそれで格好いいのだけど。


[新・方法主義者のウェブ作品]

  • 平間貴大

自動的に再読込み
http://hrmtkhr.web.fc2.com/new-method/054_j.html
解説無し

  • 馬場省吾

意味と表示 第三番
http://7x7whitebell.net/new-method/shogobaba/054_j.html
ウェブで使用されるHTMLは、文/単語/文字に対して、表示されている記号とは独立した意味を与える。この作品は、HTMLによって意味を与え、意味の錯乱を起こさせる。今作では、「新・方法主義Shift_JIS宣言」の各文字に意味を変える。
(参考)新・方法主義Shift_JIS宣言
http://7x7whitebell.net/new-method/manifesto_sjis.html

  • 皆藤将

人を馬鹿にするためのブービートラップ
http://masarukaido.com/newmethod/b054_j.html
人を馬鹿にするためのブービートラップを作りそれを撮影した。


[お知らせ]

  • 「新・方法」はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/new-method/
  • 平間貴大はウェブサイトを更新しました。 http://qwertyupoiu.archive661.com/
  • 馬場省吾はウェブサイトを更新しました。 http://7x7whitebell.net/
  • 皆藤将はウェブサイトを更新しました。 http://masarukaido.com/
  • このEメール機関誌の配信をご希望のかたは新・方法主義者にご連絡ください。
  • このEメール機関誌は転送自由ですが、著作権は放棄されていません。
  • このEメール機関誌が迷惑メールに分類されてしまうことがあります。お気を付けください。


[編集後記]

「第5回AI美芸研」が2017年1月29日、東京・美学校にて開催されました。その中で、馬場省吾の作品『なぜ芸術ではないのか』(2010)が中ザワヒデキ氏によって「フレーム問題」の文脈において紹介されました。
http://www.aloalo.co.jp/ai/research/r005.html (新・方法)

発行人
平間貴大 @qwertyu1357
馬場省吾 @shogobaba
皆藤将 @kaido1900
機関誌「新・方法」第54号 日本語版
2017年2月9日発行