2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧
リドリー・スコット監督は、強い女をセクシーに撮るについての、深い欲求があるんだと思う。 今回の場合は、それが、息子を誘拐されたバツイチ女盛りの母親で、ミシェル・ウィリアムズが演じている。今までこの女優さんをセクシーな目で見たことがなかったん…
小津安二郎監督の、いわゆる紀子三部作の掉尾を飾る『東京物語』デジタル修復版を、角川シネマ新宿で。しかも、香川京子のトークショーも観られた。 紀子三部作といいながら、紀子という名前の主人公を原節子が演じているだけで、紀子は同一人物ではない。『…
朝のうちの雨が、映画館を出ると晴れ渡っているのみならず、ちょうど今晴れたところです、みたいな風が肘のあたりをすっと撫でていったので、ちょっと予定を変更して鎌倉に集藍を見に出かけた。 鎌倉の集藍というと、明月院ってことになるのだが、あそこはこ…
小津4Kの『東京物語』に香川京子が舞台挨拶に来ていて、小津安二郎監督に「僕は世間のことには関心がないんだよね」と言われたという思い出を語っていた。それを聞きつつ、でも、それは、小津安二郎監督の演出だったかもなと思ってみた。というのは、当時…
新宿ピカデリーで小津4Kが始まっている。一ヶ月ほど前に観た『晩春』だったけれど、あの時はちょっと傷みすぎていたので修復されたものをもう一度観た。 昭和24年に封切られた『晩春』は、正確に言えば、日本映画ではない。私たちは昭和25年に日本が独立を…
ピカソとブラックがキュビズムを始めたことは間違いない。どちらが先だったかは、ハッキリ知らないが、しかし、このふたりのキュビズムはずいぶん違う印象がある。 たとえば、これはよく言われることらしいが、ピカソの《アヴィニョンの娘たち》はキュビズム…
李闘士男監督は『デトロイト・メタル・シティ』がすごくよかった。原作の漫画が面白かったには違いないけれど、面白い原作の映画化が必ず成功するとはかぎらないわけで、あれはやっぱり見事だったと思う。 『神様はバリにいる』は、尾野真千子にコメディエン…
今日、新宿で映画を観た帰り、ロマンスカーに乗って、radikoでバナナムーンGOLDを聴きながらヘラヘラ笑ってたら、となりのおばさんに、 「お楽しみのところすみませんが・・・」 と、スマホの画面を示されて、 「この『トランプがメキシコ移民を日本に』って…
サリー・ホーキンスとイーサン・ホーク。 モード・ルイスはカナダに実在した絵描きさんだけれども、分かっているところと知られていないところがあるらしいので、この映画を観ただけのわたしが、事実関係についてあれこれ書くのはバカげている。 映画の最後…
虹の画家といえばわかる人も多いと思う靉嘔の回顧展が2012年にあった。そのとき印象深かったのは「これでもう絵を描かなくてもいい」という言葉だった。 それは靉嘔が虹を始めたきっかけについて書いた文章で、線やフォルムは過去の巨匠たちの焼き直しにしか…
この映画はリューベン・オストルンド監督の『フレンチアルプスで起きたこと』に続く映画。『フレンチアルプスで起きたこと』は、普段はなかなかくすぐられないところをくすぐられる映画で、一昨年のカンヌの話題をさらい、ハリウッドリメイクも決定したりと…
週刊文春 2018年 6/14号 [雑誌]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 雑誌 > 趣味・車・ペット雑誌ショップ: 楽天ブックス価格: 420円 週刊文春の今週号に池上彰が書いている「日本大学は変わったのか?」を読んでびっくりした。 途中のサブタイトルに「五〇年前…
リチャード・リンクレーター監督は『6才のボクが、大人になるまで。』っていう映画を観て大好きになった監督。イーサン・ホークが父親役、パトリシア・アークエットが母親役、そして、その息子役のエラー・コルトレーンが6才から18才になるまでの12年…
「小説は物語からの後退」という吉田健一の言葉を紹介したが、近松秋江などの私小説をそうした「小説」の最たるものだとしたら、『ムーンライト・キングダム』や『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソンの映画はまさしく「物語」だなと思っ…
日大アメリカンフットボール部の監督とコーチが、対戦相手の選手にケガを負わせる目的で、配下の選手に反則を強要した事件について、いろんな人がいろんなことを言っている中に、北野武がTVタックルで、 「昔は就職に一番良かったのは応援団だったんだよね…
モンゴロイドのひとりとして、私の遺伝子はアセトアルデヒド分解酵素を生成できないために、酒を含むすべての楽しみから締め出されている。呑めないから酒が嫌いになり、嫌いなわけだから、酒が飲めないことを悔しいとも惜しいとも思わないでいたが、吉田健…
何年か前、村上龍が、人間の欲望から、セックスしたいとか、美味いもの食いたいとか、いいクルマ乗りたいとか、そういうのの要らないものを削っていくと、最後に残るのは家族なんじゃないかっていうようなことを言ってたことがあって、その時はピンとこなか…
練馬区立美術館で、これはもう四月のはじめころなんだけど、サヴィニャック展、「パリにかけたポスターの魔法」を観た。意外にすごく盛況で図録を買うのにずいぶんならばなければならなかった。 残念ながら撮影禁止だったんだけど、もとはと言えば町中に貼っ…