高校野球ブログ~KNOCKOUTMARCH!~

高校野球に関する戯言を綴ります。

第98回選手権大会優勝予想

夏の甲子園で勝ち進む学校は大別すると2通りに分けられます。

一つは日頃の猛練習で徹底的に鍛えられたエリート集団たちが、圧倒的な野球力を発揮して押し切っていくパターン。優勝候補が期待通りに誰もが納得する結果を出して見せる、その夏最強のチームを決める甲子園の大王道と言えるでしょう。

もう一つは、単なる野球の実力だけでは収まらない何かしら特殊な力を纏ったチームが、甲子園を味方に付けることにより神がかり的な上昇力も得て勝ち上がっていくパターン。誰もに愛されるヒーローの存在、革命的な個性を持った野球スタイル、極限まで高められた精神力の強さ等がそういったチームの持つ特徴で、いわゆる記憶に残る学校として歴史に刻まれていく。これも甲子園の魅力たるもう一つの王道でしょう。

前者をA、後者をBとして、ここ10年の優勝校をいずれかのパターンに当てはめてみます。

第88回(2006年) 早稲田実 →B(ハンカチ王子
第89回(2007年) 佐賀北 →B(がばい旋風)
第90回(2008年) 大阪桐蔭 →A
第91回(2009年) 中京大中京 →A
第92回(2010年) 興南 →B(沖縄勢夏初優勝)
第93回(2011年) 日大三 →A
第94回(2012年) 大阪桐蔭 →A
第95回(2013年) 前橋育英 →B(超攻撃的守備力)
第96回(2014年) 大阪桐蔭 →A
第97回(2015年) 東海大相模 →A

今年は例年にも増して好投手、強力打線を擁する実力校との評判の高い学校が目白押しの大会となりました。

普通に考えて優勝候補がそのまま実力を発揮して勝ち上がっていくのか、そんな実力校を押しのけて甲子園に新たな新風を起こすようなチームが現れるのか。どういう大会になるか楽しみに見守りましょう。

優勝予想

◎横浜
前橋育英
▲樟南

横浜

多くのタレントを揃えたスター軍団として優勝候補の中でも上位に目される横浜ですが、ここでも一番手として押します。

長きに渡って横浜の顔として存在していた渡辺監督が退き、平田監督の元新たなスタートを切った横浜。監督と選手との距離感が近いことでチームが実にのびのびと躍動している様子が伺え、昨年までの横浜とは少し違ったムードを感じます。心配された体制移行でしたが、スムーズにかつ効果的に行われ、プラスになったと判断します。平田監督の実戦不足を指摘する声もありますが、監督就任前に部長として渡辺前監督とベンチ入りしていた経験を少しでも活かせれば。

藤平を始めとした個々の力が目に付きますが、選手たちから浮ついた発言が聞かれないのが好印象。個々の活躍を求めるよりも東海大相模の後塵を拝してきたことに対する神奈川の盟主復権に向けて一つになっていることに期待したいところ。

チームを引っ張る公家主将の存在も好印象。力がありながら繋ぐバッティングに徹せれるプレースタイル、すでに六大学野球の主将のような貫禄は、ともすればバラバラになりがちなスター集団のまとめ役として実に適任。心なしか平田監督の主将だった頃とその存在感が重なるのも、何かの縁を感じさせます。

優勝するに足る力があるのは誰もが認めるところ。あとはがむしゃらに、愚直に自分たちの野球ができれば自然と結果が付いてくるでしょう。

前橋育英

実況近年充実著しい北関東勢は常総学院作新学院前橋育英とどのチームが上位進出しても全く不思議のない強力なラインナップ。こと投手力、攻撃力といった個々の要素に限ると常総学院作新学院の方が能力上位かもしれませんが、チーム力の高さから推したいのが前橋育英。春季関東大会で前述の横浜を退けて優勝している実力校でもあります。

3年前に高橋光成を擁して優勝した時と同様、安定感のあるエース佐藤と鍛え上げられた守備力、大事な所で点が取れる勝負強い攻撃力で試合を作っていくという非常に堅実な野球スタイル。群馬大会でもロースコアの試合続きで決して派手な印象は無いものの、得点差の割には危なげのない試合運びをするという、ある意味横綱相撲のような総合力の高さを感じさせます。

派手さが無いとはいえ春の県大会6試合で8本塁打放っているように潜在的な長打力は備えており、甲子園で必ず乗り越えないといけない追い込まれた場面に一発で流れを変えるという力も持っています。

「凡事徹底」の荒井イズムで鍛え上げられた精神力も夏の戦いには大きな力。とにかく勝負強く負けにくいという実戦派チームが、華のある有力校相手にどういう戦いぶりを見せてくれるか楽しみです。

樟南

朝日新聞デジタルの「バーチャル高校野球」が近年充実し、以前に比べて地方大会の試合が沢山見られるようになりました。(来年からは甲子園の組み合わせ抽選会も中継してください!)

今夏、バーチャル高校野球の地方大会決勝戦を何試合か眺めた中で、一番ピンとくるものを感じたのが樟南でした。

往年のライバル鹿児島実との延長15回引き分け再試合も劇的でしたが、何よりもエース番号を背負うサウスポー浜屋が印象的でした。

サウスポー特有の三振が取れるキレのあるボールが魅力的なのはもちろん、一般のファンから人気の出そうなキリッとしたその顔立ちに、樟南史上最も甲子園に愛されたあのエース福岡を重ねて見てしまうのは私だけでしょうか。

樟南には二枚看板としてもう一人のサウスポー畠中という投手がおり、こちらも実に安定感のある好投手です。

投手を中心とした守りから野球を作っていく、そんな強い樟南の姿が久しぶりに甲子園で見られそうです。