ぱらいそへいこうよ

以前はこういうアジテーションに、そうか!とか、のせられてしまう自分がいたな。

世界中どこでも生きていける戦略のご紹介(分裂勘違い君劇場)
長期的に安定した技術やスキルを選んで身につけるようにすれば、会社、国家、時間を超えて、安定した収入源を確保できるのです。(中略)上級エンジニアは技術分野にもよりますが、今後、世界中で爆発的に需要が拡大することが見込まれていますが、供給が不足する可能性は十分に考えられます。従って、自分が今後上級エンジニアになる可能性があると考えている人たちは、この戦略に沿って日本依存症から脱却しておいたほうが良い可能性が高いです。
あと、もう一つ考慮すべき点は、上級エンジニアになるような人は生産性が高いため、今後、高額所得者になる可能性があるということです。現在日本では、格差是正の機運が大きく盛り上がっています。今後、この機運の盛り上がりに押されて、高額所得者を狙い打ちする形で大増税が行われ、酷い搾取の対象にされるリスクもあります。このリスクに対する保険という意味でも、早めに日本依存症を治療し、いつでも仕事と生活の場を海外に移せるようにしておいた方が安全かもしれません。

IT技術者や医師など一部の職種をのぞけば、個人レベルで母国以外に拠点を移して通用するケースは例外的でしょう。例外的な人たちは、べつに言われなくてもとっくにそうしてるだろう。でも、それ以外の大多数の人たち(母国では優秀だとしても)が楽園を夢見て海外へ雄飛しちゃったら、確実に後悔するはめになる。
日本が将来住みにくい国になるリスクを避けるため、運用で食えるだけの資産か、世界のどこでも通用するスキルを身につけよ、ということ自体は正論と思いますがね(努力して能力を高めるのが悪いことのはずがないですから)。日本でいくら優秀でも外国で通用するかどうかは別という問題を考えないなら、個々人にとっては(常により条件のいい国に移住できるから)合理的です。でもこれって、世界全体でみると、かえって効率を下げてしまう悪寒がするのですが。
つまり、人が良い条件をもとめてどんどん移住すると、優秀な人を呼び込もうと各国が努力するでしょうから、一見万々歳な感じはする。しかし、企業が良い待遇で人を集める場合とは違って、国家が同じことをしても、優秀な人材による生産性の上昇の割に、待遇の改善(減税、福祉や医療など公的サービスの充実)にコストがかかるばかりで余剰を作り出せないような気がするんだな。