オブジェクト指向開発の落とし穴

読むべき人:「似非オブジェクト指向を使っている現場に携わっている人」


バイト先などでプログラム開発に携わるようになって驚いたのが「オブジェクト指向って何?」というプログラマやプロジェクトマネージャが本当に多いこと。しかも、そういう人に限って「オブジェクト指向」が出来るようになればプロジェクトが上手くいくはず、という神話を信じている傾向があるように思えます。


この本は、「誤った動機や認識でオブジェクト指向開発を導入するとプロジェクトは失敗する」ということを主張しており、その典型的な危機的状況を「落とし穴」というアンチパターンとして列挙している本です。なんとこの本が書かれたのは10年前。現状でもまさに「誤った動機や認識でオブジェクト指向開発を導入したがっている現場」があることを知り、問題の根深さを感じます。


UMLさえ使えばうまくいく」「デザインパターンさえ使えばうまくいく」というのも恐らく誤りで、チーム開発を行う上では「技法に関する知識」だけではなく、これを導入したらプロジェクトにとって何が有益でどんなリスクが生じるのかといった「開発プロセス」レベルの視点で導入していくことが必要なのだと思います。すべての最新技術を導入するのではなく、有効な技法からひとつづつチームに浸透させてゆくのが良いのでしょう。


今までの体験だと、チームでのシステム開発にとって「技術力があり先見性に優れたチームリーダ」「風通しの良いコミュニケーション環境」「自分の役割や責任を自覚しているチームメンバ」のいずれかが欠けているとプロジェクトはうまく進行しない感じです。