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紺屋風伯のブログ /  forma del viento

elm 1

2011-06-16

「核」の現実 (5)   宇宙エネルギー ・ 地球の循環系 ・ 原子力発電 ・ 地域住民 

| 15:56 | 「核」の現実 (5)   宇宙エネルギー ・ 地球の循環系 ・ 原子力発電 ・ 地域住民 を含むブックマーク 「核」の現実 (5)   宇宙エネルギー ・ 地球の循環系 ・ 原子力発電 ・ 地域住民 のブックマークコメント



「核」の現実シリーズの(1)で述べたことをもう少し敷衍して見たいと思います。

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ヘルツシュプルング・ラッセル図--HR図--(Hertzsprung-Russell diagram)

1.
宇宙空間にあって主系列星 (Main sequence) と呼ばれる天体は、それ自身の重力エネルギーの発露として核エネルギー(核融合)を燃やし、その膨大なエネルギーで暗黒の空間で輝いています。もう少し詳しく言えば、主系列星は、天体の内部からの核融合放射エネルギーと、天体全体量の内部に向かう重力エネルギーのバランス構造を持ち、その上に長期の核エネルギーの燃焼構造を維持しているのです。この構造から発せられる放射エネルギーは、宇宙で視覚可能なエネルギーの唯一のものです。

この主要な宇宙資源を、いま、「宇宙エネルギー」と呼んでおきましょう。原子力エネルギーのことですが、「原子力」という表現は人間の力に引き付けすぎた物言いです。かつて、月から地球をはじめて見た人類が、「青い地球」を発見したように、原子力を宇宙から見つめなおすと、いままで見えていなかったものが透けて見えるようになるでしょう。その一里塚の役割を果たさせようというのが、「宇宙エネルギー」という表現です。

太陽も、そのような主系列星のひとつです。一方、太陽系惑星である地球も宇宙天体の一つである限り、宇宙エネルギーである核エネルギーと無縁ではありません。主系列星とはまったく異なる形ですが、地球も核エネルギー(核分裂)をその内部構造の核・マントルで燃やしています。しかし、この核による内部エネルギーは、地球誕生のとき獲得した重力ポテンシャル・エネルギーと比較すると、エネルギー量としては、それほど大きなものでは有りません。また、地球生物にとって、核エネルギーを含めた内部エネルギーは、その誕生段階でなくてはならない要因であったのですが、その後の生命活動−−拡大と進化--に大きく関与したわけではありませんでした。内部エネルギーの作用は、むしろ磁気力、地殻変動、火山活動、地震などの形で地表へ影響を与えるものであり、地球生命の維持・拡大にとって、それはより間接的な要因になりました。生命活動に関与する主要エネルギーは、地球外部からの放射エネルギーつまり太陽がそれに取って代わりました。

ところで、今日、人間を初めとした地球生物は、地表近辺に生息し、水と大気の循環系の中で生活しています。この地表の物質循環系は、地球生命にとって、核エネルギーを燃やす膨大な太陽のエネルギーを選択的に受容するための特殊なバッファー機構の役割を果たしている、と考えることができます。つまり、核エネルギーそのものは、宇宙での物質の存在形態であり、「地を這う」地球生物にとってそれは異次元の事象であり、その直接的な受容はむしろ有害なのです。地球生物は、その後、核エネルギーの作用に一部順応しつつも、根本的にはその直接的な受容を避ける方向で進化してきました。有機物という軟弱な物体である生命体が、宇宙エネルギーを受容・利用するためには、もっと穏やかな循環系を必要としたということです。

地表に循環系の存在が確認されている天体は、太陽系に限定してみても、幾つかあります。地球もそのような天体の一つで、水の循環系の形態で存在している。地球の地表環境は、その水循環系を中核として大気成分の循環とその定常水準維持によって形作られており、その循環動力が太陽からの放射エネルギー(一部内部エネルギーが関与)ということです。

注意しなければならないことは、地球生命にとって、その生存環境はほとんど所与の存在だということです。循環系の形成が地球型生命の進化に寄与したのであり、地球型生命が自らの生産物として循環系を形成してきたわけではありません。余談になりますが,いまや環境論の公準になりつつある「ガイヤ仮説」ですが、そこにはエネルギーフローに関する主体・従属の規定関係が欠落しているように思われます。また、この生命活動の最前線と地球環境の接点にこそ、本当の意味での「天動説」と「地動説」のせめぎ合いが存在しているといって、過言ではないでしょう。いずれにせよ、地球が、その循環系を地表近くに持つということが、地球を他の太陽系天体から際立たせる大きな特徴になっているのであり、同時に「生命の惑星」と呼ばれるゆえんでもあるのです。

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土星の衛星Titanの想像図:地表近辺にメタンの循環系が存在し、大気成分も窒素が多く地球のそれに近い。「Titan生命」の存在が想定されている。循環系の存在が生命の存在の決め手になる.

2.
原子力発電は、核爆発エネルギー(臨界ともいう)を水の循環系を通して電力に変換するようにデサインされた人工物です。その限りで、原発は、宇宙エネルギーそのものとそのエネルギーの地球型受容態である水循環をワンセットにしたものであり、エネルギー論的に宇宙−地球のミニチュア・モデルと考えることができます。

しかし、そのような人工物を地表のまさに循環系のただ中に構築することは、地球の地表現象の1つにすぎない「化石燃料の使用」とはまったく別次元の企てであることに注意する必要があります。つまり、原発は、地球生命が宇宙の相次構造の一つにからくも生きづいているという事実を無視した構造物であり、宇宙的に(地動説的に)みると矛盾に満ちた存在なのです。さらに、原発は、地球上の生命進化が避けてきた宇宙エネルギーとの直接接触を、あえて地上にインプットしようとする極めて危険な構造物なのです。「原子力の平和利用」という曖昧な表現に気を許すべきではないでしょう。

「核」の現実(1)で述べたかったことは、この点でした。どのように言い繕うとも、核科学者自身が、核爆発を地球表面で実行すること、そしてそれを目の当たりにすることに、大きな戦きを抱いているのです。

生命進化に反する行為を犯したというこの事実を、視点を変えて、現代史の中に位置づけて見ると、どういうことになるのでしょうか。そこでまづ気付くことは、原子力が、現代文明のある飽和状態でそれを打開するものとして常に登場してきたということです。原子力は、宇宙エネルギーで、次元を超えた威力を内包しているので、うなずける面もあります。

具体的に見ていくと、最初は、息詰まる核兵器開発競争の極点で「核の平和利用」として、原子力発電が国際的認証を獲得しました。このときに、IAEAが設立されました。さらに、産油国の供給独占パフォーマンスから始まる「オイルショック」によって、世界世論が開発促進の方向へ加速されました。また、ごく最近では、石油を初めとした化石燃料の消費が、或る意味で飽和状態に達しつつあるという危機意識から、代替エネルギーの旗手として原子力発電の再評価と追加建設ラッシュが始まりました。

こう見てみると、原子力は、いくつかの重大な事故を起しながらも、現代文明の隘路にたいして常に希望の星として取り扱われてきたことが解ります。そこでは、当事者たちがある本能的な危険を感じ取っていながらも、それは掘り下げられることなく、あるいは、掘り下げることを禁止されつつ事態が進行したのでした。この世界的動向は、誰が仕掛けたのか? と、問い詰めることも大事でしょう。

3.
では、誰が問い詰めることができるのでしょうか? 基本的には、地球生物としての人間のあり方から多くを踏み外していない、大地に根を張った「地域人民」でしょう。今度の福島第一原発の核事故では、核の避難民という立場に立たされた地域住民です。ここに、核からの方向転換の基点と動力を見出す以外に道はないと思われます。その上に、政治家、科学者の役割が存在します。彼等はそれぞれ異なる活動分野に属していますので、それぞれは違う役割を担っています。しかし、いすれも「地域人民」の側に立って活動すべきであることは、言を待ちませんし、そのために戦う必要があります。

ではマスコミの役割は? これは、もう手に負えない存在になっています。本来の批判精神を本質的に失い、支配的動向に迎合し、既得権益の側に常に立ってしか言論活動をしていません、いくつかの例外を除いて。もちろんこれは、日本だけに限ったことではないと思われますが、日本の現状はひどすぎます。大規模の組織解体と再構築が不可避でしょう。これに代わるものとしてインターネット・マスコミに期待する動きがありますが、私には、もう一つの「地域住民」の側に立つ報道手段として「ラジオ」の見直しプランがあります。いづれ、このプランを詳しく述べるつもりです。

3.11の大震災と福島で核事故が起こった直後の、終末的将来見通しは過ぎました。しかし、危機脱出と再建見通しはまだ立っていません。ここで、もう一度立ち止まって、原子力と人間のあり方をより冷静に、人類史的に問い直し、行動を再構築していく必要があるのではないか。その際に、人類史の中身を、無規定なヒューマニズムという公準に設定するのではなく、より広く宇宙史、太陽系史の中に位置づけることが必要だと考えられるのです。あまり指摘されてきませんでしたが、原子力問題が我々に突きつけた課題とは、このヒューマニズムの問い直しでもあるのです。

今、この日本で「地域社会」からの根底的な行動を立ち上げる必要があります。この世界が「風の谷のナウシカ」の世界になるまえに… しかし、まだ遅くはありません。





追加 (6月20日)

■ 宇宙エネルギー」という用語について
上記で述べたことは、次のようなエネルギー分類を念頭に置いたものです。

  • 宇宙でのエネルギー存在場所に基づく分類

  循環系内エネルギー  天体内部エネルギー  宇宙エネルギー(放射エネルギー)
これはまた、

  • 宇宙でのエネルギー源泉に基づく分類

  生物エネルギー  重力ポテンシャルエネルギー  核エネルギー
に対応している。

以上は、宇宙から見たエネルギー分類であるが、視覚可能なエネルギーに限定されている。それ以外に、宇宙に存在するであろう視覚不可能なエネルギーの種類とその存在量は、計り知れない。具体的には、ブラックホールの重力エネルギー、暗黒物質のエネルギーなどが想定される。

また、一般的な分類として、エネルギー=経済資源と見たときの分類が流布している。それは、地上で入手可能なその存在量の枯渇あるいは無限に基づく分類で、化石エネルギー、再生可能エネルギーという分類である。しかしこれは、我々が見つめているエネルギーの分類とはまったく別次元の事柄である。

■ SSPSについて
ところで、再生可能エネルギーの1変種として「宇宙エネルギー」という表現が,近年使われるようになっている。それは、次世代エネルギーシステムと銘打った「宇宙エネルギー利用システム」 Space Solar Power Systems-SSPS のことであり、日本では、宇宙航空研究開発機構-JAXA がその開発を手がけている。このシステムは、大気圏外に基地をつくり、そこで太陽エネルギーを効率的に集め、そのエネルギーを地上基地に、伝送ロスを最小限にするためマイクロ波あるいはレーザー光をつかって送るというものである。

つまり、「宇宙エネルギー」といっても、ここでは、太陽の放射エネルギーに限定された(Space Solar Power)宇宙エネルギーをさしている。また、このシステムは、アイデアとしては必ずしも新し物ではないと思われる。なぜなら、1970年代の、宮崎駿監督のテレビ・アニメ「未来少年コナン」の中に出てくる「超磁力エネルギー」のシステムに、それはそっくりなのである。

それはさておき、この SSPS は、他の再生可能エネルギー、たとえば地熱発電風力発電水力発電、潮汐力発電、地上での太陽光発電に比べたら、圧倒的に効率的かつ、可能性として膨大なエネルギー獲得につながると思われる。これはまだ構想段階であり、その具体化には膨大な資金を要する可能性があるが、チャレンジして見る価値があるプランの一つにちがいない。もちろん、新しい技術はそれ相当の新たな危険を発生させるにちがいないが、なにはさておき、矛盾に満ちた存在である原子力発電に比べたら、本質的に安全な人工物のように思われる。


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