2ペンスの希望

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風景映画

むかしむかし あるところに「風景映画」というのがあった。 『略称:連続射殺魔』

86分の映画。 音楽演奏:富樫雅彦(ドラム) 高木元輝(サックス)
冒頭と末尾に、白地に黒く「 去年の秋 四つの都市で同じ拳銃を使った四つの殺人事件があった 今年の春 一九歳の少年が逮捕された 彼は連続射殺魔とよばれた」という撮りきりの一枚タイトルが出るだけで、スタッフタイトル等一切のクレジットは無い。撮影期間は1969年8月〜11月。同年12月に編集・録音して完成。製作費は950万円(公称)。作ったのは、足立正生 松田政男 佐々木守 野々村政行 山崎裕 岩淵進の六人。当時の資料にはこうあった。
映画は全編「永山(則夫)の足跡を忠実に追って日本列島をロケしてまわり、香港にまでも律儀に行く。カメラは、永山が眺めたであろう風景をただただ撮るだけである。
フィルムしかなかった時代の産物。目一杯ワンカットの長廻しが新鮮だったと記憶する。長時間録画が容易になった今となってはいささか色褪せた。映画はワンアイディアだけでは生き残れないという証拠物件その1。