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神戸先物・証券被害研究会

2015-04-27

株の信用取引・過当取引被害について

株式の信用取引・過当取引被害について当会会員が取得した判例をご紹介します。

大阪地裁平成25年1月11日判決

【事案の概要】
投資経験の乏しい30歳代の女性が平成15年から24年頃までの信用取引を中心とする株式取引等の過当取引(取引回数637回、損害額約6000万円)により多額の損害を被ったケースにつき、証券会社に損害賠償請求を行った。
判決の内容】
判決は、取引開始以後の経緯、本件取引の取引回数・保有期間・損失額における手数料の割合・回転率、安定重視という投資意向に沿わない取引も少なからず行われていること、原告被告担当者の言いなりになっていた実態等に照らし、本件取引は全体として適合性原則に違反し、過当に行われたもので、被告担当者の勧誘行為は全体として不法行為を構成するとして証券会社に損害賠償責任を認めた(過失相殺4割)。

【関連判例
 過当取引は、当初は米国での判例法理に基づくものでしたが、大阪地裁平成9年8月29日判決(判時1646−113、過失相殺5割)が過当取引の違法を認めて以来、現在では我が国の裁判例も数十のものがあります。
当研究会でも、15年の証券取引の経験のある会社経営者が平成11年6月〜12年3月の10か月で855回の信用取引を行い約1億数千万円の損害を被ったケース(大阪高裁16年10月5日判決)、「株が趣味」と自負するベテラン投資家が外務員から勧誘され平成11年12月8月までに113回の信用取引を行い7千数百万円の損害を被ったケース(大阪高裁16年11月5日判決)、昭和58〜59年頃から合計7社の証券取引の経験があるベテラン投資家平成11年8月〜12年3月頃迄信用取引を中心とした432回の取引で7千数百万円の損害を被ったケース等で過当取引の違法が認められ、損害賠償責任を認める判例(大阪高裁20年8月27日判決=判時2051−61)や勝訴和解例等の判決を獲得しています(但しこの三者は限界事例であり、過失相殺も小さくはありません)。

【担当弁護士】 内橋一郎

商品先物取引(国内公設市場)について

商品先物取引(国内公設市場)による被害について、当会の会員の取得した判例をご紹介します。

神戸地裁平成26年1月29日判決

【事案の概要】
60歳代の男性が、商品先物取引の受託を業務とする商品取引業者の従業員から勧誘を受けて、先物取引をしたところ、勧誘及び取引経過に適合性原則違反、説明義務違反等の違法があって損害を被ったとして、損害賠償請求した事案である。
判決の内容】
判決は、外務員及び管理部の、商品取引に関するリスク説明、とりわけ両建等の説明について説明義務違反があり、かつ新規委託者保護違反や無意味な売買(誠実公正義務違反、善管注意義務違反)等があるとして、商品先物会社の勧誘及び取引経過に違法があるとし損害賠償責任を認めた(委託者の過失相殺を1割に止めている)。
【関連判例
商品先物取引における損害賠償における過失相殺否定例としては、近時の神戸研究会のメンバーが獲得した判例としては、神戸地判平成18年2月15日、神戸地判同年5月12日、神戸地判同年12月19日判決神戸地判平成19年1月19日判決神戸地判同年3月20日判決神戸地判尼崎支部19年9月26日、神戸地判同年12月27日判決等がある。

【担当弁護士】 内橋一郎

金地金分割前払い取引について

金地金分割前払い取引による被害について、当会の会員の取得した判例をご紹介します。

東京高裁平成26年10月30日判決(確定)

【事案の概要】
 訪問販売による、いわゆる金地金の長期分割前払い取引で、契約に基づき中途解約した際の清算において、契約手数料99万6000円(購入代金の10.5%)および口座管理費及び情報料等3万円を返還しないことが特定商取引法10条1項4号に違反して無効であるとして、不当利得返還請求を行った。

判決の内容】
 訪問販売による金の売買契約において、金の引渡し前に契約が解約されていることから、特定商取引法10条1項4号に該当し、販売業者は、「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」を超えて購入者に請求することができないとして、手数料不返還条項および管理費等不返還条項の同号違反による無効を認め、101万6000円の返還を命じた。

【担当弁護士】上田孝治