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2010-03-30

kodamatsukimi2010-03-30

[][]『ベイグラントストーリー『ベイグラントストーリー』を含むブックマーク 『ベイグラントストーリー』のブックマークコメント

 ゲームアーカイブス版サイト http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0082npjj00282_000000000000000001.html

・今更遊んだ理由。

 『ハムレットシンドローム』(ISBN:9784094511680)という小説を読んだので。

 そして『ハムレット』といえば、もちろんギルデンスターンローゼンクランツであり

 『ハムレット』は観たことも読む予定もないけれども

 このふたつの名は、ゲーマーにとって言うまでもなく本作のことである。

PS2をひっぱりだしてほこりを吹いて

 2コントローラ側にささりっぱのPS1用メモリカードで遊んだのですが

 PSPでもPS3でも今は\600で遊べるらしい。回顧主義者でなければそちらをどうぞ。



・さっそく中身の感想に行ってみたい。

 本作の面白いところは3つにわけられる。

 ひとつ。劇的な、芝居がかった演出で語られる謎めいた物語を楽しむ編。

 ふたつ。敵を倒すために有効な武器を選んで対処する編。

 みっつ。チェインアビリティをひたすらつなぐ編。


・まず最初のひとつは、RPG的な、AVG的なところである。

 デモンストレーションシーン、説明場面で交わされる意味深な会話が

 主人公が迷宮を探索して出てくる敵を倒すというだけのあらすじに

 おもむきぶかい物語をくっつけている。

・いつもの描き込まれた絵に文芸がかった台詞。

 最初のバルドルバ公爵邸場面で顕著な音楽に沿って伴う演出。

 本作こそもっとも「劇的な」ゲームのひとつといって過言ない、

 素晴らしい出来栄えでありますが

 ゲームとは関係ない。

 主人公が何をしようとお話に影響ない。


・ここで思うのは

 だからそういうところが不要なのではなく、

 『ベイグラントストーリー』は劇的なゲームである、と思えてしまえるほど

 ゲームとは、みためのいろいろが重要なのだということであります。

・こう操作するとこう動く。そして敵の攻撃手段はこうである。

 だからこの場面はこう操作するのが良いのである、

 ゲームの良し悪しというのはそういうものだという観念がある。

 あるいは

 みているだけでなく、その中で自ら自らを操り演じること、

 操ること、それがゲームというものなのだ。という観念がある。

 けれども

 かといって自機のみためや背景設定や舞台の大道具や台詞の書かれた台本が

 ゲームではないということではないのである。

・例えば、東方STGシリーズである。

 ネットでは大人気らしいである。

 けれどゲームだけなら単なるPCで遊べるSTGでしかない。

 なぜあれが、STGが、「STGごとき」が大人気なのか意味不明。理解できない。

 原因を分析すると、キャラクタが良いとか設定が良いとか音楽が良いとか

 ファンの活動が上手く時流に乗ったとかいろいろならべられて

 パチンコ屋さんでなぜいまさら『北斗の拳』とかが人気になって

 『ガンダム無双』に続いて『北斗無双』とかまで出て話題になるのか、

 というのと同じく、

 理由とは、作品だけでなくあるものなのであります。


・つまりゲームは、アクションゲームとしてどうかとかそういうことも重要だが

 みためも大変重要である。

 売れるためには、くうきをよんで時宜に適うふるまいが必要なのである。

・唯、良く出来ていればそれだけで評価される理由がない。

 できのよさ、というのはそのときに他と比べてどうかであり、

 そのときだけの評価でしかない。

 『ベイグラントストーリー』のみため、ゲーム以外の部分は大変立派である。

 10年たって2世代前のゲーム機作品となってからでも素晴らしい。

 そのとき素晴らしく、時を経てとも素晴らしいということは

 そのときの売上はともかく、今遊んで良く、

 ゲームアーカイブスがいつまで続くかわからないけれども当面、言うことなしである。



・ふたつめ。

・『ベイグラントストーリー』は、分類するならSLGであります。

 敵が出てくる。攻撃するか、後ろ向いて逃げるか決める。

 攻撃するならどの武器でどの敵を攻撃するか決める。

 決めるというのは方向入力して武器を振るボタンを押すのでなく、

 RPGでよくみられる、順に用意された選択肢を選んで進行する形式。

 また、先に進むため迷宮の仕掛けを解くAVG的おもむきもある。

 用意されているブロック

 押したり引いたりして台にして跳んだりよじ登ったりして、先に進むのである。

 なぜ解けるようになっているのか誰が用意したのか、

 そもそもなぜこういうパズルを解くことがゲームなのか、問うのは無駄である。

 ゲームてきな楽しさというのはそういうものなのだ。


RPGてきな楽しさ、アクションゲームてきな楽しさに対し

 SLGてきな楽しさというのはつまり、パズルゲームのそれである。

 より正しく言うなら整理整頓する楽しさである。

 混沌としてごちゃごちゃで滅茶苦茶な状態を、

 自分のわけがわかるように直すところが、SLGの楽しさ。

 問題が示す解を探すことではなく、自分の良いよう並べ替える楽しさにある。

・このゲームは特に何もせずとも会敵の時点で敵の弱点がわかるようになっている。

 具体的には斬、打、貫のどの種に弱いかと魔法で良くある属性のどれが弱点か。

 それに合わせて武器を持ち替えるゲームである。

 そのために武器を組み替えて育てるのが楽しいのである。

 育てるといっても斬、打、貫の3種あるいは長距離のボウガンを用意しておき

 あとは属性値の目ができるだけ良くなるよう組み替えるだけで

 実のところ出来ることは少ない。誰が遊んでも同じよう育てるはずである。

・前述のブロックパズルと同じく、ならば何が楽しいのだろうか。

 効率を優先するなら攻略がひととおりしかないようなゲームが、

 見ているだけで自分の主人公操作でお話の何が変わるわけでもないゲームの、

 何が楽しいのだろうか。

ゲームは、競う遊びである。操作の上手さとか同じ土俵上でのかけひきとか。

 あるいは物語をせいせいする舞台装置であることもある。

 それは思い入れでいくらでも広がる。

 同じようにSLGも、ルールの中で最合理的解法を追及する過程に

 思い入れをこめて、自分の好きなように並べ替えることをあそぶものなのだ。

 RPGの台本をよりゲーム寄り、論理パズルてきなそれより、

 ひととひととの間にある空気の綾とりでなく

 もう少し表記しやすい数字などの概念に代えて、遊ぶゲームなのである。


・本作は、まずゲームのみためてきなところに魅力高いですが

 中身のSLGとして遊んでも良く出来ている。

 バトルアビリティをこのたび遊びなおすにあたって禁止して最後まで遊んでみましたが

 それほど長くないゲームの中に、充分自由意のまま好きなように

 操っていると思えて、思いいれられるよう要素が用意されている。

 拾ったアイテムと無理のない自然回復での進行だけでの最適効率解法も可。

 一方で無限に湧く雑魚敵を倒しての能力値上昇も許す。

 短い中に多彩で懐深い、ひとつひとつの仕掛けをいじるのが楽しい

 とても良いSLGである。堪能。



・3つめ。チェインアビリティ。

 細かく正しく言うと、

 攻撃のチェインアビリティと防御のディフェンスアビリティ、

 合わせてバトルアビリティ。

 攻撃を当てた時と受けたとき、タイミング良くボタンを押すと

 追加効果が得られるしくみ。

・『ベイグラントストーリー』は上述の通り、

 このバトルアビリティなしでも最後まで行けるようになっていますが

 私もそれを確認したのは発売10年目にして初である。

 序盤は誰でもバトルアビリティに頼らずSLGとして遊んで進む。

 しかし最後までその魅力を無視するのは

 『タクティクスオウガ』の召喚や弓や

 『ファイナルファンタジータクティクス』のシドや算術禁止よりも

 つらく困難なみちのり。

 他の要素一切を無意味たらしめるほど強力過ぎるのである。


・だいいち操作していても、様々な武器でチェインをつないだり、

 敵の攻撃動作に合わせてブロッキング決めるのはとても楽しいのである。

 そう、チェインアビリティをつなぐのは気持ち良い。

 効果音も気持ち良いし、主人公の画面上動作も非常に快感を刺激する独特の挙動。

 ガチンっと打って、しゃらんっと抜きまた、ガチンっと打つを繰り返すのは

 鍛冶、はしたことないし見たことないが

 もちつきのあれを思い出すと似たような感。

 快感。気持ち良い。リズムゲームのそれにつらなる気持ち良さで演出されている。

・その上に、効果がSLGとしての楽しさを途中で放棄させるほど強力である。

 ひたすらチェインをつなぐ楽しさに浸っていると、気づけば敵が倒れている。

 工房に籠って新しく得た武器をばらして組み替え育て上げ、

 敵の攻撃に備えて魔法耐性を張りつつ雑魚敵相手でも慎重に進み、

 ボス敵とは長時間のかけひきつなわたりを楽しむゲームだったのが、

 いつのまにやらごり押しである。

 チェインが切れたらアイテムで回復。

 攻撃手段はそれで足るから武具を集める必要は自己満足でしかなくなり

 雑魚敵に構うのも面倒になってボス敵のいるところまで一直線。

 はてこれはどういうゲームであったかしら。 



・ひるがえって

 『ベイグラントストーリー』は、このようなゲームである。

 この3つで出来ている。

 みためとふんいきの良い古典的名作調。

 SLGとしては、相反してというべきか見た目たがわずというべきかの質実剛健

 でありながらクリアするならば豪快にボタン連打で可能。

面白いゲームであります。

 中盤以降のバトルアビリティの強力さは、それまでのしっかりしたSLGを覆い隠して

 まるでそれ以降なくなってしまったかのような印象を抱かせるようにできている。

 ということは

 『ファイナルファンタジータクティクス』の、

 『タクティクスオウガ』のようなみためでありながら5人パーティであり

 いわゆる「『タクティクスオウガ』のようなSLG」のようであり

 「『ファイナルファンタジー』のようなRPG」で良くあるゲームのようでもある、

 という変なところに通じるものがある。

 

ゲームとは、どうであればより良いのか。

 何がどうであれば正しく素晴らしい傑作であり名作であり

 ゲーム雑誌評価で満点でありネットの個人評価の集合で長いこと絶賛されるのか。

 どうだか存じませんが

 『ベイグラントストーリー』が未だに今も、

 愛でて良く、遊んで楽しく、また面白いことも確かなのである。

 



 

2010-03-04

kodamatsukimi2010-03-04

[][]灰と銃声とダイヤモンド 灰と銃声とダイヤモンドを含むブックマーク 灰と銃声とダイヤモンドのブックマークコメント

・なんとなく探偵ものゲームがあそびたい、

 探偵ものといえば故デコの遺産『神宮寺三郎シリーズ

 調べてみたところ、DS版一作目が過去作品リメイクも入ってお得らしいので

 そのあたりを買ってこようか、と思ったのですが

 AVGといえばPSPの『銃声とダイヤモンド』が先頃から評判良いらしく気になるところ。

 そこで気が付いた。

・というわけで今回は、

 PSPでのシリーズ最新作『探偵 神宮寺三郎 灰とダイヤモンド

 公式サイト http://www.arcsystemworks.jp/jinguji4/ ASIN:B000HDNQ4W

 と、合わせて『銃声とダイヤモンド

 公式サイト(音注意)http://www.jp.playstation.com/scej/title/jyudai/ ASIN:B001H9NV4K

 を、続けて遊んでみた感想である。

 なぜかというと

 同じ時期に出た同じゲーム機の同じジャンルゲーム

 題名が似ていたからである。



・ええ、ええとそういえば「ダイヤモンド」は「Diamond」と綴るのに

 なぜ「ダイア」でなく「ダイヤ」という表記の方が普通に使われるのか、について

 根掘り葉掘り、という話は以前書いたか。




・では感想。まず神宮寺

・『探偵 神宮寺三郎シリーズは、23年前からえんえん続いて14作目、

 その名の通り、おんとし三十過ぎの探偵稼業、神宮寺三郎が主人公のAVG

 前回遊んだのはPSの6作目『夢の終わりに』なので、以来12年ぶり。

 いつのまにやら洋子さんや神宮寺と、自身との年齢差がげふんげふんな感じである。

現実の探偵はお金持ちなかたがたの浮気調査が主たるお仕事らしいのですが

 『神宮寺』での探偵はそういうのでなく

 ミステリ小説とかの、たまたま嵐の山荘の殺人事件に毎度居合わせてしまう種のそれ。

 こども探偵とか探偵の孫とかが居合わせるところ常に殺戮の嵐吹き荒れるあれ。

 われらが神宮寺も、顔が定まらないけれど美人で有能な洋子さんを助手に従え

 馴染みの警部に協力、あるいはヤの付く自由業のかたがたに依頼受けたりして

 様々な事件に立ち向かったり巻き込まれたりするのである。

 舞台は新宿歌舞伎町。俺は煙草に火を付けた。


・本シリーズは23年の間に作っているところも変わり、

 最初の発売元であるデータイーストは倒産して消滅、

 その後、『クロス探偵物語』というAVGを作っていたワークジャムが権利を受けて

 新作と旧作の作り直し、携帯アプリ用の小規模作品もおりまぜ引き継がれています。

・10年くらい前の98年ごろ発売された『クロス探偵物語』は

 その意欲的なつくりから当時それなりに話題となった作品であったのですが

 売り上げ面でなかなか苦労したらしく、当初の全10話構想が未完のまま。

 そこで、まだ比較名前の知られている同じ形式の『神宮寺』を継ぐことで稼ぎ、

 いつかは『クロス』を完結編が出るのではないか、と観測されていたわけなのですが

 いまのところその予定はない模様。

 これが小説なら企画者が意欲だけで一気に一冊書いてしまえば続編完成なのですが、

 ゲームの場合それだけでいかないところが難しいところであることよ。


・『クロス探偵物語』は面白かったけれども

 『神宮寺』ファンではないので、

 シリーズに手を触れないまま10年たってしまいました。

 そういうわけで今回、もはや作っているひとは以前とまるきり違うのだし

 こちらも初心に帰って虚心坦懐と遊んでみたところ、

 確かに名作とか傑作ではないにせよ、意外になかなか楽しめました。

 さすがに長いこと続くだけの雰囲気がある。

・もとめていた、深刻味ない名探偵気分にそこそこそれなり浸れるゲームです。

 けれども値段分だけ面白いかというと疑問である。

 こういう終わり方で、いるかどうか存じませんがファンのひとは納得するのだろうか。

 これでなぜいまだに商売なりたっているのか不思議である。

 シリーズ作品だからこそのものよなあ。


・みためは全般に頑張ってきれいな仕上がり。充分に現在仕様。

 寺田克也絵でないから駄目とはいわせない。

 21世紀に新宿の美人助手付き名探偵、という

 漢の浪漫を体現する幻想設定としての浮きっぷりを、

 強引に叩き伏せるだけの空気は作れていてえらい。

 この作品のきもが良くわかっております。 

・そしてみためだけでなく中身も現在仕様。

 調査をすすめていくと随時自動で追加更新されて、いつでも参照可能な情報メモ

 とても懇切丁寧、正確無比なところであります。

 得られた情報を、遊ぶひとでなく、神宮寺が的確完璧にまとめてくれるのだ。

 話が込み入ってくれたら、神宮寺が簡潔見事に状況を整理してくれる。

 そして煙草に火を付ければ、いつでも次に何をすべきか思い出させてくれる。

 さすが名探偵。読者の助けなど必要ない。



・『クロス探偵物語』は本格派探偵AVGでありました。

 つまり難しかったのである。

 得られる情報から登場人物がどういうような行動をとっていたと思われるか、

 かなりこまかいところまで正しく推定する必要がある。そういう本格派。

 一方で昔の、PS以前の『神宮寺』も難しかったけれど

 『クロス』のそれとは違う難しさでありました。

 問題文だけで得られる情報では、答えを正しく導けないのである。

 取り得る手段を総当たりに試したり、あるいは答えを知ることで初めて

 その問題が何を訊いていたのかが判る、という種の難しさ。

・しかし良く知っているように、AVGというものはおおむねそのようなものである。

 本格派のほうが少ないのだ。

 さらに言うなら、ミステリという形式にある多くの作品はそういうようにできている。

 小説にせよ映画にせよそう。

 何より現実の謎には、問題編と回答編の切り分けなく名探偵がいないだけでなく、

 解答すら多くの場合ないのである。それが物語というものなのだ。

・けれどアドベンチャーゲームは、謎解き遊び、ゲームなのである。

 どきどきはらはらして、驚きの解決にすっきりするという種の

 読み物観物である前に、それで遊ぶものなのだ。

 だから、すべからくみな本格たるべしなのではなかろうか。

 それが謎を解くことを遊ぶ形式として当然なのではなかろうか。

 しかし現実は、そうなっていないのである。 


・仮に、文句なく論理的な謎でありながら、かつ推理娯楽作品として必要な程度に

 惑わせる選択をも用意された本格作品があるとする。

 しかしAVGでは小説と異なり、正しく解を得るまでページがめくれないのである。

 名探偵が謎を解くまで解がわからないのだ。

 答えを知ることが答えを知るまでできない。

・けれどAVGでは、名探偵とはすなわちそのゲームを遊ぶひとなのだ。

 名探偵は、他と比べて優れているから名探偵なのである。

 本格作品は、そこらの凡人でなく名探偵であればこそ解けるから本格なのだ。

 そういう問題がまずある。


・もうひとつの問題。

 本格派、問題文から得られる情報のみから唯一の正解を選べる論理的な謎は、

 数え切れないほどの前提条件に守られて限られたところでしか成立しない。

 言い換えれば、

 用意された情報から正解につながる正しい情報をよりわけなければならないが、

 それを正しい情報と判断するためには、

 前提となる正しさを多くの情報からよりわけて事前に正しく判断して、

 知っていなければならない。

 現実でどうだかはともかく、ゲームでは正しさの基準が明確に存在するが、

 その基準が示す正しさは、当然問題に加えて正しいとされる解答を見るまで知れない。

・さらに言うなら、ゲーム現実なんぞと違うのである。

 これまでの知識と蓄積が通用するとは限らない異世界なのだ。

 正しさの判断基準は、物語の展開必然からではなく

 2+2は常に4である、というくらいに論理自明でなければならない、などという論理

 通用しなければならない理由はないのである。


・ひらたくいうと

 AVGでも、解答からみた問題との関係に、論理的帰結がきちんとしていることは良い。

 あらゆるミステリ作品がそうであるように、解くのはひとでありここは現実だから。

 問題は、答えを知るために必要な情報の、整理取捨選択にあるのです。

 与えられる情報のうち、どれが推理に必要な価値高い情報であるかは

 簡単なクイズであれば問題ないけれど、現実がそうであるようにAVGでも、

 より現実の探偵ものらしくしようとするほど本格的でなくなる。

 答えをみるまで正解を論理的に導く情報がどれか判らなくなる。

名探偵ではないので、現実ではそれをどう解決するのが正しいかわからないけれども

 例えば将棋囲碁のようなゲームであれば、

 先の展開をできるだけ多く予想することで、適宜の正しさを知ろうとするのだろう。

 探偵であれば同じように、得られる情報すべてからできるだけ多くを予想して

 現実と付き合わせてできるだけの正しさを知ろうとするのだろう。

 過去経験と偶然の成功が成す勘の良さという思い込みが、名探偵の条件なのだ。

・そして現実AVGというゲームでもおおむねそういう正しさがあるとみてよい。

 けれど、ミステリ作品が残りページ数や時間量からも正しさを条件づけられるように

 AVGにも、現実論理ばかりか常識という名の同意なき前提条件を

 遊ぶすべてのひとに求めてしまうならば、

 先の答えを知るまで答えが知れないとしても

 セーブと選択肢提示により試行を重ねれば答えは知れるとはいえ、

 けれど答えを見るまで問題のいいたかったことがわからない関係はなくならない。



AVGとはそもそもが現実以上にムジュンしたつくりのものであり、論理的でない。

 論理的に謎を解く遊びをするには、多くの前提条件に同意する必要がある。

 例えば「人狼BBS」のように多人数で遊ぶ推理ゲームならそれでも良いけれど、

 AVGではどうするべきか。


・そこで、探偵ものAVGの採った方法のひとつが

 名探偵の役割を演じるRPGのような形式を、AVGの形式中に用いることであります。

 得られる情報を正しく分類整理して提示するまでは、ゲーム情報として処理することで

 誰もが名探偵気分にひたれるようするのである。

 推理ものを楽しむということは、その話を読むとき、必ずしも推理するわけではない。

 難題が、あざやかに解かれる過程の気持ち良さを味わうために読む場合も多いのだ。

AVGとは、問題を解く過程を楽しむゲームである。

 ただし問題を解くことが、他の形式と違い目的にも含まれる。

 そこにある楽しさの量は、難しい課題を艱難辛苦積み重ねの末解くほど大きいが

 一切苦労しなくとも、

 推理小説のようにただ物語を追うだけで解かれた結末にたどりつけても、

 問題を解く過程を楽しむことはでき、問題を解く結果も達成できるのだ。


・それが「探偵ものAVG」のひとつの形式であり

 少なくとも「灰とダイヤモンド」における『神宮寺』もそういうようにできている。

 ミステリ作品の探偵のように推理するゲームではなく

 名探偵のように事件を解決するゲーム

 そこに本格派な推理はかならずしも必要ではない。

・『逆転裁判シリーズもまたそういう傾向、流れのひとつですが

 『神宮寺』のような昔ながらの探偵ものAVGと違い、見せ方をかえることで

 事件を解決するのでないのに事件が解決するという楽しさを味わうことができる。

 いずれにせよゲームであるから、現実と違い、ミステリ作品と同じく

 事件は解決する。しかもかなり論理的とみえる答えがある。

 遊ぶ方にはそれがわかっているのだから、事件は解決しなくても良くて

 過程を常に興味引くよう表現できればミステリになるという発想の逆転。


・『クロス探偵物語』のような本格派こそを

 本来はじめAVG表現したかったのだろうけれど、

 よりAVGという形式にとって現実的であるのは

 RPGのような今の『神宮寺』のほうである。

 選択肢を総当たりしなければ進めない、

 研究所の中を移動するのに、クランク回して下水抜いてピアノを弾いて紋章はめて、

 入り口が噴水の中から現れるAVGというもののほうが間違っているのは確実である。

・ただ問題は、自分で推理をするという要素がうすくなるほど

 推理のために情報を集める過程が、物語の進行上、邪魔に映るところです。

 だからどうせなら小説にして、つまりノベルゲームのようにしてしまうか、

 それともその場限りで情報が完結するクイズ形式でつなぎをつけるか。

 いずれにせよAVGというものの明日はよくわからない。




・さてここで普通なら終わるところなのですが

 もう一作遊んでしまったので書いておこう。

 『銃声とダイヤモンド』。『神宮寺』を長く書き過ぎたので

 上の文を踏まえて、ごく短めに。

 それにしても比率が違い過ぎる。いきあたりばったりのわがゆきかたよ。


・こちらは主人公が探偵でなく交渉人。

 警察の一部門に属し、人質とって立てこもる凶悪犯を相手に

 身代金の金額や引き渡し条件、逃走方法など、様々な条件のやりとりを繰り返し

 相手を納得させ、交渉を成功させるゲーム

・あめりかんなテレビドラマに出てくるような役柄であります。

 「あーあーあなたは完全に包囲されている。故郷のお母さんは泣いているぞ」

 で通用するのは昼メロや火サスだけで、わーるどわいどに通用しないらしいのである。

 どちらが正しいか、人質とって立てこもったことがないので存じませんが。


・探偵ものAVGのような「調べる」「聞く」「移動」「煙草すう」などを選ぶ操作でなく

 さりとて『街』『428』のようなノベルゲーム表現でもなく、

 それこそテレビドラマのような演出で、お話が進行する表現のつくりが目を引きます。

 登場人物に、あえて特徴的な個性をみためもふくめて持たせない作風であるため

 いつでも人物関係図を参照できるように配慮はされているのですが、

 名前や関係、事件においての役割と、覚えるのが大変である。

 そういうところも、キャラクタが立っている『神宮寺』や

 他の既存AVGのほとんどとくらべて、違い際立つ仕様。

 実写ものAVGの系譜につらなるふいんきです。


・展開の幅がある、ゲーム的なところは、基本的に交渉する部分。

 『逆転裁判』の情報集めの捜査部分がテレビドラマ風部分で

 法廷バトルが、本作の交渉バトル部分になる対称。

・交渉場面ではリアルタイム進行で会話が交わされ、

 相手の発言に対して、決まった機に決まった複数の受け答え選択肢が提示される。

 そのどれかを選ぶだけでなく、どれも選ばず相手の発言を待つ選択を選ぶのも重要

 どのような受け答えをすれば良いのか、交渉がより成功に終わって

 その後の事件展開に良い影響を与えるかは、

 交渉に入るまでに進行する物語から

 それこそミステリ小説を読むように読みとっておくことで、推理する仕組みです。

・条件から犯人当てクイズをするのではなく、

 知っている情報から明らかに誤りな選択肢を除外し、

 現下の状況からもっとも適当であろう今後の進行を予想して、

 それに沿う展開まで持つように交渉という会話を継続させるゲーム

 かなりAVGの仕組みに自覚的なつくり。面白い


・警察の一員となって、立てこもり凶悪犯と交渉するというのが全てのため

 そうとうに、上で書いたような、

 正しい選択を答えるために必要な、得られる情報選別の

 行き届いているところが、大変素晴らしいところ。

 けれど、そういう一定の特殊条件だからあるいは納得できるのであって

 この仕組みを交渉以外で展開するのは難しげでもあります。

 

・一面で言えば、AVGらしく交渉正否が論理的でない。

 事前情報を製作者以上に把握していても、最初の交渉で高得点をあげるのは

 偶然にたよるところが大きい。

 例えば『逆転裁判』のように納得させようとはしてこないので

 AVGなのだからとわかってそうしているとはいえ、

 事件を解く爽快感根本的にない仕組み、

 つまり答えを見てから問題と照らして推理をしないと正解はわからない仕組みなので

 好き嫌いが分かれるところでありましょう。


・込み入って見える話を解きほぐす過程はかなり面白く、

 ミステリ作品としても文句なしのできばえではありますが

 AVGを遊ぶひとがどれだけ推理をしているのか、それとも答えを見たがっているのかで

 印象が変わってくる作品である。

 面白い面白いAVGです。




  

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