荷宮和子・大塚英志『クマの時代〜少女民俗学パート2〜』を読んで――山本直樹『レッド』をより深く楽しみたい自分に新たな宿題を
最後の大塚英志による解説で、連合赤軍の元リーダー永田洋子が同胞の金子みちよと遠山美枝子がとった各々の行動を非難したという記録について
彼女らの女性的心理面においてスポットライトを当てた記述は大変興味深い
僕なりに噛み砕いて要約すると
女性の「可愛い」と感じる感覚を否定することは女性性そのものの否定と同義である
それは現代フェミニズムの解答とは異なるものだ
しかし、同じ女性でありながらもそれを真っ向から否定し、男社会に隷属することでしかリーダーたり得ない
果ては生き延びられなかった永田洋子の、女性の悲哀が当時の彼女の手記から見て取れるというのだ
この指摘には大変感銘を受けたし(その後の記述もまた凄いのだが、ここでは割愛)
本編の荷宮和子の文章も少々冗長ではあったが、後半などは男の僕が読んでもひどく腑に落ちる女性観が書かれていたし
敢えて“少女民俗学パート2”と銘打っているだけの価値はあったと思う
ところで連合赤軍と言えば、僕がまっさきに思い出すのは山本直樹が現在イブニングで連載している『レッド』だ
あさま山荘事件の過程を山本の乾いた筆致で淡々と描いている彼の新境地とも言うべき作品である
大の山本直樹ファンである僕だが、あいにく連合赤軍について不勉強であったため、この作品に関しては正直ひどく厄介な代物でしかなかったのだが
今回『クマの時代(の解説)』を読んで、やっぱり連合赤軍はおろか当時の学生運動全体の背景について今一度勉強する必要があるなと痛感した
『少女民俗学』は読了したが大塚英志の書籍に関してはまだまだ気になるタイトルがいくつもあるので暫くは読み進めたい
僕に関して言えば、なかなかどうして、活字でこんなにスイスイ読める作家というのも稀有な存在である(やはり題材が題材だからだろうね)
クマの時代―消費社会をさまよう者の「救い」とは (カッパ・サイエンス―少女民俗学)
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