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子どもと法・21の管理人メモ RSSフィード

2017-08-20

[](考える広場)親の責任、どこまで? - 東京新聞(2017年8月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2017081902000223.html

https://megalodon.jp/2017-0820-1022-29/www.tokyo-np.co.jp/article/culture/hiroba/CK2017081902000223.html

いわゆる「二世タレント」が刑事事件で逮捕される不祥事が相次いだ。そのたびに親の責任が問われ、中には活動自粛に追い込まれた親もいる。日本独特の密着型の親子関係が浮き彫りになるこの騒ぎ。子の不始末について、親はどこまで責任を持つべきなのか。 

<2世タレントの不祥事> 俳優高畑淳子さんの息子の俳優が昨年8月、強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された(その後、不起訴)。これを受けて高畑さんは記者会見謝罪。一時、活動自粛に追い込まれた。今年6月には、俳優橋爪功さんの息子の俳優が覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された。橋爪さんは謝罪コメントを発表した。この二つの事件は、いずれも成人になってからの犯行で、親の責任を問うべきかどうか議論になった。

◆罪を償うのは難しい 作家・薬丸岳さん

ある日突然、わが子が殺人犯になってしまった父親を主人公に、小説『Aではない君と』を執筆しました。多くの人は、身内が何らかの事件の被害者になるかもしれないと思っても、加害者側に立つことを想像する人は少ないと思います。

物語では、別れた妻と暮らす中学二年の息子が、同級生を刺殺した容疑で逮捕されます。刑事にも弁護士にも、両親にさえ何も語らぬ息子。なぜ−。父親世間非難を浴びながら、真実を知ろうと苦悩します。

執筆はしんどかったです。自分に子どもがいたとして、幼い頃からどう接するだろう、その子が人殺しを犯してしまったら…と想像して。物語をきついところ、きついところに持って行きました。少年事件をニュースで見る一人として、作品では加害少年の親にかなり厳しい見方をしたかもしれません。

芸能人の三十代の息子が覚醒剤で逮捕されたようなケースでは親の責任といわれてもやや違和感があります。でも、まったくないとは言い切れない。周囲はそう思わなくても、親自身は悩みや兆候に気付かなかったと自らを責めるかもしれません。

若い加害者の裁判を傍聴すると、情状証人で出てくる親に対して「この親にして…」と感じることがある。一方、重大事件では自殺する親もいます。人によって責任への温度差が大きいし、事件の大小もあります。そう考えるとすべて「親だから責任を」というのは難しい。

この作品では、謎解きだけでなく、罪をどう償うべきなのかという深いテーマにも踏み込みたかった。僕自身、現実の事件の加害者は絶対に幸せになってほしくないと思います。でも、ちょっとでも幸せを感じないと自分が奪ったものの大切さに一生気付かないかもしれない。「決して許されない」前提で、親子ともに一生、反省しながら謝り続けるしかないのでしょう。

子どものときに万引して、母親に泣きながら殴られたことがあります。悪い道に行かなかったのは、親を悲しませたくなかったから。犯罪抑止の面でも「犯罪者になって悲しませたくない」と思える人間関係をつくることは大事だと思います。

親の生き方や接し方で子どもは変わると思うけれど、子育てに正解はないのでしょう。子を持つというのはそれだけ覚悟がいることなのだと思います。

 (聞き手・出田阿生)

<やくまる・がく> 1969年、兵庫県生まれ。2005年、『天使のナイフ』で江戸川乱歩賞。著書に『闇の底』『虚夢』、ドラマ化された『刑事のまなざし』など。『Aではない君と』(講談社)が文庫化されたばかり。

◆日本も個人を単位に ライター・イラストレーター 吉田潮さん

芸能界って、本当にたくさん二世がいますよね。その中で犯罪までするというのは、すごく少ないと思うんですよ。それを特殊な目で見ていいのか。話題になった二世タレントの事件は、芸能人としてというよりも人間として欠けているものが大きすぎました。一緒にされるほかの二世は大迷惑でしょう。

私は、二世の事件で親の責任を問うような正義感に、うさんくさいものを感じるんです。芸能人の不倫もそうです。怒るべきは不倫された人なのに、関係ないみんながたたく。気持ち悪いのは、みんなが変な正義感ばっかりあおられて、自分の主語を失っているように見えることです。たたいたり、怒ったりしているのは「私」じゃなくて「世間」というか「空気」。「ああいうのは世間が許さない」と言ってたたいている。

もう一つ気になるのは、バッシングに表れた日本独特の親子の距離感です。高畑淳子さんの息子の事件(高畑さんは今、無実を主張しているようですが)では、母親の淳子さんが責任を取って芸能活動を一時自粛しましたが、その必要があったのか。息子は二十歳を過ぎ、犯行も母親には関係ない話でした。しかし、記者会見では親の責任が問われた。親と子は共同体とか、太いきずなで結ばれているとか、みんな言うんですよね。愛情があって一生切れない縁というのは分かります。でも運命共同体で連帯責任制みたいな感じは正直、気持ちが悪い。

テレビドラマでも、一九八〇、九〇年代は二十代の主人公たちが大体、一人暮らしだったんですよ。ところが最近のドラマって、働いている二十代の主人公たちが普通に親と同居しているのが目立つんです。最近では、今春放送された日本テレビ系の「ボク、運命の人です。」のヒロインがそうです。

背景には、東日本大震災以後に強まったきずな礼賛、家族礼賛があるのでしょう。親子の距離が近すぎると思うんですが、これが標準になると、子の不始末の責任は親が取るのが当たり前ということになってしまう。親に依存する子どもを受け入れる形で親も子に依存し、共依存が起きているようです。いずれ家族関係に疲弊するもとにならないか心配ですね。難しいかもしれないけど、日本も家族ではなく個人を単位とする方向に変わるべきだと感じます。

 (聞き手・大森雅弥)

<よしだ・うしお> 1972年、千葉県生まれ。週刊新潮で「TVふうーん録」連載中。東京新聞「風向計」筆者。著書に『TV大人の視聴』など。近刊に『産まないことは「逃げ」ですか?』(ベストセラーズ)。

◆「責任」が過剰に拡大 育児雑誌編集者・岡崎勝さん

子どもの責任を親がどこまで負うのか」の問いには、「一人前になるまで」が一つの答えでしょう。一人前とは年齢に関係なく、「誰かの役に立つ仕事をしてお金を稼ぎ、自活して納税の義務を果たす」などの状態を指すと思います。自力で暮らすには、それなりのお金を継続して稼ぐことが重要です。

しかし多くの親は、その道筋を示せなくなりつつあります。正社員など安定した仕事を持つ親はあまり多くないんですよ。アルバイトを三カ所も掛け持ちするシングルマザーがいます。

なりたい職業を尋ねると、冗談半分で「受け子」と答える小学生がいるんです。「ニセ電話詐欺」で現金を受け取る役の犯罪者ですよ。これは極端ですが、「楽で、好きなときに辞められそうだから」と「コンビニのバイト」という答えもある。身近な大人から得た知識なのでしょう。「先生、会社で働くっていっても、簡単に雇ってくれないよね」と言う子もいます。一人前になるストーリーを描けないのです。

「親離れ、子離れ」は子どもから親の世話を拒み、自由を求めて羽ばたいていくのが健全というのが経験則。でも世話を拒むと生きていけず、親に甘える時間が長くなっている。成人した子の責任を親が取る必要はありませんが、同居などで依存していれば世間は「親は何をやっているんだ」となりがちです。

さらに親の責任が過剰に拡大している気がしてなりません。学校に着ていく服は派手ではいけません。目立つと、SNSで非難されます。上手なキャラ弁を作ると、それを目にした子ども友達が自分の母親に「作って」と求め、その母親が「あんな弁当作られると困る」とSNSに書きます。同調圧力におびえ、周りの求める“平均”から子どもが外れると、その責任が親に降り掛かってきます。

だから責任の所在にとても敏感。例えば、宿題をやらない子どもがいたとします。何回も続けば、「ちゃんとやれるように見てあげてください」と連絡帳に書いてサポートをお願いします。すると、ある親に「やるべき範囲や分量は適正ですか」と反論されました。「宿題をしないのは先生のせいだ」と言いたいのでしょう。拡大する責任から少しでも楽になりたいのです。いまの親は大変です。

 (聞き手・諏訪慧)

<おかざき・まさる> 1952年、愛知県生まれ。愛知教育大卒業後、小学校教諭に。98年に育児雑誌「おそい・はやい・ひくい・たかい」を創刊、編集長を務める。本紙生活面「子どもってワケわからん!」連載中。

[][](余録)泥の川に5人の母子が胸や首までつかっている… - 毎日新聞(2017年8月20日)

https://mainichi.jp/articles/20170820/ddm/001/070/174000c

http://archive.is/2017.08.20-012057/https://mainichi.jp/articles/20170820/ddm/001/070/174000c

泥の川に5人の母子が胸や首までつかっている。米軍の爆撃に追い立てられ、こちらの岸へ逃げのびようと必死だ。目には戸惑いと恐怖が宿っている。

写真家沢田教一(さわだ・きょういち)さんの「安全への逃避」は1965年9月、当時の南ベトナムの農村で撮影された。ベトナム戦争の現実を問いかけ、翌年の米ピュリツァー賞に輝く。「戦争の終結を2年早めた」とも言われる。

この作品をはじめ、愛用のカメラやメモ帳なども集めた展覧会が、東京日本橋高島屋で28日まで開かれている。母の腕に抱かれて川を渡った当時2歳のフエさんが、沢田さんについて語るインタビューが会場に流れていた。

渡りきった家族に彼は手を差し出し、岸に引き上げたという。そして、催涙ガスで涙が止まらないフエさんに気づき、自分のハンカチを水でぬらして目をふいた。おびえが安堵(あんど)に変わったことだろう。

後日談を伝える新聞記事もあった。受賞の翌年、「あの母と子はどうなったのか」と村を訪れ、再会を果たした。そして36万円の賞金のうち6万円を渡し、受賞作品に「幸せに」と書いて贈っている。人柄が伝わるエピソードだ。

沢田さんは70年秋、カンボジア取材中に銃撃され、34歳で亡くなった。最後まで戦場の外にもレンズを向けた。働く人、生活する人の日常を多く切り取った。女性や子どもの姿が多い。戦争で最も苦しめられるのは最も弱い者たちだ、との訴えがそこににじむ。今も世界のあちこちで、それを実感せざるを得ないのは歯がゆい。

写真家 沢田教一展 その視線の先に

https://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/sawada.html

[][] 戦下の人々、生き抜く姿 「写真家 沢田教一展――その視線の先に」 - 朝日新聞(2017年8月15日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13088511.html

http://archive.is/2017.08.20-013518/http://www.asahi.com/articles/DA3S13088511.html

写真家 沢田教一展――その視線の先に」が16日、東京日本橋高島屋で開幕する。ベトナム戦争などを写した作品約150点や遺品で、輝かしい業績とその生涯をたどる展示だ。故郷青森から世界へ旅だった青年が、戦場で見つめた悲しみと希望、そして願い続けた平和への思い。共に戦地取材を経験したカメラマンや妻の証言を交え、代表作や追い求めたモチーフを紹介する。

沢田にピュリツァー賞をもたらした「安全への逃避」。その画面には、戦争写真の「主役」である兵士や兵器、砲撃によって崩れ落ちた建物、そして血の一滴すらもない。が、この1枚が、ベトナム戦争の本質を世界に伝えた。米軍の爆撃から逃れ、必死の形相で増水した川を渡る2組の親子。軍服姿の沢田が向けるレンズにおびえた表情を浮かべる。

同時期にベトナムで活動したカメラマン石川文洋(ぶんよう)さん(79)は、この戦争を「米軍が農村を攻撃する戦争だった」と振り返る。米軍南ベトナム解放民族戦線が潜むと見なした村々をしらみつぶしに攻めた。「農村には子だくさんの家庭が多かった。爆撃に巻き込まれ、子供たちが命を落とす。あるいは親を失って困窮する。多くの夢と将来が大人によって奪われました」。石川さんたち多くの報道記者が目の当たりにした、まさにこの戦争の縮図が、そこにあった。

沢田は当時、世界有数の通信社「UPI」に所属していた。石川さんらフリーのカメラマンに比べ、米軍から入ってくる情報量は桁違い。重要作戦にはことごとく沢田の顔があった。「物静かだが、果敢に激戦地に飛び込んでいく」と石川さんは印象を語る。同業者に「沢田に戦場で会うと安心する」と言わせるほど、戦況を読むのにもたけていた。「耳元に弾丸の熱と風を感じるような」(石川さん)現場で、活躍を続ける沢田を「死神に見放された男」と呼ぶ者すらいた。その後も、世界報道写真コンテスト大賞などの受賞作を連発する。

華々しい活躍の裏側で、沢田は戦争専門のカメラマンと思われるのを嫌がった。妻サタさん(92)には口癖のように「そこに生きる人々を、風土を撮りたいんだ」と繰り返した。沢田は9歳の時、青森で大空襲を経験している。初めてのカメラは、中学時代に新聞配達をして手に入れた。友達らを撮影、その写真を売って家計を支えた。豊かさとはほど遠い生活だった。本格的に撮影を始めたのは19歳ころ、サタさんと出会った写真店に勤めてから。寒風吹きすさぶ大地や山々、貧しい漁民、赤ん坊を抱く子供などを切り取った。

写真家としての原点を探すかのように、沢田は従軍の合間には街へも足を伸ばした。作品には、額に汗する労働者や子供たちの笑顔など、故郷の原風景を思わせる構図や被写体も多い。写真家人生の目標に定めていたのも、美しい写真で世界の風物を紹介する米国写真誌「ナショナル・ジオグラフィック」への転籍だった。沢田がカンボジア取材中に凶弾に倒れたのは、そんな夢をかなえかけていた矢先。34歳だった。

     *

さわだ・きょういち(1936〜70) 青森市生まれ。19歳で写真店に勤めたのを機に写真家・小島一郎に師事。米軍三沢基地の支店勤務時代に妻となるサタと出会う。61年に米UPI通信社東京支局にカメラマンとして就職し、65年にベトナムへ。70年10月、取材先のカンボジアで銃撃を受け死亡。主な受賞歴にピュリツァー賞、世界報道写真コンテスト2年連続大賞、ロバート・キャパ賞(没後受賞)など。

◆あすから東京日本橋

◇16日[水]〜28日[月]、東京日本橋高島屋8階ホール(03・3211・4111)。午前10時30分〜午後7時30分(最終日は午後6時まで。入場は閉場の30分前まで)。会期中無休

一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料

◇本展の公式書籍「戦場カメラマン 沢田教一の眼」(山川出版社、2700円)=写真=を会場でも販売

     *

主催   朝日新聞社

企画協力 沢田サタ

協力   山川出版社

[] 水俣条約発効 人と環境重視の社会へ - 朝日新聞(2017年8月20日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13094760.html

http://archive.is/2017.08.20-012230/http://www.asahi.com/articles/DA3S13094760.html

国際的な水銀規制ルールを定めた「水俣条約」が発効した。

熊本県水俣市の工場が水銀を含む廃液を海に流し、周辺住民に深刻な神経障害などを引き起こしたのが水俣病だ。

条約は前文で「水俣病を教訓とし、同様の被害を繰り返さない」ことをうたう。そして、一定量以上の水銀を含む製品の製造や輸出入を原則2020年までにやめることや、水銀廃棄物の適正管理を求めている。

国連機関によると、アフリカ東南アジアなどの約20カ国で、不適切な処理が現に確認されているという。

条約名や前文に「水俣」を盛りこむことを提案した日本政府は、国内の水銀管理に万全を期すのはもちろん、途上国資金ノウハウを提供して、水銀禍の防止に貢献すべきだ。

公害の原点とも言われる水俣病。その最大の教訓は、企業や社会は人や環境への負荷を無視して、そろばんずくで動いてはいけないということだ。

水銀が健康に及ぼす害は、昔からある程度知られてはいた。だがそれ以上に、便利さが重宝がられ、損得が優先された。

空に、川や海に、森や土に。無軌道な排出・投棄は、環境をそこない、食物や生物の汚染を招いた。健康被害金銭であがなえないし、汚れた環境を元に戻すことは不可能に近い。

近年、環境汚染にのぞむ姿勢は、被害を確認して補償などをする「後追い」から、早期発見と事前のリスク管理を柱とする「予防」へと変わってきた。

また経済グローバル化に伴い、規制は一国だけでは効果がなく、国境を越えたものにしなければならないという認識も定着してきた。先進国が規制を厳しくしても途上国が緩くては、途上国公害を「輸出」することになりかねないからだ。

こうした知見の積み重ねの上に、環境規制のためのさまざまな国際条約が結ばれ、地球規模の「環境倫理」が規範化されてきたことは評価したい。

考えるべきは、その源となった水俣病が、まだ「終わっていない」ことである。

いわゆる公式確認から60年を経てなお、患者の認定損害賠償を求める動きが続く。司法が救済の不備を指摘しても、行政の対応は鈍く、たれ流された水銀を含んだ汚泥は、回収されないまま埋め立て地に眠る。

条約の発効は、ひとつの区切りでしかない。

水俣の教えを忘れてはいないか。人と環境を大切にする社会に向かっているか。真の、そして不断の点検が求められる。

2017-08-19

[][] 表現の自主規制 つまんない世の中 漫画家クミタ・リュウさん 投句で警鐘 - 東京新聞(2017年8月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081902000130.html

https://megalodon.jp/2017-0819-1040-53/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081902000130.html

共謀罪三鬼不死男(さんきふじお)を又(また)泣かす>。八月十九日の語呂で「俳句」の日の本日、一面「平和の俳句」の作者、汲田隆彦(くみたたかひこ)さん(77)=東京都練馬区=はクミタ・リュウペンネームで知られる漫画家だ。俳人の西東(さいとう)三鬼、秋元不死男らが治安維持法違反容疑で検挙された一九四〇年代前半の「新興俳句弾圧事件」に、「共謀罪」法が施行された現在を重ね合わせる。(小佐野慧太)

汲田さんは、政治・社会を風刺する一コマ漫画を半世紀にわたって描き続けてきた。きっかけは中学生の時、米国による水爆実験で日本人の乗組員たちが被ばくした第五福竜丸事件だった。当時、事件を風刺する漫画を数多く発表していた故横山泰三さんにあこがれた。「漫画家ってすごい。しっかりと社会にメッセージを発信できるんだなあって。これに一生をかけてみようと思ったんです」

俳句は長年の趣味だったが、七十歳の頃から俳人の松川洋酔(ようすい)さんに師事して基礎から習い始めた。「一コマ漫画って、言いたいことを全部言っちゃうより、半分くらい手の中に隠しておくと深みが出る。俳句も似たところがあるんですよ」

「平和の俳句」は今回の四回目の投句で初入選。題材にした新興俳句弾圧事件を十年ほど前、知った。「投獄される俳句ってどんなものかなと思ったらね、それほど恐ろしい句じゃないですよ」。三鬼と不死男の二人なら「共謀罪」法をどう見るかと考えてみた。「天国で泣いているんじゃないかなと思ってね」

汲田さんは今回、「共謀罪」をテーマにした漫画を本紙に寄せてくれた。漫画家が背後に迫る手錠におびえ、ぶるぶる震えている。「漫画家は自分の理性で、これは描いてええ、よくないっていうのを判断している。それが上から縛られて、はたして表現がまともにできるのかって」

終戦から七十二年を経て、漫画は表現の幅を広げ、影響力を増した。「漫画家が自主規制するようになったりしたらとても悲しいことだし、つまんない世の中になりますよ。ええ」

自身は絵の中の漫画家とは反対に「『共謀罪』ができて、熱い作品を描きたいと思うようになりました」と笑う。「風刺された当人が一本とられたな、文句言いたいけれど言えないなっていう作品を目指して、これからも描き続けますよ」

<くみた・たかひこ> 岐阜県大野町出身。広告代理店に勤めながら漫画の発表を続け、四十一歳で上京と同時に独立した。モントリオール国際漫画展一位(一九七七年)、中日マンガ大賞(九三年)など国内外で多数の受賞歴がある。三十年以上にわたり、本紙に閣僚の似顔絵や風刺漫画を描いている。

<新興俳句弾圧事件> 「新興俳句」は無季や自由律を試みる1930年代からの新しい俳句運動のことで、日中戦争勃発後は<砲音に鳥獣魚介冷え曇る>(西東三鬼)など戦争を題材にした作品も多く書かれた。俳誌「京大俳句」の同人だった三鬼ら15人が検挙された40年の「京大俳句事件」を皮切りに、秋元不死男が参加する俳誌「土上(どじょう)」など俳句結社が次々に摘発を受けた。特高警察は43年までに治安維持法違反容疑で計40人以上を検挙、うち13人が有罪判決を受けた。

[][] 言わねばならないこと(97)社会の軍事化が進む 家族法憲法学者 清末愛砂さん - 東京新聞(2017年8月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2017081902000197.html

https://megalodon.jp/2017-0819-1039-47/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2017081902000197.html

自衛隊憲法九条に明記する明文改憲が差し迫っている今、本当に戦争できる国づくりが進んでいると実感している。改憲派からは、護憲派空想論的平和主義者との批判があるが、私はとても現実的な平和主義者だ。パレスチナアフガニスタン非暴力運動や難民支援に取り組んだ経験があり、安倍晋三首相よりもはるかに戦闘地や紛争地の現実を知っている。

銃撃戦や目の前を戦車が走るのを目にし、武器や武力がいかに巨大な暴力を生むかを学んだ。自衛の名の下に暴力が増大する。武力抑止力なんてない。パレスチナ難民キャンプでは、激しい銃撃戦に、生まれて初めて腰を抜かし動けなくなった。自分がいる建物の壁をガンガン撃たれた恐怖は消えない。殺された友人もいる。

そうした現実を知らず、想像することすらせずに戦争ができる国づくりを進められても非現実的、非科学的としか思えない。現実的な観点から、憲法九条非暴力的な社会をつくり出すために生かすことができる条文であると訴えたい。

安保法制で自衛隊専守防衛の組織ではなくなった。とりわけ集団的自衛権の限定行使を可能にした点で、侵略軍としての要素を持つようになった。明文改憲自衛隊が明記されれば、その要素が増し、社会の軍事化が進むだろう。

安保法制下で自衛隊の海外派遣が進められると、隊員は大きなストレスを抱えることになる。戦闘地には恐怖がまん延し、尋常でない緊張感を強いられる。隊員による派兵先でのさまざまな暴力や内部でのセクハラの悪化を招くだろう。

安倍政権はどれだけ支持率が下がっても改憲するつもりだろう。護憲派は抵抗の手を緩めてはいけない。

<きよすえ・あいさ> 1972年生まれ。室蘭工業大大学院工学研究科准教授。専門は家族法憲法アフガニスタンの女性や難民支援に取り組む。2002年にパレスチナ非暴力抵抗運動に参加し、デモ参加中にイスラエル軍の発砲で脚に負傷した。

[] 国際化と司法 権力抑止は置き去りか - 朝日新聞(2017年8月19日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13093148.html

http://archive.is/2017.08.19-013951/http://www.asahi.com/articles/DA3S13093148.html

国連国際組織犯罪防止条約への加盟手続きが終了し、今月10日に効力が発生した。

政府条約を結ぶために必要だと唱え、その主張の当否も含め、各方面から寄せられた数々の疑問を封じて成立させたのが「共謀罪」法である。

実際に行われた犯罪に対し罰を科すのが、日本の刑事法の原則だ。だがこの法律は、はるか手前の計画の段階から幅広く処罰の網をかける。薬物・銃器取引テロなどの組織犯罪を防ぐには、摘発の時期を前倒ししなければならず、国際社会もそれを求めているというのが、この間の政府説明だった。

他国との協調が大切であることに異論はない。伝統的な刑事司法の世界を墨守していては、時代の変化に対応できないという指摘には一理ある。

では政府は、国際社会の要請や潮流を常に真摯(しんし)に受けとめ、対応しているか。都合のいい点だけを拾い出し、つまみ食いしているのが実態ではないか。

たとえば今回、条約に加わる利点として、逃亡犯罪人の引き渡しが円滑になる可能性があると説明された。しかし引き渡しを阻む大きな理由としてかねて言われているのは、日本が死刑制度を維持していることだ。

91年に国連死刑廃止条約が結ばれ、取りやめた国は140を超す。欧州などでは「死刑を続ける日本には犯罪人を引き渡せない」との声が広がる。ところが政府は、こうした世界の声には耳を傾けようとしない。

公務員による虐待差別を防ぐために、政府から独立した救済機関をもうけるべきだという指摘に対しても、馬耳東風を決めこむ。国際規約にもとづき、人権を侵害された人が国連機関などに助けを直接求める「個人通報制度」についても、導入に動く気配はない。

権力のゆきすぎにブレーキをかける方策には手をつけず、犯罪摘発のアクセルだけ踏みこむ。そんなご都合主義が国内外の不信を招いている。

何を罪とし、どんな手続きを経て、どの程度の罰を科すか。それは、その国の歴史や文化にかかわり、国際的な統一にはなじまないとされてきた。

だが協調の流れは、より太く確かなものになっている。その認識に立ち、犯罪の摘発と人権擁護の間で、公正で均衡のとれたシステムを築く必要がある。

作業にあたっては、国民への丁寧な説明と十分な議論が不可欠だ。その営み抜きに、政権が強権で押し通した共謀罪法は、内容、手順とも、改めて厳しく批判されなければならない。

[] トランプ大統領 “最側近”の首席戦略官を解任 - NHKニュース(2017年8月19日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170819/k10011104411000.html

http://archive.is/2017.08.18-204213/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170819/k10011104411000.html

アメリカホワイトハウスは、一時、トランプ大統領の最側近とも言われ、政権内で強い影響力を発揮してきたバノン首席戦略官をトランプ大統領が解任したことを明らかにしました。

バノン首席戦略官の解任は18日、ホワイトハウスが発表した声明で明らかにされました。

アメリカ大統領選挙でトランプ陣営選挙対策本部の責任者を務めたバノン首席戦略官は、勝利の立役者とされ、政権発足後は、中東など7か国の人の入国を禁じる大統領令を主導するなど政権内で強い影響力を発揮し、一時、「大統領の最側近」とか「陰の大統領」とも言われました。

しかし、ホワイトハウス内では保守強硬な路線とは一線を画すトランプ大統領の娘婿のクシュナー上級顧問や安全保障担当のマクマスター補佐官らとの対立が報じられ、今月、バージニア州白人至上主義などを掲げるグループとこれに抗議するグループが衝突した事件をめぐっては白人至上主義的な立場をとるバノン氏を更迭するよう求める声が高まっていました。

ホワイトハウスでは、高官の更迭や辞任が相次いでいて、先月もスパイサー報道官とプリーバス大統領首席補佐官、それに広報責任者のスカラムッチ氏が政権を去るなど混乱に歯止めがかからない状態が続いています。

トランプ大統領としては、バノン氏を解任することで、政権内部の混乱を解消したい狙いがあるとみられていますが、支持率や今後の政権運営にどのような影響を及ぼすのか注目されます。

“トランプ政権混乱の要因”

スティーブン・バノン氏は、南部バージニア州出身で、大学卒業後、海軍への入隊をへてアメリカの大手金融機関ゴールドマン・サックスなどに勤務したあと、去年の夏まで白人至上主義的な論調が目立つ保守系ニュースサイト「ブライトバート」の会長を務めてきました。

大統領選挙期間中、バノン氏は、みずからがホストを務めるラジオニュース番組にたびたびトランプ氏を招きこの時、不法移民対策などでトランプ氏と意気投合したと言われています。

バノン氏は、保護主義的な貿易政策や強硬な不法移民対策の推進者として知られ、「メキシコとの国境に壁を建設する」などと訴えたトランプ大統領の政策にも影響を及ぼしてきたと見られています。

また、過激言動でも知られ、「ヨーロッパイスラム教徒による侵略が起きている。キリスト教徒は滅びつつある」とか「アメリカは、5年後、10年後に南シナ海中国と戦争に突入する」などと発言していました。

政権発足後は、一時、「大統領の最側近」とか「陰の大統領」とも言われ政権内で強い影響力を発揮し、雑誌タイムの表紙では大統領を背後から操る「偉大な操縦者」とも紹介されました。

しかし、ことし4月、トランプ大統領がNSC=国家安全保障会議の常任メンバーからバノン氏を外す決定をすると、政権内での影響力が低下したという見方が出ていたほか、ホワイトハウス内で保守強硬な路線とは一線を画すほかの高官との路線対立も表面化するなどバノン氏は、トランプ政権の混乱の要因になっていると言われてきました。

民主党の全国委員会 解任を歓迎

バノン首席戦略官の解任についてアメリカ野党民主党の全国委員会は18日、「ホワイトハウス白人至上主義者が1人減った」として解任を歓迎する声明を発表しました。

一方で声明では「これによってトランプ大統領が変わるわけではない。アメリカ多様性を代表する指導者が必要だ」と強調しています。

民主党は、バージニア州白人至上主義などを掲げるグループと、これに抗議するグループが衝突した事件を受けて、保守強硬派として知られるバノン首席戦略官らの解任を求めていました。

共和党穏健派は歓迎 保守強硬派は失望や反発

アメリカ議会下院外交委員長を務めた与党共和党のロスレイティネン議員は18日、ツイッターに「バノン首席戦略官が解任されてうれしく思う」と書き込みました。

共和党の穏健派の間では強硬な不法移民対策や保護主義的な貿易政策を主張するバノン首席戦略官への不信感が根強くあり、今回の解任を歓迎しているものとみられます。

一方で、アメリカメディアは、保守派市民運動ティーパーティー」のリーダーの1人が「バノン首席戦略官の解任に落胆している。支持者への裏切りだ」と述べたなどとして保守強硬派の間では失望や反発が広がっていると伝えています。

「トランプ政権の終えんの始まりか」

バノン氏が、去年夏まで会長を務めていた保守系ニュースサイト「ブライトバート」は、バノン氏の解任について「トランプ政権の終えんの始まりとなる可能性がある」と伝えました。

この中で、バノン氏はトランプ氏の選挙公約の実現に向けて最も力を注いできた人物だと紹介したうえでバノン氏が去ったあと、トランプ大統領選挙公約を守るかどうか保証がないとしています。

そして、俳優から政治家に転身しカリフォルニア州知事を務めたシュワルツェネッガー氏が当選後、保身のために保守的な支持者を捨てリベラルな政策に走ったと指摘したうえでトランプ氏も第2のシュワルツェネッガー氏になりかねないと痛烈に批判しています。

2017-08-18

[] 米朝緊迫で前のめり 安倍政権存立危機事態」を自作自演 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年8月17日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/211628

米国グアム島周辺に4発の新型弾道ミサイルを撃ち込む案を表明した北朝鮮に対し、「炎と怒りに直面することになる」と怒りをあらわにしているトランプ大統領

金正恩委員長と同じで頭にすぐに血が上るタイプだから、互いに「やんのかぁ」「コラぁ」という田舎の暴走族レベルの“威嚇の応酬”はエスカレートするばかり。そんな米朝に対し、本来は「揃って頭を冷やせ」と諭すべき立場にいるのが日本なのに、積極的に“参戦”する姿勢を見せているから狂っている。

北朝鮮から日本の上空を飛び越えてグアムの方へ(ミサイルが)行く。日本の自衛隊は本当に撃ち落とさなくていいのか。日米同盟の真価が問われている」

15日の「戦没者追悼中央国民集会」で、こんな仰天発言をしていたのが佐藤正久外務副大臣だ。「日本の存立の危機にあたる可能性がないともいえない」と集団的自衛権行使の前提となる「存立危機事態」をチラつかせた小野寺防衛相の仰天解釈を真に受けたようだが、何をトンチンカンなことを言っているのか。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう言う。

「仮に北朝鮮がグアムに向けて弾道ミサイルを発射した場合、地上から600〜700キロの高度で飛んでいく。自衛隊が現在、保有している迎撃ミサイルの高度は500キロ程度ですから、物理的に撃ち落とすのは不可能です」

そもそも北朝鮮は、グアム島周辺の「海域」に向けて弾道ミサイルを撃つ――という計画を発表しただけ。何もグアム島を直接狙ってミサイル攻撃を仕掛けると宣戦布告したワケじゃない。とてもじゃないが、現時点で「存立危機事態」に該当するはずがないだろう。

安倍首相だって、安保法が閣議決定した後の会見で、米国の戦争に日本が巻き込まれる可能性は「絶対にあり得ません」と断言していたではないか。このまま米朝のケンカにクビを突っ込めば、自ら進んで巻き込まれにいくようなもの。「存立危機事態」の自作自演だ。

米朝軍事衝突となり、日本も参戦すれば犠牲を被るのは国民だ。佐藤副大臣はそんなことはお構いなしで、迎撃が不可能な弾道ミサイルを「撃ち落とさなくていいのか」なんて威勢のいいことを言っているのだ。“ヒゲの隊長”なんて呼ばれているが、戦前、無謀な作戦で多くの犠牲者を出した悪名高き「インパール作戦」を指揮した旧日本軍牟田口廉也中将とソックリだ。日本が巻き込まれる最悪の事態となったら、安倍首相や佐藤副大臣を真っ先に前線に送り込むべきだ。

関連記事)

「撃ち落とさなければ、日米同盟どうなる」外務副大臣 - 朝日新聞(2017年8月15日)

http://www.asahi.com/articles/ASK8H62H4K8HUTFK018.html

http://archive.is/2017.08.16-114705/http://www.asahi.com/articles/ASK8H62H4K8HUTFK018.html

f:id:kodomo-hou21:20170819091127j:image

佐藤正久・外務副大臣(発言録)

北朝鮮から日本の上空を飛び越えてグアムの方へ(ミサイルが)行く。そういう時、日本の自衛隊は本当に撃ち落とさなくていいのか。日米同盟の真価が問われている。リスクを共有しない同盟はない。もしも(北朝鮮からのミサイルが)日本の上空を飛び越え、(日本が)撃ち落とせるのに撃ち落とさず、グアムに被害が出たら、日米同盟はどうなると思うか。皆さんの商売でも、自分が本当に苦しい時に親友と思った人間が背を向けたら、もはや親友とは言えないかもしれない。まさに今、同盟国・日本の覚悟が問われている。(「英霊にこたえる会」と「日本会議」が主催した「戦没者追悼中央国民集会」のあいさつで)

[]「東京五輪選手村都有地を9割引で売却? 「舛添前知事に差額払わせろ」と提訴 - 弁護士ドットコムニュース(2017年08月17日)

https://www.bengo4.com/gyosei/n_6523/

2020年東京五輪選手村用地として、臨海部の中央区晴海都有地を不当な廉価で売却したとして、都民ら33人が小池百合子都知事を相手に8月17日、東京地裁に提訴した。舛添要一都知事と買い取った業者11社に対して、適正価格との差額分を請求することなどを求めている。原告らによると、差額は1000億円はくだらないという。

訴状などによると、問題になっているのは、東京駅から3〜4kmのところにある晴海5丁目の都有地約13.4万平方メートル東京都2016年公募で唯一手をあげた大手デベロッパー11社のグループに129億6000万円で実質売却する契約を結んだ。

1平方メートルあたりの金額は9万6784円。原告によると、隣接エリアの地価は60万〜108万円、2012年には1キロほど離れた都有地が103万円で売られており、適正価格の10分の1程度だと主張している。

原告らは都に対し、価格の根拠を示すよう情報開示も求めたが、肝心な部分が墨塗りされていたという。

議会に通さなくて良い「裏道」を利用?

公有地の売却には本来、「地方自治法」で議会の議決か条例が必要とされる(同法237条2項)。しかし、都は売却に当たって、これらの適用が除外される「都市再開発法」の規定を利用。「個人施行」という区分を使い、議会条例で定められた審議会を通さずに契約を結んでいる。

弁護団長の淵脇みどり弁護士は、「公正な価格評価を逃れるため、脱法的な行為が巧妙に行われている。官製談合の疑いがあり、小池都知事公約通り、情報を開示し、適正価格での取り引きをやり直してほしい」と話している。

選手村の施設は、大手デベロッパー11社が費用を出して建てる。五輪期間中は、大会組織委員会からの賃料収入が発生。終了後は、施設の改修や建設によりマンション化して、販売する予定。都はこのエリアの道路など基盤整備に510億円を負担する計画だという。

[] 鈴木五輪相に架空計上疑惑、政治資金1658万円に領収書なし - NEWSポストセブン(2017.08.18)

https://www.news-postseven.com/archives/20170818_605267.html

内閣改造オリンピックパラリンピック担当大臣に就任した鈴木俊一氏(64)。父は鈴木善幸元首相、姉は麻生太郎財務相副総理の妻という名門政治家一族の“サラブレッド”だが、早々に出てきたのは金にまつわる問題だった。

鈴木氏が代表を務める資金管理団体「清鈴会」が、3年間で1412万円ものガソリン代を計上していたことを、『週刊新潮』(8月9日発売)が「3年で地球33.8周分」と報じた。ただ、問題はそれだけに止まらなかった。

◆例外規定の「徴難」で1658万円也

「清鈴会」の政治資金収支報告書を仔細に検証すると奇妙な記載に突き当たる。支出の備考欄に記された「徴難(ちょうなん)」の2文字だ。

徴難とは、収支報告書を提出する際に、「領収書等を徴し難かった支出」を指す。領収書を添付できなかった場合に、「領収書等を徴し難かった事情」、支出の目的、金額、年月日を記載した明細書、もしくは金融機関が作成した振込明細書と「支出目的書」を提出する。

「個人や法人の税務申告に置き換えると、税務調査があった場合、帳簿に支出とあっても、支払った相手が金額を証明している領収書がなければ原則認められません。政治資金における『徴難』のように支出の目的などを自ら記入して済ませる申告方法は、あくまで例外的なものに限られます」(税理士の浦野広明・立正大学客員教授

ところが、清鈴会の場合、2015年の「ガソリン代」91万1004円(21回の支出)をはじめ、「郵便代」「労務費」「家賃」などで「徴難」が乱発されている。閲覧可能な過去3年分の報告書を見ると、2013年は495万2069円、2014年は563万5322円、2015年は599万6979円と増え続け、3年間で「徴難」は228件、総額1658万円に及ぶ。そのすべてに領収書がないのである。

他の閣僚で「徴難」の記載があるのは、松山政司一億総活躍担当相だけで、「事務用品費」などで2013年(3件)と2015年(4件)にそれぞれ5万円程度だ。鈴木氏の団体が突出して多い。政治資金問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「非常に不自然」とする。

国会議員関係の政治団体は1円の支出でも原則、領収書の保存が必要で、使途不明金がないことを政治家自らが明らかにするよう制度設計されています。例外的に徴難が認められている趣旨は、在来線路線バスの運賃のように慣習上領収書を求めないケースが限定的に存在するからです。領収書が発行される郵便代やガソリン代などに適用することは想定されていない」

にもかかわらず、清鈴会で「徴難」が最も頻出するのは「郵便代」だ。2015年は290万7202円分(24件)にのぼる。

◆「領収書は全て渡しています」

「徴難」の支払先を取材していくと、より奇妙な実態が浮かび上がる。

「郵便代」の支出先である日本郵便は「全ての支払いに領収証をお渡ししている。仮に料金後納や口座振替だったとしても、郵送で通知を送っている。領収証をお渡しできないということはない」(広報室)と説明する。

また、2015年1月23日に盛岡市内にあるレンタカー店に支払われた「レンタカー代」9万1808円にも「徴難」の記載があるが、同店舗を取材すると、「基本的に領収書は発行しているし、(支払いの)確認ができれば再発行にも応じる」という。

さらに清鈴会の収支報告書では、2014年4月3日に「役員会会場費」として宮古市内のホテルに4万8000円を支払ったが、これも「徴難」と記載されている。2013年と2015年に同じホテルに「会場費」を計上した際の収支報告書には「徴難」はなく、領収書があるものとして処理されている。同ホテルの営業部長が困惑気味に回答した。

「台帳を確認しましたが、その日(2014年4月3日)に予約は入っていません。ご利用いただいた場合は、領収書を出すはずですが……」

ホテルを利用した記録もなく、領収書もないとなれば、架空の経費計上である疑いすら出てくる。

鈴木事務所に問うと、「4月3日は支払日の記載であり、会議の日を記載したものではない」と回答。収支報告書の「徴難」についてはこう回答する。

「振込で払ったものについて、振込書では支出の目的が書かれていないため、選管からの指導に基づいて『徴難』処理としている。支出裏付ける振込書はあり、いずれも政治活動の支出として払ったもの」

本誌・週刊ポストの取材で、支払先が「領収書を発行しないケースはない」と答えていることについて同事務所は、「振込で払ったものには領収書は出せないといわれた。選管の指導に基づき処理した」と説明した。前出・岩井氏はいう。

「不審な点があれば税務調査を受ける個人、法人と違って政治資金管理団体への監査は甘く、突っ込んだ調査はされない。だからこそ支払った相手先に支出の金額を証明させる領収書の添付が義務づけられているわけですが、『徴難』の乱発はその趣旨にそぐわない」

鈴木事務所は取材に「今回、一部、『徴難』とすべきところに記載漏れがあったことが確認されたので、選管とも相談して必要な対応をしていく」とも答えた。領収書がないのに「徴難」の記載がなくても、収支報告書が監査を通ってしまう実態もあったということだ。

なぜ、このような処理が認められるのか。所管する総務省は、「一般論として『徴難』にあたるのは社会通念上、客観的に領収書の発行が困難なケースです。ただ該当するかは政治団体の会計責任者に適切に判断していただく」(収支公開室)と説明するのみ。

鈴木氏のように領収書が得られたはずの支出を「徴難」と処理しても、「総務省都道府県選管は提出されたものを受け取るとしかいえない」(同前)というのだ。少なくとも一般の国民が「領収書なし」で経費申告すれば、税務署に突き返される可能性は限りなく高い。

週刊ポスト2017年9月1日号

[] 水俣条約 名前が背負う重い意味 - 東京新聞(2017年8月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017081802000140.html

https://megalodon.jp/2017-0818-0936-57/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017081802000140.html

水銀の使用や輸出入を規制する水俣条約が発効した。「繰り返すな」という願いをその名にこめて。フクシマヒロシマナガサキにも通じるミナマタの訴えに、世界は、日本は、どうこたえるか。 

水俣条約。正式には、水銀に関する水俣条約−。二〇一三年に熊本市熊本県水俣市で開催された国際会議で採択された。

東南アジアアフリカなどで深刻な健康被害につながる恐れが指摘される水銀の輸出を規制し、水銀を使った化粧品や血圧計、水銀が一定量以上含まれる蛍光灯などの製造、輸出入を二〇年までに原則禁止する。鉱山からの採掘も十五年以内にできなくなる。途上国の採掘現場で、金を抽出する際に使われる水銀の使用と排出を削減、廃絶をめざす−。

条約制定と命名は、日本政府が主導した。

“公式発見”以来六十年余、「公害の原点」とも呼ばれる水俣病は、化学工場が海に垂れ流した水銀が魚食を通じて無辜(むこ)の住民に摂取され、重い脳障害を引き起こした「事件」である。母親を通じて取り込んでしまった胎児にも、生涯残る深刻な影響を及ぼした。

水俣の悲劇を繰り返してはならない、忘れてはならない−。そんな切なる願いがこもるその名前。患者とその家族の長年の思いを込めた約束なのである。

その日本から、一三年には七十七トンの金属水銀が輸出されている。率先して廃絶へ向かうのは当然だ。

水俣条約の名前は国内的にはもう一つ、重い意味を持っている。

水俣病という病の定義はいまだ確定していない。従って被害の範囲も定まらず、患者としての認定を求める訴訟も後を絶たない。「病」の正体は未解明、「事件」は終わっていないのだ。

「病」は恐らく終わらない。だが、原因と責任を明確にして、すべての被害者を救済すれば「事件」に決着はつけられる。

九月にスイスで開かれる水俣条約第一回締約国会議には、胎児性患者の坂本しのぶさん(61)が参加して「水俣病は終わっていない」と訴える。不自由な体を励まし、痛みに耐えて、「今できることをしたい」と決意した。その勇気に心から敬意を表したい。

忘却による清算は、繰り返しの土壌である。原発事故の救済や核廃絶にも通じることだ。

世界は坂本さんと水俣の思いにこたえ、「今できること」をすべきである。

 

[][] 灘中への教科書採択抗議 教育現場をおびやかすな - 毎日新聞(2017年8月18日)

https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/005/070/137000c

http://archive.is/2017.08.18-003840/https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/001/070/125000c

教育現場に特定の主張を押しつけるような、危うい風潮を感じる。

教科書検定に合格した歴史教科書を採択した神戸市の私立灘中学校に対し、圧力まがいの抗議が寄せられていたことが判明した。従軍慰安婦を巡る記述が理由とみられている。

同校の和田孫博校長はてんまつを公表し「政治的圧力だと感じざるを得ない」と指摘している。教科書は、現場に詳しい教員らが内容本位で選ぶべきだ。

灘中では「学び舎(しゃ)」(東京都)が発行した中学校の歴史教科書を採択し、昨年4月から使っている。

ところが一昨年から昨年にかけて、自民党の兵庫県議や衆院議員から和田校長に「なぜ採用したのか」と問い合わせがあった。その後、同じ文面だったり、同校OBや親を名乗ったりする抗議はがきが200通以上寄せられたという。

学び舎の教科書は、第二次大戦中の慰安婦問題について、旧日本軍の関与を認めた「河野洋平官房長官談話」(1993年)を紹介している。このことが抗議の背景にあるとみられるが、採択した教科書について、個別の学校に執拗(しつよう)な抗議が集中するのは異例だ。

まず確認したいのは、教科書の採択は公立学校では教育委員会に、国立、私立の学校では校長に権限があり、その自主的な判断に委ねられていることだ。

灘中では、教員による採択委員会で使用を決めた。「歴史の基本である、読んで考えることに主眼を置いた教科書で、能動的な学習に向いている」と評価している。

文部科学省の検定に合格した教科書を教員が内容を見て、自校の教育にふさわしいと判断した。その手続きは正当であり、何の問題もない。

検定教科書の中身について、個別に批判したり意見を述べたりすることはもちろん自由だ。だが、学校側に直接介入したり、政治家が関与したりする風潮が広がると、教育そのものをゆがめてしまう。

この教科書は、難関の国立や私立の中学校を中心に38校が採用しているが、灘中以外に全国で少なくとも10校が同様の抗議を受けたという。

「教育の独立性が脅かされる」という教員の危惧はもっともだ。学校への、あってはならぬ圧力である。

[] 白人至上主義とトランプ大統領 対立と分断をあおるのか - 毎日新聞(2017年8月18日)

https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/005/070/139000c

http://archive.is/2017.08.18-003956/https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/005/070/139000c

あまりに無分別な発言である。

バージニア州で起きた白人至上主義団体と反対派の衝突についてトランプ大統領は「双方に非がある」と述べた。人種差別組織のクー・クラックス・クラン(KKK)などを喜ばせる発言に対し、改めて大統領の見識を疑わざるを得ない。

米国における人種問題は火がつきやすく、時に社会の大きな混乱を呼ぶ。バージニア州の衝突では多くの人が負傷し、差別に反対する女性が白人至上主義者の運転する車にはねられて死亡した。

そんな無差別的な殺傷を大統領が擁護すれば、抗議の火に油を注いで社会の安定を危うくするばかりだ。

衝突の直後、トランプ氏は「多くの側」の憎悪と暴力を非難した。抽象的だと批判されると、KKKやネオナチなどを名指しして「人種差別主義は悪だ」と明言した。

だが、その翌日は「誰も言いたがらないが」と前置きして「双方とも暴力的だった」と見解を変えた。二転三転の末、本音が出た格好だ。

米国では近年、南北戦争の英雄の像や記念碑などを撤去する例が目立ち、バージニア州も1920年代の建立とされるリー将軍(南軍司令官)の像の撤去を予定している。奴隷制を支持した人々を顕彰するのは不適切だとする認識が、南部も含めて全米で醸成されてきたのだ。

ところが今年、トランプ氏が大統領に就任すると撤去への反対運動が激しくなった。白人至上主義者とも重なるが、「オルト・ライト代替右翼)」と呼ばれ多文化主義や少数者の権利尊重、移民受け入れなどに反対する勢力が台頭してきた。トランプ氏の強力な支持層である。

南北戦争奴隷制人種差別など米国が宿命的に背負う問題で論議が過熱するのは分からないではない。

だが、暴力は容認できないし、バージニア以外でも衝突が懸念される折、融和を促すどころか、大統領自身が対立と分断をあおるような発言をするのは論外と言うべきだ。

トランプ氏への反発は与党共和党経済界にも広がり、大統領の二つの助言機関は解散した。「代わりならいくらでもいる」とトランプ氏はうそぶく。しかし、自分がますます「裸の王様」に近づいていることに、早く気付くべきである。

[](余録)「われわれは自問する。自分ごときが賢く… - 毎日新聞(2017年8月18日)

https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/001/070/125000c

http://archive.is/2017.08.18-003840/https://mainichi.jp/articles/20170818/ddm/001/070/125000c

「われわれは自問する。自分ごときが賢く、優雅で美しく、才能ある素晴らしい人物であるはずがなかろう。だが、そうあってはなぜいけないのか」。南アフリカアパルトヘイト(人種隔離)の撤廃を勝ち取ったマンデラ大統領の言葉である。

人間の尊厳を求め続けて獄中の27年間を耐えたマンデラ氏は、私たちに勇気と希望を与えるいくつもの言葉をこの世に残した。そして先日、米国のトランプ政権下でオバマ大統領は同氏の次のような言葉をツイッターでつぶやいた。

「生まれた時から肌の色や育ち、宗教で他人を憎む人などいない」「人は憎むことを学ぶのだ。もし憎しみを学べるのなら、愛を教えることもできる。愛は憎しみよりも、人の心に自然に生まれる」

これがツイッター史上最多の「いいね」を集めたのは、白人至上主義者らと反対派の衝突をめぐるトランプ大統領の姿勢に抗議が高まっていたからだ。反対派に死者が出る惨事に、大統領が「非は双方にある」との発言を繰り返した。

ネオナチらに甘いと見られたトランプ氏には与党の批判も続出、有力経済人の拒否反応にも直面した。リベラル派の建前に反発する白人保守層にとりいる当人には選挙中からの得意芸だろう。しかし今はもう大統領なのを忘れたのか。

「指導者には民衆を正しい方向に導いているとの自信の下、みんなより先を行き、新たな針路を開かなくてはならぬ時がある」もマンデラ氏だ。差別の病に引きずられる指導者は米国をどこへと導くのか。

[] 人種差別ナチス」旗でJ1応援 痛み想像する力の欠如 - 毎日新聞(2017年8月18日)

https://mainichi.jp/articles/20170818/k00/00m/040/148000c

http://archive.is/2017.08.18-003706/https://mainichi.jp/articles/20170818/k00/00m/040/148000c

ドアを開けると熱気がこもっていた。7月29日、大阪市内のスポーツバー。J1大阪ダービーガンバ大阪セレッソ大阪に逆転勝ちすると、約30人が歓喜して抱き合った。

彼らは解散したガンバサポーター「スレッジハンマー・ブロス」。4月の試合でナチス親衛隊のSSマークに酷似したデザインの旗をスタジアムに持ち込み、10〜50代の83人全員が無期限出入り禁止になった。今は、この店で応援を続けている。

先の大戦ナチス・ドイツユダヤ人大量虐殺した「ホロコースト」。忌まわしい記憶を呼び起こす旗がなぜ振られたのか。私は関係者を捜し歩いた。

デザインを7年前に作った男性メンバー(52)が取材に応じた。インターネットで見たSSマークを「シンプルで格好良く、力強い」と気に入って、ほんの少し手を加えた。「自分たちのオリジナルデザインだ」

ガンバ側は数年前に旗を使わないよう注意したが「ルール徹底が甘かった」と認める。

4月に旗を持ち込んだのは自営業の男性だった。「SSマークの意味は知っていたが、全く同じではない。人種差別の意図はなく、使っても大丈夫だと思った」と繰り返し、こう言った。「被害者がいるなら謝りたいが、それが誰なのか分からない」

今回の問題は、日本で活動するユダヤ系アメリカ人ジャーナリストのダン・オロウィッツさん(31)がツイッターで指摘した。「この旗が許されたら次は何が許されるのかと心配した」と振り返る。

祖父は18歳でドイツ軍捕虜になり、ユダヤ系であることを隠して生き延びた。「歴史を繰り返させないことはユダヤ人の、それ以前に人間としての責任だ」。旗の問題を指摘すると、ツイッターなどで「国へ帰れ」とも批判された。だが、それよりも残念だったのは「日本人から、ユダヤナチスの問題を知りたいという声がほとんどない」ことだった。

人種差別追放は世界のサッカー界の課題だ。日本では3年前に浦和レッズのサポーターが外国人排斥と読める「JAPANESE ONLY」の横断幕を掲げ、Jリーグが差別的な言動などをまとめた参考資料を各クラブに示した。SSマークも含まれていた。

村井満チェアマン(58)は「サッカーは常に世界とともにある。日本の試合も世界で見られている」と語る。「スタジアムには郷土愛やチーム愛があふれている。だが、強い同質性や絆の裏側に、差別の芽が潜んでいるという自覚が必要だ」

全日本大学サッカー連盟は昨年、イングランド・プレミアリーグのチェルシー元監督でユダヤ系のアブラム・グラントさん(62)を招き、家族で唯一ホロコーストを生き延びた父の人生を話してもらった。多くの学生が話をのみ込めない様子だったため、今春にはNPO「ホロコースト教育資料センター」(東京)の石岡史子理事長を招いた。

ホロコーストの生存者から直接話を聞いている石岡さんは学生たちに思いを伝えた。「差別が人の命を奪った。無自覚なものも含め人は誰でも差別の考えを持つ。だからこそ日常が大事だよ」

国際社会は、決して忘れてはならない歴史があると私たちに警鐘を鳴らす。知識だけではなく、当事者の痛みを想像する力が試されているように思う。

問題の旗を持ち込んだ男性は処分を納得できずにいるが、家にホロコーストの本があったことを思い出し、読み返してみた。「ガス室に送られた人たちの立場なら、旗のデザインに耐えられないかもしれない」。そう感じ始めている。【石川将来・28歳】

ことば「ナチス親衛隊(SS)」

1925年にアドルフ・ヒトラーの護衛隊として発足し、その後勢力を広げた。ユダヤ人らの強制収容所を監督したほか、一時は90万人を超えた軍事部門の武装親衛隊もあった。親衛隊の最高指導者ハインリヒ・ヒムラーユダヤ人を大虐殺する「ホロコースト」を推進した。ホロコーストでは600万人以上が組織的に殺害されたと言われる。

[]「BC級戦犯 教誨師に届いた手紙」(時論公論 早川信夫 解説委員) - NHK(2017年8月15日)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/277634.html

https://megalodon.jp/2017-0818-0909-31/www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/277634.html

きょうは終戦の日先の大戦では、日本人300万人あまりが犠牲になり、海外で240万人が命を落としたとされています。そうした戦没者に思いをいたしながら過ごされた方も多かったと思います。先ごろ見つかったBC級戦犯遺族の手紙を手がかりに、改めて、戦争を記録することの意味を考えたいと思います。

今回の資料は、川崎市の明長寺というお寺で見つかったものです。おととしの春、本堂の収納庫を整理していたところ、箱に入れられた100通を超える手紙類が出てきました。一緒に出てきた新聞の日付などから、先々代に当たる当時の住職が保管していたものとわかりました。この中には、戦後、間もない頃にシンガポールチャンギ―刑務所で処刑された人たちの遺族からの手紙33通が含まれていました。文面などからBC級戦犯として死刑を言い渡された人たちをみとる「教誨師」をしていた当時の住職関口亮共さんが、託された遺書を帰国後に遺族の元に送り届け、その礼状として受け取ったものとわかりました。

亮共さんの孫にあたる伊藤京子さんは、檀家の一人で法学者の布川玲子山梨学院大学元教授のアドバイスを受けながら、資料を読むうちに戦争の不条理さ、残虐性を感じ、祖父から課題を突き付けられたと思うようになりました。

BC級戦犯とは何だったのでしょうか。

政府や軍の指導者が国家を戦争に向かわせた「平和に対する罪」に問われたA級戦犯に対し、BC級戦犯は、「人道に反する罪」つまり戦争中に捕虜や現地の人たちに対して虐待をしたなどとして罪に問われた旧日本軍の軍人・軍属のことをさします。連合国側の7か国によって戦地の49か所で裁判が行われ、合わせて5700人が被告として裁かれました。歴史的にはA級戦犯が裁かれた「東京裁判」に目が向きがちですが、BC級裁判は、戦後、外務省が「残虐行為をした者を政府が援助するのは不適当」だ、あくまでも個人の責任であって国としては関与しないという方針を示したこともあって、あまり関心が向けられてきませんでした。十分な通訳もつけられず、通常の裁判のような弁護を受けることもできなかったと言われていて、報復感情が先に立った裁判だったとも言われています。ただ、そのほとんどが、どう裁かれたのか、よくわかっていません。

関口亮共さんがしていた教誨師とはどのようなものだったのでしょうか。

もともとは、受刑者の精神的な救済を目的にボランティアで行うものですが、BC級裁判では、連合国側が捕虜となった旧日本軍の中からお坊さんの経験のある人を指名し、教誨師としたものです。シンガポールチャンギ―刑務所では、終戦の翌年から翌々年のわずか1年半の間に129人の死刑が執行され、亮共さんは2代目の教誨師として、このうち87人の死刑囚を見送りました。絞首台に送られるまでを共に過ごし、最期をみとったことは、僧侶とはいえ、30歳をわずかに超えたばかりの亮共さんにとって重いものがあったと感じられます。

なぜ、帰国した亮共さんのもとに遺族からの手紙が届けられたのでしょうか。

亮共さんは、死刑囚たちに肉親に宛てて遺書を書くことを勧めたと言います。連合国側の検閲で届かない可能性もあることから、すべての遺書を書き写し、帰国後に復員局を通じて、複写した遺書を届けていたのです。

手紙には、消息がわかったことへの感謝の気持ちやまだ信じられず、真偽を確かめたいという願いなどさまざまな記述が見られます。

死刑囚の妻からの手紙です。「世間の口には戸を立てられず。ああの、こうのと言ふ者もありましたが、詳しいお話をお聞きしましてから、家中のものは安心致しました。」

国から見放されるような非人道的なふるまいをした人の遺族として扱われ、肩身の狭い思いをしていたことがうかがえます。

▽父親からの手紙もありました。「今日貴殿の書面を拝見いたしまするに、(中略)合点の行かぬ点があります故、親の愚痴とは思いますが、倅の写真を同封致し置きます故、今一度相違なきかをご照合の上、ご面倒ながら御知らせ下さるやう伏してお願い申し上ます」。

自分の息子がまさか罪に問われるようなことをするはずがない、何かの間違いであってほしいという親の願いが感じられます。

最期を知りたい、あきらめようとしてもあきらめきれない思いがそれぞれに綴られています。

亮共さんの孫、伊藤京子さんは、資料を読み進めるうちに、事実の重みを伝えたいと思うようになりました。資料はお寺で大切に保管することにしています。伊藤さんは、初めてシンガポールを訪れ、犠牲者のお墓をお参りしました。

「資料を読んでいなければ、遠い出来事過ぎて、思いを馳せることは難しかったかもしれませんが、自然に手を合わせる気持ちになりました」と述べています。何も持たずにお墓に来たことを悔やみ、線香と花束を買い求め改めて訪れ、お経を唱えました。亮共さんが心にしまい込んでいた思いは、孫の伊藤さんにたしかに引き継がれました。

BC級戦犯の裁判について詳しい弁護士の間部俊明(まなべ・としあき)さんは「被告の遺族の手紙がまとまった形で出てきたのは大変興味深く、今後、裁判記録と照合するなどして、被告がどう裁かれたのか、検証するきっかけとなるのではないか」と話しています。

この指摘のように、資料を今後にどう生かすのかが課題です

一つは、国家的なプロジェクトとして、調査を。国は、戦場に駆り立てながら、BC級戦犯については関与せずの方針を示したことで、裁判記録の収集などこれまで本格的な調査をしてきませんでした。国が情報を明らかにしないのは、戦争当時も今も変わっていません。戦後72年、事実を知る人が極めて少なくなってきている今、法律歴史学専門家を交えて、改めて調査することが必要です。裁判記録を紐解くことによって、旧日本軍アジア各地で何をしてきたのか、検証できる可能性があります。事実に基づかない歴史は誤解を招く要因ともなりかねません。

もう一つ、指摘しておきたいのは、戦争記録をデジタル化して半永久的に保存する取り組みの必要性です。今回の資料も、私が見せていただこうとするそばから紙がボロボロと端の方からはがれ始めてしまいました。劣化してしまう前に、デジタル媒体で記録しておく必要性を痛感しました。個人が所有している資料の発見が各地から報告されていますが、子や孫の世代が引き継いでいる今のうちに記録しておかないと、相続などで散逸してしまったり、いざ読もうとしたときに劣化して読めなくなったりするといったことがおきかねません。今年設立されたデジタルアーカイブ学会は、国が「戦史博物館」のようなものを作って、デジタル化した資料を一元的に管理し、後世の人たちが研究に使いたいと思うときに使えるような手立てを打つべきだと議論し始めています。

今回のことを、終戦の日近くの資料発掘の一つとして終わらせるのではなく、この国が戦争でしたことの検証作業のスタートとして、位置づけること。それが、異郷で亡くなった人たちの無念の思いに報いることではないかと思います。

(早川 信夫 解説委員)

2017-08-17

[] 最低賃金改定 生活できる額へ速く - 東京新聞(2017年8月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017081702000149.html

https://megalodon.jp/2017-0817-0923-20/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017081702000149.html

二〇一七年度の最低賃金の引き上げ幅は二十五円となる。時給で決める方式となった〇二年以降最大だった昨年度を超え3%のアップ。だが、非正規労働で生活するには、とても十分とはいえない。

まず、言っておきたいことがある。政権最低賃金の引き上げでアベノミクスの下支えを狙う。だが、これを法律で定めるのは憲法二五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためだ。それを忘れてほしくない。

最低賃金は、企業が払う賃金の最低額だ。働くすべての人に適用され、これを下回る賃金は違法となる。労使が参加する国の中央最低賃金審議会が毎年、改定の目安額を決める。改定はいわば非正規労働者の“春闘”といえる。

審議会が示した目安額(時給)は、全国平均で二十五円引き上げ、八百四十八円とする。安倍政権が三月に公表した「働き方改革実行計画」に掲げる「年3%程度ずつ引き上げ時給千円を目指す」との方針に沿った決着だった。

二十五円の引き上げは昨年度を上回った。安倍政権は引き上げを求めた成果と胸を張るが、目標の千円まで開きがある。政府は毎年のように「千円」を目標に掲げるが、実現への歩みは遅い。

厚生労働省の毎月勤労統計調査ではパート労働者の時給は〇八年から既に千円を超えている。業種や地域によっては、千円実現が十分可能なのではないか。

八百四十八円では、普通に働いても年収は二百万円に届かない。国税庁民間給与実態統計調査では、年収二百万円以下は約千百三十万人いる。民間労働者の二割強が、この収入で踏ん張って生活している。引き上げがこのままのペースでは千円到達にはあと六年ほどかかる。非正規の人の正社員化を進めることは無論として、この賃金で家計を支える非正規労働者が増えていることを考えれば、一日も速く目標額に到達すべきだ。

国は都道府県を四ランクに分けランクごとに目安額を決めた。現在、東京は九百三十二円で、最低額の宮崎、沖縄との差額は二百十八円。だが、今改定ではさらに四円差が広がる。審議会で労働側は、三年以内に最低額を八百円超にするよう要望した。地域差の縮小も同時に実現したい。

賃金アップには、経営体力の弱い中小零細企業業務効率化などへの支援や、大企業の下請けに対する不当に低い取引価格など下請けいじめの適正化を進めたい。 

[][][] 少年法に目を向けて 高校生と弁護士ら劇上演 文京で19、20日:東京 - 東京新聞(2017年8月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081702000172.html

https://megalodon.jp/2017-0817-0919-44/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201708/CK2017081702000172.html

弁護士と高校生らのオリジナル劇「もがれた翼パート24 ヒーローたちのラプソディ」が十九、二十の両日、文京区文京シビックホールで上演される。少年事件の背景や少年法の意義、更生について考えてもらおうと東京弁護士会が主催。「普通に見える子どもたちが事件の加害者にも被害者にもなる。身近な問題として目を向けて」と来場を呼び掛けている。 (奥野斐)

劇は、会社を経営する父親専業主婦の母親の下、何不自由ない生活を送っていた男子高校生が主人公。フィギュアスケートに打ち込んでいたが、父親の交通事故などで、やめることになった。そんなある日、アルバイト先の先輩と事件を起こしてしまう…。

スケートリンクはもう俺の居場所じゃない」

「完璧だと思ってた親はニセモノでした」

行き場のない怒りや悲しみを訴える主人公の独白が多い。弁護士保護司らと接していくなかで罪と向き合い、立ち直っていく姿が描かれる。「ヒーローとは何か」という問い掛けもテーマの一つだという。

オリジナル劇「もがれた翼」は、一九九四年、日本が「子どもの権利条約」を批准したことを機に始まり二十四回目。今年は、少年法適用年齢を二十歳未満から十八歳未満に引き下げる議論が進んでいることなどを受け、少年の犯罪と更生を題材とした。高校生と弁護士ら約十五人が出演する。

主人公の母親役の田畑智砂弁護士(50)は、同じ年ごろの子を持つ親として「演じながら子どもとの向き合い方が大切だと思った」。弁護士役を務める吉川(きっかわ)由里弁護士(36)は「少年たちに接している弁護士だから作れた劇。どの家庭でもありえることで、多くの人に見てほしい」と話す。

公演は十九日午後五時、二十日午後一時、同五時の計三回、小ホールで。入場無料、各回定員三百人。開演九十分前から入場受け付け。問い合わせは東京弁護士会人権課=電03(3581)2205、平日のみ=へ。

弁護士と高校生らのオリジナル劇「もがれた翼パート24 ヒーローたちのラプソディ」

https://www.toben.or.jp/know/iinkai/children/tsubasa/part24.html

2017-08-16

[] 終戦の日 不戦の誓い次世代へ 毎日「平和のブログ」10年目 - 東京新聞(2017年8月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017081690070937.html

https://megalodon.jp/2017-0816-1323-45/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017081690070937.html

七十二年前の八月十五日、東京都江東区の永井至正(よしまさ)さん(85)は、旧満州中国東北部)から引き揚げる途中で、解放に沸く朝鮮平壌駅構内にいた。兄を特攻隊で失い、命からがら日本にたどり着いたかつての軍国少年は戦後「再び戦争はさせない」と強い思いを抱いた。永井さんは戦争体験を次世代に語り継ぐため、この九年間、毎日、平和への思いをブログにつづっている。 (片山夏子)

「毎日、毎日、あの戦争は、特攻隊で死んでいったのは何だったのかを考える。そして今生き残ったもののできることは何か自問する」。十五日、永井さんは自宅のパソコンで自身のブログ満州っ子 平和をうたう」に書き込んだ。終戦の年がよみがえる。

永井さんは旧満州の公主嶺(こうしゅれい)市で母と姉と暮らしていた。一九四五年八月九日、旧ソ連が侵攻し、当時十三歳だった永井さんは二日後、家族と共に貨車に飛び乗った。ぎゅうぎゅう詰めで蒸し暑く、食べ物もトイレもない。体力の無い人から死んでいった。十五日夜、終戦平壌で知った。

ブログは二〇〇八年六月に始め、旧満州での暮らしなどをつづった。昨年八月十五日には、特攻隊員として二十歳で戦死した兄の神島利則さんのことや、関東軍ロシア語暗号解読をして戦犯としてシベリア抑留された兄の四郎さん(享年五十一)のことに触れ「『再び戦争はさせない』の思いいっぱい」と書いた。

最近、ブログを見た旧満州での友人の子や孫から連絡が来る。昨年末、長崎県の三十代女性から「夫の曽祖母が幼い祖父を連れ、満州から引き揚げてきた。夫のルーツをたどりたい」とメールが来た。

「戦争体験者の子や孫の世代から『祖父や父が特攻隊満州でのつらい体験を語らなかったので、戦争のことを知りたい』といった真剣なメールがたくさん来る。ブログはもうやめられない」。永井さんは、次の世代とつながっていると感じている。

十五日はこう締めくくった。「近い将来、戦争体験者がほとんどいなくなる。お子さんやお孫さんたちにあの戦争をしっかり伝えること、そしてその人たちがまた次の世代に伝えることを念じたい」

満州っ子 平和をうたう/BIGLOBEウェブリブログ

http://38300902.at.webry.info/

[] 法科大学院の撤退止まらず 国立、有名私大で募集停止 - 東京新聞(2017年8月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2017081502000173.html

https://megalodon.jp/2017-0816-1324-50/www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2017081502000173.html

法科大学院の撤退が止まらない。地方国立大に続き、首都圏の有名私立大にも波及。二〇一五年度以降に募集を停止した大学院は二十四校に及び、さらに一八年度からは青山学院大立教大など四校が募集しないと発表した。司法試験合格率の低迷に伴う不人気が主要因だが、そもそもの制度設計に難があったとの指摘もあり、大学院側から「国の施策に振り回された」との恨み節も漏れる。

▽合格率低迷

法科大学院を維持するには多くの教員を必要とし、どうしても財政的に赤字になる」。六月一日に記者会見した青山学院大の三木義一学長は、募集停止の理由をそう説明した。近年は定員割れが続き、一七年度は教員十四人に対し、在籍する学生はわずか二十九人だった。

〇四年度にスタートした法科大学院司法試験対策偏重を見直し法学未修者や社会人などを念頭に、多様な経歴を持つ法曹を養成する役割が期待された。最大で七十四校が開設し、定員は計約五千八百人に及んだ。

しかし、当初は七〜八割と見込んでいた司法試験合格率はここ数年、20%台と、法学未修者を中心に低迷。高い費用がかかる法科大学院を経なくても司法試験を受けられる「予備試験」が法曹への最短ルートとして存在感を増していった。

こうした現状に学生の法科大学院離れは加速度的に進み、〇四年度に最多の延べ七万二千八百人だった志願者数は五年後に三万人を下回り、一六年度は一万人を割った。定員割れの法科大学院も続出。一一年度には早くも初の募集停止が私立大であり、一五年度には新潟大や信州大などといった地方国立大にも募集停止が広がっていき、ほぼ半数の三十九校に減った。

▽需要読み誤り

相次ぐ法科大学院の募集停止や廃止の背景には、法曹需要の読み誤りがあったとの指摘もある。

政府は〇二年、法曹人口を大幅に増やす必要があるとして、司法試験合格者数を「一〇年ごろに年間三千人」とする計画閣議決定した。しかし、法曹需要は伸び悩み、政府は一三年に三千人計画を撤回、一五年に「千五百人以上」に下方修正した。

司法試験合格率の低迷が、法科大学院不人気に拍車を掛け、さらに定員割れや合格率低下を招くという負のスパイラルを打破しようと、文部科学省は下方修正に合わせて定員抑制や統合の模索を始める。

一五年度からは司法試験合格率や定員充足率などに応じて補助金の配分に差をつける制度を開始。最低評価だと補助金の配分率がゼロとなるもので、事実上、撤退を促すものと受け止められた。

こうした状況に「法曹養成制度自体に矛盾がある」とある法科大学院の教授は不満を吐露する。「体系的に法曹を養成するという法科大学院の趣旨は間違っていないが、法曹需要の読み違いや抜け道的な予備試験の実施で、改革の趣旨が曖昧になっている」と訴えた。

[](私説・論説室から)標的にされる島 - 東京新聞(2017年8月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017081602000142.html

https://megalodon.jp/2017-0816-1325-41/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017081602000142.html

米領グアムの周辺に北朝鮮ミサイル発射を警告したというニュースに、この夏に沖縄で出会ったグアムの高校教師、サビーナ・ペレーズさん(49)のことを思い出した。

先住民チャモロ人である彼女は、米軍駐留地域の女性が集う「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク会議」に仲間と一緒に参加し、グアムの基地被害について訴えた。

実弾演習のために自然豊かなチャモロの聖地が奪われ、森や海の破壊がすさまじいこと。マリアナ諸島のグアムは第二次大戦中には「大宮島」と呼んで日本軍が占領した時期もある。米軍は最新鋭のミサイル迎撃システムを強行配備し、サビーナさんの訴えは大国に翻弄(ほんろう)される島の悲しみを語っていた。

基地に対する女たちの異議申し立ては根本的な問いかけに収れんする。<米軍は本当に私たちを守る存在なのか。米軍の駐留によってむしろ軍事的脅威にさらされるのではないか>。米朝の挑発合戦の中でそのリスク現実味を帯びようとしている。

沖縄では先週末、辺野古の新基地建設に抗議する県民大会が開かれた。炎天の下、四万五千人もの県民が集まったのはなぜか。沖縄もグアムと同じ、脅威にさらされる側にあり続けてきたからだ。米軍だけでない。中国の脅威を理由にして自衛隊も増強されている。脅威があるなら強めるべきは外交努力だ。標的にされる島の声を共有したい。 (佐藤直子

[] 憲法70年 学びの保障、広く早く - 朝日新聞(2017年8月16日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S13088607.html

http://archive.is/2017.08.16-042540/http://www.asahi.com/articles/DA3S13088607.html

多くの人が大学や短大、専門学校で学ぶことにはいかなる意義があり、コストを社会全体でどう分かち合うべきか。そんな議論が活発になっている。

安倍首相改憲項目の一つとして「高等教育無償化」の方針を打ち出したからだ。

もっとも、先んじて提唱した日本維新の会に同調するための提案との見方がもっぱらで、自民党内もまとまっていない。

無償化法律を改めれば実現できる。わざわざ改憲を持ちだすまでもない。ただ「高等教育を万人に開かれたものに」という考え自体は正しく、その重要性はますます高まっている。

憲法26条は「能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利」を保障し、これを受けて教育基本法は、人種や信条などに加え、経済的地位によっても教育上差別されないと定めている。

国は教育の機会均等の実現に努める責務がある。改憲に政治のエネルギーを費やすよりも、この現憲法の精神を、確実に実践していくことが肝要だ。

東大小林雅之教授らの調査では、年収400万円以下と1千万円超の家庭では、私大への進学率に倍に近い開きがある。国立大に進んでも授業料は年間約54万円とかなりの負担だ。

資格や収入の形で恩恵を受けるのだから、学費は本人や家庭が負担するのが当たり前だという考えが、根強くある。だが技術革新や国際化に伴い、仕事に求められる知識や技能のレベルは上がっている。いまや高等教育はぜいたく品ではない。

貧富による進学格差を放置するとどうなるか。

貧困が再生産され、社会に分断をもたらし、国の根幹をきしませる。逆に、大学や専門学校で学び、安定した収入を得る層が厚くなれば、税収が増えて社会保障などを支える。お金の問題で高等教育をあきらめる人がいるのは、日本全体の損失だという認識を共有したい。

一律無償化には3・7兆円の財源が必要で、ただちに実現するのは難しい。まずは奨学金制度の改善を急ぐべきだ。

日本の奨学金は貸与型が人数で9割近くを占め、かつ利息のあるタイプが主体だ。返済の不要な国の給付型奨学金がやっと段階的に始まったが、対象は1学年2万人と極めて少ない。

有利子型を無利子型に置き換えてゆき、給付型も広げる。授業料減免も組み合わせ、負担軽減を進める必要がある。

放課後の学習支援など、大学進学前の小中高段階からの支援も重要だ。手を尽くして、26条が真に息づく社会を築きたい。

[] 水銀汚染のない世界へ 水俣条約、きょう発効 - 朝日新聞(2017年8月16日)

http://www.asahi.com/articles/ASK895QSJK89ULBJ00D.html

http://archive.is/2017.08.16-042350/http://www.asahi.com/articles/ASK895QSJK89ULBJ00D.html

f:id:kodomo-hou21:20170816133345j:image:left

国際的な水銀規制のルールを定めた「水俣条約」が16日、発効した。水銀による環境汚染健康被害を防ぐため、採掘や使用に加え、輸出入なども含めた包括的な管理に取り組む。

条約には、

などが盛り込まれた。2013年に熊本県で開かれた国際会議で採択、今年5月に締約国が50を超え、発効が決まった。今月8日時点で日本や米国中国欧州連合(EU)、アフリカ諸国など74の国と地域が締結している。

条約名には、メチル水銀によって深刻な神経障害を引き起こした水俣病のような健康被害を二度と繰り返してはならないという決意が込められている。

日本の水銀使用量は1960年代のピーク時で年2500トンだったが、この数年は年10トン未満。一方、南米アフリカなどの途上国を中心に世界では2005年に約3800トンが使われた。小規模な金採掘現場では、金を取り出すために水銀が今も使われ、労働者や地域の人たちの健康被害が心配されている。

9月24〜29日には、スイスジュネーブで第1回締約国会議(COP1)が開かれ、途上国への資金提供の仕組みなどが議論されるほか、熊本県の高校生や水俣病患者の支援団体が参加し、世界に向けたメッセージを発信する。(戸田政考)

[][] 福島第一 廃炉税金1000億円超 7月まで本紙集計 - 東京新聞(2017年8月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017081490070351.html

https://megalodon.jp/2017-0816-1111-33/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017081490070351.html

f:id:kodomo-hou21:20170816111441j:image:left

東京電力福島第一原発事故廃炉作業で、国が直接、税金を投入した額が一千億円を超えたことが、本紙の集計で分かった。汚染水対策や調査ロボットの開発費などに使われている。今後も溶け落ちた核燃料の取り出し工法の開発費などが必要になり、金額がさらに大きく膨らむのは必至だ。 (荒井六貴)

廃炉費用は東電が負担するのが原則だが、経済産業省資源エネルギー庁によると「技術的に難易度が高い」ことを基準に、税金を投入する事業を選定しているという。担当者は「福島の早い復興のため、国が対策を立てることが必要」と話す。

本紙は、エネ庁が公表している廃炉作業に関する入札や補助金などの書類を分析した。廃炉作業への税金投入は二〇一二年度からスタート。今年七月までに支出が確定した業務は百十六件で、金額は発注ベースで計約千百七十二億六千万円に上った。

事業別では、建屋周辺の地下を凍らせ、汚染水の増加を防ぐ凍土遮水壁が、設計などを含め約三百五十七億八千万円。全体の三割を占め、大手ゼネコン鹿島東電が受注した。

ロボット開発など、1〜3号機の原子炉格納容器内の調査費は約八十八億四千万円だった。福島第一原子炉を製造した東芝と日立GEニュークリア・エナジーのほか、三菱重工業と国際廃炉研究開発機構(IRID)が受注した。

受注額が最も多いのは、IRIDの約五百十五億九千万円。IRIDは東芝などの原子炉メーカーや電力会社などで構成する。

国は、原発事故の処理費用を二十一兆五千億円と試算。このうち、原則東電負担となる廃炉費用は八兆円とされている。除染で出た汚染土を三十年間保管する中間貯蔵施設は国の負担だが、賠償費用は主に東電や電力会社、除染費用も東電の負担が原則だ。

[](終戦の日特集)私たちも戦争に加担 フォトジャーナリスト安田菜津紀さん - 神奈川新聞(2017年8月15日) 

http://www.kanaloco.jp/article/271000

[](終戦の日特集)「分断」なくす再分配を 慶大教授・井手英策さん - 神奈川新聞(2017年8月15日) 

http://www.kanaloco.jp/article/271003 

[](終戦の日特集)政治とは戦争しないこと 元衆院議長・河野洋平さん - 神奈川新聞(2017年8月15日) 

http://www.kanaloco.jp/article/270999