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子どもと法・21の管理人メモ RSSフィード

2007-05-24

[][]2007年5月22日参議院法務委員会 16:15

櫻井充(民主党議員は、国家が子どもへの厳罰化だけいうのはいかがかという趣旨で質疑をした。

親の役割は重要。少年の健全育成は保護者との信頼関係やその監護、物心両面にわたる支援があって初めて達成できるもの。その意味では、一般的にまず、子どもの健全育成の責務を負う。親が変わらなければ子どもは変わらない。非行少年は「加害者」であると同時に「被害者」でもある。その「被害者」だけが罰せられて本当によくなるのか、親への保護支援をする必要がある。少年法に親の責務規定を設ける必要があるし、親へのプログラムをきちんと作る必要があるとした。そのことが十分に担保されないような内容で幾ら改正されても、少年犯罪は全く減らないと質した。

長勢法務大臣は、従前からも親への指導はしているし、今回の「改正」法案においても、少年院保護観察所の長による保護者に対する指導、助言等に関する規定を設けることとしており、これにより、保護者に少年の監護、立ち直りのための責任を自覚させる働き掛けをより積極的かつ効果的にできるようになるものと考えている。

親の責務を法律で強制的に書くのはいかがなものか、回答とした。


浜四津敏子公明党議員は、与党修正案を固めるためだろう、以下質問。

少年の更生にホースセラピーの活用を提案した。法務省刑事局長は、少年非行について事案の真相を明らかにした上で適切な処分を行い、少年の健全育成を図ることが最も基本的な施策と考えている、今後とも、関係省庁とも連携を取って、家族、地域社会、学校、連携した中で、こういう問題が起こらないように一層の努力を努めていかなければならないと考えていると答弁。

次いで、18歳投票権を認めた「国民投票法」可決に伴い、年齢問題で少年法が対象になるのかと質問した。

長勢法務大臣は、内閣の「年齢条項の見直しに関する検討委員会」で検討するが、少年法が関係するとした。

更に、触法少年に係る事件で、これまで警察の調査について現実にどのような支障が生じていたのか質した。

法務省刑事局長は、強制権がなかったので、証拠物の押収等ができなかった等回答した。

そして、「改正」に対応するための、少年の特性に関する専門的知識を有する警察職員とはどのような職員か、その効果を質問。

法務省刑事局長は、具体的には国家公安委員会規則で詳細が定められることになるが、基本的には少年警察活動規則第2条第10号に規定されている少年補導職員を念頭に置いていると回答し、事案の真相を解明する上でも有効であると考えられるとした。

議員は、与党修正では、触法少年の事件の調査に関し少年の情操の保護に配慮しつつ行うこと、質問が強制にわたってはならないこと等の規定を新設したが、こうした与党修正の趣旨について担当する警察官の意識をより高めるよう徹底を図った上で触法少年の調査を行う必要があるのではないかと質問。

警察庁生活安全局長は、触法少年に係る調査は刑事責任の追及を目的としたものでなく、少年の健全育成に資することを目的として行われるものであるから、少年が自ら真実を話しやすい環境を整えることが大事。触法少年の調査に当っては、少年警察活動規則や犯罪捜査規範において、これまでも配慮規定がある。今後、「改正」したら、規則の整備や通達等により、「改正」の趣旨、留意点の周知徹底等に取り組む。14歳未満の少年に着目した配慮事項を規則又は通達に盛り込む。さらに、研修等強化し、徹底すると従前の回答を維持。

なお、与党修正案提案者は、触法少年のための付添人は警察の押収等に関する処分について準抗告ができると回答。

 

その他、14歳未満の少年が児童自立支援施設に送致されたものの、14歳になった後、少年院に送致された事案についてと、少年院の下限年齢撤廃議論の法制審の議論はどういうものだったか質問。

法務省刑事局長は、選択肢を増やす等従前繰り返されている賛成意見と、刑事責任能力を有しない14歳未満の少年を少年院に送致するのは適当ではない等の意見を説明した。

 

最後に、浜四津議員は、少年院に送致された学齢児童生徒の学籍の取扱いを質した。

法務省強制局長は、就学猶予又は免除が認められた場合には在籍校との関係がなくなり、少年院の院長において、教科教育を行った旨の証明書(卒業証書に代わる)ものを出す。就学義務が猶予又は免除されていない場合には、そのまま通学していた学校との在籍関係が継続すると説明した。

仁比聡平(日本共産党議員は、先週、この委員会で委員視察を行った国立武蔵野学院の医務課長富田医師の「児童自立支援施設そこで何が行われているのか」という論文を引用しながら、児童自立施設ではなぜだめなのか、むしろこの処遇を充実することが大事ではないかと追及した。

富田医師は、冒頭の部分で、「少年法を改正して14歳未満でも少年院に入れることができるようにするという、正に児童自立支援施設存在価値自体が問われる議論が起きている」とした上で、「しかし、そのような議論の中、マスコミ報道での司法あるいは福祉関係者の識者のコメントを見て驚かされることがある、いわく、強制的措置の180日間が過ぎたら少年は社会に出てくる、いわく、児童自立支援施設福祉施設であるから非行少年処遇のノウハウがないというが、事実はどちらも大きく異なっている」と厳しく指摘をしている。

富田医師が挙げている二つの批判は全く根拠がないのではないかと質問。

厚生労働省大臣官房審議官は、児童自立支援施設は、どういった施設かということが余り知られていない。一律に当初、入所をして、再び社会で暮らせるしっかりした力ができていないのに自動的に、例えば一定の期間が過ぎれば社会に出てくるとか、あるいは逆に、児童自立支援施設が少年を閉じ込めておくような施設であるという誤解があるが、どちらも当たっていないと回答。

仁比議員は、子どもの健全な発達、成長のための最善の利益の確保など子どもの権利擁護を基本として、子どもが抱えている問題性の改善、回復や発達課題の達成、克服など、一人一人の子どものニーズに応じたきめ細かな支援を実施すると理念を述べた「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」(2006年、報告書)を引用。

マスコミなどでの根拠のない批判の中には、家庭的、福祉的なアプローチと称して甘やかしているのではないかと言わんばかりの誤解に基づいた指摘がある。実際に国立の二つの施設における処遇というのはそのような甘やかしなどでは全くないということは、実際に視察に行った国会議員には明らかだろうと思う。上記報告書の「枠のある生活」という支援の基盤が大事である。その中核になっているのが小舎制である。富田医師論文で、「想像力を働かせていただきたい」といい、「一人だけで学校全体あるいは地域全体を騒動に巻き込むような、ほとんど学校にも通わなかったような非行少年ばかりを集めて、施錠もせず、体罰もなしに、ごく普通の生活を、しかも集団で送らせることが容易でないことをお分かりいただけるだろうか。では、どうしてこれが可能なのだろうか。違うのは、特定の大人が少年たちと接している時間の長さである」と。この夫婦小舎制を中心にした処遇が、重大かつ処遇困難と言われる触法事案だとか、あるいは発達障害を持つ少年のケアについて効果を上げている。どうなのかと質問。

厚生労働省大臣官房は、「職員との厚い信頼関係が少年との間で結ばれることにより、少年の立ち直りを非常に大きく助けている。それに加えて、特に非常に重大な触法事案を起こした少年、あるいは発達障害の少年等については、一人一人に合った個別の支援計画をしっかり立てる。武蔵野学院のような非常に重大な触法事案の加害者の少年が入っているケースなどについては、夫婦小舎制の職員のほかに外部の、主に医師等の専門家も入り、専門家と直接に処遇をする職員などが定期的にいろいろな議論をしながら、少年たちが自ら行った行為に対してきちんと直面をし、自覚を促していくというようなケアもしている。」と回答。

仁比議員は、富田医師はこの論文で、被虐待児の事例、行為障害を持つ少年に対する対応、ADHD注意欠陥多動性障害、あるいはアスペルガー症候群、あるいはそのアスペルガー症候群ADHD合併の疑いのある少年などについて、具体的なこれまでの処遇の実際に照らして、児童自立支援施設の取組がどのような効果を上げているかということを詳しく報告をされている。

本法案で対象となるような重大な加害少年ということで考えると、国立の二施設の専門的な機能を充実することこそが大切だと思う。今でも対応できることが視察で学んだ。しかも、定員的に見ても、まだ国立の二施設で受け入れることも可能であるのに、国立の二施設の児童自立支援施設の専門的な機能は現状で限界にあるというふうに審議官は考えるのか、と質疑。

しかし、厚生労働省大臣官房は、非常に困難な事案についても児童自立支援施設において一定の成果を上げてきたと考えている。ただ、そういう中で、開放処遇という自立支援施設の特性を生かした処遇になじみにくいケースがごく少数あるというのが職員の実感。自立支援施設の限界というより、どちらで処遇をすることがその子どもにとって一番合った処遇が受けられるかという観点が非常に大事と、これまでの説明を繰り返しただけであった。

仁比議員はまた、富田医師は同じ論文の中で、2001年少年法「改正」後、初犯であっても多少とも大きな事件の場合には、14歳以上であれば少年院に措置される事例が多くなったという印象がある、それまでは児童自立支援施設の処遇がよりふさわしいとされていたのに、2001年の少年法「改正」の後、初めから少年院ということになっているのではないか。近年の厳罰化への圧力の中で本当により適切な処遇方法を選ぶということが決して容易ではないこともまた明らかではないだろうかという趣旨のことも言っているのである。

子どもの最善の利益ということを考えたときに、確かに開放処遇ということになじみにくい子どもがごく少数いるということもそうなのかもしれないが、少年院でいいのかと、あるいは今回のような改正でいいのかということについての答えが出ているわけでないと思うと切り替えした。

さらに、仁比議員は、問題は、14歳に満たない子どもたち、とりわけ小学生でも少年院に入れるということで本当にいいのかということである。初等少年院で処遇をされている子どもたちというのは、大変な非行事実で少年院に送致をされている。集団的な、グループ的な処遇も少年院で行われている。それを小学生と一緒にするということになる。逆に、児童自立支援施設に匹敵するような処遇を少年院で行うことができるのかと質問。

これについて法務省矯正局長は、8か所の少年院を指定して準備を進めている。一番の特徴は、処遇スタッフ。特に小学生の年齢にある少年については、心の発達という問題もあるので、男性と女性の教官、精神科医師カウンセラー等がチームを組ませて、それでその当該子どもを処遇していくと回答した。

だが、仁比から、児童自立支援施設の取組や成果に代わるようなものではないとはねつけられた。

近藤正道(社民党議員は、まず、警察が調査権を持つということに大きな問題として、警察と児童相談所の関係、つまり児童相談所優位という、ここがとにかく主導権を取って触法少年のいろいろな調査を行うということは、児童相談所優位の大原則が逆転をするんではないかという懸念があることを「大阪地裁所長襲撃事件」を挙げて追及。

13歳の少年が、児童相談所の一時保護所に64日間身柄を拘束されて、その間に、警察官より暴行、脅迫を伴う長時間の取調べを連日受け、襲撃事件の自白を迫られたと言われている。警察は、夕食時間が大幅にずれ込むような長時間の取調べをしたり、面談室で取調べ官が少年をどなり付ける声が児童相談所の執務室にまで漏れてきたことがあった。問題は、その際の児童相談所の職員の態度である。児童相談所の職員はだれも制止や抗議をしなかったようだ。これらは、児童相談所が警察と協力すれば、事実上身柄を拘束した状態で長時間制約なく取調べという調査が可能になるという実態を示している。児童相談所はもっとしっかりしてもらいたいが、今でも警察が事実上入ってくると警察の力が事実上強い。今度警察が調査権を持つと更にこの関係が強大なものになり、文字どおり児童相談所優位という大原則は完全にほころび、壊れてしまう。

そこで、児童相談所の要請があったとき、あるいは児童相談所のこの指示の下で警察が動くという大原則は完全におかしくなるが、この大原則は維持されるのかと質問。

法務省刑事局長は、今回の改正によってこれまでの児童相談所の役割や児童相談所と警察との関係が基本的に変わるものではないと回答。

警察庁家庭安全局長 警察が行う触法少年との面接はあくまでも任意のもの、決して強制力を及ぼすものではない。他方で、一時保護は、児童相談所長の権限において行うものであるから、警察は、児童相談所長のその権限下に、そういう権限があるということを前提として調査を行うということであるから、児童相談所の方で何らかのこういった配慮をすべきだということであれば、それに従うべきものである。

近藤議員は、「児童相談所の指揮の下で行う、児童相談所がこれやめてもらいたいという指示があればそれはやめる」この点は間違いないのかと念押しで、児童相談所の方から指示があればそれに従うのかと確認。警察庁生活安全局長は、児童相談所長から一時保護の趣旨に反するということでもって、このようにしてほしいということがあれば、それに対して我々は従うということになると回答した。

次いで、近藤議員は、憲法の適正手続が触法少年事件にどの程度効力を及ぼすのか。最高裁判決の趣旨、学説等を見ても、触法事件であっても様々な不利益を少年に及ぼすものであり、適正手続の理念は可能な範囲で調査にも及ぶというふうに考えているが、いかがかと質問。警察庁生活完全局長は、適正手続を可能な限り尊重すべきことは当然。だが、触法少年の調査というのは刑事手続と趣旨・目的が異なるので、その目的に沿ってすべてが適用(準用)されるわけではないと従前の答弁を繰り返した。

さらに、近藤議員は、具体的に、付添人選任権は警察が告知することが含まれているのかを質した。

与党修正案提案者は、警察による調査はあくまでも任意で行われるもの。犯罪少年については、刑事訴訟法も身柄拘束されていない少年の任意の取調べにおいては弁護人選任権の告知義務付けがされていないことなどからすると、触法少年の場合にだけ付添人選任権の告知を義務付けることは相当でないと、否定。実際上、警察がいろいろな過程で知らせるとのが望ましいにとどまった。

 

近藤議員は、人権に配慮した様々な諸規定はその事柄の性質上、可能な限り触法少年に及ばせる、弱い立場にある少年だから更にきめ細かく丁寧に教えてやる。少年審判規則の中で具体的なことを書いてあるのだから、警察のレベルではもっときめ細かくやるべきだと追及したが、「警察で、選任権について積極的に言ってもらうことが望ましい」(与党修正案提案者)、(マニュアルに入れるかについて)、「一律の義務付けということは、調査の趣旨・目的からしてふさわしくない場面があり得ると考えている。しかし可能な限りという意味で、そういう点も含めて検討いたしたい」(警察庁生活安全局長)にとどまった。

また、取調べ時間の制約についても、警察庁生活安全局長は、「調べの時間については、今でも深夜にわたってはいけない、長時間にわたってはいけないというような配意事項は決めている、ただ、個々の事案によっていろいろ具体的な事情があるので、一律に何時間とかいう話にはちょっと難しい」と回答した。