国会議事堂前に反安保デモ35万人! これでも官邸と安倍親衛隊は「大半がバイト」とデマをとばすのか - litera_web(2015年8月30日)

http://lite-ra.com/2015/08/post-1435.html

国会議事堂前に地鳴りのように響き渡る「安倍はやめろ!」「戦争反対!」のシュプレヒコール。本日、国会前で開かれた安保法制反対のデモは、雨に見舞われるという悪天候ながら、これまでで最大規模の人びとが詰めかけた。その人数は、なんと35万人にも上ったという。さらに、本日は全国各地約250箇所で同じようにデモやイベントなどが行われており、それらの数を合わせると相当な人数になると思われる。
熱気もすさまじい。高校生グループは「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」を歌い上げ、大学生たちは全国津々浦々から結集。

世界的ミュージシャンの坂本龍一もスピーチに駆けつけ、芥川賞作家の平野啓一郎に、デモ参加を表明していた作家の室井佑月いとうせいこう高橋源一郎、映画監督の園子温高畑勲らの姿も。

坂本龍一さん、国会前で演説 「日本にもまだ希望がある。本当によかった」(全文・動画)(吉野太一郎さん) - (2015年8月31日)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/30/sakamoto-ryuichi-speech_n_8061622.html?utm_hp_ref=tw

当然、歩道には人が溢れかえり、早々に警察のバリケードは決壊。これまで封鎖されてきた車道に人の波が押し寄せ、結局、4車線の車道はあっという間に人が覆い尽くしてしまった。

 ──この光景を見れば、それだけでこれまで安保法制反対デモに対して流されてきたデマの数々は真っ赤なウソだと証明できるだろう。先月、首相補佐官礒崎陽輔は〈道路にあふれない限り、(反対デモの人数が数万、数十万と)そんなに多くの人がいる場はありません〉とTwitterに投稿したが、道路に人があふれたきょうの風景をどう見るのか。百田尚樹は“デモ参加者の大半がアルバイト”とツイートしたが、数万人ものバイト代を支払える組織なんてあるわけない。渦中の武藤貴也議員は性懲りもなく「若い人たちがだまされている」と言ったが、これだけの高校生や大学生たちが何にだまされているというのか。
菅義偉官房長官は「私は全共闘世代だが当時はこんなもんじゃなかった」としたり顔で語ったが、国会前が完全に反対派の人びとで包囲されたきょうの様子を見て、同じことを言えるのだろうか。官邸は反対派デモを共産党革マル派などの左翼団体が行っているとまったくの嘘っぱちを流布しているようだが、左翼団体がいま十数万人も動員できると信じているのならおめでたいにも程がある。
そして、デモをしても無駄だと冷笑した太田光は、これでもまだ無駄だと思うのか。堀江貴文は反対派デモは情弱だとほざくのか。「まあ、いいじゃん」などと平気で口にしてしまう総理は許せない、その真っ当な怒りをまだ笑うのだろうか。
安倍首相の顔色をうかがう多くのメディアは、きょうの大規模デモも矮小化して伝える可能性は高い。官邸もなかったことのように振る舞うだろう。だが、国民ひとりひとりが強権的な安倍政権にNOを叩きつける動きを続けていけば、何かを変えることはできるかもしれない。そんな希望を感じた1日だった。

「政治に冷淡な日本人が...」 安保法案の国会前デモ、海外はどう報じた?(吉野太一郎さん) - The Huffington Post(2015年8月31日)

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/30/830-demo-how-correspondent-reported_n_8062792.html?utm_hp_ref=japan

8月30日に国会前であった安全保障関連法案への大規模な抗議デモを、多くの海外メディアが報じた。

イギリスのBBCは国会前の現地リポートを含む動画で「こんな場面は日本では前代未聞だ。日本人は政治に対して冷淡だとしばしば言われてきたが、今、彼らが求める声は熱い」と切り出した。「デモの参加者は、法案を参議院で成立させることで、安倍政権は巨大な政治リスクを抱え込むと考えている。目下の疑問は、安倍首相がこの声に耳を傾けているかどうかだ」と指摘した。

労働組合の組合員と、老いゆく左翼の活動家によるデモが典型的だったが、新たな顔ぶれが登場してきた」と伝えたのはAP通信。「雨の中、母親が子供を連れて戦争反対のプラカードを掲げ、学生は安倍晋三首相と安全保障政策に反対するスローガンを、ドラムのビートに乗せて叫んだ」と、デモの様子を描写した。

韓国メディアも軒並み現地の様子を詳報した。ケーブルテレビ局、JTBCは現地リポートで「日本の国会議事堂周辺を取り囲んだデモ隊。あちこちでかけ声が上がっています。政治的発言を控える日本国民の普段の雰囲気はここでは見られません」と伝えたほか、「国会を包囲した怒った市民たち」(ハンギョレ)、「怒った列島の民心」(朝鮮日報)と、デモ参加者の「怒り」を強調した。

ロイター通信は「2012年夏の反原発デモ以来、東京であった最も大きなデモ」と報じ、世論調査で半数近くが安保法案に反対していることや「この法案を止める動きに参加しなければ、将来、子供に何と説明していいのか」と話す参加者の女性の声を伝えた。

イギリスBBC
Japan military legislation changes draw protests
http://www.bbc.com/news/world-asia-34101222

AP通信
Mothers, students join Japan's protests over security bills
http://t.usnews.com/Zcse5a

ケーブルテレビ局、JTBC
"아베 물러나라" 일본서 안보법안 반대 대규모 시위
http://joongang.joins.com/article/657/18555657.html?ctg=13


ハンギョレ
“전쟁법안 안돼…아베 그만둬라” 일본 국회 에워싼 성난 시민들
http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/706642.html

朝鮮日報
성난 열도 民心 "아베 물러나라" 12만명 모였다
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2015/08/31/2015083100105.html

ロイター通信
Huge protest in Tokyo rails against PM Abe's security bills
http://reut.rs/1Et6sao

安保法制反対デモ、最大規模に―国会前に12万人、坂本龍一さんも参加、「安倍やめろ!」の巨大バナーも(志葉玲さん) - Y!ニュース(2015年8月30日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20150830-00049000/

「戦争法案今すぐ廃案!」「安倍はやめろ!」地鳴りのような怒号が周囲に響きわたる。今日30日の午後、国会前のみならず、その周辺、日比谷公園まで、安保法制に反対する老若男女で埋め尽くされた。特に国会前は、歩道に人々が収まりきらず、警察の置いた鉄柵が決壊、車道いっぱいに人々があふれていった。主催者発表によると、本日15時50分の時点で約12万人の人々が国会前での抗議活動に参加したという(周辺での参加を含むのべ人数では「35万人」という情報も)。さらに、全国では300ヶ所以上で安保法制反対の催しが行われた。安倍政権への反発は、安倍首相が考えている以上に激しいものなのかもしれない。
.....

主催の「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」実行委員の高田健さんは「過去最大と言える規模ですね」と語る。「野党からも民主、共産、社民、生活の党首が集結してくれたのも大きい。特に小沢一郎さんは今までこのような催しに姿を見せることは無かったのですが、今回は参加すべきだと判断されたのでしょう」(高田さん)。
.....

今後も、総がかり行動は毎週木曜日(18時半〜)、SEALDsは毎週金曜日(19時半〜)に、国会前で安保法制反対の抗議活動を行う予定だ。


国会前の最前列では、無数の風船に吊られ「安倍やめろ!」と書かれた巨大横断幕が宙を舞い、国会正門前に設けられたメインステージとは別にあちこちで「憲法守れ!」等のコールが行われ、楽器が打ち鳴らされた。国会前には人々が収まりきらなかったため、日比谷公園でも人々が集まり、スピーチを行ったり、歌ったりしていた。

安保デモ:海外も注視…BBC「日本の若者は目覚めた」 - 毎日新聞(2015年08月31日)

http://mainichi.jp/select/news/20150831k0000e040168000c.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1204-51/mainichi.jp/select/news/20150831k0000e040168000c.html

東京・永田町の国会周辺で30日、安全保障関連法案に反対する数万人規模の抗議集会やデモが開かれたことについて、海外メディアは同日、英BBCが「日本の若者は目覚めた」と伝え、独第1、第2公共テレビが夜のメインニュースで報じるなど、強い関心を示した。【隅俊之、ブリュッセル斎藤義彦】
◇独TV「市民の反対増加」
BBCは「日本の若者は政治に無関心で無気力だと批判されるが、彼らは目覚め、沈黙することを拒否しているようだ」と報じた。デモ参加者へのインタビューを交えながら、「(安倍晋三首相が)この声を聞いているのかが問題だ」とも。英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の領土的野心への懸念から法案が準備されたと伝え「安倍首相は軍国主義の過去から学んでおらず、中国も同じ道を歩む危険がある」とのデモ参加者の声を紹介した。
日本と同じ敗戦国で現在は北大西洋条約機構NATO)の集団的自衛権に基づく作戦に参加しているドイツも関心を見せ、第1、第2公共テレビはそろって30日夜のメインニュースで取り上げた。安保関連法案を「戦後初めて自衛隊を海外での戦闘に参加させる法案」と解説し、「平和主義からの決別に市民が反対している」「安倍首相は9月中の法案成立を願っているが、逆に市民の反対は増えている」と伝えた。米CNNや通信社も「ここ数年で最も大きなデモの一つだ」(ロイター通信)などと報じた。
中国では、国営新華社通信が「『安倍首相は辞任しろ』などのスローガンが国会の上空に響き渡った」などと報道。国営中国中央テレビも夕方7時の定時ニュースで取り上げた。
また、韓国の京郷新聞(電子版)は「日本の誇る坂本も怒った」と、音楽家坂本龍一さんが国会前でマイクを握ったことを伝えた。

菅官房長官:国民に大きな誤解、丁寧に説明へ−安保法案反対のデモで - Bloomberg(2015年08月31日)

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NTVZRC6JIJUO01.html

ブルームバーグ):菅義偉官房長官は31日午前の記者会見で、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを柱とする安全保障関連法案に反対する大規模なデモが行われたのは国民の間で法案に対する誤解が生じているため、と指摘した。政府としては丁寧に説明して理解を求めていくという。
デモは労働組合や市民団体で構成する「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」や学生らのグループ「SEALDs(シールズ)」などが、10万人規模での参加を呼び掛けた。共同通信によると、30日に国会前で行われたデモの規模について主催者は12万人が参加したと発表、警視庁関係者は3万人余りとしているという。
菅氏は同法案について「一部野党やマスコミから、戦争法案あるいは徴兵制の復活という宣伝がされており、大きな誤解が生じていることは極めて残念だ」と述べた。デモに関しては「賛成のデモも実施されていた。国民の声にもさまざまな声があることも事実だろう」との見方を示した。政府としては「戦争法案とか徴兵制の復活とか、こうしたことでは全くないということを丁寧に説明していきたい」と語った。
国会前デモ
「戦争法案、今すぐ廃案」、「戦争反対、今すぐ廃案」――。小雨が降るなか決行されたデモでは、国会議事堂前の大通りを埋め尽くした参加者から繰り返しシュプレヒコールが上がった。
議事堂の正門は警察車両がずらりと並んでバリケードを築き、参加者は通りを挟んで建物を取り囲み、さらに街宣カーが設置された近くの霞が関の官庁街や日比谷公園まで押し寄せた。
デモに参加した民主党阿部知子衆院議員は「国民の声がどれ程広がり、安倍政権の支持率がどれほど落ちるかが事を動かす本質的な問題になってきている。民主主義の力が試されている」と意気込んだ。
川崎市から来た無職の後藤洋子さん(72)は地元で安保法案反対の署名活動を続けている。「街での訴えも好意的に受け止められている。今日の行動で潮目が変わるのではないかと期待している」と語る。
安保関連法案は7月16日に衆院を通過。参院平和安全法制特別委員会で審議が続いている。安倍晋三政権は今国会での成立を目指しており、会期を9月27日まで95日間延長した。
共同通信が15日に配信した世論調査では、内閣支持率は43.2%。安保法案に「賛成」は31.1%で「反対」は58.2%。

 

【国会前発〜第1報】「戦争法案反対」10万人 警察の規制線決壊(田中龍作さん) - BLOGOS(2015年8月30日)

http://blogos.com/outline/130998/

戦争法案に反対する人々の怒りが警察をはね飛ばした。
予兆は正午頃からあった。国会議事堂正門前に向かう参加者は引きもきらず、身動きが取れないほどになっていた。
警察は参加者を内側へ内側へと押し込めた。「窒息者が出たらどうするんだ?」。筆者は警察に抗議した。
それでも警察は中へ中へと参加者を押しやった。寿司詰め飽和状態へと達していた。
「龍作さん、決壊した!」。友人のカメラマンが怒鳴った。数えきれないほどの市民が国会議事堂前の車道に出ている。
午後1時40分。警察の規制線が決壊したのだ。
「アベは退陣、アベは退陣」。シュプレヒコールをあげながら若者たちが先導した。警察は懸命に抑え込もうとしたが、洪水となった人々を抑え込むことはできなかった。
両側で10車線の広い車道は、戦争法案に反対する人々で埋め尽くされた。
日比谷公園の集会を終えた市民も続々と押しよせた。「10万人国会包囲」は現実のものとなったのである。
30年余り続いたエジプトのムバラク独裁政権を倒した「タハリール広場」の集会(2011年1〜2月)のように、国会前を占拠し続ければ、安倍政権は倒れる。

国会議事堂前デモ 歩道に人があふれた瞬間(2015年8月30日) -Japanese Protest activity 2015.8.30-
2015年8月30日のデモの様子です。決壊して人が歩道にあふれて来ました。14時前後の出来事です。

2015年08月30日に実施された「戦争法案廃案!安倍政権退陣! 8.30 国会10万人・全国100万人大行動」(東京・永田町)の模様です。
高校生を中心とした「民衆の歌」や、SEALDsのコール

8月30日、安保法制反対の抗議活動/日比谷公園から国会前へ

Tens of thousands of Japanese protest against 'war law' - AJENews(2015年8月30日)

http://aje.io/mbqg

Tens of thousands of protesters have rallied outside Japan's parliament to oppose legislation that could see troops in the officially pacifist nation engage in combat for the first time since World War II.

In one of the summer's biggest protests ahead of the new laws anticipated passage next month, protesters on Sunday chanted "No to war legislation!" ''Scrap the bills now!" and "Abe, quit!"

Organisers said about 120,000 people took part in the rally in the government district of Tokyo, filling the street outside the front gate of the parliament, or Diet. Similar demonstrations were held across nation.

オランダの国営放送NOS(8.30 夕方のニュース)
国会議事堂前の集団デモを大きく報じた。
Massa-betoging in Tokio tegen actievere rol voor het leger
http://nos.nl/artikel/2054964-massa-betoging-in-tokio-tegen-actievere-rol-voor-het-leger.html

韓国SBS(8.30 20時のメインニュースのトップ)
国会前抗議活動を報道「日本、安倍はやめろ、12万人最大規模デモ」
http://news.sbs.co.kr/news/endPage.do?news_id=N1003146573

週のはじめに考える デモの民主主義が来た - 東京新聞(2015年8月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015083002000135.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1050-47/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015083002000135.html

きょうも国会周辺などで行われる「デモ」が力を増しています。民衆の声をのせた風が政治に吹き込む時、日本の民主主義はどう変わるのでしょうか。
いま、安全保障法制で政治が国民世論から離れていくのを目の当たりにして「居ても立ってもいられずに」「子や孫たちのため私たちの手で何とかしなければ」。全国各地で繰り広げられるデモの渦中で、多くの市民が口にする、政治への強い参加意欲です。
日本の政治空間にデモの存在感が増しています。東日本大震災後の「脱原発」以降、ここ数年で定着した大規模デモは、個別の利害が絡む従来の組織動員型デモと区別して、「草の根デモ」と呼ばれることがあります。
◆シアトルの教え
ほとんどはインターネットを介し、さまざまな生活感や価値観をもつ不特定の、つまり「草の根」の一般市民が自由につながり自発的に参加するデモの形です。
デモといえば思い浮かぶ光景があります。一九九九年十二月、米シアトルでの出来事です。
ちょうどインターネットが爆発的に普及したころ。世界貿易機関WTO)閣僚会議の周辺に世界から約五万人が集結した「反グローバリズム」運動は、草の根型デモのはしりでした。このデモが今に残した教えが二つあります。
一つ目は、ネットがもたらす連帯力の効果です。会議の専門的な議論を、ネットの交流で一般市民向けにかみ砕き、デモ参加の敷居を低くしたことでしょう。
二つ目は、暴力の逆効果。草の根デモの自由さゆえに統制が利かず一部が暴徒化し、民主主義的なデモの効果を自らそいでしまったことです。
さて日本のデモがここまで大がかりに定着してきたのはなぜか。シアトルの教えをなぞれば見えてきます。
◆参加の敷居を下げる
一つ目。市民レベルの議論が広まった背景には、原発政策をはじめ特定秘密保護法、安保法制と矢継ぎ早の国論を二分する大問題に対し、国民の関心がおのずと高まったことがあります。
さしずめ憲法や国民の命に関わる重大事では「選挙で全権一切を政権に預けたわけではない」との思いが、人々の政治参加意欲をかき立て、デモに向かわせたのでしょう。その過程で例えば安保法制では、自衛権の「集団的か個別的か」という政治家の議論が、ネットで「戦争か平和か」の選択に変換され、敷居を下げた議論の輪が広がっていったのです。
二つ目の暴力性は、当初の脱原発デモが暴力とは無縁の3・11追悼ムードから始まり、非暴力の流れが後のデモに根付いたことで、これも市民参加の敷居を下げデモの拡大を促しました。
日本の草の根デモはこうして、選挙とは別に、国民が求めた第二の参政権の使い方として定着しました。しかし、ここで問題となるのは、選挙を通じた議会制民主主義とデモとの関係です。
一二年春の脱原発デモ直後に、『「デモ」とは何か』(NHK出版)を著した五野井郁夫・高千穂大准教授がそこに引用した古い論文に興味深い考察があります。
いわゆる六〇年安保に際して、戦後を代表する政治学者、丸山真男氏が残した『議会政治をきずくには』の一節です。
要約すれば、議会内の「院内」政治と、デモなど社会運動による「院外」政治とを切り分けて、双方のずれをなくし、風通しをよくしていくことが、健全な議会政治には肝要なのだ、と。五野井氏はこれを踏まえ、議会制とは別の、デモによる直接民主主義への期待を記しています。
◆政治家の意識の中に
そして今日、安保法制に挑むデモは高、中、若年の各層に広がり規模拡大の勢いは止まりません。 昨年は騒音を理由に国会前のデモ規制まで示唆して強気だった政権も、その勢いに押されてか、今年七月の安保法案の衆議院通過はその週末に企画された大規模デモの前に急ぎ足ですり抜けた印象です。安倍晋三首相も法案通過後、国民の理解が進んでいないことを認めざるを得ませんでした。
世論調査の結果もあるでしょうが、政治家たちの意識の中にデモが大きな地位を占めてもいるはずです。これはもはや、デモが議会制と並ぶ第二の民主主義に成長した姿なのかもしれません。
ともかくも「院外」の市民たちは、デモの民主主義を日本の政治に打ち立てつつあります。
あとは「院内」政治が窓を開けて風を通すことです。健全な議会政治を築くため、デモの声に耳を傾けることです。さもなければ、デモで巻き上がった風は次の「院内」をつくる選挙に、何らかの形で吹き込んでいくはずです。

「いつか教科書に載る景色」 国会前デモ、なぜ広がった - 朝日新聞デジタル(2015年8月31日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000005-asahi-pol
http://megalodon.jp/2015-0831-1012-00/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000005-asahi-pol

安全保障関連法案を審議している国会議事堂は30日、法案反対の声に包まれた。安倍政権の政策すべてに反対というわけではないという人もおり、デモ参加者は立場を超えて法案反対で足並みをそろえた。今後はデモが一過性に終わらず、投票を通じた政治参加につながるかも焦点になる。
小雨の国会前。色とりどりの雨傘の間から学生団体の声が響き、労働組合や宗教団体ののぼり旗が林立した。老若男女が声を上げた。
喧噪(けんそう)の中心に、学生団体「SEALDs(シールズ)」がいた。正式名称は「Students Emergency Action for Liberal Democracy−s」(自由と民主主義のための学生緊急行動)。憲法記念日の5月3日に、都内の大学生十数人が中心になって立ち上げた。彼らの声は、ツイッターなどを通じて拡散。毎週金曜日の抗議活動は、回が重なると人数が増えた。
早稲田大1年の広内恒河(こうが)さん(19)は「いつか教科書に載る景色ですね」と漏らした。安保法案は「解釈改憲というプロセスが違憲」と思う。アベノミクスは「必要な施策」と肯定的だが、地元の岩手で総選挙前に街頭演説をした安倍晋三首相が、安保法制にあまり触れなかったのが疑問だった。「安保法案が後で出てきた。だますつもりだったんだ」と思い、7月から国会前に足を運んでいる。
都内の弁護士の男性(77)は、「山積みの仕事」を放り出して、国会前に足を運んだ。「これだけの声を反映できない安保法案は、国民主権をないがしろにするものだ」と話す。
60年安保闘争の光景が浮かぶ。学生仲間と腕を組み国会前を歩いた。「動員が多かったからね。今日は市民が自発的に集まっている。いい光景じゃないか。民主主義が定着したんだね」と目を細めた。

安保法案抗議集会:国会議事堂取り囲み「戦争法案反対!」(写真特集) - 毎日新聞(2015年8月30日)

http://mainichi.jp/graph/2015/08/30/20150830k0000e040122000c/003.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1014-45/mainichi.jp/graph/2015/08/30/20150830k0000e040122000c/003.html

届かぬ民意 危機感結集 全国200カ所以上で安保法案反対 - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083102000127.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1017-47/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083102000127.html

安全保障関連法案に反対する人々が三十日、全国で一斉に抗議の声を上げた。国会周辺では、市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」主催のデモに十二万人(主催者発表)が参加し、法案反対デモとしては最大規模となった。実行委によると、一斉行動の呼び掛けに応じた各地でのデモや集会は、少なくとも二百カ所以上に及んだ。 
国会周辺では、官庁街の歩道や日比谷公園など六カ所にステージや街宣車を置き、野党党首や学者、作家、法律家などが法案の廃案を訴えた。警視庁は参加者が車道に出ないよう機動隊の車両を並べ、柵で規制したが、メーンステージがある国会正門前は歩道に収まりきらず、車道も人の波で埋まった。
昨年七月に中咽頭がんを公表し今夏まで治療に専念していた音楽家坂本龍一さんも、予告なしに国会前に現れた。「壊されようとしている民主主義と憲法を取り戻すことは、自分たちで血肉化すること」と訴え、この日のデモを「一過性のものにしないで」と呼び掛けた。
「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」の奥田愛基(あき)さんもマイクを握り、「憲法は俺たち一人一人の権利。それを無視するのは国民を無視すること」と政権を批判した。

坂本龍一さんら各界著名人も市民と連携 - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083102000125.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1018-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083102000125.html

◆音楽家坂本龍一さん
◆作家・森村誠一さん
◆映画監督・園子温(そのしおん)さん
◆ヘリ基地反対協議会共同代表・安次富浩(あしとみひろし)さん

坂本龍一さん、国会前で演説 「日本にもまだ希望がある。本当によかった」(全文・動画)(吉野太一郎さん) - (2015年8月31日)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/30/sakamoto-ryuichi-speech_n_8061622.html?utm_hp_ref=tw

【スピーチ全文掲載】「ものを書く人間として絶対に許せない」- 作家・森村誠一氏が国会前でスピーチ 「戦争は最も残酷なかたちで女性を破壊する」- IWJ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/260728

野党4党首がデモ参加 廃案に向け決意表明 - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015083102000111.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1021-05/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015083102000111.html

民主党岡田克也代表ら野党四党首は三十日、国会周辺で行われた安保関連法案反対を訴えるデモに参加し、国会正門前でそれぞれ廃案に向けた決意を表明した。岡田氏は「多数の国民が危機感を持って怒っていると安倍政権に分からせなければいけない。十年、二十年たって『あの時あなたたちは何をしていたのか』と言われないよう徹底的に頑張る」と訴えた。共産党志位和夫委員長は「審議すればするほど、安倍政権はまともな答弁ができず、追い詰められている」と指摘。「ここまでぼろぼろになった戦争法案は廃案にするしかない」と強調した。
生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎共同代表は「私は今までこういう集会に顔を出したことはほとんどない。しかし今回だけは危険な法案を阻止しなければならないという思いで皆さんの前に立った」。社民党吉田忠智党首は「安倍首相の積極的平和主義は時代遅れだ。平和憲法の理念を生かす安全保障政策こそ求められる」と主張した。

(筆洗)この夏も、やがてあの夏になる - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015083102000171.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1022-18/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015083102000171.html

<この夏も、やがてあの夏になる>。コピーライターの仲畑貴志さんによる、コーヒー会社の広告(一九九三年)を秋の訪れの時期に思い出す。明日からは九月である。
猛暑日続きで憎らしかった、この夏もあの夏という過去の呼び方になるのかと思えば少々寂しい。八月の後半は気温も落ち着き、付き合いやすい夏でもあった。
この夏は戦後七十年の夏でもあった。原爆忌終戦日に「あの戦争」を振り返り、日本の将来についてあらためて考えた方も大勢いらっしゃるだろう。安保法制をめぐる議論も重なり、戦争やそれに類いする動きを警戒する世の中の空気を強めたかもしれない。
『猫のゆりかご』などの米作家で二〇〇七年に八十四歳で亡くなったカート・ヴォネガットさんが最後のエッセー集『国のない男』にこんなことを書いている。「わたしは、わたしの孫と同世代の人々に心から謝りたい。そう、この地球はいまやひどい状態だ」。何もできなかった自分の世代から、次の世代に向けた詫(わ)び状である。
全国各地での安保法制に反対する大規模デモ。声を上げたのは、「この夏」に悔いを残したくない人だろう。遠い将来「あの夏、おじいちゃんは何をしていたの」と孫に聞かれ、「何もしなかった」とは詫びたくないと考える人々だろう。
安保法制をめぐる攻防は続く。抗議の夏を「あの夏」と呼ぶのはまだ早い。

(天声人語)戦後70年の夏が過ぎ去ろうとしている - 朝日新聞(2015年8月31日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S11940027.html?ref=tenseijingo_backnumber
http://megalodon.jp/2015-0831-1023-08/www.asahi.com/paper/column.html?iref=comtop_pickup_p

戦後70年の夏が過ぎ去ろうとしている。平和と安全保障と憲法核兵器原発歴史認識。多くのことが語られた8月の言葉から。
『敗北を抱きしめて』の著者で米国の歴史家ジョン・ダワーさんは、「反軍事の精神」こそ日本のソフトパワーだと説く。「国民は70年の長きにわたって、平和と民主主義の理念を守り続けてきた。このことこそ、日本人は誇るべきでしょう」
だが、安保関連法案の審議は進む。長崎市の田上富久(たうえとみひさ)市長は平和宣言で指摘した。「70年前に心に刻んだ誓いが、日本国憲法の平和の理念が、今揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっています」
原発ゼロ」が終わった。前茨城県東海村長の村上達也さんは川内原発再稼働を批判する。福島の事故を忘れたのか、と。「我々はあの日を境に、以前と別の世界を生きている。そのことをこの国はかみしめるべきだ」
戦後70年の安倍談話の評価は割れた。アメリカ政治外交史が専門の西崎文子(ふみこ)・東大教授は、「安全運転」の結果と読み解く。「過去の首相談話から大きく逸脱しなかったのは、安倍政権の安保政策や歴史認識に不安をいだく『国民世論』を無視できなくなったから」
違憲」の安保法案に反対する若者の声が高まる。憲法学者樋口陽一さんは彼らに希望を見る。「一人ひとりが自分の考えで連帯する、まさに現憲法がうたう個人の尊厳のありようです。憲法が身についている、ということです」。民意の力の見せどころが続く。

揺れる創価学会員 安保法案で自民と協調「おかしい」 - 東京新聞(2015年8月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015083002000118.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1052-50/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015083002000118.html

公明党の支持母体・創価学会の会員が安全保障関連法案をめぐり揺れている。自民党と共に法案を推し進める姿勢に疑問を抱き、学会の旗を持ってデモに参加したり、法案の撤回を求めて署名を集めたりする会員も。学会に詳しい専門家は「学会が求めてきた庶民感覚に基づく平和主義と、右傾化する自公連立政権の政策が離れてきたため」とみる。 (安藤恭子

「被害者も加害者もいや」 安保法案抗議 きょう「10万人集会」 - 東京新聞(2015年8月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083002000131.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1054-10/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015083002000131.html

安全保障関連法案に反対する市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が三十日、参加者十万人を目標に東京・永田町の国会周辺などで抗議集会を開く。本番を前に、集会に参加する学生グループ「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」や各地の若者グループら計十二団体が二十九日、東京都内で記者会見を開き、意気込みを語った。
沖縄県在住、出身の学生らで終戦の日の八月十五日に結成した「SEALDs RYUKYU」の元山仁士郎(じんしろう)さん(23)=同県宜野湾(ぎのわん)市出身、国際基督教大四年=は「安保法案が通れば、沖縄は日本の戦争へ加担することになる。被害者にも加害者にもなりたくないと訴えたい」と語った。
国会前の集会は三十日午後二〜四時で、学者や作家の室井佑月さんら文化人のほか、シールズのメンバーもスピーチする。都内では、国会周辺の日比谷公園や外務省前、財務省前などでも同時に開かれる。実行委によると、この日は全国で少なくとも三百カ所以上のデモや集会が予定されているという。

「諦めずに声上げる」 高崎で安保法案反対集会;群馬 - 東京新聞(2015年8月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150830/CK2015083002000169.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1055-33/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150830/CK2015083002000169.html

参院で審議中の安全保障関連法案に反対する「アベ政治を許さない!戦争法案を廃案に! 8・29群馬大集会」が29日、高崎市の高崎城址(じょうし)公園で開かれた。法案成立への危機感が高まる中、県内の民主、共産、社民の3党が結束し、法案関連の集会では県内最大規模となる約2000人(主催者発表)が参加。集会後にデモ行進した。 (菅原洋)

安保転換を問う・南シナ海と日本 - 毎日新聞(2015年8月31日)

http://mainichi.jp/opinion/news/20150831k0000m070116000c.html
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◇関与の危うさ議論せよ
自衛隊と米軍の軍事一体化をさらに進め、日米同盟の抑止力を高める。これにより南シナ海東シナ海で活発化している中国の海洋進出に対応する。安全保障関連法案の目的は、突き詰めれば、こういうことだ。
ならば、いま国際社会の懸念の的となっている南シナ海の情勢に、日本は関与すべきか否か、どんなリスクがあるのかについて、国会でもっと議論すべきではないか。
周辺国が領有権を争う南シナ海南沙諸島で、中国は七つの岩礁を大規模に埋め立て、人工島を建設している。6月末には埋め立てを完了し、次の段階として軍事目的を含めた施設の整備を進めると表明した。
米軍は、自衛隊南シナ海でパトロールをすることに期待感を示す。中谷元防衛相は、同海域での警戒監視活動について「具体的な計画はない」としながら「今後の課題」とも述べ、将来的な活動に含みを残す。
南シナ海で中国の一方的な現状変更の動きをどう止めるかは、国際社会にとって重要な課題だ。だが、日本の領土から遠く離れた南シナ海での警戒監視活動が、日本がやるべきことなのかは、慎重に考える必要がある。警戒監視に踏み込めば、中国を刺激し、不測の事態を招く可能性も高まるだろう。
安保関連法案の中核をなす重要影響事態法案のもとでは、南シナ海でフィリピンやベトナムと中国が衝突したような場合、政府が日本の平和と安全に重要な影響を与える事態と認定すれば、自衛隊は米軍だけでなくフィリピン軍やベトナム軍に後方支援ができる。対象国は限定されない。地理的な制約もかからない。
事態の認定にあたっては、国連決議は必要ない。国会の承認は、原則として事前に得ることになっているが、緊急の場合は事後承認でいい。
重要影響事態で自衛隊が後方支援活動をしていて、日本の存立が脅かされる存立危機事態に発展したと認定されれば、集団的自衛権の行使もできるようになる。
中谷氏は「南シナ海の状況は、現時点で、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に当たると考えていない」という。その通りだろう。だが、法的な枠組みが整えば、将来的な可能性は排除されなくなる。
安保関連法案は、日米同盟の抑止力を高めることを目的とした法案ではあるが、同時に大きなリスクを抱えている。日米中関係の将来像や、日本が南シナ海情勢にどう関わるべきかという根本的な議論を欠いたまま法案を通し、自衛隊がなし崩し的に南シナ海での活動を拡大することがあってはならない。

絵がいじめから救ってくれた 宇都宮の18歳に広がる共感の輪:栃木 - 東京新聞(2015年8月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150831/CK2015083102000156.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1025-41/www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150831/CK2015083102000156.html

森山さんは中学時代、同級生から教室の黒板に悪口を執拗(しつよう)に書かれたり、暴力をふるわれたりするようになった。現場を見ていたはずの先生も手を差し伸べてくれなかった。母親にさえ悩みを打ち明けられず、ストレスで円形脱毛症に。必死に通学を続けたが、中学三年の修学旅行での壮絶ないじめがきっかけで、自宅に閉じこもるようになった。
母親の純子さん(54)は「そんなに嫌なら無理に学校に行かなくていい」と声を掛け、森山さんの話を粘り強く聞いた。自宅で少しずつ好きな絵を描くようになった森山さんは、純子さんと一緒に公募展に出品するなどし明るさを取り戻した。
すると、各地のギャラリーから「うちに作品を出してみないか」という声が寄せられるように。広く作品を見てもらいたいとの思いが強まり、昨年、大好きな「森」「山」「馬」の字を入れた、海外の人でも発音しやすいペンネームにした。
企画展には「私は不登校だけど、将来は絵の仕事をしたい」と話す少女や、「三十代の息子が引きこもりになり、社会復帰できていない」と涙ぐむ母親など、葛藤を抱えた人々が訪れる。そのたび、相手の話にじっくりと耳を傾けてきた。
森山さんは、自宅に閉じこもっていたころに描いた「真っ暗な時間」という作品を指した。「当時は死を考えたし、暗い絵しか描けなかった。でも、たとえ死を選んでも、いじめっ子は平気で生きていくんですよね」。そして、色鮮やかな作品群を見て、こうほほ笑んだ。
「大好きなことを続けていかないと人生がもったいない。私の作品を見て、そう思ってもらえたらうれしいです」

森山 馬好 夢のアート展
会期 7月11日(土)〜9月28日(月)A館企画展示室
休館日 7月14日(火)・9月1日(火)・8日(火)・15日(火) 

旧陸軍軍医「捕虜虐待」で処刑 戻らぬ名誉 悲劇の「戦犯」 - 東京新聞(2015年8月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082902000231.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1051-41/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082902000231.html

戦時中に米兵捕虜を虐待したとして米軍の軍事裁判で絞首刑となった旧日本陸軍の軍医がいる。桑島恕一(じょいち)大尉で、当時の部下らの証言からは、捕虜収容所の医療環境改善などに奔走した姿が浮かんだが、裁判では一度も陳述の機会を与えられることはなかった。「加害者」として裁かれた七十年前の悲劇は、今も遺族らに重くのしかかる。 (編集委員・吉原康和)
国立国会図書館に所蔵のBC級戦犯の生き残りの手記や証言集「戦犯裁判の実相」を、日本ウェルネススポーツ大学の工藤美知尋(みちひろ)教授(日本海軍史)が分析した。
桑島さんは一九四三年一月〜四四年三月、旧満州(中国北東部)の奉天捕虜収容所付の軍医として勤務。終戦後の四六年五月に戦犯容疑で逮捕され、同年九月十六日、中国・上海での米軍裁判で絞首刑の判決を受け、四七年二月一日に執行された。三十歳だった。
証言集の記述などによると、裁判では「医薬品の供与、および治療、手当などを怠り、多数の捕虜を死亡するに至らしめた」ことが虐待行為に当たるとされた。米国人の官選弁護人が一人付いたが、十日間ほどのスピード審理で、弁護人は「発言することは不利になるとも有利にならぬから」と一言も発言させなかったという。
証言集に収録の桑島さんの直属の部下、三木遂中尉(故人)の提出資料によると、四二年十一月に収容所に移されてきた約千三百人の米兵捕虜の大半は、栄養失調やマラリアなどに苦しんでいた。
桑島さんは軍医や衛生兵などを大幅に増員させたほか、軍首脳に直談判して、収容所の医務室を給食や入院患者の診療も可能な病院並みの施設に改善させるなどした。
この結果、三木さんは「数多くの捕虜が快癒して日本の敗戦後、健康で故国に還(かえ)っている。桑島氏は捕虜一同から、感謝の誠心をささげられるべき救命者だった」と記している。
陸軍病院の上司だった小林茂さん(故人)も「捕虜たちからいくたびか感謝状をもらい、それが医務室に飾られてあるのを私はこの目でしばしば見た」などと、遺族に語ったという。
工藤教授は「BC級戦犯の悲劇の典型例のひとつ。米軍占領初期の軍事裁判では、日本に対する『見せしめ』や『報復』の雰囲気が強く、遺族側も連合国軍総司令部(GHQ)や世間の目をはばかって名誉回復の声を出しにくかったのだろう」と話す。

<BC級戦犯> 第2次大戦後、「通例の戦争犯罪(戦争の法規または慣例の違反)」や「人道に対する罪」に当たるとして、連合国から訴追された元軍人ら。主に占領地の住民や連合国の捕虜への殺害、虐待行為が問われた。約5700人が起訴され、後に減刑されたケースも含めて約1000人が死刑判決を受けたとされる。日本の軍人・軍属らは横浜や上海、マニラなど各地の軍事法廷で裁かれた。

習志野収容所100年 ドイツ兵の日記初公開:千葉 - 東京新聞(2015年8月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150830/CK2015083002000183.html
http://megalodon.jp/2015-0831-1056-41/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20150830/CK2015083002000183.html

第一次世界大戦中の一九一五(大正四)年九月、現在の習志野市習志野に開設された「習志野俘虜(ふりょ)収容所」にいたドイツ兵の日記が、佐倉市国立歴史民俗博物館の企画展で展示されている。日記は二年前、遺族から習志野市に寄贈され、今回が初の一般公開となる。日独戦で捕虜となった独兵の日記や回想録はいくつか存在するが、日本に保管されているものは珍しい。習志野市教委は「今年は収容所設置百年。習志野とドイツとの関わりを振り返る、またとない機会」と話している。 (服部利崇)
この独兵は海軍の水兵、エーリッヒ・カウル(一八九一〜一九四一年)。当時独の租借地だった中国・青島にいた一四年十一月、参戦した旧日本軍の捕虜となった。東京・浅草の収容所を経て、一五年九月から一九年十二月まで習志野収容所で過ごした。
日記は縦二〇・三、横一六・五、厚さ一・九センチ。一四〜二〇年の記述が二百十五ページ超につづられている。日本で入手したのか、裏表紙に「篠崎謹製」と箔(はく)押しされている。独で出版され存在は知られていたが、実物が二年前にカウルの孫から習志野市に寄贈された。
記述の大部分は収容所生活で、市社会教育課主査の松浦史浩さん(45)は「ほぼ毎日、日々の出来事を淡々と記しているのが特徴」と話す。一方で、一七(大正六)年に習志野を襲った台風被害や、食事への不満は詳細に記されている。
収容所には最大千人弱の独兵捕虜がいた。自由を制限される一方、所内でオーケストラ演奏などを行ったり、ソーセージ製法などの技術指導もしていた。松浦さんは「ドイツ兵の捕虜が書いた記録で、市内にあるものは唯一。歴史民俗博物館での展示後、年内にも習志野で公開したい」と話している。
国立歴史民俗博物館で行われている展示会は「ドイツと日本を結ぶもの−日独修好150年の歴史」と題し、九月六日まで開かれている。習志野市は日記のほか、独の捕虜が作り、近隣住民に贈ったとされる工芸品「ボトルシップ」二点も出展している。展示会の問い合わせは、ハローダイヤル=03(5777)8600=へ。