(築地移転)小池都知事のウソ、ホント 3ヵ月後に判明 - 田中龍作ジャーナル(2016年8月1日)

http://tanakaryusaku.jp/2016/08/00014169

都知事選の最中、豊洲への移転問題で揺れる築地市場を訪問し「いったん立ち止まる。さまざまな問題について検証する必要がある」と表明した小池ゆりこ新都知事。(7月22日)
仲卸業者の間では、新知事が最低でも「移転の延期」を表明してくれるのではないか、との期待がある。
民主党(現・民進党)に手ひどい裏切りを受けた築地の業者は、小池発言を真に受けるほど世間知らずではない。だが「検証する必要がある」とする新知事の言質を取っていることも確かだ。
移転先に予定されている豊洲は、土壌に環境基準を大幅に上回る毒性があることが、確認されている。
にもかかわらず行政(東京都)は問題をクリアしないまま移転を強行しようとしている。豊洲新市場の開場予定は11月7日と勝手に決め公表してしまった。
環境問題ばかりではない。開場を急ぎ過ぎたため、設計もずさん。手狭なためマグロ包丁を使うのにも不自由を来す始末だ。たまったものではない。
都知事選挙の翌日、移転に反対してきた市民グループが、観光客や出入り業者に「築地でええじゃないか」と訴えた。
築地の守り神である「波除神社」前で鳴り物やギターを手に「移転反対」を呼びかける姿を外国人観光客は写真に納めた。
築地を訪れるのが4度目という米国人(カリフォルニア在住)は、毒性のある豊洲への移転を知っており「私は(あそこ=豊洲へ)行きたくない」と肩をすぼめた。
市民グループは知事の発言を実行してもらうべく、さまざまなスタイルで陳情を行う予定だ。
東京都議会(定数127)のうち豊洲への移転に賛成する自・公・民の議席は97。圧倒的多数だ。
銀座と隣り合う広大な築地市場の再開発は巨大な利権である。
小池新知事が利権を死守せんとする議会に切り込めるのか?まずは11月7日の移転予定日を延期できるのか?
口から出まかせのウソであれば、3ヵ月後にそれが判明する。
〜終わり〜

発言コロリ 小池百合子氏「築地移転立ち止まる」の真意 - 日刊ゲンダイ(2016年7月23日)

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/186325

これぞポピュリスト政治家の真骨頂だ。
小池百合子候補が22日、11月に移転を控える築地市場を視察。そこで演説し、こう明言した。
「築地の問題については移転に反対している人の声もある。そういう状況の中では、いったん、立ち止まるべきと考えます。さまざまな問題について検証する必要がある」
日刊ゲンダイ本紙既報(19日発売)の通り、これまで小池氏は移転先の豊洲で演説しても築地の問題について一切触れず、記者の直撃を受けても「いま検討中」と曖昧な態度に終始していた。
しかし、築地に行き、移転反対の業者らを前にしたら、発言をコロッと変えたのだ。
演説後、移転に反対する仲卸業者でつくる「躍進する市場の会」が、新市場の開場予定日の延期を求める「要望書」を小池氏に手渡した。仲卸業者のひとりは「延期に期待したい」と明るい表情を見せていたのだが、ちょっと待て、だ。小池氏は「立ち止まる」とは言ったが、「延期する」とは言っていない。実際、記者のぶらさがり取材で、「開場を延期するのか?」と聞かれると、「まずは検証してから」とお茶を濁した。
霞が関の“行政用語”で「検討する」イコール「やらない(検討した結果、やらないことになった)」の意味だというのは有名な話だが、「検証の結果、問題があれば延期する」とまでは絶対言わない小池氏も、同類にみえるし、信用ならない。選挙の票集めのためなら、上っ面の言葉で有権者をペテンにかけるのか。

“改革派”自任の小池百合子氏 豊洲で移転問題に一切触れず - 日刊ゲンダイ(2016年7月19日)


http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/185938

自民党都連のドンを敵に回し、都議会と対決ポーズ全開の小池百合子候補だが、「改革派」は本当なのか? 週末、築地市場の移転先の豊洲で小池氏が演説するというので取材に行ってみたが、築地移転の問題には一切触れずじまいだったのだ。
17日、午後6時から豊洲で街頭に立った小池氏。目と鼻の先に新市場の予定地があるのにもかかわらず、話したのは「環境大臣の時にクールビズを導入した」「熊本地震で液体ミルクを持って現地に駆け付けた」といった自慢話が中心。熊本県議が応援に来ていたとはいえ、豊洲新市場に一言も言及しないとは、あまりにお粗末じゃないか。
土壌汚染問題が払拭されていない豊洲新市場は新知事にとって懸案事項のひとつだ。小池氏は「改革派」のうえにシンボルカラーを「緑」にして「環境派」もアピールしている。それなのに、いまだ市場関係者の間でも反対の声が根強い豊洲移転を進める都や自民党都連に対し、異論を唱えていないのだ。
小池氏は出馬会見後のぶらさがり取材で、土壌汚染の情報公開が第一としながらも「なかなか(豊洲に)移らないのは、むしろ後継ぎの問題だと思います」と発言。移転強行の都や都議会を追及する姿勢は希薄だった。この日も、演説後に本人を直撃すると、「いま検討中です」。都連のドンを攻撃する演説とは打って変わって、歯切れが悪かった。
築地市場豊洲移転については、日刊ゲンダイが何度も指摘しているように土壌汚染以外にも課題山積だ。開場予定が11月7日に迫る中、仲卸業者の多くが移転反対で開場延期を訴えている。実際、「新市場は設備の重量に耐えきれず、店舗の床が抜ける」「海水が使えず、ボウフラやコバエが湧いてしまう」など設備の“欠陥”が発覚。建設費が1・5倍に増大した利権疑惑の闇もある。
もともと、築地の移転は都政与党の自公主導で進められてきた。市場関係者や都民の声に耳を傾けず、選挙中に見直しを明言しないのなら、「改革派」も「環境派」も看板倒れだ。「東京大改革」を旗印にしている小池氏だが、都知事になったら自民都連傀儡政権と化す可能性大だ。
ちなみに、自公が推す増田寛也候補は予定通り移転推進だろう。一方、「移転中断」を公約にしていた弁護士の宇都宮健児氏の政策を引き継いだ鳥越俊太郎候補は、「ゼロベースで考えていきたい」と見直しの立場だ。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一氏)

(筆洗)どうやら崖から飛び降りた女性は無事に着地し、願い事をかなえたようである - (2016年8月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016080102000138.html
http://megalodon.jp/2016-0801-0905-17/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016080102000138.html

どうやら崖から飛び降りた女性は無事に着地し、願い事をかなえたようである。東京都知事選である。「崖から飛び降りる覚悟で」と出馬会見でおっしゃっていた小池百合子さんが当選した。女性初の都知事である。
自民党推薦を得られず、不利な状況を装ってはいたが、本音では、自民党の助けなど邪魔だったのかもしれない。
自民党都連の「意地悪」にもめげずに一人戦う強い女性。そのイメージ戦略で自民党推薦の増田さんへの投票をためらう層にも浸透したようである。崖から飛び降りると悲壮なお顔をしながら、ちゃっかり天高く舞い上がれる羽衣かメリー・ポピンズの傘でも隠していたか。なかなかの戦略家である。
「厚化粧の大年増」。石原慎太郎さんの選挙中の小池さんへの発言だが、この手の時代遅れの発言も、羽衣を飛翔(ひしょう)させる追い風となったに違いない。
選挙上手、戦略家であることは分かったが、問題は課題山積の都政運営の手腕である。ご本人自慢のクールビズの導入とはわけが違う。再び政治とカネの問題が出れば、羽衣は切り裂かれよう。
古今亭志ん生さんの「羽衣の松」。羽衣を拾った男が天女に夫婦約束を迫るのだが、だまされ、逃げられてしまう。男が恨めしげに「今、言ったことはどうするんだい」。大空の天女は、「全部、空事だよ」。選挙中の公約が天女の絵空事では都民は浮かばれぬ。

(余録)権力のリアリズムを説いた「君主論」のマキャベリは… - 毎日新聞(2016年8月1日)

http://mainichi.jp/articles/20160801/ddm/001/070/181000c
http://megalodon.jp/2016-0801-0909-33/mainichi.jp/articles/20160801/ddm/001/070/181000c

権力のリアリズムを説いた「君主論」のマキャベリは15〜16世紀のフィレンツェの男だから、この書物には女性についてのひどいたとえもある。君主に欠かせない「力」と「運」の2条件のうち、運命との対決を説くくだりでこんなことを言う。
「運命は女神であり、それを支配しておこうとするならば打ちのめしたり突いたりする必要がある」。むろん人の行動は運命に合致すれば成功し、しなければ失敗する。だがマキャベリによれば、運命の女神は慎重な人より、強気な人の果断に従いやすいというのだ。
さて男性が女性に暴力をふるうなど言語道断(ごんごどうだん)となった今日では、女性初のトップの座をめざす政治家が果敢な先制行動に出て運命の女神を出し抜く事態も生じる。所属する自民党に断りもなくいち早く立候補を表明して、東京都知事選に大勝した小池百合子(こいけゆりこ)氏だった。
前知事辞職による突然の選挙で、直前に参院選もあった都知事選である。与野党両陣営の候補者選びの遅れを突き、むしろ都議会自民党との対決姿勢を強烈にアピールして幅広い支持を集めた小池氏だった。党の推薦を得られぬ逆境を追い風に変えた運命逆転である。
2020年五輪にむけて国際的にも東京の顔となる初の女性都知事誕生だ。しかし都民にすれば超高齢化や待機児童、首都防災など足元の待ったなしの難題にすぐにも応えてもらいたい。選挙戦を盛り上げた都議会との対立の演出だけで解決できる問題は何一つない。
「運に依拠せぬ君主権の方が容易に維持される」もマキャベリだ。そう、王のもう一つの条件たる「力」、都知事としての力量がいよいよ試される。

宇都宮氏が明かす、鳥越氏の応援演説しなかった理由 - 日刊スポーツ(2016年8月1日)

http://www.nikkansports.com/general/news/1687569.html
http://megalodon.jp/2016-0801-0225-09/www.nikkansports.com/general/news/1687569.html

日弁連会長の宇都宮健児氏(69)と、同氏を支援する「希望のまち東京をつくる会」は31日、文書を発表し、野党統一候補となった鳥越俊太郎氏(76)の応援演説を行わなかった件に関する経緯を明らかにした。文書の冒頭で、双方が数回の調整を行ったものの、結果的に合意に至らなかったとしている。
宇都宮氏と同会は、鳥越氏の陣営から応援要請があったことを受け、7月27日付で鳥越氏宛てに文書を送付した。その中で、築地市場の移転作業を停止し、関係者を入れて計画を見直すことなど、7つの政策の実現に向けて誠実に努力することを求めた。
さらに「女性の人権問題について」と題し、「週刊文春」と「週刊新潮」で報じられた女性問題について「鳥越候補自らが記者会見など公開の場で説明責任を果たし、被害者女性への配慮を示すこと」を求めた。
文書の中で、宇都宮氏と同会は「鳥越候補は、根拠を述べることなく『事実無根』として、刑事告訴まで行っています。しかし、私たちはこの記事そのものから見て、事実無根と考えることはできません。むしろ、女性とその関係者の証言まで否定することは、被害女性に対するさらなる人権侵害となる可能性があります」と指摘した。
加えて、鳥越氏がテレビなどの討論会を欠席していることに対しても「明日(28日)朝以降、候補者間の政策討論等の機会があるならば、欠席しないこと」とも求めた。
鳥越氏サイドから返答があったことを受け、宇都宮氏と同会は、翌28日に再び鳥越氏宛てに文書を送った。その中で、鳥越氏の女性問題に関する返答に対し「具体的な報道内容を見る限り、これを『事実無根』として退けられる案件とは考えられません。また、『事実無根』だとする説得力ある反証も挙げられていません」「被害を受けたという女性がおられる以上、都知事候補として、どのような事実があったのかを自ら公開の場で説明し、被害女性および都民の納得を得る責任があると考えます」と指摘した。
その上で、宇都宮氏は「私はこれまで多くの人権問題に携わってきました。その原則をここで曲げることはできません。鳥越候補がこれまでの対応を撤回せずに説明責任を果たされないとすれば、きわめて遺憾ではありますが、都民に対してあなたを都知事にふさわしい方として推挙することができず、応援に立つことはできません」とつづった。
女性問題について説明責任を果たさなかった鳥越氏の姿勢が、宇都宮氏が応援演説に立たなかった、最大の要因だったことが明らかになった。

ジャーナリストの上杉隆氏「選挙では負けたが、政策で勝った」と“勝利宣言” - 産経ニュース(2016年7月31日)

http://www.sankei.com/politics/news/160731/plt1607310039-n1.html
http://megalodon.jp/2016-0801-0913-29/www.sankei.com/politics/news/160731/plt1607310039-n1.html

東京都知事選に出馬したジャーナリストの上杉隆氏(48)は31日午後7時半前、東京都中央区日本橋浜町の選挙事務所に姿を現した。支援者約50人が詰めかけ、テレビの開票速報を固唾をのんで見守ったが、午後8時、小池百合子氏(64)が「女性初の都知事」の座を確実にしたことが決まると、支援者から「あーあ」「早かったな。強かったね」と落胆の声が漏れた。
漆黒のスーツに身を包んだ上杉氏は支援者らを前に「政策論争を徹底的にやることができた。私の政策は財源も担保していた。選挙では負けたが、政策で勝った」と“勝利宣言”し、「小池さんよりも先に…」と、だるまの目に墨を入れた。
選挙戦では「首都直下地震死者、都内養護老人ホーム待機者、都内保育所待機児童をゼロにする」と掲げ、知事給与についても「返上する」と明言。「東京に恩返しをしたい」と訴えたが、届かなかった。
選挙戦最終日は「21人の候補を全部見て。死に票はない。勝った人がみんなの分までやる」と投票を呼びかけていた上杉氏。今回の都知事選は「政党やイデオロギー、大きな組織が決める選挙ではなく、一人一人の都民が政策論争で決める選挙」と意義を強調した。
小池氏ら他候補と、政策を交換したこともあったといい、上杉氏は「東京都のために役立つことができたのではないか」と選挙戦を振り返り、「都政を良くするという旅はまだまだ始まったばかり。まだ40代なので、引き続き力を貸してほしい」と語った。

高浜原発のトラブル整備に380億円、安全対策に疑問の声も - 女性自身(2016年8月1日)

https://gunosy.com/articles/azPXT
http://megalodon.jp/2016-0801-1013-32/https://gunosy.com:443/articles/azPXT

再稼働にむけた原発のトラブルが相次いでいる。7月末に再稼働が予定されていた伊方原発3号機で17日、原子炉の冷却水を循環させるポンプから水が漏れ出るトラブルがあり、再稼働が8月以降に延期。高浜原発4号機でも、今年2月に再稼働した直後、変圧器周辺でトラブルが起き、原子炉が自動停止。
「そもそも、5年以上停止させている原発を動かすこと自体が大きなリスク。どんな機械でも、しばらく使っていないものを動かせば不具合が生じる。原発みたいに複雑なシステムなら、なおさらです」
と話すのは、東芝原子力プラントの設計をしていた後藤政志さん。リスクのある原発の安全対策はどうなっているのか――。現場を取材した。
高浜原発正門前では、土ぼこりをあげながら、工事車両が行き交っていた。原発事故時に車両がスムーズに通行できるようにと、山をくりぬき“原子力災害制圧道路”を作っているのだ。総工費は、なんと約380億円。財源はすべて国の交付金だ。そんな大金をかけて整備しないといけないほど、再稼働は危険なのか。
「ここ若狭湾は、地震が起きると同時に津波が襲う可能性があるんです」
そう語るのは、京都大学名誉教授で地質学者の志岐常正さん。地震津波のメカニズムを、次のように説明する。
「高浜原発が立地している若狭湾周辺には、大小さまざまな断層が網の目のように走っています。地震が起きると断層に囲まれてブロック状になっている地盤が陥没したり隆起したりして、地震とほぼ同時に急激な津波を起こす可能性があるんです。リアス式海岸なので、海水の動きは複雑で予測は困難。局所的に水面が異常に高くなることも考えられます」
地震と同時に津波がおそえば、原発の命綱と言われる冷却用の電源ケーブルもやられてしまう可能性が。“原発銀座”と呼ばれる福井県には大飯、美浜、敦賀などの原発もあり、複合災害になれば大惨事は免れない。高浜原発には、さらに心配な要素がある。
「40年の寿命を越えてなお、再稼働させようとしている老朽原発の1〜2号機です」
と話すのは、記者を高浜原発に案内してくれた敦賀市在住の山本雅彦さん。原発の設計にも携わっていた技術者だ。
「格納容器に中性子線が当たり続けると、金属がもろくなって低い温度への耐久性が弱くなります。高浜原発1、2号機の場合、注水して原子炉を冷やさなければならないような過酷事故が起きても水を入れられない。格納容器が冷却水の温度に耐えられず割れる可能性があるんです」
こうした危険な状況で老朽原発が再稼働されることを、立地自治体の住民はどう思っているのだろうか。
「お父さんは原発で働いているから、仕事がなくなったら困る。でも自信満々に“安全です”と言えるようになるまで動かさないでほしい!」
と正直に思いを語ってくれたくれたのは、高浜中学の男子生徒たち。これに対し、地元のオトナたちは口が重く、「そういう質問には答えられません」と足早に立ち去る人がほとんどだった。
しかし原発事故が起きて被害をこうむるのは、立地自治体だけではない。高浜原発の場合、避難計画の作成が義務づけられている原発から30km圏内の人口は、約18万人。うち福井県が約5万4千人なのに対し、京都府はなんと約12万5千人と、圧倒的に多いのだ。肝心の避難計画の中身はどうなのか。
原発から5km圏内の住民は、原発で事故が起きたらただちに避難できることになっています。でも10km〜30km圏内の住民は、空間線量が毎時500マイクロシーベルトにならないと、ただちに避難できない。甲状腺を被ばくさせないためのヨウ素剤も、事前に配布されていません」
そう訴えるのは、市の一部が30km圏内に含まれる京都府南丹市の児玉正人さん。彼の言う「毎時500マイクロシーベルト」とは、ICRP(国際放射線防護委員会)が定めた一般公衆の被ばく限度量である「年間1ミリシーベルト」にたった2時間で達するほど高い値だ。
「つまり、被ばくすることが前提に作られた避難計画なんです! 福島原発事故のときも、第一原発から約40km離れた飯館村に高濃度の放射性物質が飛んできて全村避難になりましたよね。高浜原発で事故が起きたら、京都の歴史的建造物も琵琶湖の水源も汚染されてしまいます。なのに再稼働に際して、近隣自治体には何も説明がないんです」
さらに児玉さんは、内閣府自治体が定めた避難計画の無謀さを、こう指摘する。
南丹市の避難計画では、30km圏内の住民は大型バスで避難することになってます。でも福井からの避難者約3万6千人(内閣府試算)も南丹市の避難者と同じルートを通って自家用車で避難するので、道は大渋滞になるはず」
しかも、福井からの避難者が放射能測定を受ける場所と、南丹市の地域住民の避難場所が同じ公園に指定されているため、汚染が拡大し、混乱を招くおそれがある。問題の測定と避難場所のひとつ「長谷運動広場」(京都府南丹市)は、山間にある緑に囲まれた美しい公園だ。入り口の道は狭く、一車線しかない。乗用車が2台通るのもやっとで、大型バスが行き交うのは不可能だ。公園のすぐ近くには、重さ9トンまでの車両しか通行できない、通称「9トン橋」がかかっていた。
内閣府の官僚は、『大型バスが来たら、9トン橋は通れないので引き返してもらう』って言うんですが、一車線しかない道で避難する乗用車がどんどんやってくるのに、引き返せるのか!」
国の無責任ぶりに、児玉さんは怒りを露わにしていた。
取材・文/和田秀子

参考サイト)
2.京都府南丹市の美山長谷運動広場について
(1) 避難に使用予定の 9 トン制限の萱野橋・・バスは渡れず使用できないと認める
http://www.jca.apc.org/mihama/bousai/rep_lec160225.pdf