ノーベル平和賞ならなかったけど…9条世界に広めたい 受賞目指し活動 実行委会見:神奈川 - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201610/CK2016100802000133.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2037-55/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201610/CK2016100802000133.html

ノーベル平和賞の候補に挙がっていた「憲法9条を保持している日本国民」が受賞を逃した7日、活動を推進してきた相模原市の市民団体「憲法9条ノーベル平和賞を」実行委員会が市内で会見した。「9条の持つ価値、平和実現のための手段としての重要性は変わらない」と強調し、活動継続への誓いを新たにした。 (井上靖史)
この日夕、市内の会場で実行委スタッフや賛同する国会議員、大学教授ら数十人が集まり、大型画面で発表を見守った。結果は、内戦を平和的に終わらせたコロンビアの大統領に決定。一瞬の間の後、大統領をたたえる拍手が湧いた。
「九条を保持する日本国民」が候補に挙がるのは三年連続。今年は推薦人が超党派の国会議員七十三人、国内外の大学教授百八人の計百八十一人と昨年の二倍以上だった。累計の署名数も昨年から二万人以上、積み上げて七十二万五十八人。三度目の正直に期待も高まったが届かなかった。
活動の発起人で共同代表の主婦鷹巣直美さん(39)は逃した原因について「正直に言うと、憲法を守る政府になっていないのが一番のネック」と、憲法学者らが違憲の疑いを指摘する中で成立した安保法制などの影響を指摘した。
今後については、毎週一回の勉強会や国会前デモ、安保法制に対する違憲訴訟などを通じて引き続き声を上げ「九条を守り、生かし、世界に広めていきたい」と述べた。
石垣義昭共同代表は「欧州連合(EU)は加盟国同士で戦争しないという精神で設立され、それにノーベル平和賞が与えられた。東アジアも緊張を高めるのではなく、互いに心寄せ合えるような運動を展開していきたい」と強調。推薦人で名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法)は「九条の大切さは世界で認識されている。推薦人や賛同者を集めたりして運動を広げていきたい」と述べた。

いま読む日本国憲法(特別編)平和の要 9条正念場 自民 改憲目指す - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016100802000183.html


ノーベル平和賞は「憲法九条を保持している日本国民」が三年連続で候補になったが、受賞に至らなかった。九条を世界に発信する取り組みは今後も続く見通しだ。しかし、国会は改憲勢力が衆参両院で改憲発議可能な議席を占め、九条改憲を訴える議員も少なくない。憲法の条文を解説する連載の特別編として、平和憲法の中核でありながら、逆風を受ける九条の現状に視線を当てた。
先の大戦への反省に立つ九条は一項で戦争放棄、二項で戦力不保持と交戦権の否認を定めている。一九四七年の施行以来、ほかの条文と同様に一文字も変わっていない。
一方、政府は自衛隊の活動範囲の拡大や武器使用基準の緩和を繰り返し、九条を逸脱していると批判されてきた。特に安倍政権は、歴代内閣の憲法解釈を変更し、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を容認。それを柱とした安全保障関連法を成立させた。密接な関係にある他国への武力攻撃により、日本の存立が脅かされる事態では行使しても九条の範囲内という理屈だが、多くの憲法学者違憲と指摘している。
そして今、多数派となった改憲勢力は条文自体の見直しを目指している。
自民党が二〇一二年に発表した改憲草案は戦争放棄に「自衛権の発動を妨げない」とただし書きをつけ、集団的自衛権を認める内容。戦力不保持と交戦権の否認は削り国防軍を保持するとし、国防に限らず「国際社会の平和と安全」の確保や「公の秩序」維持のための活動もできるとした。
安倍晋三首相自身、九条改憲が必要との考えを国会答弁などで明言。党憲法改正推進本部のメンバーは「原点は変わっていない」と強調しており、最終的に九条改憲を目指す立場に変わりはない。衆参両院の憲法審査会は、月内にも議論が再開される見通し。
しかし、九条改憲には国民の不安が依然強く、現段階では時期尚早という見方が改憲勢力の大勢。自民党の閣僚経験者は「せっかくの憲法改正が頓挫したら困る。九条からはやれない」と話す。公明党や、統治機構改革での改憲を目指す日本維新の会も前向きではない。
このため第一段階として国民の理解を得やすい項目を中心に改憲の議論が進む流れ。具体的には、環境権や知る権利などの「新しい人権」、災害や武力攻撃時に備えた緊急事態条項の新設など。改憲の「実績」をつくった上で九条改憲を目指すのが、多くの改憲勢力の戦略だ。


日弁連「死刑廃止を」 終身刑導入を提言 - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016100802000118.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2039-14/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201610/CK2016100802000118.html

全国の弁護士が加盟する日弁連が七日、福井市内で人権擁護大会を開き、「二〇二〇年までに死刑制度の廃止を目指す」とする宣言を出席者の賛成多数で採択した。日弁連として死刑の廃止を明確に打ち出したのは初めて。日弁連の木村保夫副会長は会見で「日弁連が一歩踏み出すことで、刑罰制度全体の見直しにつながれば。これまで以上に国民の理解が得られるよう努力し、宣言の実現に全力を尽くしたい」と述べた。
宣言は、死刑制度廃止を目指す理由として、(1)国際社会の大勢は死刑廃止を志向(2)冤罪(えんざい)で死刑が執行されれば取り返しがつかない(3)重大犯罪の抑止効果が乏しい−ことなどを挙げている。
このほか、死刑に代わる刑罰として「仮釈放の可能性がない終身刑制度」の導入を提言。本人の更生が進んだ時は、裁判所の判断で減刑などができる制度にすべきだとしている。
二〇一五年末現在、法律上や事実上死刑を廃止している国は百四十カ国で、世界の三分の二以上を占めており、二〇年に日本で犯罪防止や刑事司法における国連最大の会議「国連犯罪防止刑事司法会議」が開かれる。一四年には静岡地裁袴田事件の再審開始が決定され、冤罪の危険性が改めて認識された。これらが宣言採択に至った背景にある。
日弁連は「被害者の遺族が厳罰を望むことは自然で、十分理解できる」とする一方、「人は時に残酷な罪を犯すことがあっても、罪を悔い、変わり得る存在だ」と主張。刑罰制度全体について、罪を犯した人の改善・更生と社会復帰をより目指すものに改革するよう国に求めるとした。
◆「残虐憲法は禁止」「被害者支援が先」 議論 賛否が白熱
「冤罪(えんざい)は避けられない」「被害者の人権に配慮すべきだ」。日弁連死刑廃止の宣言を採択した人権擁護大会では、廃止派の弁護士と、犯罪被害者を支援する弁護士ら容認派が意見を戦わせ、死刑制度の賛否を巡り、熱のこもった討論を交わした。
廃止賛成派の弁護士らは「人の生命を奪うことは憲法が禁じる残虐な刑罰に当たる」「反省の深まりを見ていきたいとして、死刑を望まない遺族もいる」などと訴えた。
一方、反対派の弁護士らは「遺族が加害者を殺してしまわないように国家が代行するのが死刑。廃止すれば社会秩序が乱れる」「正義感の押しつけにすぎない宣言よりも、被害者支援の徹底が先だ」などと主張した。宣言を総会でなく、参加者が限られて委任状も認められない人権擁護大会で採択したことに疑問の声も上がった。
日弁連は強制加入団体で、退会すれば弁護士の活動ができない。全国の約三万七千人の弁護士に対し、大会に出席したのは七百八十六人。挙手による採決では賛成が五百四十六人、反対が九十六人、棄権が百四十四人。賛成が過半数に達して採択されたが、七割を切った。
人権擁護大会で宣言を採択したことへの批判に対し、日弁連執行部は「これまでも人権問題はこの大会で議論してきた」と説明。テーマを決めるまでに委員会や理事会など複数の段階を踏んでおり、問題はないとの見解を示した。

死刑廃止宣言 日弁連はどう説得する - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000182.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2040-58/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000182.html

死刑廃止を求める宣言を日弁連がした。冤罪(えんざい)なら取り返しがつかない刑罰だ。厳罰を望む犯罪被害者の声や80%を超す「死刑存置」の世論も無視はできない。日弁連はどう説得するか試される。
英国で無実の人を絞首刑にしたことがある。一九四九年のエバンス事件だ。運転手のエバンスが妻と娘を殺したとされたが、死刑執行後に真犯人はアパートの階下の住人だったことが判明した。
英政府は過ちを認め、六五年から死刑執行をやめ、六九年に制度そのものを廃止した。注目すべきは、当時の英国の世論の80%超が死刑を支持していたのだ。
英国ばかりでなく、どの国も世論は「死刑支持」が多数派だったが、次々と政治が廃止へと導いていった。
二〇一五年末時点で、死刑を廃止・停止している国は百四十カ国にのぼる。世界の三分の二以上を占める。制度があっても、執行した国は二十五カ国しかない。アムネスティ・インターナショナルによれば、米国の五十州のうち十八州は廃止、存置州でも三州は停止している。執行されたのは一五年では六州だけだ。韓国は制度はあるが、十八年以上停止している。OECD経済協力開発機構)加盟国で国家として統一して死刑執行するのは日本だけなのだ。
その日本で八〇年代に四件の再審無罪があった。「死刑台からの帰還」である。一四年には袴田事件で再審決定があり、死刑確定者が四十八年ぶりに釈放された。もし彼らが絞首刑になっていたら…。裁判も人間が行う限り、誤りが起こる。それでも取り返しのつかない刑罰を持つべきだろうか。
死刑は犯罪を抑止するという考え方があるが、国内外の研究ではその効果を実証できてはいない。むしろ抑止効果を疑問視している。しかも、日本の刑事司法は冤罪を生みやすい構造を持つ。長期の身柄拘束と自白偏重の取り調べが続いているし、証拠の全面開示もない。欠陥だらけなのだ。
米国では死刑確定後も、手続きが公正であったか、州と連邦レベルでそれぞれチェックされる。日本では決定的な新証拠がなければ、再審がほとんど認められない。無実か、量刑を誤った死刑囚が存在することはないのか。再審の新たな仕組みが必要でないか。
犯罪被害者が厳罰感情を持つのは当然であるし、理解できる。その一方で、誤判を心配する。死刑廃止という世界的な潮流に逆らえるか、悩ましさが募る。

日弁連 死刑廃止目指す宣言採択 反対意見で紛糾も - NHK(2016年10月7日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161007/k10010721891000.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2042-32/www3.nhk.or.jp/news/html/20161007/k10010721891000.html

日弁連・日本弁護士連合会は福井市で開いた大会で、初めて死刑制度の廃止を目指すという宣言を採択しました。一方、反対意見が相次いだため大会は一時紛糾し、全会一致の採択には至りませんでした。
日弁連の執行部は福井市で開いた人権擁護大会で、「2020年までに死刑制度の廃止を目指し、代わりに終身刑などの導入を検討する」という宣言を提案しました。カメラ撮影が認められない中で行われた審議では、日弁連の委員が、えん罪によって死刑が執行されると取り返しがつかないことや世界では死刑を廃止する国が増えていることなどを提案の理由として説明しました。

これに対して犯罪被害者を支援する弁護士から「被害者や遺族の前で死刑はいらないと言えるのか」といった意見や、「日弁連は特定の正義感を押しつけるべきではない」といった意見が相次ぎ、大会は一時紛糾しました。

その後、採決が行われ、出席した弁護士の賛成多数で宣言が採択されました。死刑制度をめぐって、日弁連はこれまで、刑の執行停止や社会的な議論を呼びかけていましたが、4年後に司法制度に関する国連の会議が日本で開かれることなどから、初めて制度の廃止を掲げました。今後は、政府に対して死刑制度の廃止を含めた法整備を求めていくとしています。

死刑制度の廃止を目指すという宣言を反対の声が上がる中で採択したことについて、日弁連の木村保夫副会長は「日弁連として犯罪被害者の声にしっかりと耳を傾け、これまで以上に国民の理解を得る努力をして、宣言の実現に全力を尽くしたい」と話していました。
犯罪被害者団体 宣言反対を呼びかけ
死刑制度の存続を訴えている犯罪被害者の団体などは、7日の大会が始まる前に、参加者に対して、宣言に反対するよう呼びかけました。
呼びかけは日弁連=日本弁護士連合会の人権擁護大会が開かれた福井市体育館の周辺で午前9時ごろから行われました。「全国犯罪被害者の会あすの会」のメンバーは「あなたの家族が殺されても死刑廃止と言いますか?」と書かれたビラを参加者に配り、死刑は被害者にとって必要な刑罰で、悲惨な事件が繰り返されるのを防ぐ効果もあると訴えました。
あすの会」の代表幹事の松村恒夫さんは「遺族が家族を殺された苦しみに整理をつけるための刑罰として死刑は必要です。弁護士は被害者の気持ちに寄り添ってほしい」と話していました。また、犯罪被害者を支援する弁護士でつくる団体も「日弁連は弁護士が強制的に加入させられる組織なのに一方的な立場で死刑廃止を宣言するのは不当だ」として反対を呼びかけました。団体の事務局長の高橋正人弁護士は「一部の弁護士しか参加していない大会で、なぜ日弁連の意思決定が行われるのか非常に疑問で、一方的な考え方の押しつけだ」と話していました。
日弁連が死刑制度の廃止を目指すという宣言を採択したことについて、「あすの会」の岡村勲弁護士は「被害者や遺族がどれだけ困っているかを考慮した議論にならなかったことが極めて残念です。世論調査でも国民の多くが死刑制度の存続を容認しているので、今後も国民に対して必要性を訴えていきたい」と話していました。
世界の動きと国内の世論は
死刑制度をめぐっては、世界で廃止の動きが広がる一方、国内の世論調査では80%が制度の存続を容認しています。
国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によりますと、死刑制度を廃止する動きは1990年代ごろから広がり、去年12月の時点で廃止した国や地域は102と、20年前の1.7倍に増えたということです。このほか、38か国は一定の期間、死刑の執行がなく、事実上、停止しているとしています。
一方、国内では死刑制度の存続を容認する意見が多く、内閣府がおととし11月に行った世論調査では、「死刑もやむをえない」と答えた人は80.3%、「死刑は廃止すべきだ」と答えた人は9.7%でした。終身刑を新たに導入した場合の死刑制度の存続の是非を聞くと、「廃止しないほうがよい」と答えた人は51.5%、「廃止するほうがよい」は37.7%という結果になりました。
法相「慎重に検討すべき課題」
金田法務大臣閣議の後の記者会見で、「死刑制度の存廃については、さまざまな議論があると承知している。わが国の刑事司法制度の根幹に関わる重要な問題で、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現など、さまざまな観点から慎重に検討すべき課題だ」と述べました。
一方、金田大臣は死刑の執行について、「人の命を絶つ極めて重大な刑罰で、執行に際しては慎重な態度で臨む必要があるが、日本は法治国家であり、確定した裁判に基づく執行は、厳正に行われなければならない。死刑判決は、裁判所が慎重な審理を尽くしたうえで言い渡すものであり、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところにしたがって、慎重かつ厳正に対処する」と述べました。

日弁連、「死刑廃止」を宣言 賛成は7割弱、反対意見も - 朝日新聞(2016年10月8日)

http://www.asahi.com/articles/ASJB74JGWJB7PTIL010.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2044-17/www.asahi.com/articles/ASJB74JGWJB7PTIL010.html

日本弁護士連合会は7日、全国の弁護士が福井市に集まって開催した人権擁護大会で、「2020年までに死刑制度の廃止を目指し、終身刑の導入を検討する」とする宣言を採択した。日弁連が「廃止」を掲げるのは初めて。
宣言は「被害者遺族の厳しい感情は自然で、被害者支援は社会全体の責務」としたうえで、刑罰は犯罪への報いにとどまらず再犯防止につながるものでなければならないと指摘。さらに事件に至る背景にも目を向け、罪を犯した人の社会復帰と人間性の回復を後押しする制度の導入が社会の安全につながるとした。
宣言採択の背景には1980年代に四つの死刑事件で再審無罪が確定し、2014年3月には袴田事件の再審開始決定が出るなど、相次ぐ冤罪(えんざい)事件がある。このため宣言は死刑と決別すべきだとしながら、終身刑導入の検討を求めている。目標期限は、制度廃止を勧告した国連の会議が日本で開かれる4年後にした。
この日は採択に先立ち、24人が賛成・反対の討論を行い、激論を交わした。
袴田事件弁護団長の西嶋勝彦弁護士(東京)は「冤罪が疑われる死刑事件が多くある。誤判がある以上は制度を廃止すべきだ」と訴えた。一方、被害者支援に取り組む高橋正人弁護士(第二東京)は反対討論で「被害者遺族が犯人を殺してもいいのか。死刑の廃止はむしろ秩序を乱す」と批判した。

死刑廃止 日弁連内にも溝…賛否激論、144人棄権 - 毎日新聞(2016年10月7日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161007-00000118-mai-soci
http://megalodon.jp/2016-1007-2322-10/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161007-00000118-mai-soci

死刑廃止を明確に打ち出した宣言が7日の人権擁護大会(福井市)で採択されたことを受け、日弁連は国会や法務省死刑廃止に必要な刑事法の改正を呼び掛けていく方針を明らかにした。一方で宣言採択前には死刑廃止反対派と賛成派の意見が激しくぶつかり、溝の深さが目立った。
宣言採択前に開かれた討論では20人の弁護士がそれぞれ意見を述べた。再審開始決定が出た袴田事件の西嶋勝彦弁護団長が「誤判がある以上、死刑は廃止すべきだ」と述べる一方、「全国犯罪被害者の会」を設立した岡村勲弁護士や副代表幹事の高橋正人弁護士は「死刑廃止は犯罪被害者の権利を奪うことにほかならない」と反対意見を表明した。
日弁連は2011年の同大会でも死刑制度に関する宣言を採択したが「死刑制度について全社会的な議論を呼び掛ける」とする内容にとどめた。今回の宣言は日弁連内の死刑廃止検討委員会が中心となって宣言案を作り、各弁護士会の会長が集まる理事会で8割の賛成で機関決定された。日弁連会員数は約3万7600人。この日の討論では、思想・信条に関わる問題を786人の出席者で決めてよいのかとの質問も出た。
採択後の記者会見で木村保夫副会長は「組織の手続きを経ている。出し抜けでやったわけではない」と説明。棄権が144人いたことについて「犯罪被害者のことを考え、決断できない人がいたのではないか。これまで以上に被害者の声に耳を傾けたい」と述べた。
会見に同席した死刑廃止検討委員会委員長の加毛(かも)修弁護士は「五輪が開かれる20年は日本が世界から民主的な国か問われる。死刑存廃は重要な問題で、法務省や国会議員と協議を始めたい」と述べた。【島田信幸、荒木涼子】

◇140の国・地域、事実上廃止

国際的にみると死刑は廃止の方向にある。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、法律で死刑を全面的に廃止した国・地域は昨年末時点で102となり、1996年の60から大幅に増えた。過去10年以上執行がないような事実上の廃止国・地域を含めると140に上る。
昨年死刑を執行した国・地域は日本を含めて25。経済協力開発機構OECD)加盟35カ国のうち、通常犯罪について死刑があるのは日本、米国、韓国だけで、韓国は97年を最後に執行がない。
日本でも89年11月から約3年4カ月間、4代の法相による執行命令がなく、死刑が事実上停止した。当時の法相の宗教的立場などが背景にあったとされる。民主党政権(2009年9月〜12年12月)でも死刑廃止派の法相が就任したことなどから1年8カ月間、執行がなかった。第2次安倍政権以降は数カ月に1回のペースで計16人に執行されている。
法務省によると、年末時点の確定死刑囚はここ数年130人前後で推移している。刑事訴訟法は、死刑確定から6カ月以内に執行を命じるよう規定しているが、再審請求中の期間はこの6カ月に算入されない。
今月5日時点で再審請求中の死刑囚は94人に上っている。【鈴木一生】

ノーベル平和賞 内戦終結きっとできる - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000181.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2050-06/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016100802000181.html

和平を決してあきらめるな、という励ましだ。南米コロンビアのサントス大統領の受賞が決まったノーベル平和賞。半世紀以上にわたる内戦終結へ、コロンビア国民の英知も試されている。
ノーベル賞委員会は授賞理由として、サントス氏が左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との内戦終結に向け「断固とした努力」を示したことや、国民投票の形で和平合意に民意を反映させる方式をとったことなどを挙げた。
政府とFARCは五年越しの交渉の末、八月に和平合意にこぎつけた。ところが、今月二日に行われた国民投票で僅差で否決され、最悪の場合、内戦再発の危険も出てきた。
和平合意が否決されたのは、殺害や誘拐を繰り返したFARCの議会進出を容認する内容だったことや、元戦闘員への処罰が予想以上に軽かったことが、強い反発を買ったためだ。
中南米諸国では一九五九年のキューバ革命を契機に、マルクス主義を掲げる反政府左翼ゲリラが台頭した。
六四年に結成されたFARCは、最盛期には二万人の要員を擁し、国土の三分の一を実効支配した。内戦は二十二万人以上の犠牲者を生み、六百万〜七百万人が家を失った。
そんな内戦に逆戻りすることを、国民が望んでいるわけではない。ノーベル賞委も「和平合意は死んだわけではない。国民投票は平和に反対したわけではない」と強調。そのうえで、和平交渉にはあらゆる政党を関与させることをサントス氏に、各党には建設的な関与と責任を分担するようそれぞれ求めた。
いわば国民の総意を結集して違いを乗り越えてほしい、という注文だ。
無論、仕切り直しとなった和平交渉の道のりは険しい。ノーベル賞委も国民和解と元戦闘員に対する処罰のバランスをとるのは「極めて難しい」と認める。
テロや難民問題が噴き出した世界には、狭量な民族主義や排他的なムードが立ち込めている。それだけにコロンビアが和平を達成することは意義が深い。
昨年は米国とキューバが敵対関係に終止符を打ち、五十四年ぶりに国交を回復した。
ノーベル賞委は言う。
「平和と和解と正義のために戦うすべての人々を励ましたい」。それは、コロンビアだけのことでは無論ない。

(筆洗)ノーベル平和賞が、サントス大統領に贈られることになった - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016100802000180.html
http://megalodon.jp/2016-1008-2051-29/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016100802000180.html

作家の井上ひさしさんは、十年前に出された『子どもにつたえる日本国憲法』で、九条のこころを、こう書き表した。


どんなもめごとも
筋道をたどってよく考えて
ことばの力をつくせば
かならずしずまると信じる…
よく考えぬかれたことばこそ
私たちのほんとうの力なのだ


果たして、井上さんのこの言葉は、どれほど現実の世界に響くものだろうか。
そんなことを考えさせられるのは、コロンビアの内戦だ。半世紀に及ぶ戦いで二十二万もの命が奪われ、憎悪が世代を超えて増幅した。言葉より、暴力がものを言う世界だ。
コロンビア革命軍のロンドニョ最高司令官と和平交渉を進めたサントス大統領はその困難さを、こう語った。「三世代にわたる内戦が、我々から他の人に共感する力を奪った。そういう人々に、許すことを説かねばならない。平和をつくることの方が、戦争を始めるよりずっと困難なのだ」
その困難さを裏付けるように、国民投票で和平は拒否された。しかし、ロンドニョ最高司令官のひと言に、救われる思いがした。「我々は平和を求め続ける。武器ではなく言葉だけを使う」と誓ったのだ。
ノーベル平和賞が、サントス大統領に贈られることになった。国民投票の結果からすれば、驚きの授賞だが、そこには、


ことばこそ
私たちのほんとうの力

との思いが込められているのだろう。

自民党 12年草案一部棚上げ…保守色弱め改憲議論 - 毎日新聞(2016年10月8日)

http://mainichi.jp/articles/20161008/k00/00m/010/178000c
http://megalodon.jp/2016-1008-1012-48/mainichi.jp/articles/20161008/k00/00m/010/178000c


自民党は、国会の憲法審査会で憲法改正の議論を促すため、野党の批判が強い2012年の憲法改正草案だけでなく、05年に作った新憲法草案もベースにして改憲項目を絞り込む方針を固めた。12年草案のうち保守色の強い条文を事実上、棚上げし、野党が土俵に乗りやすくする狙いとみられる。自民党憲法改正推進本部(保岡興治本部長)は18日に全体会合を開き、党内論議を本格化させる。



民進党蓮舫代表のもと、憲法審査会に積極的に参加する姿勢を示す一方、その前提として自民党に12年草案を撤回するよう求めた。しかし、安倍晋三首相は9月30日の衆院予算委員会で、撤回しないことを明言した。首相は「特定の党の主張がそのまま通ることはない」と12年草案にこだわらない考えだが、改憲案を示していない民進党を繰り返し批判してきた経緯があり、簡単に撤回できないのも事実だ。とはいえ、このままでは与野党が議論の入り口で対立する可能性があり、自民党下村博文幹事長代行が12年草案を「封印する」と述べるなど、野党との妥協点を探っている。

12年草案は保守色が強く、今国会では、基本的人権を「永久の権利」と規定した97条が草案から削除されたことを野党に追及された。一方、05年草案は抑制的で、家族の助け合い義務などは盛り込まれていない。同党関係者は両案の並行協議を「12年草案が絶対的ではないと対外的に示す工夫」と期待する。

ただ、05年草案も「自衛軍」を憲法に位置付けようとしており、9条改正に反対する民進党が歩み寄る保証はない。【飼手勇介】

再稼働争点、与野党が激戦 新潟知事選 - 朝日新聞(2016年10月8日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12598064.html
http://megalodon.jp/2016-1008-0925-37/www.asahi.com/articles/DA3S12598064.html

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を最大の争点にした新潟県知事選(16日投開票)は、与野党幹部が応援に入る激戦になっている。当初は推薦候補の戦いを楽観していた自民党は危機感を強め、自主投票にした民進党は埋没。ともに原発に厳しい世論の動向を見誤り、焦っているようだ。

■自民 楽観一転、募る危機感
自民党二階俊博幹事長は7日朝、経団連との懇談会で新潟知事選での支援を求めた。「新潟の選挙は大変やっかい。電力業界などオール日本で対抗していかないといけない」
自民党は先月、前長岡市長で全国市長会長を務めた森民夫氏(67)を公明党とともに推薦した。柏崎刈羽原発の再稼働に慎重姿勢を取る泉田裕彦知事が8月末、知事選からの撤退を表明。再稼働を推進する自民党にとっては「もっけの幸い」(原発推進派議員)。野党の候補擁立が遅れたため、自民党内には楽観論も広がっていた。
だが、民進出身の米山隆一氏(49)が立候補し、共産、社民、生活が推薦。泉田路線の継承を訴え、再稼働への慎重姿勢を前面に打ち出したことで、再稼働が明確に争点となった。自民党独自の調査でも激戦という結果が出て、楽観論は吹き飛ぶ。安倍晋三首相は6日、二階氏らとの会食で、出席者から「電話を入れてもらうなど、役割を果たしてもらうことになります」と要請され、うなずきつつ厳しい情勢を聞いたという。
二階氏は3日、国会内で長島忠美県連会長と会い、応援に入る国会議員の日程と各議員がパイプを持つ団体のリストアップを指示した。自身も12日に新潟入りし、土地改良関連団体などに協力を求める。党幹部は「再稼働のために負けるわけにはいかない」と話す。
だが、7日に県内六つの小選挙区すべてを回った古屋圭司選対委員長が上越市で行った演説では、再稼働の是非に触れるようなくだりはなかった。再稼働に焦点があたるほど不利になると自覚しているからだ。

■野党 共闘、乗れぬ民進埋没
7日夕、新潟駅前で共産の志位和夫委員長、社民の福島瑞穂副党首、生活の小沢一郎代表が選挙カーの上に並び立ち、2千人以上の聴衆を前に、3党が推薦する医師の米山氏への支援を呼びかけた。
志位氏は「最大の争点は再稼働問題だ。米山さんは泉田知事の路線を引き継ぐ」。小沢氏も「米山君を知事に押し上げ、再稼働はもちろん原発廃止まで持っていってほしい」と訴えると、大きな拍手が起きた。
民進は米山氏を次期衆院選新潟5区で公認内定していたが、知事選出馬が決まっても推薦すら出さず、自主投票とした。民進を支持してきた電力総連など連合新潟は森氏を支持しており、党として明確な対応ができていないのが実情。民進の県選出国会議員の事務所には「なぜ米山氏を支援しないのか」との抗議電話もあるという。
そこへ米山氏の善戦が伝えられ、民進の有志議員も個別に応援に入るようになった。7日の志位氏らの演説会では松野頼久氏も登場。脱原発派の近藤昭一副代表ら個別に応援に入った議員は、市民団体から「義勇軍」と呼ばれている。
蓮舫代表と野田佳彦幹事長の新執行部にとって初めての大型選挙だが、動きは鈍い。蓮舫氏は6日の記者会見で「政党対政党の戦いではない」と強調した。原発問題で支持層が割れる民進が主体的に動けないからこそ、米山氏の主張が「再稼働反対」でとがり、争点化した面もある。民進不在のまま盛り上がる知事選の行方次第では、蓮舫執行部にとって求心力低下につながりかねない事態ともいえそうだ。

安倍龍太郎、関根慎一)

■届け出一覧
(届け出順、〈 〉内政党は推薦)

三村誉一(みむらよいち)    70 無新 〈元〉海事協会職員

森民夫(もりたみお)      67 無新 〈元〉長岡市長〈自〉〈公〉

米山隆一(よねやまりゅういち) 49 無新 医師〈共〉〈社〉〈生〉

後藤浩昌(ごとうひろまさ)   55 無新 行政書士

再稼働争点 接戦 新潟県知事選16日投開票 - 東京新聞(2016年10月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016100890071404.html
http://megalodon.jp/2016-1008-0927-40/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016100890071404.html

十六日投開票の新潟県知事選が接戦になっている。東京電力柏崎刈羽原発柏崎市など)の再稼働問題が争点に浮上し、自民、公明両党推薦の前長岡市長森民夫氏(67)を、反対姿勢を鮮明にした共産、生活、社民三党推薦の医師米山隆一氏(49)が猛追しているのだ。 (山口哲人)
■「実質的共闘」
「国から再稼働を認めるか問われたら、認められないと申し上げる」
七日夜、新潟市のJR新潟駅前。米山氏は街頭演説で、歩道を埋め尽くした市民らに力説した。民進党松野頼久衆院議員、共産党志位和夫委員長、生活の党の小沢一郎共同代表、社民党福島瑞穂副党首も応援に駆け付け、米山氏への支持を訴えた。
東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向け、二〇一三年九月、原子力規制委員会に新規制基準への適合性審査を申請した。審査が通れば、事故を起こした東電では初めてで、しかも福島第一原発と同型の原子炉が初めて再稼働に動きだすことになる。
法的には再稼働に対する地元同意の規定はないが、政府のエネルギー基本計画に「立地自治体等の理解」を得ることが明記されるなど、知事の意向は無視できない。米山氏は、原発事故などの検証を求め、再稼働への厳しい姿勢を貫いてきた現職の泉田裕彦知事の路線継承を宣言。陣営は、再稼働に反対する県民の受け皿になるため、争点を原発に絞り込んでいる。
民進党は、候補者選定ができないでいるうちに最大の支持団体の連合新潟が森氏支持を決定したため、自主投票にとどめた。
だが所属議員は積極的に米山氏を支援しており「実質的な共闘」(志位氏)で、四党の統一候補が自民党候補に勝利した七月の参院選新潟選挙区の再現を狙う。

■よぎる鹿児島
森氏陣営や与党には告示前の余裕はなくなり、危機感を募らせている。九州電力川内(せんだい)原発の稼働への賛否が争点となった七月の鹿児島県知事選では、与党支援の現職が運転の一時停止を主張した新人に敗北。与党内には原発立地県で敗戦を重ねれば、来夏の東京都議選や全国の地方選に波及しかねないとの懸念も漂う。
自民党は週明けに二階俊博幹事長が新潟入りする。公明党も最近、党所属議員に支持拡大の徹底を指示し、てこ入れに懸命だ。
森氏陣営は県民の原発への不信感を意識して、再稼働に関し「県民の安心、安全を最優先に対応を決める」と慎重な言い回しに終始。森氏は七日、三条市での街頭演説で「国の言うことをうのみにしない」と強調し「泉田知事が育てた(原発の安全管理に関する)県の技術委員会の意見をしっかり聞き、安全という確信がなければ反対と言う覚悟がある」と踏み込んだ。
県の技術委は原子力地震の専門家で構成され、東電が福島第一原発メルトダウン炉心溶融)を隠してきたと独自に指摘するなど活動への評価が高い。森氏が知事になれば、再稼働に向けた動きが速まるとの見方もあるが、本人は打ち消している形だ。
知事選には元団体職員三村誉一氏(70)、行政書士後藤浩昌氏(55)も立候補している。

「朝鮮人虐殺」記載へ 横浜市教委の副読本 - 神奈川新聞(2016年10月7日)

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12152-204327/
http://megalodon.jp/2016-1008-0928-21/https://news.nifty.com:443/article/domestic/society/12152-204327/

【時代の正体取材班=石橋 学】横浜市教育委員会が作成中の中学生向け副読本の原案で関東大震災時の朝鮮人虐殺の記載がなかった問題で、同市教委は7日、虐殺の史実を記載する方針を明らかにした。同日の市教委定例会で報告した。
新副読本作成を担当している指導企画課の三宅一彦課長は「横浜で起きた痛ましい出来事を学ぶことで歴史の理解を深め、防災教育の面からも多面的・多角的に考えることのできる記載になるよう検討している」とし、記載を前提に編集作業を行っていると説明した。
教育委員からは「人間は過去を正当化したがるものだが、虐殺という悲惨な事件を起こす可能性があるということを教訓として刻まなければいけない」と積極的に理解を示す意見も出された。
新副読本を巡っては市民団体「歴史を学ぶ市民の会・神奈川」(北宏一朗代表)が原案を情報公開制度で入手したところ、従来の副読本にあった朝鮮人虐殺の記述がないことが判明。歴史研究者や市民団体から虐殺の史実と背景を記載するよう求める要望書が市教委に寄せられていた。

「教訓くむべき」、教育委員理解示す
市教委定例会は20席の傍聴席が埋まり、副読本問題の関心の高さをうかがわせた。市教委事務局の報告にも5人の委員全員が発言。朝鮮人虐殺を記載することへの異論は出なかった。
注文をつけるように持論を展開したのは今田忠彦委員。「この歴史的事件の記述についてはイデオロギー闘争のようになっていて残念。子どもたちのために何が大切か、大局観を忘れずにバランスの取れた慎重な対応が必要だ」。具体的な説明もなく「イデオロギー闘争」という唐突な発言をし、傍聴席からざわめきも起きた。
一方、宮内孝久委員からは「人間は過去を正当化したがるもので(虐殺という)悲惨な事件を起こす可能性があるということを教訓として刻まなければいけない」と積極的な理解が示された。
定例会終了後、指導企画課の三宅一彦課長は「こちらの考えを否定した委員はいなかったと受け止めた」と話した。今月中の原稿確定を目指して方針通りに編集作業を進め、岡田優子教育長の決裁を経て年明けにも生徒全員に配本したいとしている。

電通の女性新入社員自殺、労災と認定 残業月105時間 - 朝日新聞(2016年10月8日)

http://www.asahi.com/articles/ASJB767D9JB7ULFA032.html
http://megalodon.jp/2016-1008-0928-45/www.asahi.com/articles/ASJB767D9JB7ULFA032.html

広告大手の電通に勤務していた女性新入社員(当時24)が昨年末に自殺したのは、長時間の過重労働が原因だったとして労災が認められた。遺族と代理人弁護士が7日、記者会見して明らかにした。電通では1991年にも入社2年目の男性社員が長時間労働が原因で自殺し、遺族が起こした裁判で最高裁が会社側の責任を認定。過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れをつくった。その電通で、若手社員の過労自殺が繰り返された。
亡くなったのは、入社1年目だった高橋まつりさん。三田労働基準監督署(東京)が労災認定した。認定は9月30日付。
高橋さんは東大文学部を卒業後、昨年4月に電通に入社。インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属された。代理人弁護士によると、10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定した高橋さんの1カ月(10月9日〜11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼった。
高橋さんは昨年12月25日、住んでいた都内の電通の女子寮で自殺。その前から、SNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送っていた。三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害過労自殺に至ったと結論づけた。
電通は先月、インターネット広告業務で不正な取引があり、広告主に代金の過大請求を繰り返していたと発表した。担当部署が恒常的な人手不足に陥っていたと説明し、「現場を理解して人員配置すべきだった」として経営に責任があるとしていた。高橋さんが所属していたのも、ネット広告業務を扱う部署だった。
電通は00年の最高裁判決以降、社員の出退勤時間の管理を徹底するなどとしていたが、過労自殺の再発を防げなかった。代理人弁護士によると、電通は労基署に届け出た時間外労働の上限を超えないように、「勤務状況報告書」を作成するよう社員に指導していたという。電通は「社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないので、コメントは差し控える」としている。(千葉卓朗)

過労死ラインの残業80時間超、企業の2割で 初の白書 - 朝日新聞(2016年10月7日)

http://www.asahi.com/articles/ASJB75197JB7ULFA022.html
http://megalodon.jp/2016-1008-0929-10/www.asahi.com/articles/ASJB75197JB7ULFA022.html

厚生労働省は7日、過労死の実態や防止策の実施状況などを報告する「過労死等防止対策白書」を初めてまとめた。2014年に施行された「過労死等防止対策推進法」が、過労死をとりまく状況の報告書を毎年つくるよう定めたことを受けて作成したもので、15年度の状況をまとめた。
白書は280ページで、過労死や過労自殺の現状や防止策、残業が発生する理由などを説明。1980年代後半から社会問題化し、91年に結成された「全国過労死を考える家族の会」の活動が同法の制定につながったことにも触れている。
15年度に過労死で労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む)による労災認定は93人。過労死による労災認定は02年度に160人にのぼったが、14年ぶりに100人を割った。ただ、過労死・過労自殺(同)をあわせた認定件数は近年、200件前後で高止まりしている。
企業約1万社を対象に15年12月〜16年1月に実施(回答は1743社)し、5月に公表した調査結果も白書に盛り込んだ。それによると、1カ月の残業が最も長かった正社員の残業時間が「過労死ライン」の80時間を超えた企業は22・7%。「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」では4割を超えた。

平成28年版過労死等防止対策白書(厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/16/dl/16-1.pdf

残業時間が長いほど「過労死」に 厚労省が白書 - テレ朝NEWS(2016年10月7日)

http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000085064.html
http://megalodon.jp/2016-1008-0929-32/news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000085064.html

残業時間が長いほど過労死しやすいと分析しています。
厚生労働省は、企業と労働者に行った昨年度のアンケートをもとに過労死に関する白書を初めてまとめました。白書によりますと、1カ月の残業が80時間以上の人がいた企業は全体の約23%で、業種別では情報通信業が最も高い割合でした。また、1週間で20時間以上、残業した人は、残業していない人と比べてストレスを感じる割合が倍近く高かったということです。厚労省は「早急に必要な対策を検討する」としています。

稲田氏は520万円分 “白紙領収書”横行する自民閣僚の非常識 - 日刊ゲンダイ(2016年10月07日)

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12136-351319/
http://megalodon.jp/2016-1007-2049-43/https://news.nifty.com:443/article/domestic/government/12136-351319/

政務活動費をデタラメに使っていた富山市議よりもタチが悪い。6日の参院予算委で、共産党小池晃議員は稲田朋美防衛相の資金管理団体「ともみ組」の政治資金収支報告書に添付された領収書のうち、約260枚(約520万円分)の宛名や金額が同一筆跡だった疑惑を追及。稲田氏は自身の事務所で領収書に金額などを記入したことを認める一方、「(領収書を)発行した側の都合」「(記入は)委託を受けて」などと言い逃れ答弁に終始した。
問題の領収書は、自民党議員らの政治資金パーティーの会費を稲田側が支払った際に各議員側から受け取ったもの。フツーは主催者側が宛名や金額を記入するが、稲田氏の答弁によると、パーティー主催者が受付などで会費を受け取ってから金額を書くと「受付が混乱する」とかで、自民党内ではパー券代を支払った側が白紙領収書をもらって好き勝手に記入するのが慣例になっていたらしい。
だが、こんなヘリクツが社会で通用するハズがない。領収書はリッパな法律上の証拠書類。発行者以外が、勝手に記入したり書き換えたりすれば「文書偽造」だ。税務調査で発覚すれば重加算税はもちろん、場合によっては刑事罰に問われる。富山市議や岐阜市議が政務活動費をチョロまかして次々とクビに追い込まれているのも、多くは「白紙領収書」に勝手に金額を書き込む手口だ。
それなのに稲田氏と同じ方法で、約1875万円分、約270枚のインチキ領収書が見つかった菅官房長官も「問題ない」と答弁。政治資金規正法を所管する高市早苗総務相も同様の問題を突かれて「法律上の問題はない」と居直っていた。脱法・違法行為を、あろうことか現職閣僚が堂々と国会で「問題ない」と言い張っているのだ。政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大教授はこう言った。
総務省が作成した政治資金収支報告書の手引きには、ただし書きや金額、年月日は発行者が記入しないと領収書にならない、とある。それを総務大臣が知らないハズがありません。収支報告書を補完する意味で領収書の添付を求めているのに、何ら意味のないことになります。『受付が混乱する』のであれば、パーティーの途中や帰り際に領収書を受け取ればいい。後で郵送でも構わないのです。こんな方法が許されれば、好き勝手な確定申告もできることになる」
さすが憲法をないがしろにする安倍政権だ。全く順法精神がない。納税者は怒った方がいい。