道徳教科書、初の検定=小学校全24点合格−いじめ、情報モラルなど・文科省 - 時事ドットコム(2017年3月24日)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032400854&g=soc
http://archive.is/2017.03.24-073000/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032400854&g=soc

文部科学省は24日、2018年度から小学校で使われる道徳の教科書と、主に高校2、3年用の教科書の検定結果を公表した。同年度以降、小中学校で正式教科になる道徳は初めての検定で、小学校全学年で8社から申請された計24点(66冊)全てが合格した。国が教科書を無償給付する義務教育での新教科の教科書を検定したのは、1990年度の「生活」以来26年ぶり。
道徳の教科化はいじめ問題がきっかけだった。学習指導要領で、道徳教育をいじめ防止に役立てる方針を明記していることもあり、全ての道徳の教科書がいじめについて取り上げた。
情報モラルなども1点を除く23点が記述。東日本大震災に関しては約8割の19点、20年東京五輪パラリンピックについては半数近い11点が掲載した。
道徳の指導要領や教科用図書検定基準が、言語活動や問題解決的な学習を取り入れるよう求めているのを受け、各教科書とも題材に関する問いや、考えを書き込める欄を豊富に設けた。3社は考えたり書き込んだりするための別冊も作った。
道徳教科書に対する検定意見は244件。内容の誤りや不適切な表現の指摘のほか、「指導要領が定めた内容の項目を網羅して取り上げていない」「記述内容と指導要領の項目の関係を明示する要件を満たしていない」といった意見も目立った。
高校は、「脱ゆとり教育」路線に転換した現行指導要領になって2巡目の検定。申請のあった国語や英語など共通教科196点と、商業や工業など専門教科17点の計213点全てが合格した。共通教科の検定意見は4616件で、前回12年度(一部10〜11年度分)と比較すると、26.6%減った。

自民、昭恵氏喚問を拒否=民進要求に「必要ない」 - 時事ドットコム(2017年3月24日16:04)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032400907&g=pol
http://archive.is/2017.03.24-072337/http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032400907&g=pol

民進党山井和則国対委員長は24日午後、自民党竹下亘国対委員長と国会内で会談し、学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、安倍晋三首相夫人の昭恵氏ら8人の証人喚問を求めた。竹下氏は「必要ない」として全て拒否した。
新進党が要求したのは、昭恵氏のほか、松井一郎大阪府知事、同学園側で国有地取引の折衝に当たった弁護士、財務省幹部ら政府職員。
竹下氏は、これらに応じない理由について「今までの説明で十分」「松井知事は府議会で説明すればいい」などと語った。
昭恵氏付の政府職員が国有地契約に関して財務省に照会していたことに関し、竹下氏は「単なる問い合わせだから全く問題がない」と主張。山井氏は「問い合わせ自体が、影響力を行使し、口利きになるかもしれない」と語った。

4野党、昭恵氏喚問で一致=与党に要求「真相ただす」−国有地売却問題 - 時事ドットコム(2017年3月24日12:02)

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032400190&g=pol
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学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地格安売却をめぐり、民進、共産など野党4党は24日午前の国対委員長会談で、安倍晋三首相夫人の昭恵氏と、大阪府松井一郎知事の証人喚問を与党に要求することを確認した。国有地取引の折衝に当たった学園側の弁護士や、財務省幹部らの喚問も求める。民進党が午後に自民党に伝える。
問題の国有地に関し、昭恵氏付の政府職員が同学園の籠池泰典氏の陳情を踏まえ、定期借地契約期間延長の可否を財務省に照会していたことが分かっている。野党は国有地取引に首相夫人が関与した可能性があるとみて追及している。
民進党山井和則国対委員長は会談後、記者団に「昭恵氏は身の潔白を、首相は自らの発言の正当性を明らかにするために(喚問を)受けてもらいたい」と述べた。共産党穀田恵二国対委員長も「真相をただすことが必要だ」と語った。
松井氏に対しては、同学園の小学校設置認可に関する大阪府の内部手続きに不当な働き掛けなどがなかったか確認したい考えだ。
昭恵氏喚問について、自民党二階俊博幹事長は記者会見で「必要は全くない」と拒否。松井氏に関しては「知事の意向も聞いてみないと」と述べるにとどめた。

籠池氏喚問 昭恵氏は真相を語れ - 東京新聞(2017年3月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017032402000149.html
http://megalodon.jp/2017-0324-1026-48/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017032402000149.html

学校法人「森友学園」の籠池泰典氏の証人喚問が国会で行われたが、格安での国有地売却など、問題が解明されたとは言い難い。国会は関係者の証人喚問を含め、真相解明に全力を挙げるべきだ。
まず解明すべきは、格安での国有地売却問題だ。学園が小学校用地として購入した大阪府豊中市の国有地の評価額は当初、九億五千六百万円だったが、地中から廃棄物が出たとの学園側の申し出を受け、撤去費用などとして八億円余りを差し引き、さらに分割払いとした。異例ずくめである。
なぜ国は学園を厚遇したのか。
籠池氏は証人喚問で、土地取引をめぐり「政治的関与があったのだろうと認識している」と証言し、「想定外の値下げにびっくりした」と述べたが、菅義偉官房長官は記者会見で「(廃棄物の)撤去費用を踏まえて、不動産鑑定評価に基づき売却価格を算定した。法令に基づいている」と、売却額は適切だったと強調した。
政治家らによる口利きなど、不当な圧力は本当になかったのか。
これまでの政府側の説明をうのみにすることはできない。参院予算委員会は、当時の担当者である財務省の迫田英典前理財局長と武内良樹前近畿財務局長を参考人として招致することを決めた。国有地が格安で売却された経緯を究明する手綱を緩めてはならない。
もう一つの問題点は、籠池氏と安倍晋三、昭恵夫妻との関係である。首相夫妻の「政治力」が直接であれ間接であれ、売却価格の引き下げに影響していたとしたら、見過ごせないからだ。
籠池氏は二〇一五年九月、講演のため学園を訪れた昭恵夫人から「安倍晋三からです」として現金百万円を受け取り、講演の謝礼として十万円を渡したと証言したのに対し、菅氏は「首相は寄付をしていない。夫人個人としても寄付していない」と否定した。
寄付自体は直ちに違法とは言えないが、密接な関係を裏付ける。虚偽の陳述をすれば偽証罪に問われる証人喚問での籠池氏の証言であり、虚偽発言と簡単に切り捨てるわけにはいかない重みを持つ。
双方の話が食い違うのなら、もう一方の当事者にも同様に証言してもらうほかあるまい。
昭恵氏は首相夫人の立場で、この小学校の名誉校長に就き、学園の経営する幼稚園で講演もしていた。金銭の授受や行政への働き掛けの有無について、証人喚問の場で真相を語るべきである。

(筆洗)ファーストレディーとは - 東京新聞(2017年3月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017032402000147.html
http://megalodon.jp/2017-0324-1027-20/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017032402000147.html

ファーストレディーとは、どれほど重い立場か。ニクソン米大統領のパット夫人は「ファーストレディーとは、世界で最もきつい、無給の仕事です」と語った。
フランクリン・ルーズベルト大統領のエレノア夫人は「私自身の外側に、大統領夫人という別の誰かがいる感覚、“私”というものをどこかに失ってしまったような感覚を、ホワイトハウスを去る時まで覚え続けました」と打ち明けたという。「私」を抑えて「公」の立場に徹する。ファーストレディーとは、それほど厳しく自らを律せねばならぬ立場なのだろう。
今、わが国で問われているのは、首相夫人の公と私である。政府は先週「(首相夫人は)公人ではなく私人であると認識している」という閣議決定をした。
だが本当に「私人」なのか。きのう国会であった森友学園理事長の証人喚問で浮かび上がったのは、そんな疑問である。
理事長らが、国有地の利用について首相夫人付きの官僚に聞くと、財務省に問い合わせ、夫人にも説明した上で、丁寧に回答していた。国有地問題とは関係のない夫人付き官僚がなぜかお門違いの申し入れに応対し、「公」の話を「私人」であるはずの夫人に報告した。これはどういうことか。
あいまいな「私」に搦(から)め捕られ、「公」というものがどこかに失われてしまっていたのではないか。今、覚えるのは、そういう感覚である。

籠池氏喚問 関係者の説明が必要だ - 毎日新聞(2017年3月24日)

http://mainichi.jp/articles/20170324/ddm/005/070/030000c
http://archive.is/2017.03.23-201532/http://mainichi.jp/articles/20170324/ddm/005/070/030000c

理事長一人の喚問では解明できないことが改めて分かった。やはり他の関係者の反論や説明が不可欠だ。
大阪市の学校法人「森友学園」に国有地が格安で売却された問題をめぐり、きのう衆参両院の予算委員会籠池泰典・同学園理事長に対する証人喚問が行われた。
喚問で籠池氏は自身が不利になる証言は拒否した。開設を目指していた小学校建設について金額が違う3通りの工事請負契約書を関係先に提出していた問題などだ。ただ、それを踏まえたうえで、証言にはいくつかのポイントがあった。
まず籠池氏は安倍晋三首相夫人の昭恵氏から100万円の寄付を受け取る一方、10万円の講演料を渡したと喚問でも語った点だ。国との交渉過程で昭恵氏に協力を要請し、夫人付きの職員が財務省に問い合わせた結果、要請の実現は難しいと返答してきた−−というファクスの存在も明かした。
首相は寄付や講演料を否定し、国会では「私や妻が認可や払い下げに関わっていたら首相も国会議員も辞める」と答弁している。つまりこれは首相の信用に関わる問題だ。
また籠池氏は、昭恵氏が一時、小学校の名誉校長になっていたことを関係の役所にも伝えていたとも語った。昭恵氏の名前が、学園が役所側と有利に交渉を進める材料になった可能性も否定できない。
籠池氏の証言が事実かどうか、昭恵氏本人の口から説明が聞きたい。記者会見などをしないのなら国会への招致が必要となる。
なぜ、格安になったかという原点の疑念も解明は進まなかった。
問題の国有地は地中のゴミ撤去費用を国が独自に8億円と見積もった結果、格安となった。籠池氏は大量のゴミが見つかって以降、流れが変わり、「神風が吹いた」と証言。「想定外の大幅な値下げにびっくりした」とまで語った。
だが、なぜそうなったかは分からないから関係する役所に聞いてくれと言わんばかりだった。参院は当時の財務省理財局長らを参考人招致することを決めたが遅過ぎるほどだ。
同時に籠池氏は政治家の関与について「その都度あったのだろうと認識している」と語った。自民党日本維新の会の地元選出国会議員や元大阪府議の実名を挙げて、協力を要請したとも明かした。
大阪府の私立学校審議会が小学校に対し、なぜ一昨年1月の時点で「認可適当」と判断したのかも大きな疑問だ。籠池氏は問題が表面化した後、小学校の設置認可申請を取り下げたが、「松井一郎大阪府知事にはしご段を外された」と強調した。松井氏らの証言も聞く必要がある。

大人って…知事選 私たちの1票<上> 大学生の挑戦:千葉 - 東京新聞(2017年3月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201703/CK2017032202000134.html
http://megalodon.jp/2017-0324-1027-54/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201703/CK2017032202000134.html

昨年6月に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、18歳と19歳の若者が初めて投票する知事選の投開票日が、26日に迫ってきた。知事選候補者の公約を比べて議論したり、自分たちの意見を行政に反映してもらおうと取り組む、「政治を人任せにしたくない」という若者たちの今を紹介する。 (中山岳)
「若者に向けたメッセージが少ない」。十九日、JR津田沼駅前で知事選候補者の演説を聞いた千葉大教育学部三年の須藤ややさん(21)=浦安市=は、素直な感想を語った。
須藤さんは知事選告示(九日)以降、三人の候補者の街頭演説を聞いた。どの候補の演説会場も、集まった聴衆は、ほとんどが高齢者だった。「私たちの世代が投票に行かないと、若者の意見が政治に反映されない」と危機感を抱く。
須藤さんは一昨年と昨年、県議などの事務所でインターン(研修)を経験。県議らと一日で百軒の家を回り、住民から困りごとがないか聞くなどした。「政治を人ごとでなく、自分に関わる事と感じられた。一気に興味がわいた」
「若者を政治に引き込む機会が、もっと必要」。そんな思いから、須藤さんらは今月五日、浦安のまちづくりに懸ける思いを提案する「うらやすスーパープレゼンテーション」を開催。知事選と同じ二十六日に投開票される浦安市長選の候補者も招いた。若者と候補者らが一人当たり十分間、熱弁を振るった。様子はインターネット動画で公開している。
前回知事選の投票率は31・96%だった。十八歳以上が投票に参加することで、若者の投票行動にも注目が集まる中、投票率アップにつなげようと、同世代で学び合う大学生もいる。
今月四日と十二日、柏市であった知事選勉強会。十代を含めた約四十人が投票する意義を語り合い、候補者の公約を調べて議論した。
毎月五万円の奨学金を借りて学費にあて、将来は公務員を目指す中央学院大法学部一年の金井巽都(ゆくと)さん(19)=八街市=は、各候補の公約とも高齢者向けの政策が多いと分析。「学費や就職を支援する施策が、もっとほしい」と話す。
金井さんも昨年八月から二カ月間、県議のインターンを経験した。インターン中に初めて傍聴した県議会では、県が提出した議案を県議が承認するだけの場面が多かった。「千葉に住む若者たちが、もっと地元に目を向ける政策が県でできるはず。議会でも活発な議論があれば」と指摘する。
勉強会は、若者の投票率向上に取り組むNPO法人「ドットジェイピー」が開いた。同法人千葉支部代表で千葉大教育学部三年の山田光さん(21)=千葉市=は「知事選の結果は、身近な生活に影響する。自分の視点をもち、投票に行ってほしい」と話している。

大人って…知事選 私たちの1票<下> 主権者教育:千葉 - 東京新聞(2017年3月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201703/CK2017032402000206.html
http://megalodon.jp/2017-0324-1028-21/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201703/CK2017032402000206.html

「自分の意見が反映された政策が投票で選ばれ、現実を変えることができた」。千葉市立千葉高二年の鈴木琉雅(りゅうが)さん(17)は昨年六月、千葉市内の公立、私立高校計七校で行った模擬投票「こども・若者選挙」の意義を語る。
模擬投票は、鈴木さんら七校の生徒計二十一人が中心となって実施。鈴木さんらは「こども市役所の運営」や「千葉市をよく知るためのフォトコンテスト開催」などの政策を考え、各校で訴えた。七校の生徒約五千四百人のうち、約二千七百人が投票し、こども市役所に関する政策が最も多く支持を集めた。
投票結果は、千葉市政を動かした。鈴木さんらは四月から、千葉市の協力を得て公共施設などを拠点に、こども若者市役所「千葉シティーンズ未来センター(CCFC)」を発足。大学生も交えてワークショップを開き、子どもから大人まで交流できる文化祭や、二〇二〇年東京五輪パラリンピックの際の子どもボランティアの募集などのアイデアを出し合う予定だ。
二十日に千葉市中央区であった「こども・若者サミット」では、鈴木さんら高校生たちは、熊谷俊人市長や市民らに、これまでの取り組みを報告した。模擬投票を通じ、選挙をひとごとと思っていた意識が大きく変わったという鈴木さん。「社会の課題を解決する政策は一つじゃない。いろんな人の意見をくみ取り、代表者を選ぶのが選挙だとわかった」と語る。
昨年六月に投票権年齢が「十八歳以上」に下がり、県内の高校で模擬投票など主権者教育が広がった。県選挙管理委員会によると、昨年四月〜今年二月に約五十校が模擬投票を行った。
こども・若者選挙企画メンバーで千葉東高二年小西あかりさん(17)は「政策を作る際、実現できるかどうかバランスを考えるのが難しかった」と話す。千葉東高の模擬投票の投票率は約30%。七校全体の約50%を大幅に下回った。
現実の知事選でも、若者の低投票率は課題だ。一三年の前回知事選は、二十〜二十四歳の投票率が19・28%、二十五〜二十九歳が18・6%にとどまった。
こども・若者選挙企画メンバーの植草学園大付属高二年の鈴木愛澄(あすみ)さん(17)は「投票権を得る三年生の時、実際の候補者の公約を教わる機会があったら良いかも」。高校の授業で公約や政策を学ぶことで、投票率は上がると考えている。
淑徳大コミュニティ政策学部の矢尾板俊平准教授(総合政策論)は、投票を経験するだけでなく、現実の政治に関わろうという動きに期待する。「地域のためにともに汗をかき、行動に移すことが大切。生徒たちが主役として関わるまちづくりが、主権者意識を高めるのではないか」と話している。 (中山岳、柚木まり、黒籔香織)

◆「参加、意見する習慣を」放送大の宮本副学長に聞く
若者の社会問題に詳しい放送大の宮本みち子副学長に、社会参加の意義を聞いた。(聞き手・柚木まり)
少子高齢化が進む中、若者に将来の担い手としての自覚や力を早い段階で与えるべきです。海外では十四歳や十六歳で住民投票に参加できる国もあります。
若者には、理念ではなく、具体的な自分の発言によって、物事が変えられたという「民主主義」の体験が大事です。
例えば、経営状況が厳しい銚子電鉄を生徒のアイデア商品で支援する銚子商業高校や、いすみ鉄道の沿線の花壇の手入れや案内板を制作する大多喜高校の取り組みなどは、大人を巻き込んでまちづくりを盛り上げる良い例です。
若者がどう意見を発信すれば自分たちの利益につながるのかは、学校だけでなくまちの中でも学ぶことができます。選挙権がなくても、同世代に関心が高いテーマについて候補者に質問状を出したり、直接問い掛けることも良いでしょう。
自ら参加し、意見することが習慣づけられれば、政治をより身近に感じられるのではないでしょうか。

(余録)食事をしていていきなりむせたとする… - 毎日新聞(2017年3月24日)

http://mainichi.jp/articles/20170324/ddm/001/070/125000c
http://archive.is/2017.03.24-013045/http://mainichi.jp/articles/20170324/ddm/001/070/125000c

食事をしていていきなりむせたとする。ちょっとあわてるだけではすまなかったのが、その証言にうそ偽りのないことを誓った鎌倉時代の裁判の関係者だった。むせたのは偽りがあった証拠とされ、厳罰を受けたり、所領を失ったりした。
先日の小欄で神仏への宣誓文を起(き)請(しょう)文(もん)と呼んだと紹介したが、実際にうそがないかは寺社に何日かこもって立証せねばならなかった。その間に病気になったり、体から出血したり、飲み食いでむせたりしたら、それが誓約にうそのあった証し−−「失(しつ)」とされたのだ。
「参籠起請(さんろうきしょう)」といわれる当時の神判、つまり神仏による裁きである。「失」はうそをついた者に神仏が下す罰と思われたのだが、人の証言の真偽を判定するのは今なお容易ではない(清水克行(しみずかつゆき)著「日本神判史」中公新書
森友学園理事長の籠池泰典(かごいけやすのり)氏は注目の国会証人喚問で安倍晋三(あべしんぞう)首相の昭恵(あきえ)夫人から100万円の寄付を受けたと語った。官房長官は直ちにこれを否定、真相は宙に浮いた形である。籠池氏は国有地売却や学校認可でも政治家や役人の実名を挙げていきさつを証言した。
「神風が吹いた」とは国有地売却の急進展に何かの力を感じたという籠池氏の言葉だった。これまで出ていた話との食い違いをいくつも明るみに出したその証言だ。そこに名の挙がった人には、宣誓証人の言葉の重さに見合った十分な説明をしてもらわねばならない。
ネズミに衣をかじられたり、カラスに尿をかけられたりしても「失」とされた昔だった。食い違う話の「失」はいずれにあるのか。ネズミやカラスには頼れない現代の国有財産にからむ真偽の判定だ。

籠池氏の喚問 昭恵氏の招致が必要だ - 朝日新聞(2017年3月24日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12856763.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2017-0324-1025-47/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_shasetsu_01

安倍首相の妻の昭恵氏が、国有地払い下げに関与したことを疑わせる重大な証言だ。関与を全否定してきた首相の説明とも食い違う。解明のため昭恵氏を国会に招致する必要がある。
学校法人「森友学園」理事長の籠池(かごいけ)泰典氏がきのう、衆参両院で証人喚問にのぞんだ。同氏は昭恵氏に国有地買い上げ条件の緩和に関し、「助けをいただこうと考えた」と証言した。
籠池氏本人が15年10月、昭恵氏の携帯電話の留守番電話にメッセージを送り、翌月、首相官邸の昭恵氏付きの職員から「財務省の室長から回答を得ました」「現状では希望に沿うことはできません」などと書いたファクスが届いたという。
事実なら昭恵氏が籠池氏の要望を誰かに伝え、職員を通じて返事をさせたことになる。
官房長官はファクスの存在を認めた上で、「問い合わせへの回答」だと説明する。だが国の財産処分に関して要請を受けた首相夫人が何らかの動きをしていたなら、一定の関与をしていたことになる。
政府は昭恵氏を「私人」だとし、認可や土地取引と無関係と強調する。だが首相夫人が公的存在であることは明らかで、説明責任は免れない。
昭恵氏側が100万円を寄付したとされる問題で、籠池氏は「夫人の方から封筒をかばんの中から出した」と語り、同行の職員を昭恵氏が「人払いした」ため、園長室で一対一のやりとりだったと証言した。「寄付していないことを確認している」という首相側との言い分は、真っ向から食い違っている。
もちろん、籠池氏の一連の証言が事実だとは限らない。解明するには、昭恵氏本人の公の場での証言が不可欠だ。
首相の説明責任も問われる。国会で首相は「国有地払い下げや認可に私や妻が関係していたということになれば首相も国会議員も辞める」とまで語った。そこまで言うなら、ファクスの件を含め昭恵氏の行動をどう説明するつもりなのか。
参院予算委員会はきょう、売却交渉をしていた時期に財務省理財局長だった迫田英典・国税庁長官と、近畿財務局長だった武内良樹・財務省国際局長を参考人招致する。
籠池氏は複数の政治家名もあげたが、財務省国土交通省がどう対応したのか、未解明のままだ。当時の実情を知る両氏は明確に答えるべきだ。
また籠池氏は「刑事訴追の恐れ」を理由に、補助金不正疑惑について口をつぐんだ。解明はまだ、緒についたばかりだ。

憲法審で「緊急事態条項」に反対 被災者支援の弁護士 - 東京新聞(2017年3月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017032302000270.html
http://megalodon.jp/2017-0324-0940-08/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201703/CK2017032302000270.html

衆院憲法審査会は二十三日午前、大災害や武力攻撃時の特例的な対応を定める「緊急事態条項」を憲法に盛り込む改憲論などを巡り、参考人三人が出席して質疑を行った。被災者支援に長年携わってきた弁護士の永井幸寿氏は、現行法で対応可能として、同条項を設ける改憲に反対した。
緊急事態条項は、国会議員任期を延長できる規定の新設や、首相への権限集中、一定の人権制限を可能にする規定が検討されている。自民党改憲草案にも盛り込まれている。
永井氏は、阪神大震災を機に二十二年間、被災者支援を続けてきた経験を踏まえ「災害時に重要なのは憲法よりも法律や条例。災害関連の法規はたいへんよく整備されている」と指摘。「国に権力を集中しても対処できない。災害をだしにして憲法を変えることには反対だ」と訴えた。
議員任期延長についても「参院の緊急集会、公職選挙法の繰り延べ投票の制度で対処できる」と述べた。
これに対して防衛大教授の松浦一夫氏は「最悪の場合を想定し、通常ルールで対応できない場合の枠組みは必要。憲法の例外は憲法で定めるしかない」と、改憲は必要と指摘した。
首都大学東京教授の木村草太氏は、首相の解散権について「党利党略を抑制するため、何らかの制限をかけていくことが合理的」と指摘した。 (清水俊介)