福島事故処理 最大70兆円 民間試算 政府公表の3倍超 - 東京新聞(2017年4月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201704/CK2017040202000129.html
http://megalodon.jp/2017-0402-1028-14/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201704/CK2017040202000129.html


東京電力福島第一原発事故の対応費用について、民間シンクタンク日本経済研究センター」(東京)が総額五十兆〜七十兆円に上るとの試算結果をまとめたことが分かった。費用が最大の場合、経済産業省が昨年十二月に公表した試算約二十二兆円の三倍以上。センターは「国民負担が大幅増の恐れがあり、国の原子力政策の見直しが必要だ」と提言している。
センターは大手企業や大学、自治体などが法人会員のメンバー。試算は特任研究員の鈴木達治郎長崎大教授らがまとめた。
経産省は対応費用を大きく三つに分類し「除染」六兆円、「廃炉(汚染水を含む)」八兆円、「賠償」八兆円と試算。これに対し、センターはそれぞれ三十兆円、十一兆〜三十二兆円、八兆円とした。
除染に関しては、政府は福島県内で出る汚染土などの廃棄物が最大約二千二百万立方メートルと見込むが、県外の処分先のめどは立っておらず、対応費用は経産省試算に盛り込まれていない。
センターは、最終処分費用を青森県六ケ所村の埋設施設で低レベル放射性廃棄物を処分する単価並み(一万トン当たり八十億〜百九十億円)として試算、総額三十兆円と見積もった。
廃炉の費用については、原発の解体で出る全ての廃棄物のうち、炉内構造物や廃液などの放射性廃棄物は数%程度で、その他は線量が基準を超えない一般の廃棄物に当たるとしているが、第一原発については、炉心溶融した1〜3号機は全て放射性廃棄物として処分すると仮定したため、対応費用が膨らんだ。汚染水は、第一原発敷地内のタンクなどに約百万トンがたまっており、政府は処分方法を絞り込めていない。センターは、日本原子力研究開発機構などのデータを基に一トン当たりの処理費用を二千万円とし、全量分を二十兆円とした。
基準以下に薄めて海洋放出した場合、二十兆円は不要だが、地元漁業者への計三千億円の補償が経産省試算に上乗せされるため、賠償費用が八・三兆円になると試算した。

福島第一廃炉 危険手当 大幅「中抜き」 業者証言、日額300円の例 - 東京新聞(2017年4月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017040290065942.html
http://megalodon.jp/2017-0402-1028-36/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017040290065942.html


東京電力福島第一原発の収束、廃炉作業で、事故直後から放射線量の高い現場で働く作業員らに支払われてきた危険手当が大幅に中間搾取(中抜き)され、支給時に日額「三百円」に減額された事例があったことが、本紙が入手した内部資料や関係者の証言で分かった。これまでも中抜きの横行は公然とささやかれてきたが、具体的に裏付けられたことはほとんどなかった。
東電によると、危険手当は「(工事の)設計上の労務費の割り増し分」。工事費に上乗せする形で業者に支払っており、事故直後からの「従来分」と、二〇一三年十二月以降の発注工事から上乗せした「増額分」の二種類ある。
東電は金額の詳細を明らかにしていないが、広瀬直己社長は国会などで、それぞれ日額「一万円」が代表例だと説明している。
本紙が入手したのは、一四年四月〜一五年三月に実施された原子炉建屋付近のがれき処理などの工事関連の書類。発注者は東電で「東芝」が元請け、グループ会社の「東芝プラントシステム」が一次下請け。作業員は主に三次下請け業者が集め、賃金を支払った。
書類は、二次下請けから三次下請けへ支払われた工事費の項目があり、二種類の危険手当のうち「従来分」に対応する手当が「震災対応協力金」の名目で記載されている。放射線量の高い順に(1)原子炉建屋や建屋と同レベルの環境下は「二千五百円」(2)その他の構内は「千円」(3)免震重要棟や入退域管理棟施設内が「三百円」−となっている。
いずれも東電が代表例とする一万円と比べ、大幅に少ない。二次下請けの建設会社の社長は本紙取材に対し、「事務手数料や振込手数料として徴収した」と中抜きを認めた。この社長は「うちが受け取ったのは五千円((1))、二千円((2))、七百円((3))だった」と語り、既に一万円を大幅に下回っていたと証言する。
東電は取材に「作業員と契約しているのは雇用主である業者で、東電としてどうこう言える話ではない」と回答した。 (鈴木龍司)

辺野古座り込み1000日 「岩礁破砕許可」期限切れ - 東京新聞(2017年4月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040102000255.html
http://megalodon.jp/2017-0402-1029-00/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017040102000255.html

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴い、新基地が建設される名護市辺野古(へのこ)の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で一日、移設に反対する座り込みを始めて千日を迎えたことに合わせ、市民らが抗議集会を開催した。三月三十一日には、辺野古埋め立て工事で県が必要と強調する知事権限の「岩礁破砕許可」が期限切れとなった。不要と主張する国との対立が先鋭化するとみられる。
集会では、移設に反対する政党や市民団体でつくる「オール沖縄会議」の高里鈴代共同代表(76)が「一日一日の積み重ねが千日になった。軍事基地建設の中止に向けて決意を新たにしよう」と呼び掛けた。沖縄平和運動センターの大城悟事務局長(53)は「不屈の精神で沖縄の未来を守ろう」と話した。
沖縄県は一日、岩礁破砕許可が必要な工事が行われていないか調べるために、県の漁業取締船を使い、辺野古沿岸部の制限区域外の海上から確認作業を始めた。同許可が必要な作業を確認した場合は「工事差し止め訴訟を検討する」としている。
国は、地元漁協が昨年十一月に岩礁破砕許可の前提となる現場の漁業権の放棄を決議したため、許可は不要になったとして、工事を進める方針。県は漁協の放棄だけでは漁業権は消滅しないなどとして「許可は必要」と反論している。
国は二月、海上での本体工事を開始した。

沖縄県、辺野古で現地調査 岩礁破砕許可が期限切れ - 共同通信(2017年4月1日)

https://this.kiji.is/220841440096829446
http://archive.is/2017.04.02-012954/https://this.kiji.is/220841440096829446

沖縄県は1日、米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部に漁業取締船を派遣し、国が進める海上工事の状況を調査した。この日の海上作業は確認されなかった。3月31日に期限切れとなった知事権限の「岩礁破砕許可」が必要な工事が行われていないか調べるのが目的。国は、地元漁協の漁業権放棄を理由に「許可は不要」としている。
船上の県職員が約3時間にわたり、臨時制限区域の外側から双眼鏡を使って調査。陸上からも調べた。3日も現場海域での調査を予定している。
県は今後、岩礁破砕行為を確認した際には「工事差し止め訴訟を検討する」としている。

文科省の天下りあっせん 違反の総数62件に - NHK(2017年3月30日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010930911000.html
http://megalodon.jp/2017-0330-2136-15/www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010930911000.html

松野文部科学大臣は、天下りのあっせん問題について、最終的な調査結果を発表し、新たに35件の事案が国家公務員法の違反にあたると認定したうえで、判明した違反の総数は62件となったことを明らかにしました。また、退職者を含む43人が懲戒処分などを受け、文部科学省として過去に例がない規模となりました。
文部科学省は、退職者などの再就職を組織的にあっせんしていたなどとして、これまでに27件の事案を国家公務員法に違反すると認定し全容の解明に向けて、弁護士などの有識者を加えた省内の調査班で、すべての職員や退職者を対象に、およそ2か月にわたって調査を進めてきました。

これについて、松野文部科学大臣は、午後5時から記者会見を開き、最終的な調査結果を発表し、新たに35件の事案が国家公務員法の違反にあたると認定したうえで、ことし1月に、一連の問題を公表して以降、判明した違反の総数が62件となったことを明らかにしました。

新たに明らかになった違反事案の中には、私立の学校法人の審査などを所管する私学部のトップにあたる私学部長が、文部科学省の退職者を再就職させるために、私立大学に紹介していたということです。
また、文部科学省の人事課が、外務省や内閣府から職員の情報を入手したうえで、国立大学に紹介し、再就職が行われた事案なども含まれています。

一方、天下りの規制が強化されたあと、違法な再就職のあっせんの仕組みが、誰の指示で、どのように構築されたかについては、十分な物証や証言が得られなかったとして、今回の調査では、明らかにならなかったとしています。

また、松野大臣は、調査結果と合わせて30日付けで退職者を含む37人を追加で懲戒処分などにしたと発表し、このうち職員1人が停職、8人が減給、3人が戒告となりました。
これにより、これまでに退職者を含む43人が懲戒処分などを受けたことになり文部科学省として過去に例がない規模となりました。

さらに再発防止策について、外部の第三者が参加する組織を新たに設けて、職員の再就職が法律に違反していないか常に確認することや、現役職員とOBの関わり方を見直して、ルール化することを検討するとしています。
違法天下り先 半数超が大学
今回、国家公務員法に違反すると認定された62件の天下り先をみると、大学や学校法人が33件と半数を超えています。このほかは独立行政法人や一般社団法人などの団体が19件、保険会社や銀行といった民間企業は7件などでした。
大学への再就職は役員や事務局長など大学の運営や経営にたずさわるポストが多く、早稲田大学や慶応大学、上智大学なども含まれていました。

その1つの慶応大学の関係者は、大学が天下りを受け入れる理由について、「大学として国から補助金を受ける立場であり、文部科学省とのつきあいは重要だ。実際には、OBがさほど仕事をしなくても何かあった時の用心棒として受け入れている」と話しています。
あっせんの仕組みと懲戒処分
最終報告によりますと、文部科学省の違法な天下りは平成21年に、国家公務員法が改正され、天下りの規制が厳しくなったあと組織ぐるみで行われていました。62件の違法な天下りなどのうち人事課がOBの嶋貫和男氏を仲介役などとして行ったものは39件ありました。これらの手口は平成22年以降、人事課が作成した「引き継ぎメモ」などを使いながら少なくとも去年3月ごろまで続けられていました。
また、人事課が嶋貫氏を介さずに事務次官や人事課長といった幹部などと行ったケースも23件ありました。

一方、今回の天下り問題で、30日新たに歴代3人の事務次官を含む5人が停職および停職相当、当時の官房長と歴代4人の人事課長を含む8人が減給、当時の人事課長など合わせて3人が戒告の懲戒処分となりました。30日の懲戒処分などを合わせると、これまでに合わせて43人が処分を受けたことになりますが、これは文部科学省としては過去最も多い処分の人数だということです。
松野文科相「猛省し再発防止に全力」
松野文部科学大臣は、記者会見で「確認された行為は、文部科学行政に対する国民の信頼を著しく損ねるものだ。省を挙げて猛省するとともに、文部科学省の責任者として、改めて国民の皆さまに心よりおわび申し上げる。多くの処分者を出したことは極めて遺憾なことだ」と述べ、陳謝しました。

そのうえで、松野大臣は「職員が順法意識よりも身内意識を優先してしまい、身内意識が甘えの構造につながる側面があった。私の使命として、文部科学省が国民に信用される組織となるよう、職員一丸となって与えられた職責に全力で取り組む」と述べました。
さらに、松野大臣は「現時点で、できるかぎりの調査を徹底的に行ったという意識は持っており、組織的なあっせん構造の全容を解明したと考えている」と述べました。
民進 蓮舫代表「文科相の責任逃れられず」
民進党蓮舫代表は、記者会見で、「松野文部科学大臣のガバナンスを疑わざるを得ず、大臣の責任は逃れられない。国民に知らせなかったらバレないだろうと、省を挙げて、所管する大学への再就職やあっせんをしていたこと自体が、教育を語る省として恥ずべき行為だ。厳罰で臨み、二度と同じ事が起きないよう、再発防止策を講じるべきだ。ただ、松野大臣がその任に値するかは疑問だ」と述べました。
文科省 他省庁の職員もあっせん
最終報告では、文部科学省の人事課は大学に対して、外務省と内閣府の元職員の再就職もあっせんしていた実態が明らかになりました。

それによりますと、平成27年に、当時の文部科学省の人事課長が外務省とやり取りしたうえで、元大使だった外務省職員を東京外国語大学の教授にするため大学側に人事課職員を介してこの職員の情報を提供したということです。また、同じ年に人事課長は新潟大学が経済に詳しい理事を探していると聞き、大学側に別の大学で教授をしていた内閣府の元職員の情報を提供していました。
調査チームはこれら2つの事案について、いずれも大学側に再就職を目的に情報提供したとして国家公務員法に違反すると判断しました。
外務省 前人事課長を減給処分
外務省は、文部科学省天下りのあっせん問題で新たに発表された35件の事案のうち1件について、おととし11月から12月にかけて、外務省の前の人事課長が、当時外交官だった男性の再就職につながることを認識したうえで、この男性の履歴書などを、文部科学省の人事課を通じて東京都内の大学に提供していたと発表しました。
これについて外務省は、30日付けで前の人事課長を減給10分の2、4か月の懲戒処分にしました。
文科省OB「特権意識や甘え捨て去るべき」
今回の天下り問題について、文部科学省のあるOBは「国家公務員という特権意識や甘えは捨て去るべきだ」と指摘しています。

文部科学省で審議官などを務めた本間政雄さんは、56歳で早期退職し、公募によって再就職しました。
本間さんは今回の問題の背景について「国家公務員は役所に長年貢献したので、特権意識とともに再就職先も役所が世話をしてくれるという甘えがあったと思う」と指摘したうえで、「文科省の歴代OBが特定の私学にいけば、ついつい許認可などで取り扱いに差が出てくることもあるかもしれない」とその弊害を語りました。

そのうえで、再発防止のためには「役所はさまざまな経験や知見を高められる職場であり、目の前の仕事に懸命に取り組めば、おのずと専門性も高まる。結果として、退職後にそうした経験を生かすことができれば違法な手段に頼らずとも再就職はできるはずだ」と話しています。