安倍政権下の改憲反対54% 原発即時停止49%賛成 - 東京新聞(2018年1月14日)


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018011401001211.html
https://megalodon.jp/2018-0115-0940-26/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018011401001211.html

共同通信社が13、14両日に実施した全国電世論調査によると、安倍晋三首相の下での憲法改正に反対は54・8%で、2017年12月の前回調査から6・2ポイント増加した。賛成は33・0%。小泉純一郎元首相らが主張する全原発の即時停止に賛成は49・0%、反対は42・6%だった。内閣支持率は49・7%で、前回調査から2・5ポイント増加した。不支持率は36・6%。
憲法9条自衛隊を明記する首相の提案に反対は52・7%で、賛成35・3%を上回った。
長距離巡航ミサイルの導入は、賛成41・7%、反対46・7%。(共同)

安倍政権で改憲、反対54% 9条に自衛隊、反対52% 共同世論調査 - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000130.html
https://megalodon.jp/2018-0115-1057-04/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000130.html

共同通信社が十三、十四両日に実施した全国電世論調査によると、安倍晋三首相の下での改憲に反対は54・8%で、二〇一七年十二月の前回調査から6・2ポイント増加した。賛成は33・0%。小泉純一郎元首相らが主張する全原発の即時停止に賛成は49・0%、反対は42・6%だった。内閣支持率は49・7%で、前回調査から2・5ポイント増加した。不支持率は36・6%。
憲法九条に自衛隊を明記する首相の提案には反対52・7%、賛成35・3%。同じ設問をした昨年十一月調査(反対52・6%、賛成38・3%)と傾向は変わらなかった。「専守防衛」に反するとの指摘がある長距離巡航ミサイルの導入には、賛成41・7%、反対46・7%だった。
原発の即時停止に賛成と答えた人は、公明党支持層で56・8%。自民党支持層は33・7%が賛成し、58・5%が反対した。野党支持層では、日本維新の会を除いて賛成が反対を大きく上回った。政府の原発再稼働方針に対する慎重意見の広がりが浮かんだ。
小泉氏らは、全原発の即時停止などを求める法案を通常国会に提出するよう与野党に呼び掛けている。立憲民主党は「原発ゼロ基本法案」の提出を目指しており、国会論戦の重要テーマとなる可能性がある。
ほかの主要政党の支持層別に見ると、即時停止賛成は立民で77・1%、希望の党で75・2%、民進党61・9%、共産党78・9%だった。「支持する政党はない」と回答した無党派層でも52・1%となった。一方、日本維新は即時停止反対が65・3%で、賛成は17・5%だった。
政党支持率自民党が前回比1・3ポイント増の38・4%、立憲民主党は0・2ポイント増の12・7%、希望の党は2・0ポイント減の1・2%。公明党2・8%、民進党1・3%、共産党3・8%、日本維新の会2・4%、自由党0・1%、社民党0・6%、「支持する政党はない」とした無党派層は35・4%だった。

◆「憲法国会」論戦激化へ
共同通信世論調査で、安倍首相(自民党総裁)の下での改憲や、首相が提案する自衛隊の明記案に、過半数が反対する結果が出たことを受け、二十二日召集の通常国会は「憲法」に関する論戦が激化しそうだ。
首相は四日の記者会見で「今年こそ、憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていく」と語った。これを受け自民党改憲案の年内発議を視野に、党内の意見集約や衆参両院の憲法審査会での議論を急ぐ構えだ。
だが今回の世論調査は、性急な改憲論議に、国民の抵抗感が強いことをあらためて示した。通常国会では、安倍首相の下での改憲に反対する立憲民主党など野党勢力が首相の姿勢を追及する裏付けの材料になる。
首相は二十二日の衆参両院の本会議で施政方針演説を行う予定。改憲についてどう語るかが注目される。

(政界地獄耳)選挙後になると結集訴える民進系3党 - 日刊スポーツ(2018年1月15日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801150000189.html
http://archive.is/2018.01.15-012457/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801150000189.html

★昔は民進王国とまでいわれた愛知には、民進党代表・大塚耕平希望の党幹事長・古川元久立憲民主党副代表・近藤昭一がいるが、その分裂した民進党系3党の幹部が名古屋で13日、「野党の今後」についての討論会を開いた。その中で大塚は「3党の違いを強調するのは、何の意味もない。また仲間が結集できることを目指す」と発言。古川も「法律を通すには、議会の中で多数を形成していかなければいけない」と協調路線を繰り返した。
★民主、民進党時代から、1度決まったことも納得せず従わないという党風の印象が強い民進党系3党。各自が融和や協調を唱えることに違和感を覚える有権者が多いのではないか。選挙協力を拒否して惨敗し、選挙後に結集を訴えるのも、彼らのセレモニーと化している。選挙前にやっていれば良かったのではないかと聞いたところで、答えなど彼らにはないだろう。
★ことに昨年の衆院選直前に希望の党に移った面々は、民進党時代の政策も綱領も捨て、「右へ右へ」(希望の党代表・玉木雄一郎)と民進党とは一線を画したはず。希望はいわゆる排除の論理を振りかざしたチャーターメンバーを党の後ろに隠して、融和路線の議員を交渉の前面に出してきているが、彼らは「元の仲間」ではない。
★その意味では、立憲の近藤が「選挙の後でイコールとは言えない」とするのが筋だろう。大塚の言う「3党の違いを強調するのは無意味」とする価値観こそが、民主、民進時代の協調性なく、奔放に与党時代や野党時代を過ごした間違いではないか。ただ、立憲も今まで通りではいかない。純化と協調性の両立を確立し、安倍政権に戦いを挑むだけでなく、安倍後の自民党との対峙(たいじ)まで見据えた政党づくりができるかが課題だ。(K)※敬称略

「チャーターメンバー」とはどういう意味?
「Charter Member(チャーター・メンバー)」とは、創立メンバー、との意味

日本の再生エネ「嘆かわしい」 河野外相、演説で政府に苦言 - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000125.html
https://megalodon.jp/2018-0115-0949-29/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000125.html

アブダビ=共同】河野太郎外相は訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで十四日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の総会に出席し、再生可能エネルギー導入に向けた日本の取り組みは国際水準にも達していないとして「嘆かわしい」と批判した。同時に「今後、日本は新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開する」と訴えた。
外相の立場にありながら国際会議で政府方針に苦言を呈した形だ。原発政策を含むエネルギー問題に取り組んできた自らの経験を踏まえ、存在感をアピールする狙いがあるとみられる。
河野氏がやり玉に挙げたのは、電源に占める再エネの比率を二〇三〇年時点で22〜24%にするとした日本政府の目標。演説で「再生可能エネルギーの電源割合の世界平均は現在24%。日本が目指す数値が今の世界平均ということは、日本の外相として何とも悲しく思う」と強調した。
河野氏は「日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せずに短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果だ」とも指摘した。具体的な問題点として、再エネの固定価格買い取り制度に伴う消費者の負担増、再エネ導入に必要な制度上の不備に言及した。

原発ゼロ法案 ネット活用 立民、前文を市民と作る - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000131.html
https://megalodon.jp/2018-0115-0950-46/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201801/CK2018011502000131.html


原発を速やかに廃止するとの「原発ゼロ基本法案」を策定中の立憲民主党は、法案の理念に当たる「前文」をインターネットを活用し市民とともに作成する試みを進めている。原発のない社会がなぜ必要か、原発がない日本は何を目指すのか−などを市民自身に描いてもらい、法案に「魂」を吹き込んでもらうことが狙いだ。 (山口哲人)
前文は、法律の制定趣旨や理念、目的などを強調するもの。必ず必要なわけではないが、日本国憲法をはじめ、教育基本法など理念をうたう基本法に多くみられ、各条文の解釈の基準にもなるとされる。
立憲民主党原発ゼロ基本法案の前文を市民と書き上げるため利用しているのが「グーグル ドキュメント」と呼ばれるネットの無料ソフト。ネットにつながったパソコンやスマートフォンなどから共有ページにアクセスしてもらい、複数の人が同時に文案の追加や修正、削除の提案を書き込むことができる。
党側は書き込みの採用可否を判断しながら前文案を更新していく。昨年末からソフトを使い、共有ページに前文案を公開しており、これまでに約三十人が提案を書き込んでいる。
提案には「福島第一原発事故の教訓に従い、遠くない未来に原発稼働ゼロ社会を実現することを目的とする」などと具体的な一文が寄せられている。「『原子力に頼らない世界』の『世界』は『社会』の方がいい」といった細かい表現の指摘もある。
党側はこうした提案や意見を踏まえ、月内に前文を完成させる方針で、多くの市民の思いを反映する意向だ。前文の後に記される条文も、全国でタウンミーティングを開催し、市民から寄せられた意見を反映させたいとしている。
共有ページは党エネルギー調査会長の逢坂誠二衆院議員のツイッターからアクセスできる。

「再稼働」是非を問う 12月の県議選に注目 今年の県内選挙:茨城 - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201801/CK2018011502000145.html
https://megalodon.jp/2018-0115-0942-58/www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201801/CK2018011502000145.html

今年の選挙の注目は、国政選挙の予定がないため、十二月に実施する見通しの県議選だ。新しい県議は任期中に、日本原子力発電(原電)東海第二原発東海村)の再稼働の是非を問われる可能性があり、有権者の判断が鍵を握る。一方、首長選は高萩市下妻市など十二市町であり、議員選は補選を含めて九市町で予定されている。(鈴木学、酒井健

議席目標
県議選の定数は六三から六二に削減される。有権者数に基づき三増四減で、牛久市つくば市龍ケ崎市利根町の三選挙区が各一増となり、日立市取手市利根町除く)、潮来市行方市鉾田市茨城町大洗町の四選挙区が各一減になる。
最大勢力のいばらき自民(四十一議席)は、推薦候補が勝利した昨年八月の知事選、小選挙区議席を伸ばした同十月の衆院選の勢いを背に、幹部は「四十五議席は確保したい」と意気込む。候補者を擁立するに当たり、知事選の対応を巡って「会派離脱」の処分にした現職の処遇をどうするのかがポイントになる。
衆院選から組織が揺れる民進(五議席)の対応も焦点になる。県連の存続は決めたが、国政では離党者が相次ぎ、希望、立憲民主との統一会派も不透明。県連幹部は「早く立場を決めてほしい」といら立つ。選挙は、支持母体の連合茨城を軸に労組票を固めて乗り切りたい考えだ。現在、四議席の公明、三議席の共産などが「現有議席以上」を目標に挙げる。

◆地元同意
県議選の争点の一つになるとみられるのは、東海第二原発の再稼働の是非だ。原電は安全対策工事を二〇二一年三月末までに終えるとしている。その後、再稼働に向け、地元同意の手続きに移り、県議会や知事らに判断を求めることになる。
新しい県議の任期は二三年一月までのため、この間に、再稼働の是非を判断することが迫られる可能性がある。
再稼働に明確に反対しているのは、公明と共産。自民は、はっきりと立場を明らかにしていないが、原発推進の立場から賛成する可能性が高い。原発メーカー日立製作所の労組などから支援を受ける民進は、態度を明確にしていない。
また、十八歳選挙権が認められて初めての県議選となり、十代が、県政にどれほどの関心を寄せているかを見る一つの指標になる。

◆首長選は
一方、選挙が近づいている高萩市長選は、現職の小田木真代市長(54)と、元市職員の大部勝規さん(59)、元会社社長の大森啓司さん(61)の新人二人が名乗りを上げ、三つどもえの戦いの様相となっている。
下妻市長選は、現職の稲葉本治市長(72)、新人で市議の菊池博さん(55)の二人が立候補を表明、鹿嶋市長選には再選を目指す現職の錦織孝一市長(71)と、新人で市議の佐藤信成さん(44)も無所属で立候補する意向を示し、それぞれ選挙戦となる見込み。自分の街のかじ取りを誰に任せるのか、有権者が重要な一票を持っている。

ワークルール 君たちを守る盾になる - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018011502000154.html
https://megalodon.jp/2018-0115-1056-15/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018011502000154.html

働くときに何か困ったら、役に立つ法律や制度がある。労働法は、経営者から理不尽な扱いを受けたとき労働者の身を守る“盾”になる。もっと知ることで働きやすい職場にできるはずだ。
例えば、こう聞かれて正解を答えられるだろうか。

  • 正社員しか有給休暇は取得できない
  • 経営者はいつでも労働者を解雇できる

いずれも不正解である。有給休暇は学生アルバイトでもパートでも半年以上勤務しているなどの条件を満たせば取得できる。解雇は経営者が三十日前までに予告するか、三十日分以上の平均賃金を払う必要がある。
知らないと学業でアルバイトを休みたいのに休めなかったり、残業代を未払いにされたり、いきなり解雇されるといった理不尽な扱いを受けかねない。
働くときに経営者と労働者が結ぶ労働契約は、そのままでは立場の弱い労働者に不利になりがちだ。そこで働く側を守るために労働基準法をはじめとする労働法が存在する。ワークルールとも呼ぶ。働き過ぎを規制したり、不当な扱いを防止したり、仕事でけがや病気をしたら生活の支援を受けられたりする。
問題は、多くの若者たちがそれを知らないことだ。中学高校生は学校でも地域でも学ぶ場が少ない。アルバイトを始めても、職場で受けた扱いが不当な行為になるということも分からないまま泣き寝入りするような状況は変える必要がある。
超党派の国会議員が昨年十一月、ワークルール教育推進法案をまとめた。若者を使いつぶすブラック企業問題を受け成立を目指している。法案は、国に教育を進める基本方針策定や予算確保を義務付ける。求人情報を得る方法から、労働契約の意味、権利が侵害されたときの対処法、相談窓口の存在などを具体的に学べる場を学校や地域で整えるべきだ。
気になるのは労働法の理解不足は若者に限らないことだ。連合の調査では、会社が残業を命じるには必ず労使が結ばねばならない協定(三六協定)を知らない人が現役世代の四割強いた。残業を可能にする重要なルールだ。知識の普及は幅広く求められる。労働組合が果たす役割だろう。
一般的に職業生活は四十年以上にわたって続く。健康でやりがいを感じる雇用環境が大切なのは言うまでもない。

子ども食堂 一緒に味わい楽しもう - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018011502000152.html
https://megalodon.jp/2018-0115-1055-19/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018011502000152.html

子ども食堂」が全国に広がっている。貧困対策の面だけに目が向きがちだが、食と子どもを媒介にした地域の居場所にもなっている、住民らの自発的取り組みだ。息長く続くよう周りも支えたい。
子ども食堂の名付け親といわれているのが、東京都大田区の近藤博子さん(58)だ。
近所の小学校の先生から「母親の具合が悪く、給食以外に満足な食事ができていない子がいる」と聞いたのが動機になった。
同じような子がもっといるかもしれないという思いに動かされ、みんなで食事ができる場をと、約五年前の二〇一二年八月から始めた。子どもに「一人で来ていいんだよ」との呼び掛けと、大人にもどうぞ、との気持ちを込めて名付けたという。
近藤さんらの、心をとらえる取り組みが共感を生み、この数年で食堂の数は急速に増えた。「こども食堂ネットワーク」(東京都渋谷区)によれば、全国で五百カ所以上にもなった。
運営者は、NPO法人、生活困窮者支援にかかわってきた人、住民の有志らさまざまだ。
昨年発足した「あいち子ども食堂ネットワーク」でもそうだが、食堂同士で連携を図っているケースが多く見られる。地域ごとに活動が多様なことも、子ども食堂の持ち味になっている。
名古屋市郊外のある街。まだ新しい子ども食堂で、子育てを終えた世代の女性らが調理に腕をふるっている。女子高校生や大学生がはつらつとボランティアに励んでいる。子どもがはしゃぎ、お母さんらは「きょうは骨休みができます」とほっとした表情だ。
「初めは気づかなかったけど、独り暮らしのお年寄りや、孤食の子も来始めました」と、運営責任者が話すように、居場所として定着してくれば、子どもが子どもを誘って来てくれるようだ。
ただ、子ども食堂は低料金で歴史が浅いだけに課題も多い。場所や人、お金、安全衛生…。善意や寄付などでまかなわれているが、持ち出しが少なくないのも現実だ。
こうした課題に、行政も過剰にならぬ範囲で支援をしてほしい。
七人に一人が貧困状態ともいわれる日本の子ども。経済状態に関係なく“孤食”はある。
本当に困っている子どもにどう足を運んでもらうか。みんなでわいわい食べることができる敷居の低い「居場所」が、解決へのきっかけにはなる。

(筆洗)日本人の感覚だけで、受け入れられる笑いかどうかを判断するのは危険である。 - 東京新聞(2018年1月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018011502000132.html
https://megalodon.jp/2018-0115-1054-25/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018011502000132.html

マルクス兄弟の米コメディー映画「オペラは踊る」(一九三五年)。製作はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)なので冒頭にはおなじみのライオンが吠(ほ)えるロゴが出るところだが、出ない。マルクス兄弟の面々がライオンのまねをして吠えるという趣向になっている。
「ガオー」。グルーチョ、チコに続き、ハーポが吠えるまねをするが、鳴き声の音が出ない。理由はマルクス兄弟シリーズでハーポは一切しゃべらないという設定だからである。この場面、今実演したら、おそらく差別的との批判が出る。声が出ない人を傷つけていると。
日本のコメディアンが顔を黒く塗り、黒人を演じたことが海外で批判されているという。難しい問題である。時代によって笑っていいものは変化する。
日本人には黒人への差別感情はそれほどないと信じるし、むしろプロスポーツや音楽界などの黒人はあこがれの対象でもあろう。当事者にも黒人を笑いものにする意識はなかっただろうが、国際社会の感覚ではそれは差別と判断されてしまう。
しかも情報がまたたく間に世界中に伝わる時代でもある。日本人の感覚だけで、受け入れられる笑いかどうかを判断するのは危険である。
人権意識の高まりは間違いなく良い方向だが、一方で優越感や差別と近い関係にある「笑い」をどう変えていくか。コメディアンには試練の時代である。

(余録)夏子は14歳の中学生… - 毎日新聞(2018年1月15日)

https://mainichi.jp/articles/20180115/ddm/001/070/173000c
http://archive.is/2018.01.15-015258/https://mainichi.jp/articles/20180115/ddm/001/070/173000c

夏子は14歳の中学生。学校には居場所がない。出会ったのは一つ年上の月島。2人は長い時間をともにし、傷つき、悩みながら成長していく。人気バンド「SEKAI NO OWARI」(世界の終わり)のメンバー、藤崎彩織(さおり)さんの小説「ふたご」だ。
初めての作品があす発表の直木賞にノミネートされ、若者によく読まれている。夏子たちがバンドを結成してライブを開く。藤崎さんの人生と重ねる読者も多い。
夏子は小学生の時にひどいいじめに遭う。藤崎さんは雑誌のインタビューで話している。「すごく悲しい過去がたくさんある。靴に画びょうを入れられたりとか、ランドセルに死ねって書かれたり……」。ボーカルのFukase(深瀬)さんも学校になじめず、自身の発達障害にも苦しんだ。彼が月島のモデルだろう。
彼らは世界が終わったように、何もないどん底から音楽を始めた。その思いがバンド名に込められている。Fukaseさんは「(こんな自分だから)逆にそれは自分は劣等生だと思ってた奴(やつ)にも希望を与えられるものなのかもしれないし、病気で苦しい奴らにも……」と話している。藤崎さんに小説を書くよう勧めたのも彼だった。
彼女が作詞した「プレゼント」という曲がある。
いま君のいる世界が 辛(つら)くて泣きそうでも それさえも「プレゼント」だったと笑える日が必ず来る
つらい経験をしたからこそ心打つ音楽や小説を生み出せる。そのことを今、苦しみを抱えている子供たちに知ってほしい。

(18歳成人案)自覚と保護 どう両立 - 沖縄タイムズ(2018年1月15日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/195046
https://megalodon.jp/2018-0115-1053-35/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/195046

政府は22日に召集する通常国会に、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案と、それに伴う24の関連法改正案を提出する方針だ。
投票年齢を18歳以上とする国民投票法の成立、選挙権を18歳以上に引き下げる公選法改正の流れの中で進むものだが、成立すれば明治時代から続く「大人の定義」が変わる。
国民生活に広く影響を及ぼす法案である。当事者となる若者の声をすくいあげ、慎重かつ丁寧に議論を進めてほしい。
成人年齢を18歳とする民法改正案では、女性が結婚できる年齢を今の16歳以上から男性と同じ18歳以上に統一する。未成年の結婚に父母の同意が必要との条文も削除する。
2歳の違いは、女性の方が成熟が早く、夫が経済的にリードするとの考え方に基づくものだという。だが国際的には女性の教育や雇用の機会を制限する規定として批判が強い。
国連の女性差別撤廃委員会は18歳以上に引き上げることを繰り返し勧告しており、男女平等をうたった憲法に照らしても必要な改正である。
他方、20歳未満に禁じている飲酒と喫煙は現行法の規定を維持する方向だ。公営ギャンブルの解禁年齢も同様である。
健康被害や依存症への懸念などから引き下げには慎重意見が根強く、多くが高校3年生で成人となることを考えればもっともな対応だといえる。

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危惧されているのは消費者被害の増大である。18、19歳でも親の同意なしにクレジット契約を結んだり、お金を借りたりすることができるようになるため、知識や経験不足につけ込むケースが増えるのではと心配されている。
今も、成人して間もない若者の消費者被害は多い。県内でも昨年、大学生ら若者をだまし消費者金融から借金をさせる「名義貸し」が大きな問題となった。
改正案では消費者契約法に、恋愛感情に乗じる「デート商法」や不安をあおる商法など、合理的判断ができない状況で結んだ契約は取り消せるとの新規定を追加する。
必要な措置ではあるが、保護の仕組みとしてどれだけ機能するのか。審議を通して明らかにしてもらいたい。
被害を防ぐには悪質業者を見抜く目が求められる。ネット取引など手口は巧妙化しており、小中高校での消費者教育の充実も不可欠だ。

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おととし共同通信が18、19歳の若者を対象に実施した世論調査では、3分の2が引き下げに反対だった。大人になることの意義が理解できないまま、大人としての責任や義務に不安を感じているのだろう。
成人年齢引き下げの流れの中で、少年法の適用年齢も焦点の一つだ。引き下げは立ち直りの機会を奪いかねず、国民の意見も割れている。一緒くたに論じる問題ではない。
大人としての自覚を促すことと保護の両立をトータルで考えていく必要がある。