震災対応で問われる安倍政権の危機管理の意思と能力(田中信一郎さん) - ハーバー・ビジネス・オンライン(2018年6月20日)

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隠ぺいしても「モリ・カケ」は収束しない
―――国会は国権の最高機関だ。内閣の下請けじゃない。一連の文書の改ざん、廃棄、隠蔽(いんぺい)。行政府が立法府を一年間だましてきた。そういう意味では、国民の代表たる国会の権威がないがしろにされている。
これは、森友学園加計学園をめぐる公明党の漆原良夫顧問(元衆議院議員)の発言です(朝日新聞2018年6月11日)。

漆原顧問の発言どおり、「モリ・カケ」疑惑は、内閣ガバナンスにかかわる本質的な問題です。森友疑惑では、首相の支持者に対する国有地の値引き払下げと、それに伴う国会での虚偽答弁、公文書改ざん、改ざん文書の国会提出などが問題になっています。加計疑惑では、首相の支持者に対する特例的な認可と、それに伴う国会での虚偽答弁、情報隠し、公的な記録と関係者の記憶の食い違いなどが問題になっています。
いずれも、内閣が国会の信任にもとる行為をしていないか、内閣が国会での説明責任を果たしているのか、内閣が行政を統治できているのかという、日本の統治構造への信頼を揺るがす問題です。一政治家をめぐる疑惑にとどまらないのです。
そのため、政府与党が疑惑の隠ぺい・矮小化・幕引きを図っても、そうはなりません。内閣の本質的な問題ですから、野党やメディア、世論が追及を止めても、政権の体質は、別の大きな問題を引き起こすことになりかねません。
一方、「野党・メディアがだらしない」と、内閣の問題を「野党・メディアの能力」問題に変換する議論も提起されています。私見では、野党やメディアは「モリ・カケ」疑惑で、過去の疑惑追及に優るとも劣らない能力を発揮しています。野党の「合同ヒアリング」とそのネット公開、メディアやジャーナリストの報道は、職業的良心の発露です。
むしろ、不思議なのは与党議員の姿勢です。議院内閣制は、内閣が国会の信任にもとる行為をしたとき、支持基盤である与党議員が内閣を倒すことを想定しています。それにより、国政の停滞を阻止し、内閣の運営に緊張感をもたらすのです。
与党議員から、漆原顧問のような声がたくさん挙がり、国会の委員会や与党の会議の場で、内閣を追及する動きが出てくれば、膿は摘出できるのです。実際、過去の政治改革や薬害エイズ問題では、与党が政府追及の先頭に立ちました。
こうした動きにつながるのか、注目されるのが、自民党小泉進次郎筆頭副幹事長です。6月6日の記者会見で、加計学園疑惑をめぐって「どう考えても『愛媛県にうそをついた』というのはおかしい。(国会に)特別委員会を立ち上げてほしい」と発言しました(朝日新聞2018年6月6日)。
国会の特別委員会で「モリ・カケ」疑惑を調査するというのは、一見するといいアイデアです。けれども、気をつけなければ、単なるガス抜きとなる懸念もあります。なぜならば、国会の委員会運営は委員長と多数派理事によって主導され、彼らが与党によって占められていれば、関係者の召致はおろか、委員会の開催すら困難になるからです。
小泉副幹事長などの与党議員が、本気で「モリ・カケ」疑惑を徹底解明するならば、次のような調査体制を国会に設けることを提案します。

  • 衆参の国家基本政策委員会の下に、衆参合同の小委員会を設ける。
  • 小委員長を野党議員とし、委員構成を野党5党の過半数とする。
  • 小委員長に小委員会の開催と国政調査に関する委員長権限を全面委任する。
  • 閉会中の審査を可能とし、一定期間後に報告書を提出・公表する。
  • インターネット中継と提出資料の公表を原則とする。

「モリ・カケ」疑惑は、内閣の本質を問う問題だからこそ、真正面から全力で解明しなければ、国政の重大な課題にも悪影響を与えかねません。
今回の国会開催と震災対応をめぐる問題を契機として、森友学園加計学園の両疑惑と関連問題について、自民党公明党の議員が奮起し、議院内閣制での与党議員の役割をしっかり果たすことを期待したいところです。

森友・加計学園問題「平成の一大不祥事」 公明・漆原氏 - 朝日新聞(2018年6月11日)
https://www.asahi.com/articles/ASL6C5WFWL6CUTFK01G.html
http://archive.today/2018.06.20-011428/https://www.asahi.com/articles/ASL6C5WFWL6CUTFK01G.html
音源)
荒川強啓 デイ・キャッチ 2018.06.11

加計側の説明「おかしい」 進次郎氏、参院特別委を要求 - 朝日新聞(2018年6月6日)
https://www.asahi.com/articles/ASL6634VSL66UTFK003.html
http://archive.today/2018.06.06-145624/https://www.asahi.com/articles/ASL6634VSL66UTFK003.html

(政界地獄耳)自分が決めた軽すぎる「処分」に失笑 - 日刊スポーツ(2018年6月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806200000185.html
http://archive.today/2018.06.20-004519/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806200000185.html

★この1年半、国会を翻弄(ほんろう)し、世間を騒がせた加計学園理事長・加計孝太郎が唐突に会見を開いた。世間ではサッカーワールドカップ日本戦にぶつけたとか、大阪府北部地震の混乱時に開いたなどと言われてひんしゅくを買っているが、混乱時にニュースを小さくしようとする思惑はあったかも知れない。実際は午前9時に地元記者クラブにプレスリリース。会見への出席は地元の記者に限定され東京にいる加計学園疑惑の取材担当記者たちが間に合わない時間にセットして、厳しい質問を浴びないように小細工したということではないか。
★会見では今回の問題が国会にも影響を与えていることを謝罪するものの、首相・安倍晋三との個人的な関係については、「何十年来の友達ですし、仕事のことを話すのはやめようというスタンスでやっております。リラックスをするためにお会いしていますから、こちらの話はあまり興味がないと思います。(獣医学部の話は)ありません」と否定した。しかし首相は14年には「常日頃、加計さんは時代のニーズに合わせて新しい学部、学科の設置にチャレンジしたい」と発言している。もう少し丁寧に話せないものかと思うが、もともとなめてかかっているからなのだろうか。
★また、この短時間の会見で加計は「私の不徳の致すところですが、たまたま総理と仲が良かったことでこうなってしまった。(騒動につながるとは)思いませんでした」と言い放っている。県側に誤った情報を伝えた事務局長と本人は給与の減給や自主返納の説明があったが「『事を前に進めるために』総理との架空の会談を作り上げた」という言い分が真実なら「減給」でなく、虚偽の説明をしてきたことを反省し補助金助成金の返納、大学認可取り消しを申し出る話ではないのだろうか。あまりに軽い自分で決めた「処分」には失笑だ。(K)※敬称略

加計学園理事長が初会見 軽すぎる「作り話」の始末 - 毎日新聞(2018年6月20日)

https://mainichi.jp/articles/20180620/ddm/005/070/137000c
http://archive.today/2018.06.19-221643/https://mainichi.jp/articles/20180620/ddm/005/070/137000c

加計学園の加計孝太郎理事長が問題の発覚後、初めて記者会見した。
学園は2015年2月に安倍晋三首相と加計氏が面会したと愛媛県や同県今治市に報告していたが、加計氏はそれが虚偽だったとして、担当職員を処分したことを発表した。
加計氏は県と市の関係者に「多大なるご心配とご迷惑をおかけした」と陳謝した。学園代表者として自身の監督責任を認め、給与の一部を自主返納するという。
しかし、学園からの面会報告は県職員が文書に記録していたものだ。それを起点として当時の柳瀬唯夫首相秘書官が学園と県、市の担当者に会い、獣医学部新設へ向けた国家戦略特区の手続きが進んでいった。この展開には合理性がある。
面会が虚偽であったなら、認可を得るために地元自治体をだましたことになる悪質な行為だ。
それなのに、県が文書を国会に提出してからの1カ月間、ファクス1枚を報道各社に送っただけで、理事長自ら説明しようともしなかった。
加計氏の会見について愛媛県中村時広知事が「もっと早くできなかったのか」と批判したのは当然だ。
県と市は学園に計約93億円を支出することを決めている。その手続きの正当性も揺らぎかねない。納得のいかない住民も少なくないだろう。
しかも、加計氏は面会を虚偽だとする明確な根拠を示さず、「記憶にも記録にもない」と説明しただけだ。そのうえ、軽い内部処分とおわびで済ませようというのは、ことの重大さをわきまえていない。
首相は架空の面会話で名前を悪用されたことになる。それをとがめもしないのは「17年1月まで知らなかった」という自身の国会答弁に照らして好都合だからではないか。
仮に面会が事実であれば、特区事業の決定権者である首相のお墨付きによって、まさに最初から「加計ありき」だった疑いが濃くなる。
そうした首相の姿勢が学園側の対応の軽さを助長しているようにみえてならない。加計氏がまともな説明をしないのであれば、国会が真相解明に取り組むべきだ。
野党の要求する証人喚問について加計氏は「私が決めることではない。お待ちしております」と述べた。与党が喚問を拒む理由はない。

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東海第二 再稼働反対意見書可決 割れた保守 賛成や退席:茨城 - 東京新聞(2018年6月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201806/CK2018062002000175.html
https://megalodon.jp/2018-0620-0910-44/www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201806/CK2018062002000175.html

水戸市議会が十九日に可決した日本原子力発電(原電)東海第二原発東海村)の現時点での再稼働に反対する意見書。自民などの保守系を含め、公明、共産、社民の市議十七人が賛成する中、保守系などの七人が退席し棄権。電力労組などでつくる連合が支援する国民民主の議員が反対した。会派に関係なく、対応が分かれた。 (酒井健、山下葉月)
議員数は二十七で議長を除く議員が賛否を示し、内訳は賛成一七、棄権七、反対二だった。
賛成は公明の五人、共産の三人、民主・社民フォーラムの二人のほか、自民系の会派なども含まれる。
意見書づくりを主導した伊藤充朗市議(公明)は、「全会一致ではないが、議会は大きな判断をした」と強調。東京電力福島第一原発事故に触れ「子育てや街の発展についてみても再稼働は、足かせにしかならない」と指摘した。
田中真己市議(共産)は「原電ががむしゃらに再稼働に向け動いていることに、市民が反発している思いが議員に届いた」。水戸市が再稼働の事前了解権を得たことに触れ「議会の答えは非常に重く、(再稼働の判断時の)後押しになるよう働き掛ける」と述べた。
保守系最大会派「新生改革水戸」は棄権一人で、四人が賛成。会長の村田進洋議員によると、三月に意見書が示された時は未定だった。「世の中の流れが(脱原発の)方向になりつつある。市民の要望が強い」と賛成に転じた。棄権の大津亮一市議は「会派とともに行動すべきだが、自民党員という立場もある。賛成も反対もできない」とした。
三人全員が退席の保守系会派「魁(さきがけ),水戸」会長の渡辺政明議員は「会派の考えが一致していない。保守にも、いろいろな考えがある。(原発のおかげで)文化的な生活を享受できたと思うし、四十年もたった東海第二が再稼働するはずがないというのが一般的な考え方だとも思う」と話した。
反対した国民民主の綿引健市議(民主・社民フォーラム)は、連合茨城の推薦も得て当選。取材に「原子力規制委員会の決定を待ち、専門的知見を踏まえた議論をすべきだ」と語った。<<