(政界地獄耳)「自民党という知恵」破壊も隠ぺい - (2018年9月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809010000245.html
http://archive.today/2018.09.01-054112/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201809010000245.html

★「もう本来の自民党はなくなったんだなあ。国民の生活向上を目指し、時には大きな国民の反対も押しのけて国と社会を次のステップに引き上げる、例えば安保、例えば消費税だ。その代わり少々しゃくし定規だといわれても、中央官庁の官僚は政治の方向に向かい、きっちり推進の手助けをする」。自民党ベテラン秘書の嘆きだ。「今まで批判されながらいつか国民もわかってくれると思って貫いてきたが、今の自民党はもう別の党といっていいと思う」と続ける。

経産省内で「議事録不要」を呼び掛ける文書が配布されていたことが分かった。森友・加計学園疑惑で政府はその失敗からウミを出そうというのではなく、ブラックボックスを作るための隠蔽(いんぺい)工作の指南をしたといっていい。そういえば役所のドアに鍵をかけて外部からの侵入を拒否したのも経産省からだった。霞が関の基礎と常識は、財務省がルールブックだった時代は終わり、今では霞が関の異端児、経産省がルールをつかさどるとは、いったい誰が予想したであろう。こんな公務員にあるまじき“新公務員ルール”を率先するのも経産省しかいない。

★それを指示する官邸には既に自民党という政党の意味や伝統も存在しないのではないか。これまた経産官僚を軸とした「官邸官僚」という答弁義務すらない官邸政策親衛隊たちが「異次元」の政策を展開する。「安倍政権になってから悪化・低下・劣化が著しいがそれは官邸官僚の振り付けだからではないか」(自民党官僚経験者)。そのおごりが総裁選でも垣間見える。総裁選で戦う元幹事長・石破茂の「政策ごとの討論」要求を「同じ土俵に乗る必要はない」(官邸幹部)と一蹴したという。自民党という知恵を壊したツケも隠蔽するのだろうか。(K)※敬称略

「メールも破棄指示」 公文書管理で経産省幹部 - 東京新聞(2018年9月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000154.html
https://megalodon.jp/2018-0901-1144-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000154.html

経済産業省幹部が省内外の打ち合わせ記録を残さないよう指示していた問題で、複数の同省職員が、電子メールについても「表に出るとまずいやりとりは、破棄するか、(公文書扱いとならない)個人のフォルダに移すよう指示された」と本紙に証言した。首相官邸や政治家、他省庁とのやりとりはメールで情報共有されることも多く、こうした運用では意思形成過程が十分に検証できない恐れがある。
公文書管理の運用ルールについて同省情報システム厚生課が今年三月に作成した文書では、「電子メールは個人文書を除き公文書」とした上で、意思決定の経緯などの跡をたどって調べたり、検証したりするのに必要な公文書の保存期間を一年以上と設定している。一方で、保存期間一年未満で廃棄できる公文書として「定期的・日常的な業務連絡(ほとんどの電子メール)」とも記されている。
しかし、ある職員は三月、会議でこの文書の説明を受けた際、上司が「政治家や官邸、省庁間のやりとりはメモやメールで一切残すな」「全て口頭でやれ」と強調していたと証言。別の職員も「表に出たらまずいメールのやりとりは破棄するか、共有フォルダではなく、(公文書扱いとならない)個人フォルダに移しておくように」といった指示を受けたという。
指示が出て以降、各課内で省内外のやりとりをメールで共有することができなくなったといい、ある職員は「どうしても記録しておきたいやりとりのメールは、指示された通り、個人フォルダを作り、そのフォルダに移して保管するようになった」と語る。
新ルールの文書に記載された「ほとんどの電子メール」という文言について、同課は「メールはスケジュールなど、政策決定に関わりがないものがほとんどなので、そういうものは破棄していいという意味で書いた。重要なものは残せということだ」と説明。一方で、「メールに残すな」という指示については、「そのような指示が、幹部から現場職員に出ているなら問題だ。今後、研修会などでやりとりの記録は、これまで通り残していくよう周知していきたい」と話す。
公文書管理を所管する内閣府公文書管理課は「指示が出て、やりとりのメールさえ残さなくなっていたら、制度の趣旨を取り違えている。事実が確認できれば、経産省に改善を促したい」とする。 (望月衣塑子)

発言記さぬ経産省文書 理念をねじ曲げる運用だ - 毎日新聞(2018年9月1日)

https://mainichi.jp/articles/20180901/ddm/005/070/031000c
http://archive.today/2018.09.01-024347/https://mainichi.jp/articles/20180901/ddm/005/070/031000c

経済産業省が公文書管理の指針を職員に説明した内部文書で、省内外の打ち合わせ記録について「議事録のように個別の発言まで記録する必要はない」と説明していた。
文書には「いつ、誰と、何の打ち合わせかが分かればいい」とも書かれている。詳細な議事録を残さないよう指示する内容だ。
森友・加計学園問題を受けて、公文書管理の指針は昨年12月に改正された。政策立案や事業方針に影響する打ち合わせは記録を文書に残す。他の省庁や政治家とのやり取りや発言は、相手の確認を取り、正確に記録する。そう求めている。
ところが、経産省の内部文書は、発言そのものを記録させないような指示だ。同省の職員は毎日新聞の取材に「誰が何と言ったのか分からないよう議事録を残してはいけない」とまで言われたと証言している。
この通りに運用されれば、すべての発言を公文書から消し去ることになる。残すべき文書の中身が骨抜きにされかねない。公文書管理の理念をねじ曲げる指示であり「文書隠し」よりも悪質だ。
森友・加計学園問題では関係者の発言や協議内容が記録に残されておらず真相解明が阻まれた。それを反省しての指針改正だったはずだ。
公文書は、結論が記録されていればいいというものではない。むしろ、決定までのプロセスを記録することで、後の検証を可能にするためにある。途中が省かれてしまえば、公文書の目的は果たせない。
同省は、必要な際は議事録を作るというが、必要、不必要の線引きはあやふやで、恣意(しい)的になる。そうなれば、発言記録を残すとしても、情報公開の対象にならない「私的メモ」ばかりになる恐れがある。
森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざん事件などを受けて、政府は7月に再発防止策を策定した。内閣府や省庁に公文書管理を監視するポストを設けたり、電子決裁システムを推進したりする内容だった。
だが、あらゆる文書を公文書としてきちんと記録し保存する仕組みがなければ問題の解決にはならない。
政府は経産省の内部文書が指針を逸脱していることを認めて是正を指導し、他の省庁のルール運用も点検して速やかに公表すべきだ。

沖縄県が承認撤回 辺野古埋め立て中断 - 東京新聞(2018年9月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000152.html
https://megalodon.jp/2018-0901-1146-39/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090102000152.html


沖縄県は三十一日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立て承認を撤回した。移設工事は即時中断となり、防衛省沖縄防衛局は効力停止を求め、法的対抗措置を講じる方針。九月三十日投開票の県知事選を前に、移設を巡り県と国が全面対立する事態となった。
八月八日に死去した翁長雄志(おながたけし)知事が生前に「(辺野古に)新基地は造らせないとの公約実現に向け全力で取り組む」として、撤回の手続きに入る意向を表明。撤回権限を委任された謝花喜一郎(じゃはなきいちろう)副知事は、県庁で記者会見し「翁長知事の熱い思いを受け止め、法に基づき適正に判断した。新基地建設阻止に向け全力で対応する」と強調した。
小野寺五典(いつのり)防衛相は記者団に「防衛局が理由を精査し必要な法的措置を取る」と述べ、時期は知事選日程には左右されないとの考えを示した。裁判所が防衛局側の主張を認めれば工事再開が可能で、既に県に通知済みの辺野古沿岸部での土砂投入にも着手できる。
県はその場合、裁判所に判断を不服として、沖縄の過重な基地負担を訴え、工事停止などを求めることを検討する。
謝花氏は撤回理由として、行政指導を重ねても国が是正せず、工事の違法状態を放置できないことや、移設先の軟弱地盤の発覚、サンゴを含む環境保全措置の不十分さなどを挙げた。
承認撤回は、県による八月九日の防衛局の聴聞に関する報告書が同二十日に完成し、条件が整っていた。
移設を巡っては、二〇一三年に当時の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が出した承認を、法的な瑕疵(かし)があるとして翁長氏が一五年十月に取り消した。一六年十二月に最高裁が取り消し処分は違法と結論付けたため、政府は工事を再開、護岸で囲った海域への今年八月十七日以降の土砂投入を通知した。「撤回」は、承認後の事情の変化を理由に行う措置。

「翁長雄志は命がけでした」 妻樹子さんが語る壮絶な最期 - 沖縄タイムズ(2018年9月1日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307620
https://megalodon.jp/2018-0901-1149-52/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307620

8月8日に亡くなった前知事の翁長雄志さんの妻の樹子さん(62)は、沖縄のタイムスのインタビューに、名護市辺野古の新基地建設問題に関する前知事の思いなどを明かした。(聞き手=政経部・福元大輔)
沖縄の人たちの心を一つにしたかった
 撤回と聞いて「あなたが待ち望んでいたことよ。自分の責任でやりたかったと言うでしょうけど、皆さんが遺志を継いで頑張ろうと立ち上がってくれたのよ」と仏前に報告しました。
翁長雄志は命がけでした。他の人にはなぜそこまでするのか、と理解できないかもしれません。政治家として自分に何ができるかを追い求めてきた人です。若い頃は何を考えているのか、何をやりたいのか、分からないこともありましたが、亡くなって初めて思うんです。ずっとつながっている。沖縄のことを思い、沖縄の人たちの心を一つにしたかったんだと。
本人は亡くなる直前に言ったんです。辺野古問題で悩むことが多かったでしょ。「人がどう言うか、分からない。人がどう評価するか、分からない。でも、知っていてほしい。僕は精いっぱいやったんだ。これ以上できない、それでも足りないだろうか。僕の力がそこまでだったんだろうか」と。私が「ウチナーンチュだったらきっと分かるはずよ」と言ったんですよ。そしたら、翁長は静かに笑ってました。

(「辺野古」承認撤回)工事強行の瑕疵明白だ - 沖縄タイムズ(2018年9月1日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307645
https://megalodon.jp/2018-0901-1155-16/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/307645

辺野古新基地建設を巡り、県は仲井真弘多元知事による埋め立て承認を撤回した。
翁長雄志前知事が急逝したのに伴い、職務代理者となった富川盛武副知事と、撤回に関する権限を委任された謝花喜一郎副知事が記者会見し、発表した。
翁長氏が撤回表明してから1カ月余り。翁長氏の公約を貫く重い判断である。
謝花氏は「翁長知事の思いを受け止め、違法状態を放置できず、行政手続きの観点から判断した」と述べた。
撤回は、承認後の事情の変化を理由に許認可などの行政処分を取り消す措置である。県が取り得る最大で最終的な手段である。
政治性を排し、あくまで法律上、行政上の観点から撤回したことを強調したのだ。
撤回理由として県は、大浦湾側の海底の軟弱地盤や地震を引き起こす活断層の存在を挙げた。
工事を進めるには、軟弱地盤は地盤改良が必要だが、膨大な予算が伴う。新基地に弾薬搭載エリアなどが備えられることを考えると、活断層が動けば、地震津波によって新基地が打撃を受けるだけではすまないだろう。
さらに国は承認の条件となった「留意事項」にある県との環境保全策などの事前協議をせず工事を開始し、行政指導を繰り返しても是正しなかった。不誠実極まりない。サンゴやジュゴンなどの環境保全対策にも問題がある。実際、ジュゴン3頭のうち「個体C」と呼ばれる若い1頭の情報は長く途切れている。
新基地建設に向けた国の瑕疵(かし)は明白である。

■    ■

撤回によって工事は法的根拠を失い、即時中断した。
ただ、国は対抗措置として撤回の取り消しを求める訴訟や撤回の効力の一時停止を求める申し立てなどを取る方針だ。再び法廷闘争に入るとみられる。
県と国の対立がここまで深まったのはなぜか。
ずさんな生活・自然環境の保全策。選挙で示された沖縄の民意無視。「辺野古が唯一の解決策」と言いながら、果たされぬ説明責任…。県外から機動隊を導入するなど強行姿勢一辺倒の安倍政権のやり方が招いた結果である。
安倍政権は県が撤回せざるを得なかったことを謙虚に受け止めるべきだ。
小野寺五典防衛相は「法的措置を取る」と明言しているが、裁判に訴えるのではなく、県の撤回を尊重し、工事を断念すべきである。

■    ■

問われているのは日本の地方自治、民主主義が機能しているかどうかである。
県の埋め立て承認の撤回が30日投開票の知事選に影響を与えるのは間違いない。
知事選は翁長氏の後継候補となる玉城デニー衆院議員と安倍政権が支援する佐喜真淳前宜野湾市長の事実上の一騎打ちとなる構図である。
玉城氏は辺野古新基地に明確に反対している。
これに対し、佐喜真氏は新基地について態度を明らかにしていない。司法判断を待ちたいなどと逃げるのではなく、政治家として新基地の是非について語るべきだ。

県が辺野古承認撤回 法的対抗措置やめ断念を - 琉球新報(2018年9月1日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-794750.html
http://archive.today/2018.09.01-025117/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-794750.html

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、県は仲井真弘多前知事による埋め立て承認を撤回した。これによって承認の法的根拠が失われ、工事はストップする。
政府が工事中断に伴う損害賠償の可能性をちらつかせる中で、謝花喜一郎、富川盛武両副知事ら県首脳が故・翁長雄志知事の遺志を実行に移したことを評価したい。
建設予定地に軟弱地盤の存在が明らかになったこと、事前に決めた環境保全対策を実行していないことなどを撤回の根拠としている。政府は重く受け止めるべきだ。
この間の政府の対応を振り返ると、さまざまな点で信義にもとる行為や約束違反を繰り返してきた。
仲井真前知事が埋め立てを承認した際、県は「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」と留意事項に記載した。だが、沖縄防衛局は事前協議が完了しないうちに、昨年2月に汚濁防止膜設置の海上工事、同年4月には護岸工事に着手している。
埋め立て承認後に沖縄防衛局が実施した調査で建設予定地に「マヨネーズ並み」の軟弱地盤が存在することが確認されていた。ところが政府はこの事実を県に伝えていない。今年3月に市民の情報公開請求によって初めて明らかになっている。
なぜ口をつぐんでいたのか。公表すれば地盤改良工事の必要性が白日の下にさらされる。新たな改良工事の実施は設計概要の変更に当たるため、公有水面埋立法に基づき知事の承認を得なければならない。工事の進捗(しんちょく)に影響が出ることを避ける意図で、隠していたとしか考えられない。防衛局は工法変更申請の必要性について「総合的に判断する」と言葉を濁している。
新基地予定地近くにある国立沖縄工業高等専門学校の校舎、米軍の弾薬倉庫、通信事業者や沖縄電力の鉄塔、一部の民家など多くの建造物が、米国防総省が航行の安全のために制定した飛行場周辺の高さ制限を超えている。
米国内だったら造れない飛行場の建設をどうして沖縄で許すのか。日本の航空法にも抵触するが、米軍基地には適用されない。
県民の間に強い反対がある中で新基地建設を強行するのは政府に対する不信感を増幅させるだけだ。沖縄に矛先を向けるのではなく、米国政府と真正面から向き合って、県内移設を伴わない普天間飛行場の返還を提起すべきだ。
承認撤回を受け、政府は法的対抗措置を取ることを明らかにした。国、県の対立がまたしても法廷に持ち込まれる。
強い者にへつらい、弱い者に強権を振りかざす。今の日本政府は時代劇でお目にかかる「悪代官」のように映る。
政府首脳はこれまでの対応を省みて恥ずべき点がなかったのか、胸に手を当ててよく考えてほしい。対抗措置をやめ、新基地建設を断念することこそ取るべき選択だ。

<金口木舌>歴史に「たら・れば」は許されない - 琉球新報聞(2018年9月1日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-794749.html
http://archive.today/2018.09.01-025734/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-794749.html

歴史に「たら・れば」は禁物。だが、「どうにかならなかったのか」と思うことは誰にでもあるはずだ。2011年、日米当局に激震が走った。「日米合意は泥沼にはまっている」

▼同年4月、米議会上院軍事委員会のレビン委員長が辺野古移設に疑問を呈した。委員会が導き出した答えは「辺野古移設の見直し」。慌てた日本政府は説得工作を展開した
▼「移設費用は日本持ちだ」。重鎮らと面談し、辺野古移設に理解を求めた。沖縄の民意が置き去りにされる中、上院軍事委の筆頭理事・マケイン氏はその時点では移設見直しに傾いていた
▼大統領候補にもなった大物だ。アポが取りにくい人物だった。上院の廊下で待ち伏せして普天間移設問題について尋ねた。「計画の妥当性や沖縄の状況などを見て改めて検討する必要がある」。足を止めて答えてくれた
▼だが、日米両政府が日米合意の重要性を説く中、マケイン氏は13年に辺野古推進にかじを切る。その後に就任した翁長雄志知事は15年6月に同氏と面談している。心変わりする前に県側が粘り強く接触し味方にしていたらどうなっていただろうか
▼そのマケイン氏が他界した。信念を貫く政治家だった。その点、翁長知事と共通する部分もある。知事の遺志を受け、県が辺野古の埋め立て承認を撤回した。撤回を後押しした民意は再び県知事選で示されるのか。歴史にイフは許されない。

辺野古工事 全ての自治体の問題だ - 朝日新聞(2018年9月1日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13659491.html
http://archive.today/2018.09.01-005406/https://www.asahi.com/articles/DA3S13659491.html

沖縄県と政府がはげしく対立してきた辺野古問題は、きのう大きな節目を迎えた。
県が、米軍基地の建設に伴う海面の埋め立て承認の撤回に踏みきった。亡くなった翁長雄志(おながたけし)知事が生前に表明した方針に従い、政府側の言い分を聞く「聴聞」を経たうえでの措置だ。
トップ不在の状況でこのような重い判断をしていいのか。今月末の知事選に、どんな影響が及ぶか。様々な声や思惑が交錯するなか、会見した副知事は、淡々と行政手続きを進めたうえでの結論だと繰り返した。
これによって工事は当面止まるが、政府は県の対応を不服として、裁判を起こす構えだ。裁判所がどんな判断をするのか、予断を許さない。しかし、県が「撤回」の理由にあげたことには相応の説得力がある。
たとえば、辺野古沖の海底には、当初想定されていなかったマヨネーズ並みの軟弱な地盤が深さ40メートルにわたって広がっていることが、当の沖縄防衛局の地質調査で判明した。活断層が走っている疑いも浮上した。
ところが政府はこの事実を2年以上にわたって隠し、県民らの情報公開請求を受けて今春ようやく明らかにした。聴聞では「さらに調査・検討したうえで県と協議したい」などと釈明した模様だが、この間、工事は休むことなく続けられている。時間をかせぎ、既成事実を積み重ねようという意図が明白だ。
基地建設の当否をひとまず置いたとしても、あまりに沖縄県民を、そして地方自治を愚弄(ぐろう)した態度ではないか。
13年末に仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事が埋め立てを承認した際、海底の様子が不明なことなどを前提に、「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」とする留意事項が明記された。だが政府はこれを無視して、県の度重なる行政指導にも従わず、工事を強行してきた。
民間の業者だったら、とっくに事業中止や原状回復の命令が出ていて当然の振る舞いだ。
海面埋め立てに関する法律は大正時代に制定されたもので、そもそも国が違法・不当なことをするという発想に立っていない。それに乗じる形で勝手を続ける政府に、正義や理を見いだすことはできない。
問われているのは、辺野古に基地を造るか否かにとどまらない。民意に基づく地方からの異議申し立てに、中央はどう向きあうべきか。そんなすべての自治体にかかわる重いテーマだ。
撤回に至った事情、そして今後を、「わがこと」としてとらえ、考え続ける必要がある。

理系 高校大学で一貫教育 文科省、19年度に新制度 - 東京新聞(2018年8月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018082702000251.html
http://web.archive.org/web/20180827082702/http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018082702000251.html

文部科学省が、理数系科目の得意な高校生を地域の中核的な大学に積極的に受け入れる入学枠を設けるなど、高校と大学で一貫した専門的な教育を行う新制度を始める方針を決めたことが二十七日、分かった。研究費不足などで「科学技術立国」の地盤沈下が指摘される中、日本の科学界を担う研究者の卵を育成することを目指す。
初年度は全国から参加校を募り、モデルケース一カ所を選ぶことを想定。その後は大都市圏に偏らないよう配慮しながら、数年かけて数カ所に拡大する方針だ。関連予算を二〇一九年度概算要求に盛り込む。
将来は優秀な生徒が高校卒業前に大学に入る「飛び入学」につながる可能性もある。一方、大学間や高校間で格差が広がる恐れもあり、多くの生徒が機会を得られるバランスの取れた運用が課題になりそうだ。 
新制度は、重点的に理数系教育を行う現行の「スーパーサイエンスハイスクール」の枠組みの一部として運用し、高校と大学が連名で申請する。私立も含めた理系教育で実績のある大学を中核に、地域の高校五校前後が集まって協議会をつくり、一貫教育のプログラムを決めてもらう。
高校から大学まで切れ目のない専門教育を実現するため、大学教員が高校で出前授業をしたり、高校生が大学の研究室を訪問したりすることも可能になる。一貫教育に対応する新たな課程を、高校と大学にそれぞれ設置することも認める。
大学と各高校が共通の評価基準を作り、優秀な生徒向けに進学枠を設けることもできる。一般的な試験だけに頼らないAO入試や、推薦入試のような形の選抜も想定している。
今回の制度は、これまで特定の大学と高校が個別に行ってきた「高大連携」を大幅に拡張する形。大学にとっては早い段階から活躍が見込める優秀な研究者の卵を受け入れられる利点が生じる。

防衛概算要求 歯止めなき拡大路線 - 朝日新聞(2018年9月1日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13659490.html
http://archive.today/2018.09.01-025451/https://www.asahi.com/articles/DA3S13659490.html

安倍政権になって、防衛予算の特別扱いが目立つ。厳しい財政事情の下、予算の制約を忘れたかのような増額を、いつまで続けるつもりなのか。
防衛省がきのう来年度予算の概算要求を公表した。今年度当初予算比2・1%増で、総額は過去最大の5兆2986億円。要求増は7年連続だ。
だが、おそらく政権にとってはまだ助走の段階に過ぎない。より重要なのは、年末に控える防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の改定だ。この決定が、防衛費のさらなる拡大を招く分水嶺(ぶんすいれい)となる可能性が高い。
「従来の延長線上ではなく、真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく必要がある」。安倍首相は先月末、大綱見直しに向けた有識者懇談会の初会合で、そう強調した。
これまで対GDP(国内総生産)比1%、5兆円前後で推移してきた防衛費のタガが、一気に外れる恐れがある。
今回の概算要求にその萌芽(ほうが)がある。防衛省は、陸海空という従来の区分けを超え、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域の活用が死活的に重要として「クロス・ドメイン(領域横断)」構想を掲げた。
これらが、安全保障上の新たな課題であることは確かだ。しかし、十分な検討を伴わなければ、総花的に多額の予算を投じるだけに終わりかねない。
変化する安保環境を見極めつつ、予算や人員の制約を踏まえてどのような戦略をたて、何を重視し、何を削るのか。優先順位をつけねばならない。
その意味でも、2352億円の取得経費を計上した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」には、大きな疑問符がつく。巨額な費用に見合う効果があるのか。政府の説明はなお不十分だ。
気がかりなのは、米政府から兵器を買う有償軍事援助(FMS)が安倍政権下で急増していることだ。来年度は陸上イージスやF35戦闘機の購入などで6917億円。2012年度の1380億円の約5倍にのぼる。
FMS調達の支払いの大半は複数年度にわたり、後年度負担が後々の予算を縛る。米国側の事情で後から契約額がふくらむこともあり、かねて予算の膨張要因と指摘されてきた。
トランプ米大統領対日貿易赤字の削減に向け、米国製兵器の購入を求めているが、防衛費の歯止めなき拡大は許されない。少子高齢化が進む日本の身の丈にあった「真に必要な防衛力」の議論を、年末に向けて徹底的に行わねばならない。

追及者が不審事故 安倍首相“#ケチって火炎瓶”が世界に拡散 - 日刊ゲンダイ(2018年8月31日)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/236581

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」が28日付で〈日本は、首相とヤクザの関係を調査するジャーナリストの不審な転落事故を捜査しなければならない〉との声明を出した。過去の山口県下関市長選を巡る安倍事務所の“火炎瓶騒動”を取材するジャーナリスト・山岡俊介氏が遭った不審な転落事故について、当局による捜査を要請。安倍首相の過去の重大疑惑は、いよいよ世界の知るところとなった。
火炎瓶騒動とは、1999年の市長選で、安倍事務所が支援候補を当選させるため、暴力団対立候補の中傷ビラまきを依頼し、500万円の報酬を300万円に値切ったため、自宅に火炎瓶を投げ込まれたとされる事件だ。国会でも指摘され、「#ケチって火炎瓶」のツイートが話題を呼び大炎上している。
この事件を長年追及する山岡氏は8月7日夜9時ごろ、東京・新宿アルタから地下鉄駅に通じる階段上から転落。肩を骨折し、額を7針縫う全治1カ月の大ケガを負った。山岡氏に当時の状況を聞いた。
「後ろから押された感覚はありませんが、当時、私は酔っていたわけでも、体調が悪かったわけでもありません。体力には自信がある方ですから、普通なら踏ん張ったり何かにつかまろうとするはず。ところが、救急車を呼んでくれた方によると、前転するように上から下まで真っ逆さまに転げ落ちたといいます。私は過去に脅迫状を自宅に送り付けられたこともありますから、今回の一件も何かしらの力が働いたと疑わざるを得ません」
RSFは声明で〈(山岡氏が)取材していた対象を考慮すると、このような不自然な転落は本格的な捜査に値するが、現在行われていない〉と指摘。〈日本のジャーナリストは、安倍首相が12年に政権を取って以来、自分たちに対する不信と敵意の雰囲気があると不満を抱いている〉と、安倍政権の報道に対する姿勢まで批判している。世界に拡散しつつある「#ケチって火炎瓶」疑惑。このまま放置していいのか。
「『報道の自由度ランキング』を年1回、公表するRSFは、第2次安倍政権の発足以降、日本のランク急落を憂慮しているのでしょう。十数年前の事件とはいえ、安倍首相はキチンと釈明しなければ、国際社会に不信感を与えるだけです」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学
総裁選前だからと、ダンマリは許されまい。

安倍首相「改憲発議しないのは議員の怠慢」 自民会合で - 朝日新聞(2018年8月31日)

https://www.asahi.com/articles/ASL807H5RL80UTFK02Q.html
http://archive.today/2018.08.31-162825/https://www.asahi.com/articles/ASL807H5RL80UTFK02Q.html

安倍晋三首相は31日、横浜市で開かれた自民党の会合で、「(憲法改正を)発議しないというのは、国会議員の怠慢ではないか」と述べ、総裁選で3選された場合に改憲論議を加速させることに改めて意欲を示した。
首相は、1955年に自由党民主党保守合同自民党が誕生した目的について、「(敗戦後の)占領下で憲法教育基本法、様々な基本的な枠組みができた。この枠組みを自分たちの手で見直していこうと新たにスタートした」などと説明。そのうえで、「目的は後回しにされ、60年経ってしまった。自民党総裁を6年間務めた私には、憲法改正に取り組んでいく責任がある」と訴えた。
自衛隊明記などを盛り込んだ党改憲案にも触れ、「スケジュールありきではないが、自民党の(改憲)案をなるべく早く国会に提出して議論に付さなければ、国民的な議論は広がっていかない」と強調した。首相は党改憲案の「次の国会」への提出をめざす考えを表明している。

海洋放出 反対が大勢 第一原発トリチウム水 - 福島民報(2018年8月31日)

http://www.minpo.jp/news/detail/2018083154887
http://web.archive.org/web/20180831044322/http://www.minpo.jp/news/detail/2018083154887

東京電力福島第一原発の汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の処分に関する初の公聴会は三十日、富岡町文化交流センター学びの森で開かれた。政府の小委員会は五つの処分方法を説明したが、漁業関係者ら十四人の発言は海洋放出に集中し「風評が起きるのは必至で、国民的議論もされていない」などと反対する意見が大多数を占めた。小委員会は三十一日にも公聴会を開き、処分方法を絞り込む議論に反映させる。
小委員会事務局が各処分方法の概要などを説明した後、漁業関係者や地方議員、弁護士ら公募で選ばれた意見表明者が発言した。海洋放出に関しては十四人中、十二人が明確に反対の意思を示した。野崎哲県漁連会長(いわき市)は「本県漁業に壊滅的な打撃を与えるだけでなく、これまでの努力と再興意欲を完全に奪う」と語気を強めた。大槻宗司大阪大大学院工学研究科招へい教員(大阪府)は「これ以上のタンク保管は敷地面積的に難しいとの印象だ。トリチウム水の全量測定で安全性を確認した上で、海洋放出するべき」と賛成した。
その他の「地層注入」「水蒸気放出」「水素放出」「地下埋設」の処分方法についても大半の意見表明者が反対意見を述べた。
多核種除去設備(ALPS)の浄化水に他の放射性物質が残留し、一部が排水の法令基準値を上回っていたことが公聴会の開催決定後に判明したのに対し、事務局は「小委員会内では議論の前提となっていた。情報の出し方を工夫したい」と釈明した。だが、意見表明者からは「情報提供の仕方が恣意(しい)的だ」「トリチウムのみの処分に意見を述べる公聴会の基本前提が破綻した」などと疑問の声や批判が相次いだ。
トリチウム水は原発構内のタンク約六百八十基に保管しており、計約九十二万トンに上る。タンク増設を進め二〇二〇年末までに総量を百三十七万トンに増やす計画だが、小委員会は「敷地内での増設は限界を迎えつつある」としている。
初日の公聴会には一般聴講者約百人が訪れた。三十一日は午前九時半から郡山市の郡山商工会議所、午後三時半から東京都千代田区イイノホールで開催される。