一票の格差、最高裁が「合憲」 昨年の衆院選1.98倍 - 朝日新聞(2018年12月19日)

https://www.asahi.com/articles/ASLDM4TRXLDMUTIL02B.html
http://archive.today/2018.12.19-064135/https://www.asahi.com/articles/ASLDM4TRXLDMUTIL02B.html

一票の格差」が最大1・98倍となった昨年10月の衆院選について、二つの弁護士グループが「選挙区によって投票価値が違うのは憲法違反だ」として無効を求めた16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は19日、「合憲」とする判断を示し、原告の上告を退けた。衆院選をめぐって最高裁が「合憲」と判断したのは、2005年選挙に対する07年の判決以来、11年ぶり。
最高裁は、最大格差が2倍を超えた09、12、14年の衆院選について、3回連続で「違憲状態」と判断し、是正を求めた。国会はこうした指摘を踏まえて、16年に小選挙区の定数を「0増6減」したうえで、17年に19都道府県の97選挙区で区割りを変更した。この結果、同年の選挙で定数1人あたりの有権者数は、最多の東京13区が最少の鳥取1区の1・98倍となり、14年選挙の最大格差2・13倍から縮小した。
国会は、都道府県の人口比をもとに定数を配分する「アダムズ方式」の導入も決定したが、完全導入は20年の国勢調査後に先送りしている。格差拡大の最大の要因とされてきた、都道府県にまず1議席割り振る「1人別枠方式」の定数配分は残った状態だ。
今回の訴訟で全国の高裁・支部が出した16件の判決は、15件が「合憲」。名古屋高裁だけが「違憲状態」と判断し、「1人別枠方式が完全廃止されておらず、構造的な問題は解消されていない」と指摘していた。
最高裁での弁論で、弁護士グループ側は「最大格差が2倍未満なら違憲状態を解消した、ということにはならない」として、人口に比例した選挙の実現を求めた。一方、被告の選挙管理委員会側は「将来的にも最大格差を2倍未満とする具体的な仕組みを作った」と強調。「選挙改革の歴史で画期的」と述べ、投票価値の平等に反しないとした。(岡本玄)

(政界地獄耳)見逃さない露 十分に外交敗北 - 日刊スポーツ(2018年12月19日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812190000175.html
http://archive.today/2018.12.19-021736/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812190000175.html

★国会は閉会したものの、閣僚たちの不規則発言や傍若無人の振る舞いは続いている。なんといっても第4次安倍改造内閣の面々のお粗末さは特別だ。最近でも防衛相・岩屋毅辺野古への移設は「日米同盟のためでなく日本国民のためだ」と発言したことに「日本国民の中に沖縄県民は入っているのか」と突っ込まれた。発言自体に瑕疵(かし)はないと感じるかもしれないが、辺野古への土砂強行投入についての会見での発言としては不用意としか言いようがない。沖縄に寄り添うという思いがないことのなせる業だろう。

★五輪相・桜田義孝、地方創生相・片山さつきに至っては閣僚の前の段階だろう。法相・山下貴司の抜てきは結構だが地検特捜出身は攻めには強いが守りが弱く、逆切れかと思うほど野党の入管難民法改正案への質問にムキになっていた。自ら法案の出来が悪いことを承知していたのだろう。山下の名前は奴隷法強行の山下として歴史に残るだろう。

★しかし特筆すべきは2人の太郎だろう。外相・河野太郎は史上最低の外相といえるが「次の質問どうぞ」と繰り返したことについて「反省している」とブログで謝罪した。書き込まれたのは外遊中だが、反省するぐらいなら最初からやるべきでない。相手側であるロシアに手の内を明かせないからと記者を無視したが、ロシアのラブロフは見逃さない。「ばかげた子どもの遊び『白黒を言わないで、はいもいいえも言わないで』が続いている」と論評した。これですでに十分外交敗北だ。

★もう1人の太郎は副総理兼財務相、加えてデフレ脱却担当の肩書がつく麻生太郎。「景気『いざなぎ』超え戦後最長」と内閣府が発表したが14日の会見で賃金上昇ないというのは「感性」の問題と言い放った。今年は官僚の公文書改ざんがあったが、事実を無視し感性に乏しい閣僚は他にもいそうだ。(K)※敬称略

「辺野古への土砂投入、日米関係の悲劇」元米海兵隊次長 - 朝日新聞(2018年12月16日)

https://www.asahi.com/articles/ASLDD31JDLDDTIPE003.html
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ロバート・D・エルドリッヂ
米国生まれ。大阪大大学院准教授や米海兵隊太平洋基地政務外交部次長を歴任。主著に「沖縄問題の起源」。月刊誌「正論」など保守系論壇に多く登場している。

元米海兵隊政務外交部次長 ロバート・D・エルドリッヂさん
来日して10年以上、日米の政治外交の研究を重ねた後、2009年から15年まで沖縄の海兵隊基地で働きました。地域住民とのパイプ役として基地の実情を話したり、敷地内を案内したり。時には、米軍関係者が起こした事件事故に対応することもありました。
私は安倍政権を評価する立場ですし、日米同盟は当然、強く支持しています。それだけに辺野古への土砂投入は、非常に残念です。いったん砂を入れてしまえば、なかなか取り出せない。日米関係における「悲劇」だと思います。住民の支持がなければ、同盟が弱体化しかねません。
海兵隊辺野古移設を望んでいるわけではありません。移設後の基地は、普天間飛行場よりも滑走路が短く、有事に動く主力の軍用機が離着陸できない。普天間のように高台にもないから津波にも弱い。住宅地にも隣り合うため、騒音被害も生まれるでしょう。
日本の方々には今も、米国に占領されているような意識があると思います。私は即時、沖縄にあるすべての基地を自衛隊の管理下に置き、日米の共同使用にすべきだと思います。基地の中で何をしているのかが今は県民に見えませんが、自衛隊管理となれば透明性が高まります。

「少年院に行くかも」児相で少年自殺、職員発言が原因か - 朝日新聞(2018年12月19日)

https://www.asahi.com/articles/ASLDL6472LDLOIPE02L.html
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愛知県西三河地方の児童相談所の一時保護所で今年1月、同県豊橋市の少年(当時16)が自殺した問題で、愛知県は18日、職員の不適切な発言が自殺につながった可能性があるとする検証結果を公表した。また、少年の保護歴などの情報を共有できておらず、施設の構造にも問題があったという。
この日、有識者や医師、弁護士による検証委員会(委員長=折出健二・人間環境大特任教授)が県に報告書を提出した。報告書によると、少年は家出中に自転車を盗んだとして補導され、1月11日に一時保護所に入ったが、23日に自室のシーツで首をつって死亡した。
少年審判を控えた少年はこの日、職員と面接中に「少年院に行く場合もある」と言われていたという。検証委は、精神的に不安定だった少年が不安を増し、シーツを首に巻き付ける痛みに置き換えようとしたと推測。職員は安易な発言をしながらフォローをしなかったとして、「不適切な対応を行ったことは否めない」とした。

平和ないと生きられない 9条なりきりソング作曲・タマ伸也さん - 東京新聞(2018年12月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121802000251.html
http://archive.today/2018.12.19-000445/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121802000251.html

憲法9条に口があれば、こう問いかけるはずだ。「私はあなたの平和がなければ とても一人では生きていけません」−。3人組のコミックバンド「ポカスカジャン」のボーカル兼ギターで、ソロのフォークシンガーとしても活躍するタマ伸也さん(50)が、メッセージソング「私の名前は憲法9条」をつくった。改憲に前のめりな安倍政権への批判とも受け取れる内容だけに「大丈夫?」と心配するファンもいるが、タマさんは「フォークってそういう在野なものでしょ」とひょうひょうと語る。 (山本哲正)
ズンチャッ、ズンチャッと軽快なイントロに続いて「わ・た・し・の」と歌いだす。ジャズの源流とされる「ラグタイム」調のメロディーが心地よい。東京・渋谷の稽古場で練習中のタマさんは「九条は平和なキャラクターだから曲調も平和にと心掛けた」と笑う。
歌詞は「戦争はしません 戦力も持ちません」と平和主義を繰り返し説き、「私を変えようと する人がいます」と改憲派をけん制する。戦地での死にも触れる。「ライブでは、九条の条文そのまんまを最後にリフレイン。お客さんと大合唱です」とタマさん。
改憲を巡る議論に、「平和主義がどこか置き去りになっているようだ」とモヤモヤした気持ちが膨らんで企画した。護憲・反戦を終生訴えたタレントの故永六輔さんの顔も浮かんだ。生前よくしてもらった永さんにも聴いてほしかった。
タマさんは大久保ノブオさん、省吾さんと一緒に、「ポカスカジャン」を一九九六年結成。アイスキャンディーのコマーシャルソング「ガリガリ君のうた」などを手掛けた。
二〇一三年からはソロ活動をスタート。昨年からは、いろいろな人やモノになりきる「入ります」シリーズを始めた。これまでジョン・レノンや風に「入った」。その人やモノが伝えたいだろうことを自分なりに理解できた瞬間、「曲作りが広がる扉のドアノブが見つかったようだ」と感じる。反戦歌を歌ってきた経験から九条のドアノブは、最初からありかが分かっていた。
タマさんは「ぼくらは戦争を体験したことがなく、どうしても学ぶしかない。あとは想像力。平和主義の話をしたい。一緒に歌って」と呼びかける。
「私の名前は憲法9条」は、11月発売の最新ソロアルバム「入りますCD2」(全8曲税別1000円)に収録。憲法のほか、故忌野清志郎さん、吉幾三さんなどに「入った」。現在全国ツアー中。問い合わせはワハハ本舗=電03(3486)2666=へ。

     ◇

私の名前は 憲法9条

私には手も足も ありません

私には言葉しか ありません

私の名前は 憲法9条

戦争はしません 戦力も持ちません

戦争するのも 認めません

これが私の 全てなんです

私の名前は 憲法9条

(中略)

私を変えようと する人がいます

私を守る 人もいます

人は私を 夢想家と呼ぶのです

あなたにとっての 平和とは何ですか?

あなたにとっての 主義って何ですか?

私はあなたの

平和がなければ

とても一人では

生きていけません

(以下略)

市民が犠牲になる戦争 ドイツ チェコ 虐殺や空襲体験を復刻:東京 - 東京新聞(2018年12月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201812/CK2018121902000113.html
http://archive.today/2018.12.19-000445/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121802000251.html

東京大空襲・戦災資料センター(江東区)館長で作家の早乙女勝元さん(86)=足立区=が今月、「ナチス占領下の悲劇 プラハの子ども像」を刊行した。第2次世界大戦の歴史的な現場を取材したリポートで、関係者の証言から市民が犠牲となる戦争の真実に迫っている。 (大沢令)
かつて自身で著した「プラハは忘れない」(一九九六年)と、「エルベの誓い」(二〇〇一年)の二つのリポートで構成。版元の破産で現在は入手が難しいため、復刻版として合本し、一部自費で出版した。
プラハは忘れない」はナチス占領下のプラハ(現在のチェコの首都)郊外リディツェ村で起きた悲劇を追ったリポート。一九四二年六月、ナチス占領軍司令官が暗殺された報復として、村にいた男性はすべて銃殺され、女性たちは強制収容所に送られるなど村ごと破壊された。
虐殺の悲劇を未来の教訓として伝えるため、村の子どもの群像をモニュメントに残そうと半生を制作に費やした彫刻家の思いに寄り添い、生き残った二人の女性の証言から惨劇を浮かび上がらせている。
「エルベの誓い」では、四五年二月に米英軍がドイツの古都ドレスデンを破壊した無差別爆撃を取材。戦争を体験した女性二人の手記から、市民が受けた深刻な被害を浮き彫りにする。約二カ月後に米軍とソビエト軍の兵士がドレスデン近郊のエルベ河岸で交わした平和の誓いの舞台裏にもスポットを当てる。
早乙女さんは「海外の歴史的な現場に立ち体験者に話を聞くことで、歴史や戦争の教訓がいくつも得られた。いずれ体験者がいなくなった時の追体験の資料として今出しておかなければと思った」と話している。新日本出版社、千八百円(税別)。

空母化「米機発着も」 防衛相、米軍支援を明言 米追従加速の防衛大綱 - 東京新聞(2018年12月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000132.html
https://megalodon.jp/2018-1219-0908-30/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000132.html

政府は十八日の閣議で、今後十年程度の防衛力整備の指針となる新たな「防衛計画の大綱」と、今後五年間の装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」を決定した。海上自衛隊護衛艦「いずも」型二隻を改修し、短距離離陸・垂直着陸が可能な「STOVL機」を搭載する事実上の空母として運用する方針を明記した。自衛隊だけでなく、米軍の戦闘機の搭載も想定する。米国から地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」などを購入することも盛り込んだ。米軍支援と米国からの兵器購入が明確に打ち出され、安倍政権の対米追従がより鮮明になった。 (上野実輝彦)
いずもでは、自衛隊が米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの運用を予定している。岩屋毅防衛相は同日の記者会見で「米軍の航空機がいずもから離着陸することはあり得る」と明言した。具体例として、米軍機が事故を起こした場合や日米の共同訓練を挙げた。
イージス・アショアの配備は、日本を狙った弾道ミサイルを迎撃するのが目的だが、政府は北朝鮮が米領グアムやハワイを狙って弾道ミサイルを発射した場合、安全保障関連法で認められた集団的自衛権を行使して、迎撃することも可能としている。
中期防には米国から大量の兵器を購入する方針が盛り込まれた。F35を四十五機購入し、そのうち十八機はB型にする。長距離巡航ミサイル「JASSM」「LRASM」のほか、無人偵察機グローバルホークや早期警戒機E2Dも購入する。
兵器購入を明記したのは、トランプ米大統領が日本に貿易赤字の削減を迫っているからだ。来年から始まる日米の二国間の貿易交渉を前に、トランプ氏に日本政府の姿勢を示す狙いがある。十一月の日米首脳会談で、トランプ氏は貿易赤字に強い不満を漏らす一方で、日本が多数のF35を購入することについて安倍晋三首相に「感謝」を伝えた。
五年間の中期防の予算総額は前回を約二兆八千億円上回り、過去最多の二十七兆四千七百億円に膨らんだ。

F35、105機追加取得 閣議了解 B型42機いずも搭載 - 東京新聞(2018年12月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000130.html
https://megalodon.jp/2018-1219-0910-35/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000130.html

政府は十八日、最新鋭ステルス戦闘機F35について、AB両型を合わせて新たに百五機取得することを閣議了解した。うち短距離離陸・垂直着陸が可能なF35Bは四十二機。F35Aは六十三機。順次取得を進めていく方針で、既に一部は中期防に盛り込まれている。F35Bは、事実上の空母化となる護衛艦いずも改修後の搭載が想定されている。
新たに取得するF35百五機は、F15のうち改修困難な九十九機分の代替機と位置付ける。
既にF4の後継として四十二機のF35Aの配備が進んでおり、F35は将来的に計百四十七機の体制となる。
閣議了解では、二〇一九年度以降のF35取得は、最終段階の組み立てを国内で行う現在の方式を改め、完成機を輸入するとした。調達価格の引き下げを見据えた措置とみられる。

安保法後の防衛大綱 軍事への傾斜、一線越えた - 朝日新聞(2018年12月19日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13817577.html
http://archive.today/2018.12.18-205121/https://www.asahi.com/articles/DA3S13817577.html

政府がきのう、安倍政権下で2度目となる「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を閣議決定した。
陸海空にとどまらず、宇宙やサイバー空間などを含む「多次元統合防衛力」をめざすとともに、これまで抑制してきた自衛隊の打撃力を拡大する。
こうした防衛政策の転換をさらに推し進めれば、不毛な軍拡競争に道を開きかねない。
年明けの通常国会で、徹底的な議論が必要だ。

■「盾」から「矛も」へ

政権発足1年後の2013年末、初めての国家安全保障戦略(NSS)とともに決めた前の大綱は、向こう10年を見通して策定したものだ。
これを5年で前倒し改定するのは、16年の安全保障関連法の施行を受け、軍事への傾斜を強める意図がうかがえる。
見過ごせないのが、自衛隊の打撃力の格段の強化だ。
憲法9条のもと、日本は専守防衛を原則としている。他国から攻撃を受けた場合、自衛隊が「盾」となって防御し、「矛」の役割を担う米軍が反撃するのが役割分担だ。
より多くを日本に求める米国の意向を受け、自衛隊の攻撃的な能力は少しずつ整備されてきたが、今回は一線を越えたと言わざるをえない。
「空母」の導入だ。
ヘリコプターを搭載する海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修し、短距離で離陸し、垂直着陸ができる米国製の戦闘機F35Bが使えるようにする。
政府はかねて、自衛のための必要最小限度を超える攻撃型空母は憲法保有できないとしてきた。改修後のいずもは戦闘機を常時艦載しないので、「空母」に当たらないと説明するが、詭弁(きべん)というほかない。
将来的には、南シナ海やインド洋、中東に派遣され、米軍機の給油や発着に活用される可能性も否定できない。
相手の射程の外から攻撃できる長距離巡航ミサイル保有も記された。政府与党は、自衛隊員の安全確保が狙いと説明しているが、敵基地攻撃能力の保有につながる。
専守防衛は変わらない」との意図を政府与党は強調しているが、その能力をみれば、従来の「盾」から「盾も、矛も」への転換は明らかだ。

■宇宙・サイバーまで

大綱の主眼は、北朝鮮ではない。軍拡を進める中国の脅威への対処にある。
北朝鮮のミサイル危機のさなかに決めた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を追認したのは、中国のミサイルに対抗する狙いがあるためだ。
だが、巨額の投資に見合う効果があるのかは疑わしい。政府は導入を再考すべきだ。
たしかに、ミサイル対処をはじめ、軍事技術の急速な進展への対応は必要だろう。
宇宙やサイバー、電磁波といった分野は、現代の安全保障にとって、死活的といえるほど重要性を増している。その現実は受け止めねばならない。
大綱には宇宙領域専門部隊の創設や宇宙状況監視(SSA)システムの整備、サイバー防衛隊の拡充が盛り込まれた。
ただ、日本の防衛政策の原則を踏まえ、自衛隊がどこまで対応すべきか。法的にも能力的にも難しい問題をはらむ。
宇宙空間での監視能力の強化は、目標を特定し攻撃する能力に重なる。サイバー空間での攻撃と防御の関係をどう考えるのかについても、慎重な検討が必要だろう。

■政治的な対話こそ

中期防が示した5年間の防衛費は過去最大の27兆4700億円。政府はコスト削減などで25兆5千億円に抑える方針だが、ほんとうに実現できるのか。
急速な人口減少と少子高齢化、厳しい財政事情という日本の現実から目を背けてはならない。性急な防衛費の拡大は、国民の理解を得られまい。
もとより、自衛隊ができることには限界がある。身の丈に合った安全保障を構想しなければならない。
それなのに、トランプ米大統領の求めに応じた米国製兵器の大量購入が防衛費を圧迫している。米国製のステルス戦闘機F35は、いずもで運用できるB型を含め、計105機を追加購入する。その総額は1兆2千億円に上る見通しだ。
最新鋭の兵器を買いそろえることが、日本の安全保障にとって真に有効な処方箋(しょほうせん)なのか。政府はもう一度、考えるべきだ。
国連のグテーレス事務総長は5月に発表した「軍縮アジェンダ」で、こう指摘している。
「高まった緊張や危険は、真剣な政治的対話や交渉によってのみ解決できる。兵器の増強では決して解決できない」
軍事に過度に頼ることなく、外交努力を通じて緊張を緩和し、地域の安定を保つ――。いま必要なのは、総合的な安全保障戦略にほかならない。

(新防衛大綱)専守防衛のなし崩しだ - 沖縄タイムス(2018年12月19日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/361171
https://megalodon.jp/2018-1219-0912-17/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/361171

政府は、新たな防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と、大綱に沿って具体的な装備調達を進める次期中期防衛力整備計画(中期防)を閣議決定した。
宇宙やサイバー、電磁波といった「新たな領域」への対処が「死活的に重要」だとして優先的に強化する方針。陸・海・空の従来の領域を含め一体運用する「多次元統合防衛力」の構築を打ち出した。
懸念されるのが中国の海洋進出をにらんだ護衛艦の事実上の空母化である。海自の護衛艦「いずも」を改修し、米国から新たに導入する最新鋭ステルス戦闘機F35Bを艦載機と想定する。同機は短距離離陸・垂直着艦が可能だ。
憲法9条は「戦力の不保持」をうたう。相手国に壊滅的な打撃を与えるような「攻撃的兵器」の保有は「自衛のための必要最小限度」の範囲を超えるとし、歴代内閣は認めていない。例示されているのが「攻撃型空母」だ。
空母は「動く航空基地」といわれ、日本の外洋から戦闘機を飛ばすことができる。空母から離陸して敵基地を攻撃することが可能となり、専守防衛を空洞化させるものだ。
自公はF35Bを常時搭載しないことから「攻撃型空母」に当たらないとして、呼称もいったん「多用途運用護衛艦」と決めた。しかし中期防では従来通り「多機能のヘリコプター搭載護衛艦」と表現している。他国からみれば言葉のごまかしというほかなく、事実上の空母であることに変わりない。
専守防衛の国是から逸脱するのは明らかだ。

    ■    ■

南西諸島防衛の強化も鮮明だ。島嶼(しょ)への侵攻に対処するための陸上自衛隊の「島嶼防衛用高速滑空弾部隊」を2026年度にも新設する。
長い射程を高速で滑空し、目標に命中させるもので、占領された島を奪還するため別の島から攻撃を加える部隊だ。先島など沖縄を含む島嶼地域での配備が念頭にある。
陸自はすでに宮古島石垣島で地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、警備部隊などの配備に向けて計画を進めている。
離島奪還作戦を担う水陸機動団の2個連隊は相浦駐屯地長崎県)を拠点にしており、3個目が20年代前半に米軍キャンプ・ハンセンを共同使用しての配備が取りざたされる。
米軍と自衛隊の増強が同時に進む。
仮に紛争となれば真っ先に標的になるのは先島を含む沖縄である。配備計画に欠けているのは、島で生活し逃げ場を失う住民の視点だ。

    ■    ■

第2次安倍政権発足以降、防衛費は増大し続けている。
今後5年間の中期防の予算は27兆4700億円に上り、過去最大となった。
装備品も予算も歯止めを失っている。日本への武器売却に熱心なトランプ米大統領の影も見える。
国是である専守防衛の土台が揺らいでいる。政府は閉会中でも国会を開いて国民に説明する義務がある。
日本が果たすべき役割は、中国に自制を促し、軍事力によらずに東シナ海を「平和の海」にする外交努力である。

辺野古停止署名、10万筆に ローラさんも呼び掛け 米政府、回答へ - 東京新聞(2018年12月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000131.html
https://megalodon.jp/2018-1219-0914-32/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121902000131.html

米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設を巡り、建設の是非を問う来年二月二十四日の県民投票まで工事を止めるようトランプ米大統領に求める嘆願書への電子署名が十八日、目標の十万筆に達した。各界の著名人にも協力の輪が広がり、署名開始の十日後に達成。米政府は六十日以内に対応を検討し、公式に回答することになる。
電子署名は米ホワイトハウスの請願サイト「WE the PEOPLE」で実施。ハワイ在住で沖縄出身者の血を引く日系四世の作曲家ロブ・カジワラさん(32)が今月八日に始めた。米政府の回答を得るには、署名開始から三十日に当たる来年一月七日までに、十万筆を集める必要があった。本紙は十七日朝刊で、この署名活動を報じた。
タレントのローラさんが十八日、写真投稿アプリ「インスタグラム」で「美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの」と署名を呼び掛けた。沖縄出身のタレントりゅうちぇるさん、芥川賞作家の平野啓一郎さんらも賛同の輪に加わった。
日本時間十六日午後七時時点で六万筆超だった署名数は順調に伸び、本紙が確認したところ十八日午後三時ごろ目標に達した。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十八日午後の記者会見で、十万筆達成に関し「他国が行っている施策に関することだ」とコメントを控えた。
目標達成後も署名は可能。十三歳以上であれば、居住地や国籍に関係なく参加できる。サイトで名前とメールアドレスを入力し、確認メールが届いた後、指定されたリンクをクリックすれば完了する。
嘆願書は、九月の知事選で新基地建設反対を掲げた玉城(たまき)デニー氏が勝利したのに、日本政府と在日米軍は県民の意思を無視していると指摘。トランプ氏が工事停止を命じるよう求めている。 (島袋良太)

ホワイトハウスへの請願署名10日間で8.4万筆 目標10万の過半数超える - 琉球新報(2018年12月18日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-850176.html
https://megalodon.jp/2018-1219-0916-36/https://ryukyushimpo.jp:443/news/entry-850176.html

【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事を止めようと、沖縄県系4世のロバート梶原さん(32)=ハワイ在=がホワイトハウスの請願サイト「We the People」で始めたインターネット署名は、8日の開始から10日間で目標の過半数を一気に超え、約8万4千筆超が集まっている。請願の趣旨に賛同し、「新基地建設強行を許さない」という人々がツイッター(短文投稿サイト)やフェイスブックなど、ソーシャルメディアで署名を呼び掛ける動きが国境を超えて急速に広がっている。
日本のアーティストやタレント、作家ら著名人もツイッターなどで署名を呼び掛け、多くの賛同を得ている。日本時間の17日午後9時半現在、8万4387筆の署名が集まっている。少なくとも県民投票がある来年2月24日まで辺野古の工事を止めてほしいとトランプ米大統領宛てに送る。署名開始から30日以内(来年1月7日まで)に10万筆が集まれば、ホワイトハウスが請願内容を検討し、60日以内に何らかの返答が届く仕組みになっている。
政府が14日に土砂の投入を始めたことに、梶原さんは「安倍晋三首相は日本の民主主義を破壊している」と糾弾する。沖縄の民意を無視して工事を強行するやり方に、「私たちは決して諦めない。安倍首相の違法行為を世界が見ていることを知らしめないといけない」と語り、目標の10万筆を超え、一人でも多くの人が署名し、トランプ氏や米議会に訴えていこうと呼び掛けた。
署名は13歳以上なら国籍を問わず、誰でも参加できる。サイト(QRコード)で氏名とEメールアドレスを入力した後に届く確認メールの指定箇所をクリックすると署名が完了する。


ホワイトハウスの請願サイトはこちらをクリック

(大弦小弦)辺野古に「ひさ坊」の愛称で親しまれたウミンチュがいた… - 沖縄タイムス(2018年12月18日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/360821
http://archive.today/2018.12.18-134637/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/360821

辺野古に「ひさ坊」の愛称で親しまれたウミンチュがいた。本名は島袋利久さん。丸刈り頭で眉は太く、タンクトップ姿の小さな体は真っ黒。ニカッと笑うと何とも言えない愛嬌(あいきょう)があった

海上ヘリ基地計画が浮上した1996年から水中撮影のため、安価で船を出してもらった。漁港で待ち合わすといつも遅れ、姿を現せばほろ酔い状態。船代とは別に「200円」があいさつ代わりで、渡すと缶ビールを買いにまた姿を消した

▼海に出ればそこはひさ坊の庭。サンゴがどこにあるかを熟知していた。撮影後、「この海すごい」と言うと誇らしげにニカッ。建設の賛否など尋ねなかったが、くしゃくしゃの笑顔が全てを物語っていた

▼ひさ坊が55歳で亡くなってから10年。政府は14日、ついに土砂投入を強行した。ひさ坊の顔がなぜか浮かんだ

▼この22年、なぜ海兵隊が沖縄に必要か、なぜ辺野古が唯一かの丁寧な説明を政府から受けたことはない。「普天間飛行場の危険性の除去」を唱えながら、所属機の傍若無人な運用に歯止めをかけるそぶりすらない

菅義偉官房長官は「全力で埋め立てる」と宣言し、岩屋毅防衛相は拒否する県民を疎外するかのように「日本国民のためだ」と言った。全国の人々はどうか辺野古に目を向けてほしい。ひさ坊ら先人が愛し、県民が全力で守りたい海があるのだ。(磯野直)

日本男女平等、依然進まず、149カ国中110位 政治、経済分野で低調 - 東京新聞(2018年12月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201812/CK2018121802000258.html
https://megalodon.jp/2018-1219-0920-03/www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201812/CK2018121802000258.html

ジュネーブ=共同】ダボス会議で知られるスイスの「世界経済フォーラム」は十八日、二〇一八年版「男女格差報告」を発表した。日本は調査対象となった百四十九カ国中百十位で、賃金格差の縮小などにより前年より順位を四つ上げた。しかし政治、経済分野で依然女性の進出が進んでいないとされ、日米欧の先進七カ国(G7)では最下位。二十カ国・地域(G20)でも下位グループに位置し、中国(百三位)、インド(百八位)より低かった。
報告書では、日本は女性の議員や閣僚の少なさから政治分野(百二十五位)が低評価で、経済分野(百十七位)も幹部社員の少なさなどから前年より順位を三つ下げた。「依然として男女平等が進んでいない国の一つだ」と指摘されている。
首位は十年連続でアイスランド。二位ノルウェー、三位スウェーデンと北欧諸国が上位に並んだ。G20では十二位のフランスがトップで、次いでドイツの十四位。米国は五十一位だった。

練馬区立図書館、司書らのストライキ回避 区教委と対立 - 朝日新聞(2018年12月18日)

https://www.asahi.com/articles/ASLDL55P8LDLUTIL032.html
http://archive.today/2018.12.18-124248/https://www.asahi.com/articles/ASLDL55P8LDLUTIL032.html

東京都練馬区立図書館の運営を民間に任せるかどうかをめぐり、練馬区教育委員会と図書館司書らが激しく対立し、司書らがストライキの構えを見せていたが、18日の最終交渉の結果、「一定の合意」に至りストライキは回避された。公立図書館の運営を民間が担う動きは全国で広がっているが、ストライキまで労使対立が激化するケースは珍しいという。
区教委によると、民間に管理を任せる方針を示したのは、練馬、石神井の2館。区教委は約10年前から順次、区立図書館の民間管理を進めており、全12館のうち9館は、図書館運営を業務とする複数の民間企業に頼んでいる。
練馬、石神井の2館についても7月、指定管理者制度を適用し、5年後までに民間に任せる方針を明らかにした。区教委の担当者は、民間の管理を進めた結果を踏まえ、「住民アンケートでも満足度が高いと考えている」と説明する。
2館のうち、練馬図書館は現在、職員全35人のうち、司書資格を持つ非常勤職員32人が蔵書管理や窓口対応などの業務を担っている。区教委の方針に対し、非常勤職員でつくる練馬区立図書館専門員労働組合は「数年おきに運営業者が代わると専門的な運営技術が受け継がれず、サービス低下につながりかねない」などと反発。区教委が示した学校司書などへの配置換え案に対しても、「図書館と学校は性質が違う」とし、区立図書館での雇用の保証を求めるなどしてきた。
区教委と労組は18日夜に最終交渉した。区教委によると、「一定の合意に至った」という。交渉が決裂した場合、労組は19日の開館30分前(午前8時半)から2時間の時限ストに突入する構えだった。
日本図書館協会(東京)によると、公立図書館の運営を巡る労使対立で「ストライキに至るまで激化するケースは珍しい」という。(阿部健祐)