子どもの本や 阿佐ヶ谷日記  2

東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-47-7 03-3314-3455「子どもの本や」では、子どもが心から楽しめる選り抜きの本ばかりを揃えています。

アンデルセン「ヒナギク」

「まりーちゃんとひつじ」という絵本のなかで、まりーちゃんがひつじのぱたぽんをさがしにいくところがあるのですが、その途中で川沿いでヒナギクのはながきれいきれい、という場面があります。清楚でかわいいヒナギクがお日さまの下でかがやいているのです。
さて、私どもが絵本の導き手としている「子どもと本」133号≪季刊 子ども文庫の会≫がでました。
このところずっとアンデルセンの作品を紹介していて、読者が感想なども寄せています。
アンデルセンは皆様よく知っている作家ですが、なかなかきちんと訳されているものと出会うのはむづかしいようです。133号には「ヒナギク」が紹介されています。
ヒナギク」は岩波書店完訳アンデルセンに1巻におさめられてる作品で、比較的アンデルセンの初期の作品です。




ちいさな庭の草はらのなかで、おひさまのひかりをたっぷりあびてヒナギクはとてもしあわせです。神さまの恵みをうけとめてヒナギクは不満など感じたこともなく、華やかでなくとも自身に満足していてしあわせとかんじることができてみちたりています。そんなヒナギクは、自分の気持ちを歌で表現することのとくいな尊敬するヒバリから褒められることになります。ヒナギクはとてもしあわせです。ヒパリは不幸にも人間のこどもにつかまってしまいます。ヒバリのためになにかできなかをこころをくだくヒナギクは健気で、ヒパリにまるで恋でもしているかのようです。

作者は「しあわせ」について書いたのでしょうか。アンデルセンは信仰をもっていて様々なお話のなかにキリスト教にかかわることが語られています。神さまに与えられた人生に満足し、運命を受け入れて幸せとおもうヒナギクは、アンデルセンの描く人の理想の姿なのかもしれません。





「隊を組んで歩く妖精たち」岩波書店 イェイツ編 山宮 允訳 二十数年間品切れになっていたイェイツ編のケルトの妖精の話が再版になっています。
     
       空に聳えるお山の上や
       藺草すいすいはえてる谷へ、
       狩りに行くまい小人が怖い。
       みんなそろうて隊組んで。
       青いジャケツに真っ赤な帽子
       白い梟の毛ごろも着けた
       ほんにちいちゃな小人が怖い


まだ続く、山宮氏によって美しい日本語にされた「妖精」という詩は、おはなしを読むまえからわくわくと心が躍るような気持ちしてくれます。妖精の性質は気まぐれで、善人にむくいるには善を以てなし、悪人にむくいるのは悪を以ってする。良心がなくて、気まぐれであるが非常におもしろい性格をもっている。妖精たちはすぐおこるらしいから余り妖精の話しはしないほうがよいようなのですが・・。
是非、とびきりの16編の妖精のいる世界のお話しを手にとってたのしんでください。
再版になりましたが僅少のようですのでいそいでおもとめくださいね。



季刊 子どもと本 ≪子ども文庫の会≫、のバックナンバーは私ども「子どもの本や」で揃えております。
完訳アンデルセンは、岩波書店から文庫版のみ手に入るようです。