内藤哲雄『PAC分析実施法入門』
- 作者: 内藤哲雄
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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PACはPersonal Attitude Constructの略。個人内の認知構造を明示的にマップするための技法と言えるだろう。具体的には、テーマとなる連想刺激を提示したあと、自由連想によってキーワードをカードに書いていってもらう。その後、カードを重要な順に並べ替えてもらい、カードの対の類似度を判定してもらう。そのデータを元にしてクラスター分析を行う。クラスター分析の結果を被験者と眺めながら、インタビューを追加するという手順。その際に、
被験者に内界で発生するイメージ・感覚・感情を「感じさせ続けること」、自由な回答を可能にする「オープン・クエスチョン」が原則である。「実験者もまた感じ続ける」こと、質問することよりも「被験者にとってのイメージ」をともに感じ続け、「被験者のイメージの流れに寄り添う」同行者として、傾聴する姿勢を保ち続ける。
単一被験者であることの意味、全体論アプローチであることはよく理解できるのだけれども、その次の一歩がわからない。つまり何のためにこの方法をとるのかという目的の部分がよくわからない。例示された、性欲求の態度構造の研究と学級風土に関する研究を読めば確かになるほどとは思うのだが、「だからどうすればいいのか」という問いに答える覚悟があるのかどうか見えないのだ。