ウォータースライドをのぼれ(ニール・ケアリー4)

ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)ウォータースライドをのぼれ(ニール・ケアリー?)
ドン・ウィンズロウ
東江一紀
創元推理文庫
★★★★


5巻中の4巻、ということですが、実質、この4巻まででニール・ケアリーシリーズは一区切りになるらしいです。(5巻はニールの後日談、とのこと)

朋友会によって保護されているあるひとりの女性に、様々な人間たちが様々な思惑をもって(世に出したい、話をさせたい、隠しておきたい、あるいは殺してしまいたい)と迫ってきます。この人間たちが見た目どおり、とは限らない、というのがみそ。
その女性を守ること、教育することがニールの仕事。追手多数。ニールの恋人カレンまで巻き込まれて大変なことに。

フィナーレに相応しい、なんとも楽しいコメディタッチのどたばたとした喜劇でした。
とはいえ、ただの喜劇ではない、しっかりハラハラドキドキ、追いつ追われつ、まさかの展開やら、どんでん返しやら、骨子のしっかりしたよく練られたさすがの物語でした。
しかもこの本を読み終わるまでに、何回思わずくすっと笑ってしまったことか。
楽しかった♪

女性たちがよかったです。まあ、一筋縄ではいかない、個性豊かな三人の女性に振り回されっぱなしのニールの渋面を思いっきり堪能させてもらいましょう。
女性たちのせりふ、すごすぎ・・・何がって、・・・★☆★☆・・・
ニールの恋人カレン(前作で出会った)は、ほんとにニールにお似合い(しかし、なんだ、この二人の凄い会話。ははっ、この二人の常識なのか、アメリカ人カップルの常識なのか・・・いや、それはやっぱりカレンだからでしょう♪)
そして、プレジネフ(これは犬)の活躍も見ものでした。小さな小さな田舎町(?)オースティンの住人たちのネットワークもお見事。

でも、今回のグレアムはよかったな。いつも良いけど、今回は一番よかった。
第2部の最後のページ(エピローグの3行前)のグレアムのせりふは最高。
そこだけ何度も読み返したいくらい。

そして、何度も辛い目にあってきたニールも今度こそ望んだとおりの生活ができそうです。めでたしめでたし♪
読者はちょっとさびしいけれど。

さあ、それでは、次はいよいよ5巻、カーテンコールですね♪