オーケストラの105人

オーケストラの105人

オーケストラの105人


↑ 表紙は、こんな絵なんです。
「オーケストラの105人」というタイトルですが、オーケストラはどこにある?
オーケストラに関わりのあるのは、足もとの楽器(チェロ?)のケース。
そして、ごくごく普通の、ちょっと散らかった鏡台。
この前に立つ人は今、変身の真っ最中なんです。
日常とオーケストラとの橋渡しの途中なんだなあ、見事見事と拍手したくなるような表紙でした。


シャワーを浴びて、それぞれに支度して・・・
ひとりひとりのとり澄ました表情がおもしろいやら、その流れがリズミカルであるやら、
ページを繰るたびに、パートごとの音楽を、追っているような気持ちになります。
小さな音楽が集まって、最後に大きなオーケストラになる。
この絵本全体が、オーケストラみたいです。
こんなに小ぶりな絵本なのに。


普通の暮らしをしている人が、普通の顔からプロの顔(姿)に変わっていくまでが、楽しいです。
楽しいだけではなくて、こちらもだんだん気持ちがきりっとしてきて、これから始まることにわくわくしてくるのです。
で、いざ出発、と振り返れば、あとに残していくのは、やっぱり普通の生活なんですよね。
素敵な仕事の世界を持っている人にも、もう一つの素敵な「普通」があるのがわたしはとても好きです。


オーケストラが始まりますよ。
普通の人たちが、普通を後ろにおいてきて、今舞台にあがります。


>白い紙に 黒で 音符がかかれた 楽譜を
シンフォニーに かえるために ここへ きたのです。

なんて素敵な表現なんだろう。
初めてドレミ、と音符の読み方を教わったのはいつだっただろう。
まさに白い紙に書かれた黒い音符、これが音楽にかわるなんて、なんという驚異だっただろう。
思えば、音楽って、まるで魔法の呪文を読み解いて、魔法の杖をふるっているようではないですか。
あの黒い音符が、美しい音楽に変わるなんて。
ああ、魔法の技。
魔法使いの105人。

>シンフォニーを
うつくしく うつくしく 演奏するのが
みんなのしごとなのです。

わたしも、さっと「普通」を後ろに置いて、
うつくしく うつくしく 仕事をしたいな。(理想、りそう、です)