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ぱせりの本の森

2011-11-08

まろ、ん? ―大掴源氏物語

まろ、ん?―大掴源氏物語

まろ、ん?―大掴源氏物語


源氏物語54帖を、長いのも短いのも関係なく、一帖につき見開き2ページの漫画であらわし、一冊にまとめている。

そんな無体な・・・いくら「大掴源氏物語」といっても大掴みすぎませんか?

と思ったのですが、ここまで装飾品をはぎ取り、贅肉までをごっそりとそぎ落として見せてくれると、

全体像が見事に俯瞰できるものなのですね。


挑戦するだけでもしんどそうだし、でも知らないというのも恥ずかしいなあ、と思っていた源氏物語。

平安のプレイボーイの女性遍歴の集大成(?)と思っていた源氏物語。

ほんとに、私、知らなかったんだなあ。


見目麗しいはずの光源氏をこの本では大胆にも顔を栗にして、その呼び名もただ「まろ」。

そう言えば、女たちはちゃんと顔があるのに、なぜか男たち(貴公子たち)の顔はみんなソラマメやらどんぐりやらミカンやら。

そして、見開き2ページにまとまった一帖一帖、まろ君のあきれるばかりの好色ぶりがこんなに赤裸々。

誰かれ構わず手当たりしだいじゃない? 心から、とんでもないやつである。


あまりにそぎ落としすぎて、身もふたもない、とも言えるけど^^ あえて、それが目的、ですよね?

しかし、そぎ落とし効果(?)は、それだけじゃなかったのですよね。

「まろ」の一代記、そして息子や孫の物語、さらに、まわりの人間たちの多彩な模様など、その人生、一族の盛衰、この世の無常までも描き上げた

確かにこれは大河物語だったのです。手の込んだ織物のようです。

はるか昔の学校の古典の授業だけで学んだだけ、あちらの一文、こちらの一文をほんのちょっとだけかじっただけでは

こういう俯瞰図は、見えなかった。

かといって、いきなり全部は(たとえ現代語訳でも)ひるんでしまう、という超初心者にとって、

こういう本は全体像をおぼろげにでも眺めるには、なんというありがたい存在だろう。

(この本が完成するまでに、構想に6年、実作業に三年をかけているそうです。ああ・・・)


まろ(光源氏)が、まわりから称賛され、あちこちで好きなことを好きなようにやって、

それは不運にも見舞われ、不毛な時代もあったものの、相当の栄華をほしいままにし、なんと羨ましい人生よ、と見えるのですが、

彼は生きている間、いったい何度出家を考えたことだろう。それもかなり真剣・具体的に。

しかも、どの時にも、実行することができなかった。あまりに大きなしがらみに邪魔されて。

決して幸福な人生ではなかったのよね。

栗の顔でも、彼の苦悩がちゃんとわかる。


そうして、彼の周りを見れば、気楽にいい加減に暮らしている人なんてだれもいない。

それぞれ悩み苦しみ、必死でこの世を渡っていた。

だから、花鳥風月に心を寄せて、この世の憂さをひととき慰める。のかもしれない。

源氏物語、今度こそちゃんと読んでみたい。栗じゃないのを^^


《追記》

今、気がついたぞ。

この本の著者小泉吉宏さんって、先日読んだ『戦争で死んだ兵士のこと』の作者さんだった!

わあ、びっくりした。

こんなに信じられないくらい作風がちがって、どちらもちょっと忘れられない本なのです。すごーい。

ぱせりぱせり 2011/11/09 08:04 ひなたさん、
栗の光源氏、おもしろかったです。
ひなたさんありがとうございます。

>ここまでのダイジェスト版になると、相当な苦労をされているのではないかと思いました。

ほんとですね。
ゆるいけど、おかげで初めて全体を見ることができました。
あまりに敷居が高くて、なかなか手にとることのできない源氏物語ですが、いつかいつか・・・(わたしも遠い目^^)

ぱせりぱせり 2011/11/11 08:58 青子さん、おはようございます。
ね、ね、懐かしいですね、本プロ。
そう、みなさんが盛り上がっていたのですよね。
それを見ながら、「わたしも、わたしも」と思いつつ、他の本に気持ちを移して、いつのまにか忘れていました。
ひなたさんのおかげで、「そうだ、あれがあったよ♪」と思いだしたのでした。
読んでよかった〜。とっても楽しかったです。
そして、栗じゃないヤツ、うふふ、いつか読みたいですね!

はぴはぴ 2011/11/17 11:24 ぱせりさん、おはようございます。
本プロ時代ちょっと遅れて読んだのですが、かなり面白かったのを覚えています。
私は栗の顔のせいかぱせりさんと違って出家するという言葉があまり深刻に感じられなかったのですが(笑)
構想に6年、実作業に3年・・・分かりやすいダイジェスト版にしてくださって本当にありがたいです。
長年手が出なかった『源氏物語』先日から瀬戸内寂聴訳で読み始めました。
図書館の予約本は極力減らして少しずつ読み進めていこうと思います。

ぱせりぱせり 2011/11/17 17:37 はぴさん、こんにちは。
遅ればせながら、楽しく読みました^^
初めて『源氏物語』の全貌(?)を垣間見たような気分です。
本当にありがたい本でした^^
はぴさん、瀬戸内寂聴訳、読み始めたのですね。
かなり忙しそうなのに、すごいよ〜。
「いつか読みたい」なんて言ってたら、ずーっと読まなそうだもの、わたしも読もうかなあ。