ウェスト・ウィング

ウエスト・ウイング

ウエスト・ウイング


建物は、でかければでかいほど、華やかであればある程、静かになったとき、こわいと思う。
お化け屋敷になるのって、たいてい病院やホテルや学校や・・・みんな大きくて、賑やかなところではありませんか。


エスト・ウィング。西棟、でしょうか。こんな呼び名があるってこと自体、相当大きいんです、このお屋敷。
一ページ、一ページめくりながら、お屋敷の中へ。


そこに、あるべきはずのものがなかったり、ないはずのものがあったり、
あってもいいけど、その数が変だったり、
あってもいいけど、そのありかたがおかしかったり、
あってもいいけど、なぜここにあるんだろう、と思ったり・・・


そして、ときどき人がいるのです!
静かに、当たり前の顔をして、普通に、いる。
それがとても怖い。この人たちはいったい・・・


説明はいっさいなし。文字がない絵本なのです。
説明がないから、変だな、と思ったものをなんとか読み解こう、と思って、じっとじっと絵をみてみる。
何の答えもありません。
脈絡も何もみえません。
ただ、じっと見ていると、絵のなかの空気がやたら、感じられて、
それも妙な気配を伴っているように感じられて、
それもどんな気配、とも言えなくて、何か追い詰められたような気がしてくる。


どきっとしたり、はっとしたりする驚きは、ない。
ただ、しんしんと、ひたひたと・・・なにか、ある。なにか、くる。
文字がないぶん、妄想が限りなく広がってしまうのでしょうか。
本を閉じて、ほっとします。
ほっとしながら、やっぱりどこか落ち着かない・・・また最初からみたくなってしまうのです。
それも怖いです・・・